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何を削ったか

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第7章 金属・半導体・絶縁体はバンドの埋まり方で決まる
目次
  1. 電子どうしの相互作用
  2. 完全な周期性
  3. 止まった格子と、結晶の大きさの極限
  4. 裏付けの札
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第2部 第7章 §2.7.5 ★★ 電子どうしの相互作用・完全な周期性・止まった格子を削った。相互作用を戻すと、半分詰まりのバンドでも絶縁体になる(Mott 絶縁体)

この章の結論「バンドの埋まり方で決まる」は、式 (2.7.1) の1電子のハミルトニアンを選んだことに全面的に頼っている。この H^\hat H は、第1部第1章の全体のハミルトニアン(第1部第1章)から、少なくとも次の3つを削ったものである。

電子どうしの相互作用

1つめは電子どうしの Coulomb 相互作用である。(2.7.1) の εn(k)\varepsilon _n(\bm{k}) には、ほかの電子からの力が平均のポテンシャルとして入っているだけで、「ある電子がいるサイトには、ほかの電子が入りにくい」という相関は入っていない。

この相関が強いと、バンドの数え方は破れる。NiO と CoO は、単位胞に金属イオンと酸素が1個ずつで、1電子のバンドの描像では dd のバンドが途中まで詰まった金属になるはずだが、実際には透明な絶縁体である。この食い違いは早くから指摘され(J. H. de Boer, E. J. W. Verwey (1937), Proc. Phys. Soc. 49, 59)、N. F. Mott は、同じサイトに電子が2個入るときの Coulomb エネルギーがバンドの幅より大きいと、電子は各サイトに1個ずつ局在して動けなくなると考えた(N. F. Mott (1949), Proc. Phys. Soc. A 62, 416)。こうして生じる絶縁体をMott 絶縁体と呼ぶ。NiO のギャップは光電子分光と逆光電子分光から約 4.3 eV4.3\,\mathrm{eV} と求められている(G. A. Sawatzky, J. W. Allen (1984), Phys. Rev. Lett. 53, 2339)。これを1電子の描像に第1部第1章の Hubbard 模型の UU を加えて見ると、半分詰まりの1本のバンドでも、UU がバンドの幅より大きければ電荷を動かすのに UU ほどのエネルギーが要る、ということになる。磁性との関係は第5部で扱う(第5部第2章)。

それでも「単位胞あたりの電子の数が奇数なら金属」という数え方は、形を変えて相互作用のある系にも残る。並進と粒子数の保存の対称性を持つ相互作用する電子系で、単位胞あたりの電子の数が整数でない(スピンを区別すると奇数の場合を含む)とき、基底状態が「ただ1つで、上にギャップのある」状態にはなれない、という主張である。1次元のスピン鎖について E. H. Lieb, T. Schultz, D. Mattis (1961), Ann. Phys. 16, 407 が示し、高次元へは M. Oshikawa (2000), Phys. Rev. Lett. 84, 1535 の議論とM. B. Hastings (2004), Phys. Rev. B 69, 104431 による証明がある(定理の前提の正確な形は、この章では原論文まで確かめていない)。Mott 絶縁体はこの主張と矛盾しない。電荷を動かすにはギャップがあるが、スピンの自由度が残っていて、低温では反強磁性の秩序で単位胞が2倍になる(電子の数が偶数になる)か、ギャップの無いスピンの励起を持つからである。

完全な周期性

2つめは周期性である。Bloch の定理は完全な周期性を前提にしているが、実在の結晶には不純物や欠陥があり、合金やアモルファス固体では周期性そのものが無い。乱れが強いと、途中まで詰まったバンドの状態でも、波動関数が空間の一部に局在して電流を運ばなくなることがある(P. W. Anderson (1958), Phys. Rev. 109, 1492。Anderson 局在)。このとき D(εF)>0D(\varepsilon _{\mathrm F})>0 でも結晶は絶縁体になり、定義 2.7.2 の「Fermi 面がある」は金属であることの十分条件でなくなる。逆に、周期性の無いアモルファスの Si でも、光の吸収にはギャップに当たる吸収端が見られる。ギャップの大きさは主に隣の原子との化学結合で決まり、長い距離の周期性にはあまりよらないからである。

止まった格子と、結晶の大きさの極限

3つめは格子の運動である。この章では原子核を格子点に止め、バンドを温度によらないものとして扱った。実際にはギャップは温度とともに少し変わり(Si では 0 K0\,\mathrm K の 1.170 eV1.170\,\mathrm{eV} から室温で数 % 小さくなる)、電子とフォノンの結合は金属の電気抵抗を決める(第4部第2章)。1次元の半分詰まりの金属では、格子を歪めること自体でエネルギーが下がり、金属が自発的に絶縁体になる(第2部第8章)。

さらに、式 (2.7.4) で k\bm{k} の和を積分に置き換え、例題 2.7.1 で隙間 4tsin⁡(π/N)4t\sin(\pi/N) を 00 とみなしたのは、結晶の大きさを無限にする極限をとったことに当たる。この極限では、有限の大きさの系が持つ 1/N1/N の大きさの隙間が消えて、金属と絶縁体がはっきり分かれる。

裏付けの札

近似の裏付け

型 C(閉じる) | 小さいもの 電子どうしの相関を平均のポテンシャル(交換相関の汎関数)で置き換える(小さいパラメータなし) | 証明 C 型=内部の評価なし(Mott 絶縁体では定性的に誤る) | 行き先 近似の数理 第9章

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの e−(εc−μ)/(kBT)→0\mathrm{e}^{-(\varepsilon _{\mathrm c}-\mu)/( k_{\mathrm B} T)}\to0 と kBT/W→0k_{\mathrm B} T/W\to0(WW はバンドの幅。非縮退近似とバンドの端の放物線近似) | 証明 条件付き(μ\mu がバンドの端から数 kBTk_{\mathrm B} T 離れていること。積分が明示的なので誤差は直接評価でき、相対誤差は 2−3/2e−(εc−μ)/(kBT)2^{-3/2}\mathrm{e}^{-(\varepsilon _{\mathrm c}-\mu)/( k_{\mathrm B} T)} の大きさ。例題 2.7.7) | 行き先 近似の数理 第7章

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの 1/N→01/N\to0(単位胞の数を無限にする熱力学極限。k\bm{k} の和を積分にする) | 証明 証明済み(相互作用しない電子のバンドでは Riemann 和の収束として初等的。Coulomb 相互作用する電子と原子核の系の熱力学極限の存在は E. H. Lieb, J. L. Lebowitz (1972), Adv. Math. 9, 316 で証明済み) | 行き先 近似の数理 第3章・近似の数理 第13章

例題 2.7.8 NiO と CoO の dd 電子を数える ★★

オリジナルNiO と CoO は岩塩型の構造で、基本単位胞に金属イオン1個と酸素1個を含む。酸素の 2p2p のバンドは満ちているとし、金属イオンの dd 軌道は、まわりの酸素の作る結晶場で低い3つ(t2gt_{2g}、スピンを入れて容量6)と高い2つ(ege_g、容量4)に分かれているとする。1電子のバンドの描像では、それぞれが1本ずつのバンドの組になる。

  1. (1) 中性の原子の価電子(Ni は 3d84s23d^84s^2、Co は 3d74s23d^74s^2、O は 2s22p42s^22p^4)を数え、単位胞あたりの電子の数の偶奇を答えよ。
  2. (2) Ni2+^{2+} は d8d^8、Co2+^{2+} は d7d^7 である。t2gt_{2g} と ege_g のバンドへの詰まり方を書き、1電子のバンドの描像でそれぞれが金属と絶縁体のどちらになるかを答えよ。
  3. (3) どちらも実際には絶縁体である。(1)(2) の結果と合わせて、どちらが「数え方」の破れとしてより強い主張になっているかを述べよ。
解答

(1) NiO は 10+6=1610+6=16 個(偶数)、CoO は 9+6=159+6=15 個(奇数)である。

(2) NiO では d8d^8 のうち6個が t2gt_{2g} を満たし、残り2個が容量4の ege_g に入る。ege_g のバンドは半分しか埋まらないので、スピンをそろえない1電子の描像では金属になる。CoO では d7d^7 のうち6個が t2gt_{2g} を満たし、1個が ege_g に入る。ege_g のバンドは4分の1しか埋まらず、やはり金属になる。

(3) CoO は単位胞あたりの電子の数が奇数なので、どんなバンドの形を考えても1電子の描像では金属にしかなれない。それが絶縁体であることは、1電子の描像そのものの破れを示す。NiO は偶数なので、結晶場の分裂のしかたやバンドの形を変えれば1電子の描像のままで絶縁体になる余地が形式的には残る。ただし ege_g の2本を分ける結晶場の分裂は立方対称では無いので、ここでも数え方の破れになっている。両方とも、同じサイトに電子が2個入るときの Coulomb エネルギーを入れた Mott 絶縁体として理解される。

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