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3水準系直交配列表実験とは

2026年10月15日52分で読めますAI生成教科書『資格試験』第9章 3水準系直交配列表実験
目次
  1. と の形
  2. 成分記号と列の作り方
  3. 「直交」と列の効果空間
  4. 列平方和と総平方和の分解
  5. 交互作用が現れる列
  6. 線点図と割り付け
  7. 解析方法
  8. 構造式と列平方和の分布
  9. プーリング
  10. 母平均の点推定と有効反復数
  11. 確認テスト
  12. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

実験計画法 第9章 §9.1 ★★ 各列の効果空間(2次元)が互いに直交することから、平方和の分解・交互作用の2列・田口の式がすべて導かれる

第8章では、2水準の直交配列表 L8(27)L_8(2^7)・L16(215)L_{16}(2^{15}) を使い、因子の水準の組合せの一部だけを実験して主効果と必要な交互作用を取り出す方法を学んだ。2水準の因子では「水準を上げると特性値が上がるか下がるか」しか分からない。温度や濃度のような量的な因子では、特性値が中間の水準で最大になる(曲がる)ことがよくあり、これを見るには因子を3水準に取る必要がある。

3水準の因子が4つあれば組合せは 34=813^4=81 通り、5つなら243通りになるので、ここでも組合せの一部を選んで実験したい。その選び方を表にしたものが3水準系の直交配列表 L9(34)L_9(3^4)・L27(313)L_{27}(3^{13}) である。

この章では、2水準系で作った道具を3水準に拡張する。2水準系では列の符号ベクトル(±1\pm1 の列)が互いに直交することから平方和の分解を導いた。3水準の列は自由度が2なので、1本のベクトルで表すことはできない。そこで各列に「その列の水準だけで決まる2次元の部分空間」を対応させ、これらの部分空間が互いに直交することを示して平方和の分解を導く(§9.1 の前半)。

次に、2つの3水準因子の交互作用(自由度4)が、成分記号の積で決まる2本の列に分かれて現れることを証明し、割り付けの手順を述べる。そのうえで、列平方和の分布、期待平均平方、プーリング、最適条件での母平均の点推定と有効反復数を導く(§9.1 の後半)。最後に、L27L_{27} を使った自作の数値例で、分散分析表の作成から最適条件の信頼区間・予測区間までを一通り計算する(§9.2)。

1級の統計応用(理工学)で直交配列表が問われる場合、2水準系と同じく「割り付け → 列平方和 → 分散分析表とプーリング → 推定式と有効反復数 → 区間推定」という小問の連鎖になると考えられる。3水準系に固有の注意点は、交互作用の平方和を2本の列平方和の和として求めること、自由度の数え方(主効果2・交互作用4)、田口の式 ne=N/(1+推定に用いた要因の自由度の和)n_e=N/(1+\text{推定に用いた要因の自由度の和}) に入れる自由度が2水準系と違うことの3つである。

L9(34)L_9(3^4) と L27(313)L_{27}(3^{13}) の形

表 9.1 が3水準系で最も小さい直交配列表 L9(34)L_9(3^4) である。記号 L9(34)L_9(3^4) は「9行(9回の実験)で、3水準の列が4本ある」ことを表す。各行が1回の実験、各列が1つの因子(または交互作用の一部、または誤差)に対応し、表の中の1, 2, 3はその実験で使う水準の番号である。最下段の a,b,ab,ab2a,b,ab,ab^2 は成分記号で、意味は後で説明する。

表 9.1 直交配列表 L9(34)L_9(3^4)。最下段は成分記号
実験 No.[1][2][3][4]
11111
21222
31333
42123
52231
62312
73132
83213
93321
成分aabbababab2ab^2

この表には2つの性質がある。第一に、どの列も水準1, 2, 3をちょうど3回ずつ含む。第二に、どの2列を取り出しても、水準の組 (1,1),(1,2),…,(3,3)(1,1),(1,2),\dots,(3,3) の9種類がちょうど1回ずつ現れる。たとえば列[3]と列[4]の組は、実験 No. 1〜9 の順に (1,1),(2,2),(3,3),(2,3),(3,1),(1,2),(3,2),(1,3),(2,1)(1,1),(2,2),(3,3),(2,3),(3,1),(1,2),(3,2),(1,3),(2,1) で、9種類が1回ずつである。

定義 9.1(3水準の直交配列表)

NN 行 mm 列の表を考え、各成分は1, 2, 3のいずれかとする。この表が次の2条件を満たすとき、3水準の直交配列表と呼び LN(3m)L_N(3^m) と書く。

  1. どの列でも、水準1, 2, 3がそれぞれ N/3N/3 回現れる。
  2. どの2列をとっても、水準の組 (p,q)(p,q) として可能な9種類が、それぞれ N/9N/9 回現れる。

3水準系で標準的に使うのは、N=3sN=3^s、m=(N−1)/2m=(N-1)/2 の表である。具体的には次の3つがある。

L9(34),L27(313),L81(340).L_9(3^4),\qquad L_{27}(3^{13}),\qquad L_{81}(3^{40}).

3水準の列が表す因子の自由度は2である。よって LN(3(N−1)/2)L_N(3^{(N-1)/2}) の列の自由度の合計は、次のように総平方和の自由度に等しい。

2⋅N−12=N−1.2\cdot\frac{N-1}{2}=N-1 .

この一致は2水準系と同じく、平方和が列ごとに分解されることの背景になっている。

表 9.2 が L27(313)L_{27}(3^{13}) である。基本列は列[1]・[2]・[5]の3本で、成分記号は順に a,b,ca,b,c である。この3列では、水準の組 33=273^3=27 通りがちょうど1回ずつ現れる。ほかの10本の列は、基本列から次の規則で作られている。

表 9.2 直交配列表 L27(313)L_{27}(3^{13})。最下段は成分記号
No.[1][2][3][4][5][6][7][8][9][10][11][12][13]
11111111111111
21111222222222
31111333333333
41222111222333
51222222333111
61222333111222
71333111333222
81333222111333
91333333222111
102123123123123
112123231231231
122123312312312
132231123231312
142231231312123
152231312123231
162312123312231
172312231123312
182312312231123
193132132132132
203132213213213
213132321321321
223213132213321
233213213321132
243213321132213
253321132321213
263321213132321
273321321213132
成分aabbababab2ab^2ccacacac2ac^2bcbcabcabcab2c2ab^2c^2bc2bc^2ab2cab^2cabc2abc^2

成分記号と列の作り方

基本列の水準を、値0, 1, 2をとる変数 xa,xb,xcx_a,x_b,x_c で表す(水準1↔0、水準2↔1、水準3↔2)。成分記号 apbqcra^{p}b^{q}c^{r}(指数は0, 1, 2)の列は、1次式

f(x)=p xa+q xb+r xc(mod3)f(x)=p\,x_a+q\,x_b+r\,x_c \pmod 3

の値0, 1, 2で実験を3群に分けた列である。たとえば L9L_9 の列[3](成分記号 abab)を見る。その水準は、xa+xb(mod3)x_a+x_b\pmod 3 に1を足したものになっている。No. 4 では xa=1,xb=0x_a=1,x_b=0 なので和は1、水準は2である。

ここで注意が1つある。1次式 ff と 2f2f は、値の付け方が1と2で入れ替わるだけで、実験を同じ3群に分ける。

f=0  ⟺  2f=0,f=1  ⟺  2f=2,f=2  ⟺  2f=1.f=0\iff2f=0,\qquad f=1\iff2f=2,\qquad f=2\iff2f=1 .

列として意味があるのは「どの実験を同じ群にまとめるか」だけなので、ff と 2f2f は同じ列を表す。成分記号では、f↔2ff\leftrightarrow2f が「記号を2乗して指数を3で割った余りを取る」操作に当たる。たとえば次のとおりである。

(ab)2=a2b2,(a2b)2=a4b2=ab2.(ab)^2=a^2b^2,\qquad (a^2b)^2=a^4b^2=ab^2 .

そこで成分記号は、最初の文字の指数が1になる方で書く約束にする。L9L_9 の列[4]は、標準の表では水準が 2xa+xb(mod3)2x_a+x_b\pmod3 で付けられている。これを2倍した xa+2xbx_a+2x_b が成分記号 ab2ab^2 に当たる。L27L_{27} の列[4]・[7]・[10]・[11]・[13]も同様で、表の水準番号は成分記号の1次式を2倍したもので付いている。

本によって水準番号の付け方が違うことがあるが、群の分け方は同じなので、平方和や推定の結果は変わらない。

「直交」と列の効果空間

2水準系では、列を ±1\pm1 の符号ベクトルに置き換え、ベクトルの直交として「直交」を表した。3水準の列は3つの値をとるので、1本のベクトルでは表しきれない。そこで、列の水準だけで決まるベクトル全体を考える。

定義 9.2(列の効果空間)

列[kk]を1つ固定する。第 rr 実験でのその列の水準を trk∈{1,2,3}t_{rk}\in\{1,2,3\} とする。関数 g:{1,2,3}→Rg:\{1,2,3\}\to\mathbb{R} に対して、ベクトル g(tk)∈RNg(\bm t_k)\in\mathbb{R}^N を次で定める。

g(tk) の第 r 成分=g(trk)(r=1,…,N).g(\bm t_k)\text{ の第 }r\text{ 成分}=g(t_{rk})\qquad(r=1,\dots,N).

∑l=13g(l)=0\sum_{l=1}^3 g(l)=0 を満たす gg をすべて考える。そのときの g(tk)g(\bm t_k) 全体のなす部分空間を、列[kk]の効果空間と呼ぶ。記号では Wk\mathcal W_k と書く。

gg は、g(1)+g(2)+g(3)=0g(1)+g(2)+g(3)=0 の制約のもとで2つの値を自由に選べる。よって dim⁡Wk=2\dim\mathcal W_k=2 である。

因子 AA を列[kk]に置く。主効果を a1,a2,a3a_1,a_2,a_3 とする(∑ai=0\sum a_i=0)。各実験の主効果を並べると、次のように Wk\mathcal W_k の元になる。

(at1k,…,atNk)⊤∈Wk.(a_{t_{1k}},\dots,a_{t_{Nk}})^\top\in\mathcal W_k .

Wk\mathcal W_k は「列[kk]に置いた因子の主効果がとりうるベクトル全体」と言い換えることができる。

命題 9.3(釣り合いと効果空間の直交 ★★)

3水準の直交配列表について、次が成り立つ。

  1. 各 Wk\mathcal W_k は 1=(1,…,1)⊤\bm 1=(1,\dots,1)^\top と直交する。
  2. 異なる2列[jj]・[kk]をとる。このとき Wj\mathcal W_j と Wk\mathcal W_k は直交する。
証明

(1) 列[kk]は各水準を N/3N/3 回含む。よって

1⊤g(tk)=∑rg(trk)=N3∑l=13g(l)=0.\bm 1^\top g(\bm t_k)=\sum_r g(t_{rk})=\frac N3\sum_{l=1}^3 g(l)=0 .

(2) g(tj)∈Wjg(\bm t_j)\in\mathcal W_j、h(tk)∈Wkh(\bm t_k)\in\mathcal W_k をとる。2列の水準の組が (p,q)(p,q) になる実験は、ちょうど N/9N/9 回ある。そこで内積を水準の組ごとにまとめると

g(tj)⊤h(tk)=∑r=1Ng(trj)h(trk)=∑p=13∑q=13N9 g(p)h(q)=N9(∑pg(p))(∑qh(q))=0.g(\bm t_j)^\top h(\bm t_k)=\sum_{r=1}^N g(t_{rj})h(t_{rk})=\sum_{p=1}^3\sum_{q=1}^3\frac N9\,g(p)h(q)=\frac N9\Bigl(\sum_{p}g(p)\Bigr)\Bigl(\sum_{q}h(q)\Bigr)=0 .

この命題の (2) は、2水準系の命題「釣り合いと直交の同値」の3水準版である。2水準系では各列の効果空間が1次元(符号ベクトルの定数倍)だったので、空間の直交とベクトルの直交が同じことになった。

列平方和と総平方和の分解

記号を次のように定める。

  • データを x=(x1,…,xN)⊤\bm x=(x_1,\dots,x_N)^\top とし、総和を TT とする。
  • 修正項は CT=T2/NCT=T^2/N、総平方和は ST=∑rxr2−CTS_T=\sum_r x_r^2-CT とする。
  • 全平均は xˉ=T/N\bar x=T/N とする。
  • 列[kk]で水準 ll に当たるデータについて、和と平均を次のようにおく。

Tkl=(その和),xˉkl=TklN/3.T_{kl}=(\text{その和}),\qquad \bar x_{kl}=\frac{T_{kl}}{N/3}.

定義 9.4(列平方和)

列[kk]の列平方和を

S[k]=Tk12+Tk22+Tk32N/3−CT(9.1)S_{[k]}=\frac{T_{k1}^2+T_{k2}^2+T_{k3}^2}{N/3}-CT\tag{9.1}

で定める。自由度は2である。

この式は、列[kk]を3水準の1因子とみなしたときの1元配置の要因平方和(各水準の繰返し数 N/3N/3)そのものである。ベクトル dk\bm d_k を、成分ごとに次で定める。

(dk)r=xˉk,trk−xˉ(r=1,…,N).(\bm d_k)_r=\bar x_{k,t_{rk}}-\bar x\qquad(r=1,\dots,N).

これを列[kk]の偏差ベクトルと呼ぶ。各水準の偏差 xˉkl−xˉ\bar x_{kl}-\bar x が N/3N/3 回ずつ並ぶので

∥dk∥2=N3∑l=13(xˉkl−xˉ)2=N3∑lxˉkl2−2⋅N3 xˉ∑lxˉkl+Nxˉ2=∑lTkl2N/3−T2N=S[k](9.2)\lVert \bm d_k\rVert ^2=\frac N3\sum_{l=1}^3(\bar x_{kl}-\bar x)^2 =\frac N3\sum_{l}\bar x_{kl}^2-2\cdot\frac N3\,\bar x\sum_l\bar x_{kl}+N\bar x^2 =\sum_l\frac{T_{kl}^2}{N/3}-\frac{T^2}{N}=S_{[k]}\tag{9.2}

となる(∑lxˉkl=3xˉ\sum_l\bar x_{kl}=3\bar x を使った)。

補題 9.5(偏差ベクトルは射影)

dk\bm d_k は、データを Wk\mathcal W_k へ直交射影したベクトルである。

証明

∑l(xˉkl−xˉ)=3xˉ−3xˉ=0\sum_l(\bar x_{kl}-\bar x)=3\bar x-3\bar x=0 なので dk∈Wk\bm d_k\in\mathcal W_k である。あとは x−dk\bm x-\bm d_k が Wk\mathcal W_k と直交することを示せばよい。x−dk\bm x-\bm d_k の第 rr 成分は次のとおりである。

(xr−xˉk,trk)+xˉ.(x_r-\bar x_{k,t_{rk}})+\bar x .

任意の g(tk)∈Wkg(\bm t_k)\in\mathcal W_k との内積は、定数の部分 xˉ1\bar x\bm 1 が命題 9.3 (1) で消えるので

∑r(xr−xˉk,trk) g(trk)=∑l=13g(l)∑r: trk=l(xr−xˉkl)=∑lg(l)⋅0=0\sum_{r}(x_r-\bar x_{k,t_{rk}})\,g(t_{rk})=\sum_{l=1}^3 g(l)\sum_{r:\,t_{rk}=l}(x_r-\bar x_{kl})=\sum_l g(l)\cdot 0=0

となる(水準 ll の群の中で、平均からの偏差の和は0)。

定理 9.6(総平方和の列分解 ★★★)

LN(3m)L_N(3^m)(m=(N−1)/2m=(N-1)/2)で得たデータについて

ST=∑k=1mS[k],ϕT=N−1=∑k=1m2.(9.3)S_T=\sum_{k=1}^{m}S_{[k]} ,\qquad \phi_T=N-1=\sum_{k=1}^m 2 .\tag{9.3}

証明

命題 9.3 より、span(1),W1,…,Wm\mathrm{span}(\bm 1),\mathcal W_1,\dots,\mathcal W_m は互いに直交する部分空間で、次元の和は 1+2m=N1+2m=N である。互いに直交する部分空間の和は直和なので、その次元は NN、すなわち RN\mathbb{R}^N 全体に等しい:

RN=span(1)⊕W1⊕⋯⊕Wm.\mathbb{R}^N=\mathrm{span}(\bm 1)\oplus\mathcal W_1\oplus\cdots\oplus\mathcal W_m .

したがって x\bm x は各部分空間への射影の和に一意に分解され、各射影は互いに直交する。span(1)\mathrm{span}(\bm 1) への射影は xˉ1\bar x\bm 1 である。Wk\mathcal W_k への射影は、補題 9.5 より dk\bm d_k である。よって

x=xˉ1+∑k=1mdk,∥x∥2=Nxˉ2+∑k=1m∥dk∥2.\bm x=\bar x\bm 1+\sum_{k=1}^m\bm d_k,\qquad \lVert \bm x\rVert ^2=N\bar x^2+\sum_{k=1}^m\lVert \bm d_k\rVert ^2 .

ここに Nxˉ2=CTN\bar x^2=CT と ∥dk∥2=S[k]\lVert \bm d_k\rVert ^2=S_{[k]}(式 (9.2))を代入する。すると ∑rxr2=CT+∑kS[k]\sum_r x_r^2=CT+\sum_k S_{[k]} となり、主張を得る。

因子 AA を列[kk]に置くとする。このとき SA=S[k]S_A=S_{[k]} である。何も置かなかった列の平方和の合計は、誤差平方和 SeS_e になる。次の項で見るように、3水準の2因子交互作用は2本の列に現れ、その平方和は2本の列平方和の和になる。

例題 9.1 L9L_9 での列平方和の計算と分解の確認 ★★

オリジナル3水準の因子4つを、L9(34)L_9(3^4) の列[1]・[2]・[3]・[4]に割り付けた。因子の名前は順に A,B,C,DA,B,C,D とする。実験 No. 1〜9 の順に

10, 13, 16, 13, 17, 14, 15, 14, 2310,\ 13,\ 16,\ 13,\ 17,\ 14,\ 15,\ 14,\ 23

を得た。

  1. CTCT と STS_T を求めよ。
  2. 4本の列平方和を求め、その和が STS_T に一致することを確かめよ。
  3. この割り付けでは誤差の自由度がいくつ残るか。この実験から FF 検定をするにはどうすればよいか。
解答

(1) T=10+13+16+13+17+14+15+14+23=135T=10+13+16+13+17+14+15+14+23=135、CT=1352/9=2025CT=135^2/9=2025。∑xr2=100+169+256+169+289+196+225+196+529=2129\sum x_r^2=100+169+256+169+289+196+225+196+529=2129 なので ST=2129−2025=104S_T=2129-2025=104。

(2) 表 9.1 の水準を読んで、列ごとに水準別の和を取る。列[1]は No. 1〜3 が水準1なので、次のようになる。

T11=10+13+16=39,T12=13+17+14=44,T13=15+14+23=52.\begin{aligned}T_{11}&=10+13+16=39, & T_{12}&=13+17+14=44, & T_{13}&=15+14+23=52.\end{aligned}

列[3]の水準1は No. 1,6,8、水準2は No. 2,4,9、水準3は No. 3,5,7 である。よって

T31=10+14+14=38,T32=13+13+23=49,T33=16+17+15=48.\begin{aligned}T_{31}&=10+14+14=38, & T_{32}&=13+13+23=49, & T_{33}&=16+17+15=48.\end{aligned}

同様にして次の表を得る。各水準のデータ数は3なので S[k]=∑lTkl2/3−CTS_{[k]}=\sum_lT_{kl}^2/3-CT である。

列[1][2][3][4]
Tk1T_{k1}39383850
Tk2T_{k2}44444942
Tk3T_{k3}52534843
S[k]S_{[k]}86/386/3383874/374/338/338/3

たとえば S[1]=(392+442+522)/3−2025=6161/3−2025=86/3≈28.67S_{[1]}=(39^2+44^2+52^2)/3-2025=6161/3-2025=86/3\approx28.67。合計は (86+114+74+38)/3=312/3=104=ST(86+114+74+38)/3=312/3=104=S_T で、定理 9.6 のとおりに一致する。

(3) 4本の列すべてに因子を置いたので、誤差の列は残らず ϕe=0\phi_e=0 である。FF 検定をするには、平方和の小さい要因を「効果が無い」とみなして誤差にプールし、ϕe=2\phi_e=2 を作る必要がある。ここでは列[4]の DD(SD=38/3S_D=38/3)がそれに当たる。ただしこの判断は検定によらない仮定なので、技術的な根拠があるときに限る。

最初から誤差を見積もりたいなら、因子を3つに減らして1列を空けておくか、L27L_{27} を使う。

3水準の量的因子の1次と2次の成分

因子が温度のように等間隔の量的因子なら、列平方和 S[k]S_{[k]}(自由度2)をさらに分けられる。直交多項式の係数 (−1,0,1)(-1,0,1) と (1,−2,1)(1,-2,1) を使うと

S[k]=(Tk3−Tk1)22⋅(N/3)+(Tk1−2Tk2+Tk3)26⋅(N/3)S_{[k]}=\frac{(T_{k3}-T_{k1})^2}{2\cdot(N/3)}+\frac{(T_{k1}-2T_{k2}+T_{k3})^2}{6\cdot(N/3)}

と1次の成分と2次の成分(各自由度1)に分けることができる。2つの係数ベクトルは直交し、どちらも (1,1,1)(1,1,1) と直交するので、これは Wk\mathcal W_k をさらに直交する2本の直線に分けたことに当たる。2次の成分が大きければ、特性値が中間の水準で山または谷になっている。3水準を選ぶ動機はこの曲がりを見ることにある。

交互作用が現れる列

2つの3水準因子 AA、BB の交互作用を考える。AA は列[jj]に置く。BB は列[kk]に置く。交互作用を (ab)pq(ab)_{pq}(p,q=1,2,3p,q=1,2,3)と書くと、これは次の制約を満たす。

∑p(ab)pq=∑q(ab)pq=0.\sum_p(ab)_{pq}=\sum_q(ab)_{pq}=0 .

よって自由に選べる値は (3−1)(3−1)=4(3-1)(3-1)=4 個であり、交互作用の自由度は4である。1本の列の自由度は2なので、交互作用は2本の列を必要とする。どの2本かを決めるのが次の定理である。

定理 9.7(交互作用の列 ★★★)

L9L_9 または L27L_{27} を考える。列[jj]の成分記号を PP とする。もう1つの列[kk]の成分記号を QQ とする。次の2条件を満たすベクトル全体(交互作用のとりうるベクトル全体)を考える。

  • 2列の水準の組だけで決まる。
  • Wj\mathcal W_j とも Wk\mathcal W_k とも直交する。

この全体は、成分記号 PQPQ の列と PQ2PQ^2 の列の効果空間の直和に等しい。したがって列[jj]・[kk]に置いた2因子の交互作用はこの2本の列に現れ、その平方和は2本の列平方和の和、自由度は4である。

証明

2列の水準を決める1次式を、それぞれ f,gf,g とする。2列の水準の組 (f,g)(f,g) は9種類がそれぞれ N/9N/9 回ずつ現れる。

組 (f,g)(f,g) だけで決まるベクトル全体は9次元である。そのうち 1\bm 1 と直交するもの全体を U\mathcal U とおく。これは8次元である。

U\mathcal U の中身を次の3段で調べる。

  1. 1次式 f+gf+g、f+2gf+2g の値は、2列の水準の組から決まる。よってこれらが表す列の効果空間は U\mathcal U に含まれる。Wj,Wk\mathcal W_j,\mathcal W_k も U\mathcal U に含まれる。
  2. 4つの1次式は異なる列を表す。ff と gg は別の列なので、互いに定数倍でない。したがって f+gf+g と f+2gf+2g は0でない。 f, g, f+g, f+2gf,\ g,\ f+g,\ f+2g はどの2つも互いに定数倍の関係にない。たとえば f+g=c ff+g=c\,f なら g=(c−1)fg=(c-1)f となる。これは2つが別の列であることに反する。ほかの組も同様である。
  3. L9L_9・L27L_{27} は、0でない1次式を定数倍の違いを除いてすべて列として持つ。L9L_9 の列は (9−1)/2=4(9-1)/2=4 本である。L27L_{27} の列は (27−1)/2=13(27-1)/2=13 本である。よって f+gf+g と f+2gf+2g の列は表の中にある。

命題 9.3 より4つの効果空間は互いに直交し、それぞれ2次元なので、直和の次元は8で U\mathcal U に一致する:

U=Wj⊕Wk⊕Wf+g⊕Wf+2g.\mathcal U=\mathcal W_j\oplus\mathcal W_k\oplus\mathcal W_{f+g}\oplus\mathcal W_{f+2g} .

交互作用のベクトルを γ\bm\gamma とする。その第 rr 成分は (ab)trjtrk(ab)_{t_{rj}t_{rk}} である。γ\bm\gamma は U\mathcal U に属する。さらに Wj\mathcal W_j と直交する。実際、g0(tj)∈Wjg_0(\bm t_j)\in\mathcal W_j との内積は

∑r(ab)trjtrk g0(trj)=N9∑pg0(p)∑q(ab)pq=0\sum_r(ab)_{t_{rj}t_{rk}}\,g_0(t_{rj})=\frac N9\sum_{p}g_0(p)\sum_{q}(ab)_{pq}=0

である。同様に Wk\mathcal W_k とも直交するので、γ∈Wf+g⊕Wf+2g\bm\gamma\in\mathcal W_{f+g}\oplus\mathcal W_{f+2g}。逆にこの直和の元は U\mathcal U に属し、Wj,Wk\mathcal W_j,\mathcal W_k と直交する。よって交互作用のとりうるベクトル全体は、ちょうどこの直和である(次元も 4=(3−1)24=(3-1)^2 で一致する)。

最後に成分記号との対応を述べる。1次式 ff には成分記号 PP が対応する。同様に gg には QQ が対応する。

1次式の和は成分記号の積に、2倍は2乗に対応する。よって次の対応がある。

f+g↔PQ,f+2g↔PQ2.f+g\leftrightarrow PQ,\qquad f+2g\leftrightarrow PQ^2 .

ここで指数は3で割った余りを取り、最初の文字の指数が2になったら全体を2乗して1にそろえる。

交互作用の列の計算

  • L9L_9 の列[1]と列[2](成分記号 a,ba,b)。

a⋅b=ab → 列[3],a⋅b2=ab2 → 列[4].a\cdot b=ab\ \to\ \text{列[3]},\qquad a\cdot b^2=ab^2\ \to\ \text{列[4]}.

L9L_9 で2つの主効果と交互作用を求めると、4列すべてが埋まる。3元以上の効果を入れる余地は無い。

  • L27L_{27} の列[1]と列[5](成分記号 a,ca,c)。

ac → 列[6],ac2 → 列[7].ac\ \to\ \text{列[6]},\qquad ac^2\ \to\ \text{列[7]}.

  • L27L_{27} の列[2]と列[5](成分記号 b,cb,c)。

bc → 列[8],bc2 → 列[11].bc\ \to\ \text{列[8]},\qquad bc^2\ \to\ \text{列[11]}.

  • L27L_{27} の列[3]と列[5](成分記号 ab,cab,c)。

ab⋅c=abc → 列[9],ab⋅c2=abc2 → 列[13].ab\cdot c=abc\ \to\ \text{列[9]},\qquad ab\cdot c^2=abc^2\ \to\ \text{列[13]}.

  • L27L_{27} の列[4]と列[6](成分記号 ab2,acab^2,ac)。どちらの積も最初の文字の指数が2になるので、全体を2乗する。

ab2⋅ac=a2b2c → a4b4c2=abc2 → 列[13],ab2⋅(ac)2=a3b2c2=b2c2 → b4c4=bc → 列[8].\begin{aligned}ab^2\cdot ac&=a^2b^2c\ \to\ a^4b^4c^2=abc^2\ \to\ \text{列[13]},\\ ab^2\cdot(ac)^2&=a^3b^2c^2=b^2c^2\ \to\ b^4c^4=bc\ \to\ \text{列[8]}.\end{aligned}

線点図と割り付け

2水準系と同じく、因子を点、2因子交互作用を線で表した線点図を使う。3水準系では1本の線に2本の列が対応する。

L9L_9 の線点図は、2点[1]・[2]を「3, 4」の線で結んだものである。L27L_{27} の標準的な線点図を図 9.1 に示す。3点[1]・[2]・[5]を結ぶ3本の線がそれぞれ交互作用の2列([3]・[4]、[6]・[7]、[8]・[11])を表し、離れた4点[9]・[10]・[12]・[13]が残りの列である。

図

図 9.1 3水準系の線点図。点は因子を置く列、線は両端の列の交互作用が現れる2本の列を表す

割り付けの手順は2水準系と同じである。最初に、取り上げる因子と、技術的に存在しそうな2因子交互作用を決める。自由度の合計(3水準の主効果1つにつき2、交互作用1つにつき4)に誤差の自由度を足し、表の大きさを選ぶ(L9L_9 なら合計8まで、L27L_{27} なら26まで)。

次に、交互作用を求める因子どうしを線で結んだ要求の図を線点図に重ねるか、定理 9.7 の規則で直接計算して、主効果と求める交互作用の2列がすべて異なる列に来るように決める。何も置かない列の平方和の合計が誤差平方和である。

同じ列に2つ以上の効果が入ることを交絡と呼ぶ。3水準系では、交互作用の2列のうち1列だけがほかの因子と重なることも起こる。

たとえば L9L_9 の列[1]・[2]・[3]に A,B,CA,B,C を置く。列[3]は A×BA\times B の2列のうちの1本である。そのため CC の主効果と A×BA\times B の一部が交絡する。A×BA\times B が存在しないと仮定できるときに限って、この割り付けが許される。

例題 9.2 L27L_{27} への割り付けと有効反復数 ★★★

オリジナル3水準の因子 A,B,C,DA,B,C,D を考える。調べたいのは主効果と、3つの交互作用 A×B, A×C, B×CA\times B,\ A\times C,\ B\times C である。ほかの交互作用は無視できるとする。

  1. 必要な自由度を数え、L9L_9 では足りず L27L_{27} が必要なことを示せ。
  2. L27L_{27} への割り付けを1つ与え、誤差の列と誤差の自由度を答えよ。
  3. 分散分析の結果、すべての要因が残ったとする。水準の組合せ A1B2C3D1A_1B_2C_3D_1 における母平均の点推定量を平均の組合せで書け。
  4. その有効反復数 nen_e を田口の式と伊奈の式の両方で求めよ。
解答

(1) 主効果4つで 4×2=84\times2=8、交互作用3つで 3×4=123\times4=12、合計20である。L9L_9 の列の自由度の合計は8なので足りない。L27L_{27} の合計は26で、誤差に6が残る。

(2) 線点図の三角形に、次のように置く。

A=[1],B=[2],C=[5].A=[1],\qquad B=[2],\qquad C=[5].

すると交互作用は次の列に現れる。

A×B=[3],[4],A×C=[6],[7],B×C=[8],[11].A\times B=[3],[4],\qquad A\times C=[6],[7],\qquad B\times C=[8],[11].

DD は離れた点のどれか、たとえば列[9]に置く。残る列[10]・[12]・[13]が誤差の列で、誤差の自由度は 3×2=63\times2=6 である。

列[9]の成分記号は abc=ab⋅cabc=ab\cdot c である。これは交互作用 A×BA\times B と因子 CC の、さらに交互作用の列でもある。そのため DD は3因子交互作用 A×B×CA\times B\times C の一部と交絡するが、それは無視できると仮定している。

(3) 構造式の母平均は μ+a1+b2+c3+d1+(ab)12+(ac)13+(bc)23\mu+a_1+b_2+c_3+d_1+(ab)_{12}+(ac)_{13}+(bc)_{23} である。2元表の平均の期待値は、たとえば次のようになる。

E(xˉA1B2)=μ+a1+b2+(ab)12.E(\bar x_{A_1B_2})=\mu+a_1+b_2+(ab)_{12}.

A1B2A_1B_2 の3個の実験では、残り2因子の水準が1回ずつ現れる。そのため C,DC,D の主効果と、A×C, B×CA\times C,\ B\times C は和が0で消える。同様に次が成り立つ。

E(xˉA1C3)=μ+a1+c3+(ac)13,E(xˉB2C3)=μ+b2+c3+(bc)23.E(\bar x_{A_1C_3})=\mu+a_1+c_3+(ac)_{13},\qquad E(\bar x_{B_2C_3})=\mu+b_2+c_3+(bc)_{23}.

3つを足すと、a1,b2,c3a_1,b_2,c_3 が2回ずつ、μ\mu が3回入る。そこで1元の平均 E(xˉA1)=μ+a1E(\bar x_{A_1})=\mu+a_1 などを引いて余分を除く。さらに DD の平均を足すと

μ^(A1B2C3D1)=xˉA1B2+xˉA1C3+xˉB2C3−xˉA1−xˉB2−xˉC3+xˉD1\hat\mu(A_1B_2C_3D_1)=\bar x_{A_1B_2}+\bar x_{A_1C_3}+\bar x_{B_2C_3}-\bar x_{A_1}-\bar x_{B_2}-\bar x_{C_3}+\bar x_{D_1}

となる(期待値は 3μ−3μ+μ=μ3\mu-3\mu+\mu=\mu の部分も含めて母平均に一致する)。

(4) 田口の式:推定に用いた要因の自由度の和は A,B,C,DA,B,C,D の8と A×B,A×C,B×CA\times B,A\times C,B\times C の12で20なので、

1ne=1+2027=79,ne=97≈1.29.\frac1{n_e}=\frac{1+20}{27}=\frac79,\qquad n_e=\frac97\approx1.29 .

伊奈の式:2元表の平均のデータ数は 27/9=327/9=3、1元の平均は9なので、係数を符号つきで数えて

1ne=13+13+13−19−19−19+19=1−39+19=79.\frac1{n_e}=\frac13+\frac13+\frac13-\frac19-\frac19-\frac19+\frac19=1-\frac39+\frac19=\frac79 .

両者は一致する。交互作用を3つとも残すと nen_e は1を少し上回る程度にしかならず、推定の精度は1回の実験とあまり変わらない。

解析方法

構造式と列平方和の分布

LN(3m)L_N(3^m) に因子と交互作用を割り付けたとき、データの構造式は

x=μ1+∑k=1mθk+ε,θk∈Wk,ε∼N(0,σ2IN)(9.4)\bm x=\mu\bm 1+\sum_{k=1}^m\bm\theta_k+\bm\varepsilon,\qquad \bm\theta_k\in\mathcal W_k,\qquad \bm\varepsilon\sim\mathrm N(\bm 0,\sigma^2I_N)\tag{9.4}

と書ける。θk\bm\theta_k は列[kk]に入った効果のベクトルで、列の使い方によって次のように決まる。

  • 主効果 AA を置いた列では、各実験の主効果を並べたベクトル (at1k,…,atNk)⊤(a_{t_{1k}},\dots,a_{t_{Nk}})^\top。
  • 交互作用の2列では、定理 9.7 の分解の各成分。
  • 何も置いていない列では θk=0\bm\theta_k=\bm 0 と仮定する。

Wk\mathcal W_k への直交射影行列を Πk\Pi_k と書く。補題 9.5 より次が成り立つ。

dk=Πkx=θk+Πkε.\bm d_k=\Pi_k\bm x=\bm\theta_k+\Pi_k\bm\varepsilon .

ここで命題 9.3 から得られる次の2つを使った。

Πk1=0,Πkθl=0(l≠k).\Pi_k\bm 1=\bm 0,\qquad \Pi_k\bm\theta_l=\bm 0\quad(l\neq k).

定理 9.8(列平方和の分布 ★★★)

構造式 (9.4) のもとで、次が成り立つ。

  1. xˉ,d1,…,dm\bar x,\bm d_1,\dots,\bm d_m は互いに独立である。
  2. E(S[k])=2σ2+∥θk∥2E(S_{[k]})=2\sigma^2+\lVert \bm\theta_k\rVert ^2。とくに因子 AA を列[kk]に置いたときは、次のようになる。

E(SA)=2σ2+N3∑i=13ai2.E(S_A)=2\sigma^2+\frac N3\sum_{i=1}^3a_i^2 .

何も置いていない列では S[k]/σ2∼χ22S_{[k]}/\sigma^2\sim\chi^2_2。3. 誤差の列の集合を E\mathcal E とし、次のようにおく。

Se=∑k∈ES[k],ϕe=2∣E∣,Ve=Se/ϕe.S_e=\sum_{k\in\mathcal E}S_{[k]},\qquad \phi_e=2\lvert \mathcal E\rvert ,\qquad V_e=S_e/\phi_e .

H0:a1=a2=a3=0H_0:a_1=a_2=a_3=0 のもとで F0=VA/Ve∼F2,ϕeF_0=V_A/V_e\sim F_{2,\phi_e}。交互作用 A×BA\times B については、その2列の平方和を足す。

SA×B=S[j′]+S[k′],ϕA×B=4.S_{A\times B}=S_{[j']}+S_{[k']},\qquad \phi_{A\times B}=4 .

ここで列[j′j']・[k′k']は交互作用が現れる2列である。交互作用が無いという帰無仮説のもとで VA×B/Ve∼F4,ϕeV_{A\times B}/V_e\sim F_{4,\phi_e}。

証明

(1) xˉ1\bar x\bm 1 と dk\bm d_k は、正規ベクトルであるデータを、互いに直交する部分空間へ射影したものである。射影行列どうしの積は0である(j≠kj\ne k で ΠjΠk=O\Pi_j\Pi_k=O)。よって

Cov(Πjx,Πkx)=σ2ΠjΠk⊤=σ2ΠjΠk=O.\mathrm{Cov}(\Pi_j\bm x,\Pi_k\bm x)=\sigma^2\Pi_j\Pi_k^\top=\sigma^2\Pi_j\Pi_k=O .

多変量正規では共分散0と独立は同値なので、互いに独立である。xˉ1\bar x\bm 1 についても同じである。

(2) Wk\mathcal W_k の正規直交基底 e1,e2\bm e_1,\bm e_2 をとる。すると次のように書ける。

Πkε=(e1⊤ε)e1+(e2⊤ε)e2.\Pi_k\bm\varepsilon=(\bm e_1^\top\bm\varepsilon)\bm e_1+(\bm e_2^\top\bm\varepsilon)\bm e_2 .

Zi=ei⊤εZ_i=\bm e_i^\top\bm\varepsilon は独立に N(0,σ2)\mathrm N(0,\sigma^2) に従う。したがって ∥Πkε∥2=Z12+Z22\lVert \Pi_k\bm\varepsilon\rVert ^2=Z_1^2+Z_2^2 である。よって ∥Πkε∥2/σ2∼χ22\lVert \Pi_k\bm\varepsilon\rVert ^2/\sigma^2\sim\chi^2_2 で、期待値は 2σ22\sigma^2。

S[k]=∥θk+Πkε∥2=∥θk∥2+2θk⊤Πkε+∥Πkε∥2S_{[k]}=\lVert \bm\theta_k+\Pi_k\bm\varepsilon\rVert ^2=\lVert \bm\theta_k\rVert ^2+2\bm\theta_k^\top\Pi_k\bm\varepsilon+\lVert \Pi_k\bm\varepsilon\rVert ^2 の期待値を取ると、中央の項は期待値0なのでE(S[k])=∥θk∥2+2σ2E(S_{[k]})=\lVert \bm\theta_k\rVert ^2+2\sigma^2。主効果のベクトルでは、各 aia_i が N/3N/3 回並ぶ。よって ∥θk∥2=N3∑iai2\lVert \bm\theta_k\rVert ^2=\frac N3\sum_ia_i^2。

(3) 誤差の列の S[k]/σ2S_{[k]}/\sigma^2 は、(1) より独立な χ22\chi^2_2 である。よって和は Se/σ2∼χϕe2S_e/\sigma^2\sim\chi^2_{\phi_e}。H0H_0 のもとで SA/σ2∼χ22S_A/\sigma^2\sim\chi^2_2 である。これは SeS_e と独立である。よって FF 分布の定義より

(SA/σ2)/2(Se/σ2)/ϕe=VAVe∼F2,ϕe.\frac{(S_A/\sigma^2)/2}{(S_e/\sigma^2)/\phi_e}=\frac{V_A}{V_e}\sim F_{2,\phi_e}.

交互作用についても同様である。帰無仮説のもとで、2列の和 S[j′]+S[k′]S_{[j']}+S_{[k']} を考える。これは独立なカイ二乗変数(自由度2)2つの和の σ2\sigma^2 倍になる。すなわち σ2χ42\sigma^2\chi^2_4 に従う。

E(VA)=σ2+N6∑iai2E(V_A)=\sigma^2+\frac N6\sum_ia_i^2 は、第4章の1元配置の結果と一致する。

E(VA)=σ2+n∑iai2a−1E(V_A)=\sigma^2+\frac{n\sum_ia_i^2}{a-1}

に、水準数 a=3a=3、繰返し n=N/3n=N/3 を代入したものである。分散分析表には、割り付けた主効果(自由度2)、交互作用(2列の和、自由度4)、誤差の行を並べる。主効果の F0F_0 は F2,ϕe(α)F_{2,\phi_e}(\alpha) と比べる。交互作用の F0F_0 は F4,ϕe(α)F_{4,\phi_e}(\alpha) と比べる。

プーリング

L27L_{27} で因子と交互作用を多く取り上げると、誤差の自由度は小さくなる。そこで2水準系と同じく、F0F_0 の小さい要因(目安として F0<2F_0<2)を誤差にプールして検定し直す。交互作用 A×BA\times B を残すときは、2つの主効果 A,BA,B は有意でなくても残す。交互作用の2列のうち1列だけをプールすることはしない(2列は「A×BA\times B という1つの要因の2つの成分」であり、2列への分け方は1次式の選び方による便宜上のものだからである)。

母平均の点推定と有効反復数

プーリング後に残った効果の列の集合を M\mathcal M とする。ある水準の組合せでの母平均 μ+∑k∈Mθk\mu+\sum_{k\in\mathcal M}\theta_k(その組合せでの成分)の推定量は

μ^=xˉ+∑k∈M(xˉklk−xˉ)(9.5)\hat\mu=\bar x+\sum_{k\in\mathcal M}(\bar x_{kl_k}-\bar x)\tag{9.5}

である。ここで lkl_k はその組合せでの列[kk]の水準である。実際の計算では平均の組合せで書き直す。

交互作用 A×BA\times B が残っているときを考える。因子の列を[jj]・[kk]とする。定理 9.7 の証明の分解

U=Wj⊕Wk⊕Wf+g⊕Wf+2g\mathcal U=\mathcal W_j\oplus\mathcal W_k\oplus\mathcal W_{f+g}\oplus\mathcal W_{f+2g}

から、2元表の平均 xˉAiBj\bar x_{A_iB_j} について

xˉAiBj−xˉ=(列[j],[k] と交互作用の2列の偏差の和)(9.6)\bar x_{A_iB_j}-\bar x=(\text{列}[j],[k]\text{ と交互作用の2列の偏差の和})\tag{9.6}

が成り立つ。xˉAiBj−xˉ\bar x_{A_iB_j}-\bar x を並べたベクトルは、データの U\mathcal U への射影である。それは4本の効果空間への射影の和だからである。したがって、たとえば A,B,A×B,CA,B,A\times B,C が残ったときは μ^(AiBjCl)=xˉAiBj+xˉCl−xˉ\hat\mu(A_iB_jC_l)=\bar x_{A_iB_j}+\bar x_{C_l}-\bar x と書くことができる。

定理 9.9(有効反復数 ★★★)

式 (9.5) の推定量の分散は

V[μ^]=σ2ne,1ne=1+(推定に用いた要因の自由度の和)N(9.7)V[\hat\mu]=\frac{\sigma^2}{n_e},\qquad \frac1{n_e}=\frac{1+(\text{推定に用いた要因の自由度の和})}{N}\tag{9.7}

である(田口の式)。μ^\hat\mu を平均の和と差で書いたとき、各平均の係数(符号つき)をその平均のデータ数で割ったものの和も 1/ne1/n_e に等しい(伊奈の式)。

証明

定理 9.8 (1) より、式 (9.5) の右辺の各項は互いに独立である。各項とは、全平均と xˉklk−xˉ\bar x_{kl_k}-\bar x(k∈Mk\in\mathcal M)である。V[xˉ]=σ2/NV[\bar x]=\sigma^2/N である。xˉkl\bar x_{kl} は N/3N/3 個のデータの平均である。そのデータは全平均にも含まれるので

V[xˉkl−xˉ]=3σ2N+σ2N−2 Cov(xˉkl,xˉ),Cov(xˉkl,xˉ)=N3⋅3N⋅1N σ2=σ2NV[\bar x_{kl}-\bar x]=\frac{3\sigma^2}{N}+\frac{\sigma^2}{N}-2\,\mathrm{Cov}(\bar x_{kl},\bar x),\qquad \mathrm{Cov}(\bar x_{kl},\bar x)=\frac{N}{3}\cdot\frac{3}{N}\cdot\frac{1}{N}\,\sigma^2=\frac{\sigma^2}{N}

より V[xˉkl−xˉ]=2σ2/NV[\bar x_{kl}-\bar x]=2\sigma^2/N。したがって

V[μ^]=σ2N(1+2∣M∣).V[\hat\mu]=\frac{\sigma^2}{N}\bigl(1+2\lvert \mathcal M\rvert \bigr).

3水準系では列1本の自由度が2なので 2∣M∣2\lvert \mathcal M\rvert は推定に用いた要因の自由度の和に等しく、田口の式を得る。

伊奈の式を示す。推定量を平均の和と差で μ^=∑sλsxˉ(s)\hat\mu=\sum_s\lambda_s\bar x_{(s)} と書く。ここで xˉ(s)\bar x_{(s)} は、残った因子(または交互作用の2因子の組)の水準が推定したい条件と同じデータ nsn_s 個の平均である。そのデータの位置が1のベクトルを 1(s)\bm 1_{(s)} とする。

すると μ^=c⊤x\hat\mu=\bm c^\top\bm x、c=∑sλs1(s)/ns\bm c=\sum_s\lambda_s\bm 1_{(s)}/n_s と書ける。よって V[μ^]=σ2∥c∥2V[\hat\mu]=\sigma^2\lVert \bm c\rVert ^2 である。

残った列の効果空間と 1\bm 1 を合わせた空間を M+\mathcal M^{+} とする。各 1(s)/ns\bm 1_{(s)}/n_s は残った列の水準だけで決まるので、M+\mathcal M^{+} に属する。交互作用の組の平均は、式 (9.6) の分解により U⊕span(1)\mathcal U\oplus\mathrm{span}(\bm 1) に属する。

一方、μ^\hat\mu は構造式のどの母数の値に対しても母平均の不偏推定量である。そのため M+\mathcal M^{+} の任意の元 v\bm v(残った列の水準の関数)について、次が成り立つ。

c⊤v=v(推定したい条件).\bm c^\top\bm v=v(\text{推定したい条件}).

これを v=1(s)/ns\bm v=\bm 1_{(s)}/n_s に使う。推定したい条件は群 ss に属するので、c⊤1(s)/ns=1/ns\bm c^\top\bm 1_{(s)}/n_s=1/n_s。したがって

∥c∥2=∑sλs c⊤1(s)ns=∑sλsns\lVert \bm c\rVert ^2=\sum_s\lambda_s\,\frac{\bm c^\top\bm 1_{(s)}}{n_s}=\sum_s\frac{\lambda_s}{n_s}

となり、伊奈の式を得る。たとえば μ^=xˉAiBj+xˉCl−xˉ\hat\mu=\bar x_{A_iB_j}+\bar x_{C_l}-\bar x では、次のように田口の式と一致する。

1N/9+1N/3−1N=11N=1+2+2+4+2N.\frac{1}{N/9}+\frac{1}{N/3}-\frac1N=\frac{11}{N}=\frac{1+2+2+4+2}{N}.

3水準系の解析の定石

  1. 列平方和は S[k]=∑lTkl2/(N/3)−CTS_{[k]}=\sum_lT_{kl}^2/(N/3)-CT(自由度2)。∑kS[k]=ST\sum_kS_{[k]}=S_T で検算する。
  2. 交互作用 A×BA\times B の平方和は、成分記号 PQ,PQ2PQ,PQ^2 の2列の和(自由度4)。2元表から SAB−SA−SBS_{AB}-S_A-S_B で求めても同じ値になる。
  3. 点推定は「残った交互作用を含む2元表の平均」と「交互作用に関係しない因子の平均」を足し、重複して数えた分を引く。
  4. ne=N/(1+推定に用いた要因の自由度の和)n_e=N/(1+\text{推定に用いた要因の自由度の和})(主効果2、交互作用4)。伊奈の式で検算する。
  5. 信頼区間 μ^±tϕe(α/2)Ve/ne\hat\mu\pm t_{\phi_e}(\alpha/2)\sqrt{V_e/n_e}、予測区間 μ^±tϕe(α/2)Ve(1+1/ne)\hat\mu\pm t_{\phi_e}(\alpha/2)\sqrt{V_e(1+1/n_e)}。

区間の根拠は2水準系と同じである。μ^\hat\mu は全平均と残った列の偏差だけで書け、VeV_e は誤差の列だけで書ける。よって定理 9.8 (1) から両者は独立である。μ^∼N(μ,σ2/ne)\hat\mu\sim\mathrm N(\mu,\sigma^2/n_e) と ϕeVe/σ2∼χϕe2\phi_eV_e/\sigma^2\sim\chi^2_{\phi_e} から、次が成り立つ。

μ^−μVe/ne∼tϕe.\frac{\hat\mu-\mu}{\sqrt{V_e/n_e}}\sim t_{\phi_e}.

落とし穴

2水準系の田口の式に慣れていると、3水準系で「要因の数」を数えて ne=N/(1+要因の数)n_e=N/(1+\text{要因の数}) としてしまう誤りが起こりやすい。数えるのは要因の数でなく自由度の和で、3水準の主効果は1つで2、交互作用は1つで4である。L27L_{27} で A,B,CA,B,C の主効果だけを使うとする。このとき ne=27/(1+6)=27/7n_e=27/(1+6)=27/7 であり、27/4 ではない。

確認テスト

オリジナル

  1. 9.1-1 L27(313)L_{27}(3^{13}) の行数と列数を答えよ。各列の各水準は何回現れるか。任意の2列で各水準の組は何回現れるか。列平方和の自由度の合計はいくつか。
  2. 9.1-2 3水準の列[kk]について、n=N/3n=N/3 とおく。(a) S[k]=∑lTkl2/n−CTS_{[k]}=\sum_lT_{kl}^2/n-CT が n∑l(xˉkl−xˉ)2n\sum_l(\bar x_{kl}-\bar x)^2 に等しいことを示せ。(b) S[k]={(Tk1−Tk2)2+(Tk1−Tk3)2+(Tk2−Tk3)2}/NS_{[k]}=\{(T_{k1}-T_{k2})^2+(T_{k1}-T_{k3})^2+(T_{k2}-T_{k3})^2\}/N とも書けることを示せ。
  3. 9.1-3 L27L_{27} で次の2列に因子を置いたとき、交互作用が現れる2列を成分記号の計算で求めよ。(a) 列[2]と列[5]、(b) 列[4]と列[5]、(c) 列[1]と列[9]。
  4. 9.1-4 L27L_{27} の列[1]に3水準の因子 AA を置く。主効果は a1,a2,a3a_1,a_2,a_3(∑ai=0\sum a_i=0)とし、ほかの列の効果はすべて0とする。T1lT_{1l} を構造式で書き下し、E(SA)=2σ2+9∑iai2E(S_A)=2\sigma^2+9\sum_ia_i^2 を直接示せ。
  5. 9.1-5 L27L_{27} で A,B,C,DA,B,C,D の主効果だけが残った。μ^(A1B1C1D1)\hat\mu(A_1B_1C_1D_1) の推定式を書き、nen_e を伊奈の式と田口の式で求めよ。

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