実験計画法 第7章 §7.1 ★★ 構造式に3因子交互作用まで入れ、平方和を8つに分けて期待平均平方を導く
第5章では、繰返しのある2元配置法を扱った。2つの因子 A,B のすべての水準組合せで、r 回ずつ実験する方法である。総平方和を次のように分けて検定した。
ST=SA+SB+SA×B+Se
さらに有効反復数 ne を使って、最適条件の母平均を推定した。
この章では因子を3つ以上に増やした多元配置法を扱う。中心になるのは、3つの因子 A,B,C のすべての水準組合せでr 回ずつ実験する繰返しのある3元配置法である。
この章で作る道具は次の3つである。
- データの構造式に2因子交互作用と3因子交互作用を入れる。
A×B,A×C,B×C,A×B×C
総平方和を8つの直交な部分に分け、それぞれの自由度と期待平均平方を導く。2. 3つの2元表と1つの3元表から、平方和を計算する手順を作る。3. 有意でない交互作用をプールする。そのあと残った要因に合わせて、最適条件の母平均の推定式を組み立てる。有効反復数を田口の式と伊奈の式で求めて、区間推定を行う。
統計応用(理工学)で多元配置法が出題されると、2元配置と同じ連鎖で問われる。
構造式→平方和と自由度→分散分析表→F 検定→プーリング→最適条件の推定
2元配置との違いは次の2点である。
- 平方和の数が増える。
- どの交互作用を残すかで、推定の式と ne が変わる。
第2の点は2元配置より選択肢が多く、記述式で差がつきやすい。
実験の形とデータの構造式
3つの因子の水準数を、次のようにとる。
A: l 水準,B: m 水準,C: n 水準
水準組合せ AiBjCk は lmn 通りある。そのそれぞれで r 回ずつ実験する。
総実験回数は N=lmnr で、すべての実験をランダムな順序で行う。この組合せの s 回目のデータを xijks と書く。データの構造式は次のとおりである。
xijks=μ+ai+bj+ck+(ab)ij+(ac)ik+(bc)jk+(abc)ijk+εijks,εijks∼N(0,σ2) 独立.(7.1)
次の母数は、すべて未知の定数である。
- 主効果 ai,bj,ck
- 2因子交互作用 (ab)ij,(ac)ik,(bc)jk
- 3因子交互作用 (abc)ijk
これらには、どの添字について和をとっても0という制約を置く。
i∑ai=j∑bj=k∑ck=0,i∑(ab)ij=j∑(ab)ij=0, …,i∑(abc)ijk=j∑(abc)ijk=k∑(abc)ijk=0.(7.2)
ほかの2因子交互作用も、(ab)ij と同じく各添字の和が0である。3因子交互作用の制約は、残りの2つの添字を固定するごとに1本ずつある。
組合せの母平均を μ(AiBjCk) と書き、平均をとった添字を点で表す。たとえば次のとおりである。
μˉij⋅=n1k∑μ(AiBjCk)
制約 (7.2) のもとで、母平均を k について平均する。すると ck,(ac)ik,(bc)jk,(abc)ijk が消えて、次が残る。
μˉij⋅=μ+ai+bj+(ab)ij
同じように平均を重ねると、各母数は組合せの母平均から一意に決まる。
μ(abc)ijk=μˉ⋅⋅⋅,ai=μˉi⋅⋅−μˉ⋅⋅⋅,(ab)ij=μˉij⋅−μˉi⋅⋅−μˉ⋅j⋅+μˉ⋅⋅⋅,=μ(AiBjCk)−μˉij⋅−μˉi⋅k−μˉ⋅jk+μˉi⋅⋅+μˉ⋅j⋅+μˉ⋅⋅k−μˉ⋅⋅⋅.(7.3)
ほかの主効果と2因子交互作用も、ai,(ab)ij と同じ形である。3因子交互作用の式は、包除原理と同じ符号の並びになっている。
- 3つの添字を持つ平均に +、2つの添字を持つ平均に − をつける。
- 1つの添字を持つ平均に +、添字なしの平均に − をつける。
3因子交互作用の意味
2つの交互作用の意味を並べる。
- 2因子交互作用 A×B は、「因子 A の効果が、もう一方の因子の水準によって違う」ことであった。
- 3因子交互作用 A×B×C は、「2因子交互作用 A×B の形が、残りの因子の水準によって違う」ことである。
これを、3つの因子がすべて2水準の場合に式で確かめる。Ck を固定して、2水準の母平均から作る A×B の交互作用の対比を
Dk=μ(A1B1Ck)−μ(A1B2Ck)−μ(A2B1Ck)+μ(A2B2Ck)(7.4)
とおく。Dk は、Ck のもとで描いた2因子の折れ線グラフが、平行からどれだけずれているかを表す。
構造式を代入すると、主効果と A×C・B×C は4項の中で打ち消し合う。2水準の制約では、符号を変えるだけで値が決まる((ab)12=−(ab)11 など)。これを使うと
Dk=4(ab)11+4(abc)11k
が残る。(abc)112=−(abc)111 なので、
(ab)11=8D1+D2,(abc)111=8D1−D2(7.5)
である。2つの交互作用は、次の量に対応する。
- A×B の交互作用は、2つの Dk の平均に対応する。
- A×B×C は、2つの Dk の差に対応する。
D1=D2 なら、3因子交互作用は0である。C の水準を変えても、A×B の折れ線のずれ方が同じだからである。

図 7.1 3元配置の要因の包含関係。線で結ばれた下の要因は上の要因の「部分」で、上の要因の2元表(3元表)の平均をさらに平均すると得られる。右は各要因の自由度(部分空間の次元)。
例題 7.1 2×2×2 の母平均から交互作用を取り出す ★★
オリジナルA,B,C をいずれも2水準とする3元配置で、組合せの母平均が次のとおりであるとする。
| C1 | C2 |
| B1 | B2 | B1 | B2 |
| A1 | 8 | 12 | 10 | 12 |
| A2 | 14 | 14 | 18 | 20 |
- μ と主効果 a1,b1,c1 を求めよ。
- 2因子交互作用 (ab)11,(ac)11,(bc)11 を求めよ。
- D1,D2 を求め、(7.5) から (abc)111 を求めよ。また (7.3) の式でも同じ値になることを確かめよ。
解答
- 8つの和は108なので μ=13.5 である。1元の平均と主効果は次のとおりである。
A1B1C1: (8+12+10+12)/4=10.5,: (8+14+10+18)/4=12.5,: (8+12+14+14)/4=12,a1b1c1=10.5−13.5=−3=12.5−13.5=−1=12−13.5=−1.5
2水準なので、第2水準の主効果は符号を変えたものになる。
a2=3,b2=1,c2=1.5
2. 2元の平均は次のとおりである。
μˉ11⋅=(8+10)/2=9,μˉ1⋅1=(8+12)/2=10,μˉ⋅11=(8+14)/2=11
(7.3) の形で
(ab)11(ac)11(bc)11=9−10.5−12.5+13.5=−0.5,=10−10.5−12+13.5=1,=11−12.5−12+13.5=0.
3. 対比と3因子交互作用は次のとおりである。
D1=8−12−14+14=−4,D2=10−12−18+20=0,(abc)111=8−4−0=−0.5
検算として (ab)11=(D1+D2)/8=−0.5 も (2) と一致する。(7.3) で計算すると
(abc)111=8−μˉ11⋅−μˉ1⋅1−μˉ⋅11+μˉ1⋅⋅+μˉ⋅1⋅+μˉ⋅⋅1−μ=8−9−10−11+10.5+12.5+12−13.5=−0.5
で、同じ値になる。
C1 では折れ線が平行からずれている(D1=−4)。C2 では平行である(D2=0)。つまり A×B の形が C の水準で変わっている。これが (abc)111=0 の意味である。
平方和の分解
和を次のように書く。
Tijk⋅=s∑xijks,Tij⋅⋅=k,s∑xijks,Ti⋅⋅⋅=j,k,s∑xijks,T=∑xijks
それぞれをデータ数で割った平均を、次のように書く。ほかの添字の組についても同じである。
xˉijk⋅ (r 個の平均),xˉij⋅⋅ (nr 個),xˉi⋅⋅⋅ (mnr 個),xˉ (N 個)
データの全体平均からの偏差を、(7.3) の母数を平均に置き換えた形の8つの部分に分ける。
xijks−xˉ=A(xˉi⋅⋅⋅−xˉ)+B(xˉ⋅j⋅⋅−xˉ)+C(xˉ⋅⋅k⋅−xˉ)+A×B(xˉij⋅⋅−xˉi⋅⋅⋅−xˉ⋅j⋅⋅+xˉ)+A×C(xˉi⋅k⋅−xˉi⋅⋅⋅−xˉ⋅⋅k⋅+xˉ)+B×C(xˉ⋅jk⋅−xˉ⋅j⋅⋅−xˉ⋅⋅k⋅+xˉ)+A×B×C(xˉijk⋅−xˉij⋅⋅−xˉi⋅k⋅−xˉ⋅jk⋅+xˉi⋅⋅⋅+xˉ⋅j⋅⋅+xˉ⋅⋅k⋅−xˉ)+e(xijks−xˉijk⋅).(7.6)
右辺を足すと、次のように打ち消し合って左辺だけが残る。
- 3添字の平均 xˉijk⋅ は、3因子交互作用の項と誤差の項で打ち消す。
- 2添字の平均は、3因子交互作用の項の負号と、2因子交互作用の項の正号で打ち消す。
- 同様に、1添字の平均と全体平均も打ち消す。
定理 7.1(3元配置の平方和の分解 ★★)
(7.6) の8つの部分をそれぞれ2乗して、全データについて足す。それを次のように書く。
SA, SB, SC, SA×B, SA×C, SB×C, SA×B×C, Se
このとき
ST=SA+SB+SC+SA×B+SA×C+SB×C+SA×B×C+Se(7.7)
が成り立つ。たとえば次のとおりである。
SASA×B×C=mnri∑(xˉi⋅⋅⋅−xˉ)2,=ri,j,k∑(⋯)2,SA×BSe=nri,j∑(xˉij⋅⋅−xˉi⋅⋅⋅−xˉ⋅j⋅⋅+xˉ)2,=∑(xijks−xˉijk⋅)2
係数は「その部分の値が共通になるデータの個数」である。
証明
8つの部分を次のように書く。
uiA, ujB, ukC, uijAB, uikAC, ujkBC, uijkABC, uijkse
添字が示すとおり、各部分は書かれた添字だけに依存する。さらに次の性質がある。各部分は、自分の持つどの添字について和をとっても0になる。
uA と ue については第5章と同じである。2因子交互作用の部分を j について平均すると、次のとおり0になる。
xˉi⋅⋅⋅−xˉi⋅⋅⋅−xˉ+xˉ=0
3因子交互作用の部分を k について平均すると、各項が次のように置き換わる。
xˉijk⋅→xˉij⋅⋅,xˉi⋅k⋅→xˉi⋅⋅⋅,xˉ⋅jk⋅→xˉ⋅j⋅⋅,xˉ⋅⋅k⋅→xˉ
よって
xˉij⋅⋅−xˉij⋅⋅−xˉi⋅⋅⋅−xˉ⋅j⋅⋅+xˉi⋅⋅⋅+xˉ⋅j⋅⋅+xˉ−xˉ=0
となる。i や j についても、対称な計算で0になる。
2つの異なる部分 uP と uQ の積の総和を考える。2つの部分の添字の集合は異なる。よって、どちらか一方の部分にだけ現れる添字 t が少なくとも1つある。
- 組 (uA,uAB) なら、その添字は j である。
- 組 (uAB,uAC) なら、その添字は j,k の2つである。
積の総和をとるとき、まずその添字 t について和をとる。もう一方の部分は t によらないので、和の外に出る。残った和は「自分の持つ添字についての和」なので0になる。
たとえば ∑uijABuikAC では、j が片方にしか現れない。よって j の和を先にとれば0である。ue とほかの部分の積は、添字 s を先に足して0になる。したがって28個の交差項はすべて0で、2乗和は8つの部分の2乗和の和に分かれる。
自由度は、各部分が属する部分空間の次元である。
- uA は l 個の値を持ち、和が0である。よって次元は l−1 である。
- uAB の次元は、第5章で示したとおり (l−1)(m−1) である。
- uABC の次元は、確認テスト 7.1-4 で示すとおり (l−1)(m−1)(n−1) である。
- ue は、各組合せの中での和が0である。よって次元は lmn(r−1) である。
ϕA=l−1,ϕB=m−1,ϕC=n−1,ϕA×B=(l−1)(m−1),ϕA×C=(l−1)(n−1),ϕB×C=(m−1)(n−1),ϕA×B×C=(l−1)(m−1)(n−1),ϕe=lmn(r−1).(7.8)
主効果と交互作用の自由度の和は、次のとおりである。
(1+(l−1))(1+(m−1))(1+(n−1))−1=lmn−1
これに ϕe を足すと N−1=ϕT になる。
計算の手順
修正項を CT=T2/N とおく。第5章の2元配置と同じく、各添字の組の和の2乗から CT を引く。
STSBSABSBCSA×BSA×B×CSe=∑xijks2−CT,SA=i∑mnrTi⋅⋅⋅2−CT,=j∑lnrT⋅j⋅⋅2−CT,SC=k∑lmrT⋅⋅k⋅2−CT,=i,j∑nrTij⋅⋅2−CT,SAC=i,k∑mrTi⋅k⋅2−CT,=j,k∑lrT⋅jk⋅2−CT,SABC=i,j,k∑rTijk⋅2−CT,=SAB−SA−SB,SA×C=SAC−SA−SC,SB×C=SBC−SB−SC,=SABC−SA−SB−SC−SA×B−SA×C−SB×C,=ST−SABC.(7.9)
SAB は、AB 2元表のセルの間の平方和である。セルは lm 個ある。これは分解 (7.6) のうち uA+uB+uAB の2乗和に等しい。理由は次の等式である。
xˉij⋅⋅−xˉ=uiA+ujB+uijAB
そこから主効果を引いた残りが SA×B である。
SABC は、ABC 3元表のセルの間の平方和である。セルは lmn 個ある。これは ue 以外の7つの部分の2乗和に等しい。したがって次のとおりである。
- SA×B×C は、SABC から6つの平方和を引いたものになる。
- 誤差平方和 Se は、ST−SABC になる。
期待平均平方
定理 7.2(3元配置の期待平均平方 ★★)
母数模型 (7.1)・(7.2) のもとで、各平均平方 V=S/ϕ の期待値は
E(VA)E(VB)E(VC)=σ2+mnrσA2,=σ2+lnrσB2,=σ2+lmrσC2,E(VA×B)E(VA×C)E(VB×C)=σ2+nrσA×B2,=σ2+mrσA×C2,=σ2+lrσB×C2E(VA×B×C)E(Ve)=σ2+rσA×B×C2,=σ2,(7.10)
である。ここで次のようにおいた(ほかも同様)。
σA2=ϕA∑iai2,σA×B2=ϕA×B∑i,j(ab)ij2,σA×B×C2=ϕA×B×C∑i,j,k(abc)ijk2
係数は、その要因の表の1つのセルに入るデータの個数である。たとえば A なら1元表を、A×B なら2元表を見る。
証明
A×B について示す。ほかも同じ手順である。構造式を代入すると、制約 (7.2) によって
xˉij⋅⋅=μ+ai+bj+(ab)ij+εˉij⋅⋅,xˉi⋅⋅⋅=μ+ai+εˉi⋅⋅⋅,xˉ⋅j⋅⋅=μ+bj+εˉ⋅j⋅⋅,xˉ=μ+εˉ
となる。xˉij⋅⋅ では k について平均する。そのため ck,(ac)ik,(bc)jk,(abc)ijk の和が0になるからである。よって
uijAB=(ab)ij+ηij,ηij=εˉij⋅⋅−εˉi⋅⋅⋅−εˉ⋅j⋅⋅+εˉ.
τij=εˉij⋅⋅ とおく。これは lm 個の互いに重ならないデータの組の平均である。よって τij は独立に N(0,σ2/(nr)) に従う。また次が成り立つ。
εˉi⋅⋅⋅=τˉi⋅,εˉ⋅j⋅⋅=τˉ⋅j,εˉ=τˉ⋅⋅
よって ηij=τij−τˉi⋅−τˉ⋅j+τˉ⋅⋅ は、独立な表 τ を行と列で二重に中心化したものである。第5章の直交分解を τ の表に当てはめると
i,j∑(τij−τˉ⋅⋅)2=mi∑(τˉi⋅−τˉ⋅⋅)2+lj∑(τˉ⋅j−τˉ⋅⋅)2+i,j∑ηij2.
各項の期待値を順に求める。
- 左辺は lm 個の独立な変数の偏差平方和である。期待値は (lm−1)σ2/(nr) である。
- 右辺第1項は、独立な変数 τˉi⋅ の偏差平方和の m 倍である。変数は l 個で、各変数の分散は σ2/(mnr) である。よって期待値は m(l−1)σ2/(mnr)=(l−1)σ2/(nr) である。
- 右辺第2項は、同様に (m−1)σ2/(nr) である。
したがって
E[i,j∑ηij2]=nr(lm−1)−(l−1)−(m−1)σ2=nr(l−1)(m−1)σ2.
SA×B=nr∑i,j((ab)ij+ηij)2 である。交差項は、E[ηij]=0 により期待値が0になる。よって
E(SA×B)=nri,j∑(ab)ij2+(l−1)(m−1)σ2,E(VA×B)=σ2+nrσA×B2.
A×B×C では、uijkABC=(abc)ijk+ζijk と書く。誤差部分 ζ は、独立な表 εˉijk⋅ を3方向に中心化したものになる。表の各値の分散は σ2/r である。同じ数え方で次を得る。
E[∑ζijk2]=r(l−1)(m−1)(n−1)σ2
係数 r が掛かって、E(SA×B×C)=r∑(abc)2+ϕA×B×Cσ2 となる。E(Ve)=σ2 は、各組合せの内側の偏差平方和の期待値が (r−1)σ2 であることから従う。
誤差が正規分布に従うとき、次が成り立つ。
- 8つの平方和は互いに独立である。
- Se/σ2∼χϕe2 である。
- 各要因の効果が0という帰無仮説のもとで、その要因の S/σ2 は χϕ2 に従う。
理由は第5章の定理(2元配置の F 検定)と同じである。8つの部分が、RN の互いに直交する部分空間への射影だからである。したがって各要因の F0=V/Ve は、帰無仮説のもとで Fϕ,ϕe に従う。分散分析表は次の形になる。
| 要因 | S | ϕ | V | F0 | E(V) |
| A | SA | l−1 | VA | VA/Ve | σ2+mnrσA2 |
| B | SB | m−1 | VB | VB/Ve | σ2+lnrσB2 |
| C | SC | n−1 | VC | VC/Ve | σ2+lmrσC2 |
| A×B | SA×B | (l−1)(m−1) | VA×B | VA×B/Ve | σ2+nrσA×B2 |
| A×C | SA×C | (l−1)(n−1) | VA×C | VA×C/Ve | σ2+mrσA×C2 |
| B×C | SB×C | (m−1)(n−1) | VB×C | VB×C/Ve | σ2+lrσB×C2 |
| A×B×C | SA×B×C | (l−1)(m−1)(n−1) | VA×B×C | VA×B×C/Ve | σ2+rσA×B×C2 |
| e | Se | lmn(r−1) | Ve | | σ2 |
| 計 | ST | N−1 | | | |
C が変量因子のとき
原料のロットや実験日のように、母集団から偶然選ばれた水準を持つ因子を変量因子という。C が変量因子なら、主効果 ck と、この因子を含む交互作用は確率変数になる。
- xˉi⋅⋅⋅ には、次の平均が残る。これは0に固定されない。
n1k∑(ac)ik
よって E(VA) に mrσA×C2 の項が加わる。2. A×C 自身の期待平均平方 E(VA×C) にも、同じ項が入る。3. よって A の検定の分母には、誤差の平均平方でなく VA×C を使う。
交互作用の制約を、変量の添字についても課す模型(制約つき)と課さない模型(制約なし)がある。どちらをとるかで、σA×B×C2 の項の出方は変わる。しかしどちらの模型でも、E(VA) と E(VA×C) は主効果の項を除いて一致する。分母が VA×C になる結論は変わらない。
第5章の注意と同じく、期待平均平方を書いてから分母を選ぶ。
例題 7.2 期待平均平方とプールした誤差の期待値 ★★
オリジナル水準数を (l,m,n)=(3,2,2) とし、各組合せで r=2 回実験する(母数模型)。
- 各要因の自由度と E(V) を書け。
- 次の3つを誤差にプールする。
A×C,B×C,A×B×C
プールした誤差の平均平方 Ve′ の期待値を求めよ。また、プールした3つの交互作用が実際には0でないとする。このとき A の F0=VA/Ve′ がどちらへずれるかを述べよ。
解答
- N=3⋅2⋅2⋅2=24 である。自由度は次のとおりで、和は 23=N−1 である。
ϕA=2,ϕB=ϕC=1,ϕA×B=ϕA×C=2,ϕB×C=1,ϕA×B×C=2,ϕe=12⋅(2−1)=12
定理 7.2 の係数は次のとおりである。
mnr=8,lnr=12,lmr=12,nr=4,mr=4,lr=6,r=2
よって
E(VA)=σ2+8σA2,E(VB)=σ2+12σB2,E(VC)=σ2+12σC2,E(VA×B)=σ2+4σA×B2,E(VA×C)=σ2+4σA×C2,E(VB×C)=σ2+6σB×C2,E(VA×B×C)=σ2+2σA×B×C2,E(Ve)=σ2.
2. Se′=Se+SA×C+SB×C+SA×B×C、ϕe′=12+2+1+2=17 である。期待値は平方和ごとに足せるので
E(Se′)=12σ2+(2σ2+4∑(ac)ik2)+(σ2+6∑(bc)jk2)+(2σ2+2∑(abc)ijk2),
E(Ve′)=σ2+174∑(ac)ik2+6∑(bc)jk2+2∑(abc)ijk2.
ここで ϕσA×C2=∑(ac)ik2 などを使った。
プールした交互作用がすべて0なら、Ve′ は σ2 の不偏推定量である。0でないものがあると E(Ve′)>σ2 となり、誤差を過大に見積もる。F0 の分子 VA は影響を受けない。よって F0 は小さい方へずれ、A が有意になりにくくなる。
繰返しの無い3元配置と4元以上の多元配置
r=1 のときは ϕe=0 で、組合せの内側のばらつきが無い。このときは、技術的に無視できると考えられる A×B×C を誤差とみなす。その平均平方を Ve の代わりに使って、主効果と2因子交互作用を検定する。
E(VA×B×C)=σ2+σA×B×C2 なので、3因子交互作用が0でなければ誤差を過大に見積もる。第6章の繰返しのない2元配置で A×B を誤差とみなすのと同じ考え方である。
因子が4つ以上の多元配置も、構造式・平方和の分解・期待平均平方は同じ規則で書ける。4因子なら、要因は主効果4・2因子交互作用6・3因子交互作用4・4因子交互作用1の計15個である。p 因子なら 2p−1 個になる。
しかし全組合せの実験の数は急に増える。各因子3水準でも、4因子で81通り、5因子で243通りになる。一方で、高次の交互作用は技術的に無視できる場合が多い。必要な主効果と一部の交互作用だけを少ない実験で推定する方法が、第8章以降の直交配列表である。
また、N 回の実験を完全にランダムな順序で行うのが難しいときもある(たとえば炉の温度を頻繁に変えられない)。そのときは第12章の分割法を使う。
確認テスト
オリジナル
- 7.1-1 水準数を (l,m,n)=(4,3,2) とし、各組合せで r=2 回実験する。N と8つの平方和の自由度を求めよ。また、その和が ϕT に等しいことを確かめよ。
- 7.1-2 繰返しのある3元配置で、次の場合を考える。
l=3,m=2,n=4,r=2
7つの要因の E(V) に現れる係数(σA2 の係数など)をすべて求めよ。3. 7.1-3 3つの因子はいずれも2水準で、組合せの母平均は次のとおりである。
C1C2μ(A1B1)1011μ(A1B2)1413μ(A2B1)1215μ(A2B2)1215
D1,D2 を求めよ。また (ab)11 と (abc)111 を求めよ。4. 7.1-4 制約 (7.2) のもとで、(abc)ijk のうち自由に値を決められるものの個数が (l−1)(m−1)(n−1) であることを示せ。5. 7.1-5 繰返しのない3元配置(r=1)で A×B×C を誤差とみなして分散分析を行った。A×B×C が実際には0でないとする。このとき主効果 A の検定にどのような影響が出るかを、期待平均平方を使って説明せよ。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com