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繰返しのある2元配置法とは

2026年10月15日11分で読めますAI生成教科書『資格試験』第5章 繰返しのある2元配置法
目次
  1. 実験の形とデータの構造式
  2. 交互作用とは何か
  3. なぜ繰返しが要るのか
  4. 記号
  5. 確認テスト
  6. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

実験計画法 第5章 §5.1 ★★★ データの構造式と交互作用の定義。繰返しがあって初めて交互作用と誤差を分けられる

第3章と第4章では、因子が1つの実験(1元配置法)を扱った。現実の実験では、反応温度と触媒の種類のように2つの因子を同時に変えることが多い。2つの因子 AA と BB を同時に取り上げると、新しく交互作用という量が現れる。交互作用とは、AA の水準を変えたときの特性値の変わり方が BB の水準によって違う、という現象のことである。

この章では繰返しのある2元配置法を扱う。因子 AA は ll 水準とする。因子 BB は mm 水準とする。

その水準のすべての組合せで実験を行う。組合せは lmlm 通りある。それぞれの組合せで、同じ回数ずつ実験を繰り返す。その回数を rr とする(r≥2r\ge2)。

この章で作る道具は次の3つである。

  1. 総平方和を ST=SA+SB+SA×B+SeS_T=S_A+S_B+S_{A\times B}+S_e と4つに分け、それぞれの自由度と期待平均平方を導く。
  2. 交互作用が無視できるときに SA×BS_{A\times B} を誤差へプールする手続きと、その判断の基準を述べる。
  3. 最適な水準組合せの母平均を点推定し、有効反復数 nen_e を使って信頼区間と予測区間を作る。nen_e の計算には田口の式と伊奈の式の2通りがあり、この章で両者が一致することを確かめる。

資格試験の応用(理工学)の科目で実験計画法が出題されると、「データの構造式を書く → 平方和と自由度を計算して分散分析表を作る → FF 検定で有意な要因を判定する → 交互作用をプールするか決める → 最適条件の母平均を推定し、有効反復数から信頼区間を作る」という連鎖で問われることが多い。この章の3つの節はこの連鎖をそのまま順に扱う。

実験の形とデータの構造式

因子 AA の水準を A1,…,AlA_1,\dots,A_l とする。因子 BB の水準を B1,…,BmB_1,\dots,B_m とする。

水準組合せ AiBjA_iB_j のそれぞれで rr 回ずつ実験する。全部で N=lmrN=lmr 回の実験を、すべてランダムな順序で行う。ある組合せの実験をまとめて行うと、その間に起きた環境の変化が組合せの効果と区別できなくなるからである。

組合せ AiBjA_iB_j のデータに、番号 k=1,…,rk=1,\dots,r を振る。その kk 回目のデータを xijkx_{ijk} と書く。

データの構造式は次のとおりである。

xijk=μ+ai+bj+(ab)ij+εijk,εijk∼N(0,σ2) 独立(5.1)x_{ijk}=\mu+a_i+b_j+(ab)_{ij}+\varepsilon _{ijk},\qquad \varepsilon _{ijk}\sim\mathrm{N}(0,\sigma^2)\ \text{独立}\tag{5.1}

∑i=1lai=0,∑j=1mbj=0,∑i=1l(ab)ij=0 (j=1,…,m),∑j=1m(ab)ij=0 (i=1,…,l).(5.2)\sum_{i=1}^l a_i=0,\qquad \sum_{j=1}^m b_j=0,\qquad \sum_{i=1}^l (ab)_{ij}=0\ (j=1,\dots,m),\qquad \sum_{j=1}^m (ab)_{ij}=0\ (i=1,\dots,l).\tag{5.2}

各記号の意味は次のとおりである。

  • μ\mu:一般平均。
  • aia_i:AA の主効果。
  • bjb_j:BB の主効果。
  • (ab)ij(ab)_{ij}:A×BA\times B の交互作用。

ai,bj,(ab)ija_i,b_j,(ab)_{ij} はいずれも未知の定数(母数)とする。この形を母数模型と呼ぶ。

各組合せの母平均を μ(AiBj)=μ+ai+bj+(ab)ij\mu(A_iB_j)=\mu+a_i+b_j+(ab)_{ij} と書く。制約 (5.2) のもとでは、各パラメータは μ(AiBj)\mu(A_iB_j) から一意に決まる。

  • μ(AiBj)\mu(A_iB_j) を jj について平均する。主効果 bjb_j も交互作用 (ab)ij(ab)_{ij} も、和をとると消える。結果は μ+ai\mu+a_i になる。
  • 全部の平均をとると μ\mu になる。

したがって

μ=μˉ⋅⋅,ai=μˉi⋅−μˉ⋅⋅,bj=μˉ⋅j−μˉ⋅⋅,(ab)ij=μ(AiBj)−μˉi⋅−μˉ⋅j+μˉ⋅⋅(5.3)\begin{aligned} \mu&=\bar\mu_{\cdot\cdot},\qquad a_i=\bar\mu_{i\cdot}-\bar\mu_{\cdot\cdot},\qquad b_j=\bar\mu_{\cdot j}-\bar\mu_{\cdot\cdot},\\ (ab)_{ij}&=\mu(A_iB_j)-\bar\mu_{i\cdot}-\bar\mu_{\cdot j}+\bar\mu_{\cdot\cdot} \end{aligned}\tag{5.3}

である。ここで次のようにおいた。

μˉi⋅=1m∑jμ(AiBj),μˉ⋅j=1l∑iμ(AiBj),μˉ⋅⋅=1lm∑i,jμ(AiBj).\bar\mu_{i\cdot}=\frac1m\sum_j\mu(A_iB_j),\qquad \bar\mu_{\cdot j}=\frac1l\sum_i\mu(A_iB_j),\qquad \bar\mu_{\cdot\cdot}=\frac1{lm}\sum_{i,j}\mu(A_iB_j).

この分解が、水準組合せの母平均を「一般平均+AA の効果+BB の効果+その組合せに固有のずれ」と読む根拠になる。交互作用 (ab)ij(ab)_{ij} は、主効果の足し算だけでは説明できない残りの部分である。

交互作用とは何か

交互作用が全部 0 なら、μ(AiBj)=μ+ai+bj\mu(A_iB_j)=\mu+a_i+b_j である。A1A_1 から A2A_2 へ変えたときの母平均の差は

μ(A2Bj)−μ(A1Bj)=a2−a1\mu(A_2B_j)-\mu(A_1B_j)=a_2-a_1

で、BB の水準によらない。横軸に AA の水準、縦軸に母平均をとり、BB の水準ごとに折れ線を描くと、折れ線どうしは平行になる。交互作用があると、この差が jj によって変わり、折れ線は平行でなくなる(図 5.1)。

図

図 5.1 母平均 μ(AiBj)\mu(A_iB_j) のグラフ。実線が B1B_1、破線が B2B_2。(a) では2本の折れ線の縦の差がどの AiA_i でも同じで、(b) では AiA_i によって差の大きさも向きも変わる。

交互作用があるかどうかで、実務での判断が変わる。交互作用が無いなら、AA の最良の水準と BB の最良の水準を別々に選んで組み合わせれば、それが最良の組合せになる。交互作用があるなら、AA の最良の水準が BB の水準によって変わりうる。そのため、lmlm 通りの組合せの母平均を直接比べなければならない。

なぜ繰返しが要るのか

各組合せで1回しか実験しない(r=1r=1)場合を考える。データ xijx_{ij} から主効果を除いた残りは

xij−xˉi⋅−xˉ⋅j+xˉx_{ij}-\bar x_{i\cdot}-\bar x_{\cdot j}+\bar x

である。ここには交互作用 (ab)ij(ab)_{ij} と誤差 εij\varepsilon _{ij} の両方が入る。どちらも同じ1個のデータに含まれるので、データからは区別することができない。

繰返しが r≥2r\ge2 あれば、同じ組合せのデータのばらつき xijk−xˉij⋅x_{ijk}-\bar x_{ij\cdot} を使える。これは母平均の部分を含まず、誤差だけで決まる。この「組合せの内側のばらつき」で σ2\sigma^2 を推定し、それと比べて「組合せの母平均どうしのばらつき」から主効果で説明できない部分が大きいかを調べれば、交互作用を検定することができる。繰返しのない2元配置法で交互作用を検定できない理由は第6章で詳しく扱う。

記号

和と平均を次のように書く。点はその添字について和(平均)をとったことを表す。

Tij⋅=∑k=1rxijk,Ti⋅⋅=∑j,kxijk,T⋅j⋅=∑i,kxijk,T=∑i,j,kxijk,T_{ij\cdot}=\sum_{k=1}^r x_{ijk},\quad T_{i\cdot\cdot}=\sum_{j,k}x_{ijk},\quad T_{\cdot j\cdot}=\sum_{i,k}x_{ijk},\quad T=\sum_{i,j,k}x_{ijk},

xˉij⋅=Tij⋅r,xˉi⋅⋅=Ti⋅⋅mr,xˉ⋅j⋅=T⋅j⋅lr,xˉ=TN.\bar x_{ij\cdot}=\frac{T_{ij\cdot}}{r},\quad \bar x_{i\cdot\cdot}=\frac{T_{i\cdot\cdot}}{mr},\quad \bar x_{\cdot j\cdot}=\frac{T_{\cdot j\cdot}}{lr},\quad \bar x=\frac{T}{N}.

和 Tij⋅T_{ij\cdot} を、行に因子 AA の水準をとって並べる。列には BB の水準をとる。この表を AB 2元表と呼ぶ。分散分析の計算はこの2元表から始める。

例題 5.1 2元表から効果を分解する ★★

オリジナルAA を2水準、BB を3水準とる。各組合せで r=2r=2 回実験した。組合せごとの平均 xˉij⋅\bar x_{ij\cdot} は次のとおりであった。

B1B_1B2B_2B3B_3
A1A_1202623
A2A_2171519
  1. 一般平均、主効果、交互作用の推定値を求めよ。

μ^,a^i, b^j,(ab)^ij\hat\mu,\qquad \hat a_i,\ \hat b_j,\qquad \widehat{(ab)}_{ij} 2. 交互作用の推定値が制約 (5.2) を満たすことを確かめよ。

解答
  1. 母数の分解 (5.3) の μ(AiBj)\mu(A_iB_j) を xˉij⋅\bar x_{ij\cdot} に置き換えたものが推定値になる(§5.2 の考え方の箱で述べる直交射影による推定値と同じものである)。行の平均、全体の平均、列の平均は次のとおりである。

xˉ1⋅⋅=(20+26+23)/3=23,xˉ2⋅⋅=(17+15+19)/3=17,xˉ=(69+51)/6=20,xˉ⋅1⋅=18.5,xˉ⋅2⋅=20.5,xˉ⋅3⋅=21.\begin{aligned}&\bar x_{1\cdot\cdot}=(20+26+23)/3=23, && \bar x_{2\cdot\cdot}=(17+15+19)/3=17, && \bar x=(69+51)/6=20,\\ &\bar x_{\cdot1\cdot}=18.5, && \bar x_{\cdot2\cdot}=20.5, && \bar x_{\cdot3\cdot}=21 .\end{aligned}

よって

μ^=20,a^1=3, a^2=−3,b^1=−1.5, b^2=0.5, b^3=1.\hat\mu=20,\quad \hat a_1=3,\ \hat a_2=-3,\quad \hat b_1=-1.5,\ \hat b_2=0.5,\ \hat b_3=1.

交互作用は (ab)^ij=xˉij⋅−xˉi⋅⋅−xˉ⋅j⋅+xˉ\widehat{(ab)}_{ij}=\bar x_{ij\cdot}-\bar x_{i\cdot\cdot}-\bar x_{\cdot j\cdot}+\bar x で、

(ab)^11=20−23−18.5+20=−1.5,(ab)^21=17−17−18.5+20=1.5,(ab)^12=26−23−20.5+20=2.5,(ab)^22=15−17−20.5+20=−2.5,(ab)^13=23−23−21+20=−1,(ab)^23=19−17−21+20=1.\begin{aligned} \widehat{(ab)}_{11}&=20-23-18.5+20=-1.5, & \widehat{(ab)}_{21}&=17-17-18.5+20=1.5,\\ \widehat{(ab)}_{12}&=26-23-20.5+20=2.5, & \widehat{(ab)}_{22}&=15-17-20.5+20=-2.5,\\ \widehat{(ab)}_{13}&=23-23-21+20=-1, & \widehat{(ab)}_{23}&=19-17-21+20=1. \end{aligned} 2. 行の和と列の和を計算すると、すべて 0 になる。

行の和:−1.5+2.5−1=0,1.5−2.5+1=0,列の和:−1.5+1.5=0,2.5−2.5=0,−1+1=0.\begin{aligned}&\text{行の和:}&& -1.5+2.5-1=0,\qquad 1.5-2.5+1=0,\\ &\text{列の和:}&& -1.5+1.5=0,\qquad 2.5-2.5=0,\qquad -1+1=0 .\end{aligned}

これは偶然ではない。(ab)^ij\widehat{(ab)}_{ij} を jj について平均すると、次のようになる。

xˉi⋅⋅−xˉi⋅⋅−xˉ+xˉ=0\bar x_{i\cdot\cdot}-\bar x_{i\cdot\cdot}-\bar x+\bar x=0

ii について平均しても、同様に 0 になる。

確認テスト

オリジナル

  1. 5.1-1 AA を4水準、BB を3水準とる。各組合せで r=3r=3 回実験する。総データ数 NN を求めよ。

また ST,SA,SB,SA×B,SeS_T,S_A,S_B,S_{A\times B},S_e の自由度を求めよ。それらについて次を確かめよ。

ϕA+ϕB+ϕA×B+ϕe=ϕT\phi_A+\phi_B+\phi_{A\times B}+\phi_e=\phi_T 2. 5.1-2 繰返しのない2元配置法(r=1r=1)では交互作用 A×BA\times B を誤差と分けて検定できない。その理由を、残りの平方和の期待値を使って2〜3文で説明せよ。3. 5.1-3 AA を2水準、BB を3水準とする。各組合せで r=2r=2 回実験した。組合せの平均は次のとおりであった。

xˉ11⋅=10, xˉ12⋅=14, xˉ13⋅=12, xˉ21⋅=8, xˉ22⋅=6, xˉ23⋅=10\bar x_{11\cdot}=10,\ \bar x_{12\cdot}=14,\ \bar x_{13\cdot}=12,\ \bar x_{21\cdot}=8,\ \bar x_{22\cdot}=6,\ \bar x_{23\cdot}=10

a^i,b^j,(ab)^ij\hat a_i,\hat b_j,\widehat{(ab)}_{ij} をすべて求めよ。4. 5.1-4 制約 (5.2) のもとで、自由に値を決められる (ab)ij(ab)_{ij} の個数が (l−1)(m−1)(l-1)(m-1) であることを示せ。

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