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擬水準法

2026年10月15日25分で読めますAI生成教科書『資格試験』第10章 直交配列表を用いた多水準法と擬水準法
目次
  1. 水準が足りない因子を列に置く
  2. 平方和の計算:不揃いな1元配置と擬水準の誤差
  3. 擬水準法での推定と有効反復数
  4. 確認テスト
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

実験計画法 第10章 §10.2 ★★ 列の水準のうち1つを既存の水準の重複に当てる。データ数が水準で違うので、平方和は不揃いの1元配置の式で、nen_e は伊奈の式で求める

水準が足りない因子を列に置く

3水準の因子 AA を2水準系の表に入れたいとする。2水準系の列は2水準か、多水準法で作った4水準しかない。そこで4水準の列を作り、その4つの水準のうち1つに AA の既存の水準を重ねて当てる。たとえば

列の水準 1,2,3,4 ⟼ A1, A2, A3, A1′\text{列の水準 } 1,2,3,4\ \longmapsto\ A_1,\ A_2,\ A_3,\ A_1'

とし、A1′A_1' は A1A_1 と同じ条件で実験する。この A1′A_1' を擬水準と呼ぶ。同様に、2水準の因子 DD を3水準系の表の列に入れるときは、列の水準 1, 2, 3 に D1,D2,D1′D_1,D_2,D_1' を当てる。

定義 10.3(擬水準法)

因子の水準数が割り付ける列の水準数より少ないとき、因子のある水準を重複させて(擬水準を作って)列のすべての水準を埋める方法を擬水準法と呼ぶ。重複させた水準のデータ数は、ほかの水準の2倍になる。

どの水準を重複させるかは技術的な判断で決める。重複させた水準はデータ数が多いので、その水準の母平均は精度よく推定される。そこで、現行の条件や、最終的に採用する見込みの高い水準を擬水準に選ぶことが多い。

平方和の計算:不揃いな1元配置と擬水準の誤差

2水準系の表 LNL_N で、3水準の因子を4水準の列 [j],[k],[j⊕k][j],[k],[j\oplus k] に置く。列の水準1と水準4には A1A_1 と A1′A_1' を当てる。水準ごとのデータ数は

nA1=N2,nA2=nA3=N4n_{A_1}=\frac N2,\qquad n_{A_2}=n_{A_3}=\frac N4

である。ここで TA1T_{A_1} は、擬水準を含めた A1A_1 のデータ全体の和とする。AA の平方和は、第3章で扱った繰返し数が不揃いな1元配置の公式で

SA=TA12N/2+TA22N/4+TA32N/4−CT,ϕA=2(10.6)S_A=\frac{T_{A_1}^2}{N/2}+\frac{T_{A_2}^2}{N/4}+\frac{T_{A_3}^2}{N/4}-CT,\qquad \phi_A=2\tag{10.6}

と計算する。4水準の列の自由度は3なので、1自由度が余る。余った1自由度は「同じ条件である A1A_1 と A1′A_1' の差」であり、その平方和を

SA1A1′=(TA1∘−TA1′)2N/2(10.7)S_{A_1A_1'}=\frac{(T_{A_1}^{\circ}-T_{A_1'})^2}{N/2}\tag{10.7}

と書く。各記号の意味は次のとおりである。

  • TA1∘T_{A_1}^{\circ}:列の水準1(本来の第1水準)のデータ N/4N/4 個の和。
  • TA1′T_{A_1'}:列の水準4(擬水準)のデータ N/4N/4 個の和。

両者の和が TA1T_{A_1} である。

定理 10.4(擬水準を含む列の平方和の分解 ★★)

上の割り付けで次が成り立つ。

  1. S[j]+S[k]+S[j⊕k]=SA+SA1A1′S_{[j]}+S_{[k]}+S_{[j\oplus k]}=S_A+S_{A_1A_1'}。

  2. 次の2つを仮定する。

    • 構造式に A1A_1 と A1′A_1' の差が無い。
    • 列 [j],[k],[j⊕k][j],[k],[j\oplus k] 以外の列に置いた因子が、AA と交互作用をもたない。

このとき SA1A1′/σ2∼χ12S_{A_1A_1'}/\sigma^2\sim\chi^2_1 で、これは SAS_A とも、ほかの列の列平方和とも独立である。したがって SA1A1′S_{A_1A_1'} は自由度1の誤差として誤差平方和に加える。

証明

(1) 4水準の列の水準ごとの和(各 N/4N/4 個)を TA1∘,TA2,TA3,TA1′T^{\circ}_{A_1},T_{A_2},T_{A_3},T_{A_1'} とする。定理 10.2 より、左辺は

4N((TA1∘)2+TA22+TA32+TA1′2)−CT\frac{4}{N}\bigl((T^{\circ}_{A_1})^2+T_{A_2}^2+T_{A_3}^2+T_{A_1'}^2\bigr)-CT

である。右辺の SAS_A と比べると、第2・第3水準の項と修正項は共通である。よって

4N((TA1∘)2+TA1′2)−2N(TA1∘+TA1′)2=2N(TA1∘−TA1′)2\frac4N\bigl((T^{\circ}_{A_1})^2+T_{A_1'}^2\bigr)-\frac{2}{N}\bigl(T^{\circ}_{A_1}+T_{A_1'}\bigr)^2=\frac{2}{N}\bigl(T^{\circ}_{A_1}-T_{A_1'}\bigr)^2

を示せばよい。左辺を展開すると 2N((TA1∘)2+TA1′2−2TA1∘TA1′)\frac2N\bigl((T^{\circ}_{A_1})^2+T_{A_1'}^2-2T^{\circ}_{A_1}T_{A_1'}\bigr) で、右辺に等しい。

(2) 列の水準1と水準4の指示ベクトルを g1,g4\bm g_1,\bm g_4 とし、c=g1−g4\bm c=\bm g_1-\bm g_4 とおく。

c⊤x=TA1∘−TA1′,c⊤c=N2,SA1A1′=(c⊤x)2N/2\bm c^\top\bm x=T^{\circ}_{A_1}-T_{A_1'},\qquad \bm c^\top\bm c=\frac N2,\qquad S_{A_1A_1'}=\frac{(\bm c^\top\bm x)^2}{N/2}

である。式 (10.3) で、符号の組が (+1,+1)(+1,+1) と (−1,−1)(-1,-1) の指示ベクトルの差を取る。すると c=(uj+uk)/2\bm c=(\bm u_j+\bm u_k)/2 となる。

  • よって c\bm c は、1\bm 1 と、4水準の列以外のすべての列の符号ベクトルに直交する。
  • AA の水準を表すベクトル g1+g4, g2, g3\bm g_1+\bm g_4,\ \bm g_2,\ \bm g_3 とも直交する。指示ベクトルは互いに直交し、c⊤(g1+g4)=N/4−N/4=0\bm c^\top(\bm g_1+\bm g_4)=N/4-N/4=0 だからである。

仮定のもとで、E(x)E(\bm x) はこれらのベクトルの1次結合である。よって E(c⊤x)=0E(\bm c^\top\bm x)=0 となる。V[c⊤x]=σ2c⊤c=σ2N/2V[\bm c^\top\bm x]=\sigma^2\bm c^\top\bm c=\sigma^2N/2 なので

c⊤xσ2N/2∼N(0,1),SA1A1′σ2∼χ12.\frac{\bm c^\top\bm x}{\sqrt{\sigma^2N/2}}\sim\mathrm N(0,1),\qquad \frac{S_{A_1A_1'}}{\sigma^2}\sim\chi^2_1 .

独立性は、第8章の定理(列平方和の分布)と同じ議論で従う。c\bm c が、SAS_A を作るベクトルとも、ほかの列の符号ベクトルとも直交するからである。前者は、AA の水準の指示ベクトルから 1\bm 1 方向を除いたものである。

2水準の因子 DD を3水準系の列に置き、列の水準 1, 2, 3 を D1,D2,D1′D_1,D_2,D_1' とした場合も同じ形になる。L9L_9 なら各列の水準のデータ数は3なので

SD=TD126+TD223−CT (ϕD=1),SD1D1′=(TD1∘−TD1′)26 (ϕ=1),S_D=\frac{T_{D_1}^2}{6}+\frac{T_{D_2}^2}{3}-CT\ (\phi_D=1),\qquad S_{D_1D_1'}=\frac{(T^{\circ}_{D_1}-T_{D_1'})^2}{6}\ (\phi=1),

で、SD+SD1D1′S_D+S_{D_1D_1'} はその列の列平方和 ∑l=13Tl2/3−CT\sum_{l=1}^3T_{l}^2/3-CT に等しい。確認テスト 10.2-3 と同じ計算である。

擬水準の因子と交互作用

擬水準の因子 AA と2水準の因子 BB の交互作用を求める場合を考える。A×BA\times B が現れる3列の列平方和の和は、次の2つに分かれる。

  • SA×BS_{A\times B}(自由度2)。
  • 「A1A_1 と A1′A_1' の差」と2水準の因子の交互作用(自由度1)。

SA×BS_{A\times B} は、2元表から次の式で求める。

SA×B=∑i,mTAiBm2nAiBm−CT−SA−SBS_{A\times B}=\sum_{i,m}\frac{T_{A_iB_m}^2}{n_{A_iB_m}}-CT-S_A-S_B

残りの自由度1は誤差に加える。2元表のセルのデータ数は、A1A_1 の行だけ2倍になる。

擬水準法での推定と有効反復数

擬水準法では AA の水準ごとのデータ数が異なるので、第8章の田口の式は使えない。

1ne=1+(用いた自由度の和)N\frac1{n_e}=\frac{1+(\text{用いた自由度の和})}N

田口の式は、自由度 ϕ\phi の因子の各水準のデータ数がすべて N/(ϕ+1)N/(\phi+1) であることを前提にしている。

たとえば μ^(A2)=xˉA2\hat\mu(A_2)=\bar x_{A_2} の分散は σ2/(N/4)\sigma^2/(N/4) である。田口の式で計算すると (1+2)/N=3/N(1+2)/N=3/N となり、正しい 4/N4/N に一致しない。一方、伊奈の式(推定式に現れる平均の係数をデータ数で割って足す)は擬水準法でもそのまま成り立つ。その理由を次の定理で示す。

定理 10.5(伊奈の式が成り立つ条件 ★★)

データ x1,…,xNx_1,\dots,x_N が独立で、分散 σ2\sigma^2 をもつとする。データの番号の部分集合を G1,…,GmG_1,\dots,G_m とし、大きさを n1,…,nmn_1,\dots,n_m とする。各部分集合の平均を xˉGl\bar x_{G_l} とし、全平均を xˉ\bar x とする。

  1. 2つの部分集合 G,HG,H(大きさ nG,nHn_G,n_H)について、次が成り立つ。

Cov(xˉG,xˉH)=σ2∣G∩H∣nGnH\mathrm{Cov}(\bar x_G,\bar x_H)=\frac{\sigma^2\lvert G\cap H\rvert }{n_Gn_H} 2. どの l≠l′l\neq l' についても比例頻度 ∣Gl∩Gl′∣=nlnl′/N\lvert G_l\cap G_{l'}\rvert =n_ln_{l'}/N が成り立つとする。このとき推定量

μ^=∑l=1mxˉGl−(m−1)xˉ(10.8)\hat\mu=\sum_{l=1}^m\bar x_{G_l}-(m-1)\bar x\tag{10.8}

の分散は

V[μ^]=σ2(∑l=1m1nl−m−1N)(10.9)V[\hat\mu]=\sigma^2\Bigl(\sum_{l=1}^m\frac{1}{n_l}-\frac{m-1}{N}\Bigr)\tag{10.9}

であり、これは伊奈の式の値に等しい。

証明

(1) xˉG=1nG∑r∈Gxr\bar x_G=\frac1{n_G}\sum_{r\in G}x_r、xˉH=1nH∑s∈Hxs\bar x_H=\frac1{n_H}\sum_{s\in H}x_s である。Cov(xr,xs)\mathrm{Cov}(x_r,x_s) は、同じデータなら σ2\sigma^2、それ以外は 0 なので

Cov(xˉG,xˉH)=1nGnH∑r∈G∑s∈HCov(xr,xs)=σ2∣G∩H∣nGnH.\mathrm{Cov}(\bar x_G,\bar x_H)=\frac{1}{n_Gn_H}\sum_{r\in G}\sum_{s\in H}\mathrm{Cov}(x_r,x_s)=\frac{\sigma^2\lvert G\cap H\rvert }{n_Gn_H}.

とくに次の2つの場合が重要である。

  • HH を全体にとると、Cov(xˉG,xˉ)=σ2nG/(nGN)=σ2/N\mathrm{Cov}(\bar x_G,\bar x)=\sigma^2n_G/(n_GN)=\sigma^2/N。
  • G=HG=H なら、V[xˉG]=σ2/nGV[\bar x_G]=\sigma^2/n_G。

(2) 比例頻度の仮定と (1) から、次の3つが成り立つ。

Cov(xˉGl,xˉGl′)=σ2N (l≠l′),Cov(xˉGl,xˉ)=σ2N,V[xˉ]=σ2N.\mathrm{Cov}(\bar x_{G_l},\bar x_{G_{l'}})=\frac{\sigma^2}N\ (l\neq l'),\qquad \mathrm{Cov}(\bar x_{G_l},\bar x)=\frac{\sigma^2}N,\qquad V[\bar x]=\frac{\sigma^2}N .

したがって

V[μ^]σ2=∑l1nl+(m−1)2N+2(m2)1N−2(m−1)⋅m⋅1N.\frac{V[\hat\mu]}{\sigma^2}=\sum_{l}\frac1{n_l}+\frac{(m-1)^2}{N}+2\binom m2\frac1N-2(m-1)\cdot m\cdot\frac1N .

後ろの3項をまとめると

(m−1)2+m(m−1)−2m(m−1)N=(m−1)((m−1)+m−2m)N=−m−1N\frac{(m-1)^2+m(m-1)-2m(m-1)}{N}=\frac{(m-1)\bigl((m-1)+m-2m\bigr)}{N}=-\frac{m-1}{N}

となり、式 (10.9) を得る。

伊奈の式は、推定式 (10.8) の係数から計算する。各平均 xˉGl\bar x_{G_l}(データ数 nln_l)の係数は +1 である。データ数 NN の全平均の係数は −(m−1)-(m-1) である。これから ∑l1nl−m−1N\sum_l\frac1{n_l}-\frac{m-1}{N} を計算するので、式 (10.9) の括弧の中に一致する。

擬水準法で比例頻度が成り立つことを確かめる。3水準の因子を列 [j],[k],[j⊕k][j],[k],[j\oplus k] に置き、2水準の因子 BB を別の列に置いたとする。前節で示したとおり、4水準の列の各水準(N/4N/4 個)の中で、2水準の因子の各水準は N/8N/8 個ずつ現れる。A1A_1 は列の水準1と水準4を合わせたものなので

∣A1∩Bm∣=N8+N8=N4=(N/2)(N/2)N,∣A2∩Bm∣=N8=(N/4)(N/2)N\lvert A_1\cap B_m\rvert =\frac N8+\frac N8=\frac N4=\frac{(N/2)(N/2)}{N},\qquad \lvert A_2\cap B_m\rvert =\frac N8=\frac{(N/4)(N/2)}{N}

となり、どちらも比例頻度の条件を満たす。2つの因子がどちらも擬水準でない列にある場合は、第8章の釣り合いから直ちに成り立つ。こうして、擬水準法の推定量 xˉAi+xˉBm−xˉ\bar x_{A_i}+\bar x_{B_m}-\bar x などの分散は伊奈の式で正しく計算される。

擬水準法の計算の定石

  1. SAS_A は水準ごとのデータ数(擬水準を含む水準は2倍)で割る不揃いの1元配置の式で計算する。自由度は AA の水準数−1-1。
  2. 4水準(または3水準)の列の自由度の余り1は、擬水準とその元の水準の差の平方和 SA1A1′S_{A_1A_1'} として誤差に加える。
  3. 点推定は第8章と同じ形の推定式を使う。nen_e は伊奈の式で求め、田口の式は使わない。
  4. 区間推定は μ^±tϕe(α/2)Ve/ne\hat\mu\pm t_{\phi_e}(\alpha/2)\sqrt{V_e/n_e}。ϕe\phi_e には擬水準の誤差の自由度を含める。

落とし穴

擬水準を含む水準の平均 xˉA1\bar x_{A_1} は、擬水準を合わせた N/2N/2 個のデータすべての平均である。列の水準1だけの N/4N/4 個の平均で推定すると、推定量の分散が2倍になるうえ、伊奈の式で使うデータ数も変わる。逆に A2A_2 の平均を N/2N/2 個で割る誤りも起こりやすい。データ数は水準ごとに確かめる。

例題 10.3 L8L_8 に擬水準法で3水準の因子を入れた実験 ★★

オリジナル

3水準の因子 AA と2水準の因子 BB を取り上げる。AA を列[1]・[2]・[3]の4水準の列に置き、列の水準 1, 2, 3, 4 を A1,A2,A3,A1′A_1,A_2,A_3,A_1' とした。

BB は列[4]に置く。交互作用は無視できるとして、列[5]・[6]・[7]を誤差とする。特性値は大きいほど望ましい。実験 No. 1〜8 の順に

21, 17, 26, 24, 30, 26, 22, 2021,\ 17,\ 26,\ 24,\ 30,\ 26,\ 22,\ 20

を得た(No. 7,8 が擬水準 A1′A_1')。

  1. SAS_A と SA1A1′S_{A_1A_1'} を求めよ。その和が S[1]+S[2]+S[3]S_{[1]}+S_{[2]}+S_{[3]} に一致することを確かめよ。
  2. 分散分析表を作り、有意水準5%で判定せよ。
  3. μ^(A3B1)\hat\mu(A_3B_1) と μ^(A1B1)\hat\mu(A_1B_1) を求め、それぞれの有効反復数を伊奈の式で求めよ。田口の式を誤って使うと何が得られるかも述べよ。
  4. A3B1A_3B_1 の母平均の95%信頼区間を求めよ(t4(0.025)=2.776t_4(0.025)=2.776)。
解答

(1) 総平方和までを求める。

T=186,CT=18628=4324.5,∑xr2=4442,ST=117.5.T=186,\qquad CT=\frac{186^2}8=4324.5,\qquad \sum x_r^2=4442,\qquad S_T=117.5 .

水準ごとの和は次のとおりである。

  • A1A_1 は No. 1,2,7,8 の4個で、TA1=21+17+22+20=80T_{A_1}=21+17+22+20=80。
  • A2A_2 は No. 3,4 の2個で、TA2=50T_{A_2}=50。
  • A3A_3 は No. 5,6 の2個で、TA3=56T_{A_3}=56。

式 (10.6) より

SA=8024+5022+5622−4324.5=1600+1250+1568−4324.5=93.5.S_A=\frac{80^2}{4}+\frac{50^2}{2}+\frac{56^2}{2}-4324.5=1600+1250+1568-4324.5=93.5 .

本来の第1水準(No. 1,2)の和は 38、擬水準(No. 7,8)の和は 42 である。式 (10.7) より SA1A1′=(38−42)2/4=4S_{A_1A_1'}=(38-42)^2/4=4。

列平方和は、表 10.1 の元になった L8L_8 の列ごとに和を取って求める。

列[1]: 水準1(No. 1〜4)が 88、水準2(No. 5〜8)が 98,S[1]=102/8=12.5,列[2]: 水準1(No. 1,2,5,6)が 94、水準2が 92,S[2]=22/8=0.5,列[3]: 水準1(No. 1,2,7,8)が 80、水準2(No. 3〜6)が 106,S[3]=262/8=84.5.\begin{aligned}\text{列[1]}&:\ \text{水準1(No.\ 1〜4)が 88、水準2(No.\ 5〜8)が 98}, & S_{[1]}&=10^2/8=12.5,\\ \text{列[2]}&:\ \text{水準1(No.\ 1,2,5,6)が 94、水準2が 92}, & S_{[2]}&=2^2/8=0.5,\\ \text{列[3]}&:\ \text{水準1(No.\ 1,2,7,8)が 80、水準2(No.\ 3〜6)が 106}, & S_{[3]}&=26^2/8=84.5.\end{aligned}

和は 12.5+0.5+84.5=97.5=93.5+412.5+0.5+84.5=97.5=93.5+4 で、定理 10.4 (1) のとおりである。

(2) 残りの列の和と列平方和は次のとおりである。

列[4] (B): (99,87),SB=122/8=18,列[5]・[6]・[7]: (93,93), (95,91), (93,93),列平方和は 0, 2, 0.\begin{aligned}\text{列[4]}\ (B)&:\ (99,87), & S_B&=12^2/8=18,\\ \text{列[5]・[6]・[7]}&:\ (93,93),\ (95,91),\ (93,93), & &\text{列平方和は }0,\ 2,\ 0.\end{aligned}

誤差は Se=0+2+0+SA1A1′=6S_e=0+2+0+S_{A_1A_1'}=6、自由度は 3+1=4 で、Ve=1.5V_e=1.5 である。合計 93.5+18+6=117.5=ST93.5+18+6=117.5=S_T で分解が確かめられる。

要因SSϕ\phiVVF0F_0
AA93.5246.7531.17>F2,4(0.01)=18.00>F_{2,4}(0.01)=18.00
BB18.0118.0012.00>F1,4(0.05)=7.71>F_{1,4}(0.05)=7.71
ee6.041.50
計117.57

AA は有意水準1%で有意、BB は5%で有意である。F0(B)F_0(B) は F1,4(0.01)=21.20F_{1,4}(0.01)=21.20 より小さい。

(3) 水準ごとの平均は次のとおりである。

xˉA1=804=20,xˉA2=25,xˉA3=28,xˉB1=994=24.75,xˉ=23.25.\bar x_{A_1}=\frac{80}4=20,\quad \bar x_{A_2}=25,\quad \bar x_{A_3}=28,\quad \bar x_{B_1}=\frac{99}4=24.75,\quad \bar x=23.25 .

μ^(A3B1)=28+24.75−23.25=29.5,μ^(A1B1)=20+24.75−23.25=21.5.\hat\mu(A_3B_1)=28+24.75-23.25=29.5,\qquad \hat\mu(A_1B_1)=20+24.75-23.25=21.5 .

伊奈の式で有効反復数を求める。

A3B1:1ne=12+14−18=58,ne=1.6,A1B1:1ne=14+14−18=38,ne=8/3.\begin{aligned}A_3B_1&:\quad \frac1{n_e}=\frac12+\frac14-\frac18=\frac58, & n_e&=1.6,\\ A_1B_1&:\quad \frac1{n_e}=\frac14+\frac14-\frac18=\frac38, & n_e&=8/3.\end{aligned}

擬水準を含む第1水準はデータが2倍あるので、A1B1A_1B_1 の方が精度よく推定される。

田口の式を使うと、用いた自由度の和が 2+1=3 なので、どちらの条件でも 1/ne=4/81/n_e=4/8、ne=2n_e=2 となる。これは A3B1A_3B_1 の分散を小さく、A1B1A_1B_1 の分散を大きく見積もることになる。

(4) 信頼区間は

29.5±2.7761.5/1.6=29.5±2.776×0.968=29.5±2.69,29.5\pm2.776\sqrt{1.5/1.6}=29.5\pm2.776\times0.968=29.5\pm2.69,

すなわち [26.81, 32.19][26.81,\ 32.19] である。

4水準の列では、列[1]・[2]・[3]の水準1に当たる実験 No. がそれぞれ異なる(列[1]は No. 1〜4、列[2]は No. 1,2,5,6、列[3]は No. 1,2,7,8)。列平方和で検算するときは、第8章の L8L_8 の表で1本ずつ確かめる。

3水準系の表として、第9章の L9(34)L_9(3^4) を表 10.2 に再掲する。列[3]・[4]は列[1]・[2]の交互作用が現れる2本の列である。

表 10.2 直交配列表 L9(34)L_9(3^4)。最下段は成分記号。第9章の表と同じ並びである。列[4]の水準は、成分記号 ab2ab^2 の1次式 xa+2xbx_a+2x_b を2倍した式で付く。2倍した式は 2xa+xb(mod3)2x_a+x_b\pmod3 である
実験 No.[1][2][3][4]
11111
21222
31333
42123
52231
62312
73132
83213
93321
成分aabbababab2ab^2

例題 10.4 L9L_9 に擬水準法で2水準の因子を入れた実験 ★★

オリジナル

3水準の因子 A,BA,B と2水準の因子 DD を取り上げる。L9(34)L_9(3^4)(表 10.2)に次のように置いた。

A: 列[1],B: 列[2],D: 列[4]A:\ \text{列[1]},\qquad B:\ \text{列[2]},\qquad D:\ \text{列[4]}

DD は列の水準 1, 2, 3 を D1,D2,D1′D_1,D_2,D_1' とする擬水準法である。交互作用は無視できるとし、列[3]を誤差とする。

特性値は大きいほど望ましい。実験 No. 1〜9 の順に

9, 11, 10, 12, 13, 17, 19, 13, 169,\ 11,\ 10,\ 12,\ 13,\ 17,\ 19,\ 13,\ 16

を得た。

  1. 平方和 SA,SB,SD,SD1D1′S_A,S_B,S_D,S_{D_1D_1'} と、列[3]の列平方和を求めよ。分散分析表を作れ。F0F_0 が2程度以下の要因は誤差にプールし、有意水準5%で判定せよ。
  2. 最適条件の母平均を点推定し、有効反復数と95%信頼区間を求めよ(t5(0.025)=2.571t_5(0.025)=2.571)。
解答

(1) 総平方和までを求める。

T=120,CT=1600,∑xr2=1690,ST=90.T=120,\qquad CT=1600,\qquad \sum x_r^2=1690,\qquad S_T=90 .

3水準の列の列平方和は、各水準のデータ数が3なので ∑lTl2/3−CT\sum_{l}T_l^2/3-CT である。

各列の水準の和と列平方和は次のとおりである。

列[1] (A): (30,42,48),SA=(900+1764+2304)/3−1600=56,列[2] (B): (40,37,43),SB=(1600+1369+1849)/3−1600=6,列[3] (e): (39,39,42),S[3]=(1521+1521+1764)/3−1600=2.\begin{aligned}\text{列[1]}\ (A)&:\ (30,42,48), & S_A&=(900+1764+2304)/3-1600=56,\\ \text{列[2]}\ (B)&:\ (40,37,43), & S_B&=(1600+1369+1849)/3-1600=6,\\ \text{列[3]}\ (e)&:\ (39,39,42), & S_{[3]}&=(1521+1521+1764)/3-1600=2.\end{aligned}

列[3]の水準は、水準1が No. 1,6,8、水準2が No. 2,4,9、水準3が No. 3,5,7 である。

列[4]は水準1が No. 1,5,9 で 38、水準2が No. 2,6,7 で 47、水準3が No. 3,4,8 で 35 である。D1D_1 は水準1と3を合わせて和が 73(6個)、D2D_2 は 47(3個)なので

SD=7326+4723−1600=24.5,SD1D1′=(38−35)26=1.5.S_D=\frac{73^2}{6}+\frac{47^2}{3}-1600=24.5,\qquad S_{D_1D_1'}=\frac{(38-35)^2}{6}=1.5 .

列[4]の列平方和は (1444+2209+1225)/3−1600=26=24.5+1.5(1444+2209+1225)/3-1600=26=24.5+1.5 である。誤差は Se=2+1.5=3.5S_e=2+1.5=3.5、自由度は 2+1=3 で、Ve=7/6V_e=7/6 である。合計は 56+6+24.5+3.5=90=ST56+6+24.5+3.5=90=S_T。

要因SSϕ\phiVVF0F_0
AA56.0228.0024.00
BB6.023.002.57
DD24.5124.5021.00
ee3.531.17
計90.08

BB は F0=2.57F_0=2.57 と小さいのでプールする。プール後は

Se=9.5,ϕe=5,Ve=1.9S_e=9.5,\qquad \phi_e=5,\qquad V_e=1.9

で、次のようになる。

F0(A)=28/1.9=14.74>F2,5(0.01)=13.27,F0(D)=24.5/1.9=12.89>F1,5(0.05)=6.61.\begin{aligned}F_0(A)&=28/1.9=14.74>F_{2,5}(0.01)=13.27,\\ F_0(D)&=24.5/1.9=12.89>F_{1,5}(0.05)=6.61 .\end{aligned}

F0(D)F_0(D) は F1,5(0.01)=16.26F_{1,5}(0.01)=16.26 より小さい。よって AA は1%、DD は5%で有意である。

(2) 水準ごとの平均は次のとおりである。

xˉA1=10,xˉA2=14,xˉA3=16,xˉD1=736,xˉD2=473,xˉ=403.\bar x_{A_1}=10,\quad \bar x_{A_2}=14,\quad \bar x_{A_3}=16,\quad \bar x_{D_1}=\frac{73}6,\quad \bar x_{D_2}=\frac{47}3,\quad \bar x=\frac{40}3 .

最適条件は A3D2A_3D_2 で

μ^(A3D2)=16+473−403=553≈18.33.\hat\mu(A_3D_2)=16+\frac{47}{3}-\frac{40}{3}=\frac{55}{3}\approx18.33 .

A3A_3 の3個と D2D_2 の3個の共通部分は No. 7 の1個である。1=3⋅3/91=3\cdot3/9 なので比例頻度が成り立つ。伊奈の式で

1ne=13+13−19=59,ne=1.8.\frac1{n_e}=\frac13+\frac13-\frac19=\frac59,\qquad n_e=1.8 .

95%信頼区間は

18.33±2.5711.91.8=18.33±2.64,18.33\pm2.571\sqrt{\frac{1.9}{1.8}}=18.33\pm2.64,

すなわち [15.69, 20.97][15.69,\ 20.97] である。

確認テスト

オリジナル

  1. 10.2-1 定理 10.4 (2) の状況で、E(SA1A1′)=σ2E(S_{A_1A_1'})=\sigma^2 であることを示せ。また、擬水準の実験だけ条件がずれて、母平均が μ+a1+δ\mu+a_1+\delta になっていたとする。このとき E(SA1A1′)E(S_{A_1A_1'}) はどうなるか。
  2. 10.2-2 L16L_{16} で、3水準の因子 AA を列[1]・[2]・[3]に擬水準法で置いた(第1水準を重複)。2水準の因子 B,CB,C はほかの列に置き、交互作用は無視できるとする。μ^(A1B1C1)\hat\mu(A_1B_1C_1) と μ^(A2B1C1)\hat\mu(A_2B_1C_1) の有効反復数を伊奈の式で求めよ。田口の式を使った場合の値と比べよ。
  3. 10.2-3 L8L_8 で3水準の因子 AA を列[1]・[2]・[3]に擬水準法で置いた。4水準の列の水準ごとの和(各2個)は次のとおりであった。

TA1∘=40,TA2=52,TA3=60,TA1′=44T^{\circ}_{A_1}=40,\qquad T_{A_2}=52,\qquad T_{A_3}=60,\qquad T_{A_1'}=44

SAS_A と SA1A1′S_{A_1A_1'} を求めよ。その和が、4水準の列としての平方和 ∑T2/2−CT\sum T^2/2-CT に等しいことを確かめよ。4. 10.2-4 例題 10.4 で、3水準の因子の水準を固定したときの、D2D_2 と D1D_1 の母平均の差を点推定せよ。その推定量の分散を誤差分散で表し、プール後の誤差を使って95%信頼区間を求めよ。5. 10.2-5 擬水準法で、重複させる水準として現行の条件を選ぶことの利点を、推定量の分散の観点から1〜2文で述べよ。

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