光学と量子エレクトロニクス 第13章 §13.2 ★★ εr から屈折率・消衰係数・垂直入射の反射率を出す。Drude の式は因果律を満たし、γ によらず総和則 ∫ωε2dω=πωp2/2 を満たす
屈折率・表皮の深さ・反射率
第10章(第10章)で定めたとおり、複素屈折率は n~=n+iκ=εr(κ≥0 の枝)で、実部と虚部は
n=2∣εr∣+ε1,κ=2∣εr∣−ε1(13.6)
である。z 方向に進む平面波は ein~ωz/c=einωz/ce−κωz/c なので、強度の吸収係数は第10章の αabs=2κω/c、振幅が 1/e になる深さは
δs=κωc=αabs2(13.7)
である。金属ではこれを表皮の深さと呼ぶ(変分の δ と区別するため添字 s を付ける)。ε1<0 で ε2 が小さいときは n≪κ で、波は進まずに減衰する。
真空から垂直に入射した光の反射率は、第14章(第14章)で境界条件から導く Fresnel の式の垂直入射の場合
R=∣n~+1n~−1∣2=(n+1)2+κ2(n−1)2+κ2(13.8)
で与えられる。この章ではこの式を結果として使う。κ≫1 なら n によらず R≈1 で、1−R は n に比例する。金属の反射の強さを決めるのは、κ が大きいことと n が小さいことの2つである。
因果律と Kramers–Kronig の関係
第12章(第12章)では、応答関数が上半面で正則で無限遠で 0 に近づくことから Kramers–Kronig の関係を出した。(13.3) の εr−εb は ω=0 と ω=−iγ に極を持つ。下半面の極 −iγ は、電流が時間 τ で減衰することを表し、因果律と矛盾しない。実軸上の極 ω=0 は、一定の電場で電流が流れ続けることを表す。この極があるために、ε2 から ε1 を出す向きの関係
ε1(ω)−εb=π2P∫0∞ω′2−ω2ω′ε2(ω′)dω′(13.9)
はそのまま成り立つが(分子の ω′ が ε2 の 1/ω′ を打ち消す)、逆向きの関係には σ0/(ε0ω) の項を足す必要がある。
金属の Kramers–Kronig
逆向きの関係は ε2(ω)=−π2ωP∫0∞ω′2−ω2ε1(ω′)−εbdω′+ε0ωσ0 になる。最後の項は実軸上の極の留数から出る。σ(ω) 自身は実軸上に極を持たないので、金属では誘電関数の代わりに伝導度について Kramers–Kronig の関係を書くほうが扱いやすい。
総和則
ω が大きいとき (13.4) は ε1→εb−ωp2/ω2 になる。一方 (13.9) の右辺は、ω が ε2 の広がりより十分大きいとき −πω22∫0∞ω′ε2dω′ に近づく。2つを比べると
∫0∞ωε2(ω)dω=2πωp2=2πε0mnee2(13.10)
を得る。第12章の総和則を伝導電子に当てはめたものである。Drude の式では直接 ∫0∞γωp2dω/(ω2+γ2)=2πωp2 と確かめられ、結果は γ によらない。衝突は吸収の山の形と幅を変えるが、山の面積は電子の数だけで決まる。面積が電子の数だけで決まるのは、高い周波数では束縛があっても無くても電子が同じに振る舞うからである(例題 13.1 の (2))。
例題 13.2 Drude の ε2 から ε1 を作る ★★
オリジナルDrude の ε2 (13.4) を (13.9) に代入し、ε1 が (13.4) に戻ることを示せ。主値積分 P∫0∞dω′/(ω′2−ω2)=0(ω>0)を使ってよい。
解答
被積分関数は ω′ε2(ω′)=γωp2/(ω′2+γ2) なので
(ω′2+γ2)(ω′2−ω2)γωp2=ω2+γ2γωp2(ω′2−ω21−ω′2+γ21)
と部分分数に分ける。第1項の主値積分は 0、第2項は ∫0∞dω′/(ω′2+γ2)=π/(2γ) なので
ε1(ω)−εb=π2⋅ω2+γ2γωp2(0−2γπ)=−ω2+γ2ωp2
で、(13.4) の ε1 に一致する。吸収 ε2 を全周波数で測れば、分散 ε1 は計算で決まる。ω≫γ で右辺は −ωp2/ω2 になり、総和則 (13.10) の面積 πωp2/2 を 2/(πω2) 倍したものになっている。
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