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分割法とは

2026年10月15日27分で読めますAI生成教科書『資格試験』第12章 分割法
目次
  1. 2段階の無作為化
  2. データの構造式
  3. 平方和の分解
  4. 期待平均平方
  5. 期待平均平方の構造が因子の次数で違う理由
  6. 確認テスト
  7. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

実験計画法 第12章 §12.1 ★ 2段の無作為化から2つの誤差を持つ構造式を立て、期待平均平方を導く

炉の温度、装置の設定、圃場の灌水方法のように、水準を1回変えるたびに半日の段取りがかかる因子がある。こうした因子を含む2因子実験で、abab 通りの組合せ全部の順番を乱数で決める(完全無作為化)と、温度を何十回も上げ下げすることになり、実験が成り立たない。現実には「温度を1つ決めたら、その温度のまま変えやすい因子の水準を全部試す」という手順を取る。

分割法(split-plot design)は、この手順を実験の計画として正式に扱い、無作為化を2段に分けて行う計画である。2段の無作為化に対応して誤差も2種類現れ、どちらの誤差で検定するかが因子によって違う。

この章で作る道具は3つある。

  1. 分割法のデータの構造式と、1次誤差・2次誤差の2つの誤差を持つ期待平均平方。
  2. 期待平均平方の構造から決まる検定の分母の選び方(1次の因子は1次誤差で、2次の因子と交互作用は2次誤差で割る)と、それが因子の割り付けの次数で異なる理由。
  3. 分散分析後の推定。比べる量によって、分散が1次誤差だけ・2次誤差だけ・その両方の和になる。両方の和のときは、第11章で導いた Satterthwaite の等価自由度で区間を作る。

統計応用(理工学)で分割法が出るとすれば、「割り付けの図から分割法と見抜く → 自由度と期待平均平方を書く → 正しい分母で検定する →組合せの母平均の区間を Satterthwaite で作る」という連鎖になる。

2段階の無作為化

例として、焼成温度 AA(3水準)と添加剤 BB(3水準)が製品の強度に及ぼす影響を調べる。炉の温度を変えるには半日かかるが、1回の焼成で炉の中に試料を3個入れることができ、試料ごとに添加剤を変えるのは簡単であるとする。このとき、次の手順で実験する。

  1. 1日を1つの反復(ブロック)RkR_k とし、1日に炉を3回動かす。各日の3回の焼成に温度 A1,A2,A3A_1,A_2,A_3 を1つずつ割り当て、その順番を乱数で決める(1段目の無作為化)。
  2. 1回の焼成に入れる3個の試料に添加剤 B1,B2,B3B_1,B_2,B_3 を1つずつ割り当て、炉の中の置き場所を乱数で決める(2段目の無作為化)。

1回の焼成(同じ温度で処理される試料のまとまり)を1次単位(主区)、その中の1個1個の試料を2次単位(細区)と呼ぶ。1次単位に割り付ける因子 AA を1次因子、2次単位に割り付ける因子 BB を2次因子と呼ぶ(図 12.1)。反復 RR は1次単位をまとめるブロックで、第11章の乱塊法のブロックと同じ役割を持つ。

図

図 12.1 分割法の割り付けの例(a=3a=3、b=3b=3、r=3r=3)。紺の枠が反復(日)、赤の枠が1次単位(1回の焼成)で、1次因子 AA の水準を日の中で乱数の順に割り付ける。灰色の小さな枠が2次単位(試料)で、2次因子 BB の水準を1次単位の中で乱数の順に割り付ける。

この計画では、同じ焼成で処理された3個の試料は、炉の温度の微妙な出来具合(設定温度からのずれ、昇温の速さ)を共有する。したがって、2種類の比較で入るばらつきが違う。

  • 温度 A1A_1 の焼成と A2A_2 の焼成の比較には、「焼成ごとのばらつき」が入る。
  • 同じ焼成の中の B1B_1 と B2B_2 の比較には、それが入らない。

分割法の解析は、この2種類のばらつきを2つの誤差として構造式に入れるところから始まる。

どちらの因子を1次因子にするか

1次因子に選ぶのは、水準を変えるのに手間や費用がかかる因子である。分割法では、1次因子の効果は1次単位の間のばらつきと比べて判定されるので、2次因子に比べて精度が落ちる(例題 12.1 で定量的に見る)。精度よく知りたい因子と、その因子と他の因子との交互作用は、可能なら2次因子にする。逆に、1次因子の主効果がすでによく分かっていて、2次因子の効果や交互作用を調べたい実験では、分割法は不利にならない。

データの構造式

1次因子 AA の水準数を aa とする。2次因子 BB の水準数を bb とする。反復の数は rr とする。

反復 RkR_k の中の AiA_i の1次単位を考える。その中で BjB_j を割り付けた2次単位の測定値を xijkx_{ijk} と書く。添字の範囲は次のとおりである。

i=1,…,a,j=1,…,b,k=1,…,ri=1,\dots,a,\qquad j=1,\dots,b,\qquad k=1,\dots,r

総データ数は N=abrN=abr、1次単位の数は arar である。

定義 12.1(分割法のデータの構造式)

xijk=μ+ai+γk+ε(1)ik⏟1次単位の部分+bj+(ab)ij+ε(2)ijk⏟2次単位の部分(12.1)x_{ijk}=\mu+\underbrace{a_i+\gamma_k+\varepsilon_{(1)ik}}_{\text{1次単位の部分}}+\underbrace{b_j+(ab)_{ij}+\varepsilon_{(2)ijk}}_{\text{2次単位の部分}}\tag{12.1}

とする。母数の効果には次の制約を置く。

∑iai=0,∑jbj=0,∑i(ab)ij=∑j(ab)ij=0\sum_i a_i=0,\qquad \sum_j b_j=0,\qquad \sum_i(ab)_{ij}=\sum_j(ab)_{ij}=0

確率的な項は次の分布に従い、これらはすべて互いに独立とする。

  • 反復の効果:γk∼N(0,σR2)\gamma_k\sim\mathrm{N}(0,\sigma_R^2)
  • 1次誤差:ε(1)ik∼N(0,σ(1)2)\varepsilon_{(1)ik}\sim\mathrm{N}(0,\sigma_{(1)}^2)
  • 2次誤差:ε(2)ijk∼N(0,σ(2)2)\varepsilon_{(2)ijk}\sim\mathrm{N}(0,\sigma_{(2)}^2)

母数の効果の大きさを表す量として、次を用いる。

σA2=∑iai2a−1,σB2=∑jbj2b−1,σA×B2=∑i,j(ab)ij2(a−1)(b−1)\sigma_A^2=\frac{\sum_ia_i^2}{a-1},\qquad \sigma_B^2=\frac{\sum_jb_j^2}{b-1},\qquad \sigma_{A\times B}^2=\frac{\sum_{i,j}(ab)_{ij}^2}{(a-1)(b-1)}

1次誤差 ε(1)ik\varepsilon_{(1)ik} は、添字に jj を持たない。これが「同じ1次単位の中の2次単位は、1次単位のばらつきを共有する」ことの式での表現である。

1次誤差は、AA と RR の組合せごとに1個ずつしか無い。そのため、乱塊法で A×RA\times R の交互作用が誤差と区別できなかったのと同じく、この交互作用と1次誤差は区別できない。構造式では両者をまとめて1次誤差と呼んでいる。反復の効果 γk\gamma_k は第11章と同じ記号で、ブロックの効果を変量として扱う。

構造式から、データの共分散の構造が次のように決まる。

Cov(xijk,xi′j′k′)={σR2+σ(1)2+σ(2)2(i=i′, j=j′, k=k′)σR2+σ(1)2(i=i′, j≠j′, k=k′)同じ1次単位σR2(i≠i′, k=k′)同じ反復の別の1次単位0(k≠k′)(12.2)\mathrm{Cov}(x_{ijk},x_{i'j'k'})= \begin{cases} \sigma_R^2+\sigma_{(1)}^2+\sigma_{(2)}^2 & (i=i',\ j=j',\ k=k')\\ \sigma_R^2+\sigma_{(1)}^2 & (i=i',\ j\neq j',\ k=k')\quad\text{同じ1次単位}\\ \sigma_R^2 & (i\neq i',\ k=k')\quad\text{同じ反復の別の1次単位}\\ 0 & (k\neq k') \end{cases}\tag{12.2}

同じ1次単位の中のデータの相関は、同じ反復の別の1次単位の間の相関より強い。分割法の解析は、この入れ子になった相関の構造を、平方和を1次単位の間の部分と1次単位の中の部分に分けることで扱う。

平方和の分解

平均の記号を次のように置く。

xˉi⋅k=1b∑jxijk  (1次単位の平均),xˉij⋅=1r∑kxijk  (AiBj の平均)\bar x_{i\cdot k}=\frac1b\sum_jx_{ijk}\ \ \text{(1次単位の平均)},\qquad \bar x_{ij\cdot}=\frac1r\sum_kx_{ijk}\ \ \text{(}{A_iB_j}\text{ の平均)}

ほかの周辺平均 xˉi⋅⋅,xˉ⋅j⋅,xˉ⋅⋅k\bar x_{i\cdot\cdot},\bar x_{\cdot j\cdot},\bar x_{\cdot\cdot k} と総平均 xˉ\bar x も同様に置く。総平均からの偏差を次の6つに分ける。

xijk−xˉ=(xˉi⋅⋅−xˉ)⏟A+(xˉ⋅⋅k−xˉ)⏟R+(xˉi⋅k−xˉi⋅⋅−xˉ⋅⋅k+xˉ)⏟e(1)+(xˉ⋅j⋅−xˉ)⏟B+(xˉij⋅−xˉi⋅⋅−xˉ⋅j⋅+xˉ)⏟A×B+(xijk−xˉij⋅−xˉi⋅k+xˉi⋅⋅)⏟e(2).\begin{align*}x_{ijk}-\bar x={}&\underbrace{(\bar x_{i\cdot\cdot}-\bar x)}_{A}+\underbrace{(\bar x_{\cdot\cdot k}-\bar x)}_{R} +\underbrace{(\bar x_{i\cdot k}-\bar x_{i\cdot\cdot}-\bar x_{\cdot\cdot k}+\bar x)}_{e_{(1)}}\\&+\underbrace{(\bar x_{\cdot j\cdot}-\bar x)}_{B}+\underbrace{(\bar x_{ij\cdot}-\bar x_{i\cdot\cdot}-\bar x_{\cdot j\cdot}+\bar x)}_{A\times B} +\underbrace{(x_{ijk}-\bar x_{ij\cdot}-\bar x_{i\cdot k}+\bar x_{i\cdot\cdot})}_{e_{(2)}}.\tag{12.3}\end{align*}

右辺を足すと、総平均以外の5つの平均がそれぞれ正負1回ずつ現れて消え、左辺に一致する。前の3項は jj によらない(1次単位の平均 xˉi⋅k\bar x_{i\cdot k} だけから作られる)。後ろの3項は、jj について和を取ると0になる。たとえば e(2)e_{(2)} の項では次のようになる。

∑j(xijk−xˉij⋅−xˉi⋅k+xˉi⋅⋅)=bxˉi⋅k−bxˉi⋅⋅−bxˉi⋅k+bxˉi⋅⋅=0\sum_j(x_{ijk}-\bar x_{ij\cdot}-\bar x_{i\cdot k}+\bar x_{i\cdot\cdot})=b\bar x_{i\cdot k}-b\bar x_{i\cdot\cdot}-b\bar x_{i\cdot k}+b\bar x_{i\cdot\cdot}=0

したがって前の3項のどれかと後ろの3項のどれかの積は、jj について和を取る段階で0になる。同じ組の中の項どうしも直交する。

  • 前の3項どうしは、乱塊法の分解(第11章)と同じ形で直交する。
  • BB と交互作用の積は、ii について和を取ると0になる。
  • BB と2次誤差の項の積は、kk について和を取ると0になる。
  • 交互作用と2次誤差の項の積も、kk について和を取ると0になる。

両辺を2乗して和を取ると

ST=SA+SR+Se(1)⏟SAR+SB+SA×B+Se(2)(12.4)S_T=\underbrace{S_A+S_R+S_{e(1)}}_{S_{AR}}+S_B+S_{A\times B}+S_{e(2)}\tag{12.4}

を得る。各平方和は

SA=br∑i(xˉi⋅⋅−xˉ)2,SR=ab∑k(xˉ⋅⋅k−xˉ)2,Se(1)=b∑i,k(xˉi⋅k−xˉi⋅⋅−xˉ⋅⋅k+xˉ)2,SB=ar∑j(xˉ⋅j⋅−xˉ)2,SA×B=r∑i,j(xˉij⋅−xˉi⋅⋅−xˉ⋅j⋅+xˉ)2,Se(2)=∑i,j,k(xijk−xˉij⋅−xˉi⋅k+xˉi⋅⋅)2\begin{align*}S_A&=br\sum_i(\bar x_{i\cdot\cdot}-\bar x)^2,& S_R&=ab\sum_k(\bar x_{\cdot\cdot k}-\bar x)^2,& S_{e(1)}&=b\sum_{i,k}(\bar x_{i\cdot k}-\bar x_{i\cdot\cdot}-\bar x_{\cdot\cdot k}+\bar x)^2,\\S_B&=ar\sum_j(\bar x_{\cdot j\cdot}-\bar x)^2,& S_{A\times B}&=r\sum_{i,j}(\bar x_{ij\cdot}-\bar x_{i\cdot\cdot}-\bar x_{\cdot j\cdot}+\bar x)^2,& S_{e(2)}&=\sum_{i,j,k}(x_{ijk}-\bar x_{ij\cdot}-\bar x_{i\cdot k}+\bar x_{i\cdot\cdot})^2\tag{12.5}\end{align*}

で、自由度は

ϕA=a−1,ϕR=r−1,ϕe(1)=(a−1)(r−1),ϕB=b−1,ϕA×B=(a−1)(b−1),ϕe(2)=a(b−1)(r−1)(12.6)\begin{gathered} \phi_A=a-1,\qquad\phi_R=r-1,\qquad\phi_{e(1)}=(a-1)(r-1),\\ \phi_B=b-1,\qquad\phi_{A\times B}=(a-1)(b-1),\qquad\phi_{e(2)}=a(b-1)(r-1) \end{gathered}\tag{12.6}

である。自由度の和は次のとおりである。

前の3つ: ar−1(1次単位の数から1を引いたもの)後ろの3つ: (b−1){1+(a−1)+a(r−1)}=ar(b−1)合計: abr−1=ϕT\begin{aligned}\text{前の3つ}&:\ ar-1 &&\text{(1次単位の数から1を引いたもの)}\\ \text{後ろの3つ}&:\ (b-1)\{1+(a-1)+a(r-1)\}=ar(b-1)\\ \text{合計}&:\ abr-1=\phi_T\end{aligned}

2次誤差の自由度は、「2次因子と反復の交互作用」に当たる (b−1)(r−1)(b-1)(r-1) 個の自由度が、1次因子の水準ごとにあると読むこともできる。

期待平均平方

定理 12.2(分割法の期待平均平方と平方和の分布 ★)

構造式 (12.1) のもとで

E(VR)=σ(2)2+bσ(1)2+abσR2,E(VA)=σ(2)2+bσ(1)2+brσA2,E(Ve(1))=σ(2)2+bσ(1)2,E(VB)=σ(2)2+arσB2,E(VA×B)=σ(2)2+rσA×B2,E(Ve(2))=σ(2)2\begin{align*}E(V_R)&=\sigma_{(2)}^2+b\sigma_{(1)}^2+ab\sigma_R^2, & E(V_A)&=\sigma_{(2)}^2+b\sigma_{(1)}^2+br\sigma_A^2, & E(V_{e(1)})&=\sigma_{(2)}^2+b\sigma_{(1)}^2,\\E(V_B)&=\sigma_{(2)}^2+ar\sigma_B^2, & E(V_{A\times B})&=\sigma_{(2)}^2+r\sigma_{A\times B}^2, & E(V_{e(2)})&=\sigma_{(2)}^2\tag{12.7}\end{align*}

が成り立つ。さらに6つの平方和は互いに独立で、

Se(1)σ(2)2+bσ(1)2∼χϕe(1)2,Se(2)σ(2)2∼χϕe(2)2\frac{S_{e(1)}}{\sigma_{(2)}^2+b\sigma_{(1)}^2}\sim\chi^2_{\phi_{e(1)}},\qquad\frac{S_{e(2)}}{\sigma_{(2)}^2}\sim\chi^2_{\phi_{e(2)}}

である。帰無仮説のもとでの分布は次のとおりである。

H0 ⁣:a1=⋯=aa=0 のもとでSAσ(2)2+bσ(1)2∼χϕA2,H0 ⁣:b1=⋯=bb=0 のもとでSBσ(2)2∼χϕB2,H0 ⁣:(ab)ij≡0 のもとでSA×Bσ(2)2∼χϕA×B2.\begin{aligned}H_0\colon a_1=\dots=a_a=0\ &\text{のもとで}\quad \frac{S_A}{\sigma_{(2)}^2+b\sigma_{(1)}^2}\sim\chi^2_{\phi_A},\\ H_0\colon b_1=\dots=b_b=0\ &\text{のもとで}\quad \frac{S_B}{\sigma_{(2)}^2}\sim\chi^2_{\phi_B},\\ H_0\colon(ab)_{ij}\equiv0\ &\text{のもとで}\quad \frac{S_{A\times B}}{\sigma_{(2)}^2}\sim\chi^2_{\phi_{A\times B}}.\end{aligned}

証明

1次単位の部分。構造式を jj について平均する。制約 ∑jbj=0\sum_jb_j=0 と ∑j(ab)ij=0\sum_j(ab)_{ij}=0 から

yik:=xˉi⋅k=μ+ai+γk+(ε(1)ik+εˉ(2)i⋅k)(12.8)y_{ik}:=\bar x_{i\cdot k}=\mu+a_i+\gamma_k+\bigl(\varepsilon_{(1)ik}+\bar\varepsilon_{(2)i\cdot k}\bigr)\tag{12.8}

となる。括弧の中の誤差は (i,k)(i,k) ごとに独立で、分散は σ(1)2+σ(2)2/b\sigma_{(1)}^2+\sigma_{(2)}^2/b である。つまり1次単位の平均 yiky_{ik} は、第11章の乱塊法のデータと同じ形をしている。

yik=μ+ai+γk+εik,σ2=σ(1)2+σ(2)2/by_{ik}=\mu+a_i+\gamma_k+\varepsilon_{ik},\qquad \sigma^2=\sigma_{(1)}^2+\sigma_{(2)}^2/b

水準数は aa、ブロック数は rr である。誤差分散は右の σ2\sigma^2 で与えられる。(12.5) の前の3つの平方和は、yiky_{ik} で作った乱塊法の平方和をそれぞれ bb 倍したものである。第11章 §11.1 の定理で導いた

E(SA(y))=(a−1)(σ2+rσA2),E(SR(y))=(r−1)(σ2+aσR2),E(Se(y))=(a−1)(r−1)σ2E(S_A^{(y)})=(a-1)(\sigma^2+r\sigma_A^2),\qquad E(S_R^{(y)})=(r-1)(\sigma^2+a\sigma_R^2),\qquad E(S_e^{(y)})=(a-1)(r-1)\sigma^2

を bb 倍し、σ2=σ(1)2+σ(2)2/b\sigma^2=\sigma_{(1)}^2+\sigma_{(2)}^2/b を入れる。bσ2=σ(2)2+bσ(1)2b\sigma^2=\sigma_{(2)}^2+b\sigma_{(1)}^2 なので

E(SA)=(a−1)(σ(2)2+bσ(1)2+brσA2),E(SR)=(r−1)(σ(2)2+bσ(1)2+abσR2),E(Se(1))=(a−1)(r−1)(σ(2)2+bσ(1)2)\begin{aligned}E(S_A)&=(a-1)(\sigma_{(2)}^2+b\sigma_{(1)}^2+br\sigma_A^2),\qquad E(S_R)=(r-1)(\sigma_{(2)}^2+b\sigma_{(1)}^2+ab\sigma_R^2),\\ E(S_{e(1)})&=(a-1)(r-1)(\sigma_{(2)}^2+b\sigma_{(1)}^2)\end{aligned}

を得る。分布についても、同じ定理から Se(y)/σ2∼χ(a−1)(r−1)2S_e^{(y)}/\sigma^2\sim\chi^2_{(a-1)(r-1)} なので Se(1)/(bσ2)∼χϕe(1)2S_{e(1)}/(b\sigma^2)\sim\chi^2_{\phi_{e(1)}} が従う。SAS_A についても同様である。

2次単位の部分。1次単位の平均からの偏差を構造式で書くと

xijk−xˉi⋅k=bj+(ab)ij+(ε(2)ijk−εˉ(2)i⋅k)(12.9)x_{ijk}-\bar x_{i\cdot k}=b_j+(ab)_{ij}+\bigl(\varepsilon_{(2)ijk}-\bar\varepsilon_{(2)i\cdot k}\bigr)\tag{12.9}

で、反復の効果 γk\gamma_k と1次誤差 ε(1)ik\varepsilon_{(1)ik} は消える。後ろの3つの平方和は (12.3) の後ろの3項から作られる。後ろの3項はすべて (12.9) の偏差だけで書ける(たとえば xˉ⋅j⋅−xˉ=1ar∑i,k(xijk−xˉi⋅k)\bar x_{\cdot j\cdot}-\bar x=\frac{1}{ar}\sum_{i,k}(x_{ijk}-\bar x_{i\cdot k}))。したがって後ろの3つの平方和には σR2\sigma_R^2 も σ(1)2\sigma_{(1)}^2 も入らない。

個別に計算する。BB の項は次のように書ける。

xˉ⋅j⋅−xˉ=bj+(εˉ(2)⋅j⋅−εˉ(2))\bar x_{\cdot j\cdot}-\bar x=b_j+(\bar\varepsilon_{(2)\cdot j\cdot}-\bar\varepsilon_{(2)})

誤差の平均 εˉ(2)⋅1⋅,…,εˉ(2)⋅b⋅\bar\varepsilon_{(2)\cdot1\cdot},\dots,\bar\varepsilon_{(2)\cdot b\cdot} は独立に N(0,σ(2)2/(ar))\mathrm{N}(0,\sigma_{(2)}^2/(ar)) に従うので

E(SB)=ar{∑jbj2+(b−1)σ(2)2ar}=(b−1)(σ(2)2+arσB2).E(S_B)=ar\Bigl\{\sum_jb_j^2+\frac{(b-1)\sigma_{(2)}^2}{ar}\Bigr\}=(b-1)(\sigma_{(2)}^2+ar\sigma_B^2).

交互作用の項は次のように書ける。

xˉij⋅−xˉi⋅⋅−xˉ⋅j⋅+xˉ=(ab)ij+(εˉ(2)ij⋅−εˉ(2)i⋅⋅−εˉ(2)⋅j⋅+εˉ(2))\bar x_{ij\cdot}-\bar x_{i\cdot\cdot}-\bar x_{\cdot j\cdot}+\bar x=(ab)_{ij}+(\bar\varepsilon_{(2)ij\cdot}-\bar\varepsilon_{(2)i\cdot\cdot}-\bar\varepsilon_{(2)\cdot j\cdot}+\bar\varepsilon_{(2)})

誤差の部分は、独立な変数 εˉ(2)ij⋅\bar\varepsilon_{(2)ij\cdot}(分散 σ(2)2/r\sigma_{(2)}^2/r)を並べた2元表の交互作用残差である。第11章の定理の証明と同じ係数の計算(係数が (δii′−1/a)(δjj′−1/b)(\delta_{ii'}-1/a)(\delta_{jj'}-1/b) に因数分解できる)から、その2乗の期待値は (1−1/a)(1−1/b)σ(2)2/r(1-1/a)(1-1/b)\sigma_{(2)}^2/r で、

E(SA×B)=r{∑i,j(ab)ij2+ab(1−1a)(1−1b)σ(2)2r}=(a−1)(b−1)(σ(2)2+rσA×B2).E(S_{A\times B})=r\Bigl\{\sum_{i,j}(ab)_{ij}^2+ab\Bigl(1-\frac1a\Bigr)\Bigl(1-\frac1b\Bigr)\frac{\sigma_{(2)}^2}{r}\Bigr\}=(a-1)(b-1)(\sigma_{(2)}^2+r\sigma_{A\times B}^2).

2次誤差の項は次のように書ける。

xijk−xˉij⋅−xˉi⋅k+xˉi⋅⋅=ε(2)ijk−εˉ(2)ij⋅−εˉ(2)i⋅k+εˉ(2)i⋅⋅x_{ijk}-\bar x_{ij\cdot}-\bar x_{i\cdot k}+\bar x_{i\cdot\cdot}=\varepsilon_{(2)ijk}-\bar\varepsilon_{(2)ij\cdot}-\bar\varepsilon_{(2)i\cdot k}+\bar\varepsilon_{(2)i\cdot\cdot}

これは、AiA_i ごとに作った b×rb\times r 表の交互作用残差である。母数の効果はすべて消える。

  • bj+(ab)ijb_j+(ab)_{ij} は、xˉij⋅\bar x_{ij\cdot} を引くことで消える。
  • ai+γk+ε(1)ika_i+\gamma_k+\varepsilon_{(1)ik} は、xˉi⋅k\bar x_{i\cdot k} を引くことで消える。

同じ計算で、各項の2乗の期待値は (1−1/b)(1−1/r)σ(2)2(1-1/b)(1-1/r)\sigma_{(2)}^2 である。NN 個足して

E(Se(2))=abr(1−1/b)(1−1/r)σ(2)2=a(b−1)(r−1)σ(2)2.E(S_{e(2)})=abr(1-1/b)(1-1/r)\sigma_{(2)}^2=a(b-1)(r-1)\sigma_{(2)}^2.

各平方和を自由度で割ると (12.7) になる。

独立性と分布。誤差のベクトル全体(反復の効果・1次誤差・2次誤差)は正規分布に従う。前の3つの平方和は1次単位の平均 yiky_{ik} だけの関数で、後ろの3つは1次単位の中の偏差 (12.9) だけの関数である。

yiky_{ik} に入る2次誤差は εˉ(2)i⋅k\bar\varepsilon_{(2)i\cdot k} である。偏差に入る2次誤差は ε(2)ijk−εˉ(2)i⋅k\varepsilon_{(2)ijk}-\bar\varepsilon_{(2)i\cdot k} である。同じ (i,k)(i,k) の中で、平均と平均からの偏差の共分散は0である。

Cov(εˉ(2)i⋅k,ε(2)ijk−εˉ(2)i⋅k)=σ(2)2/b−σ(2)2/b=0\mathrm{Cov}(\bar\varepsilon_{(2)i\cdot k},\varepsilon_{(2)ijk}-\bar\varepsilon_{(2)i\cdot k})=\sigma_{(2)}^2/b-\sigma_{(2)}^2/b=0

正規分布では無相関と独立は同値なので、前の3つと後ろの3つは独立である。

前の3つの中の独立性は第11章の定理による。後ろの3つは、2次誤差のベクトル ε(2)∼N(0,σ(2)2IN)\bm\varepsilon_{(2)}\sim\mathrm{N}(\bm 0,\sigma_{(2)}^2I_N) を、互いに直交する3つの部分空間へ射影したものから作られる。3つの空間は、2次因子・交互作用・2次誤差の空間である。よって Cochran の定理により独立で、それぞれ σ(2)2\sigma_{(2)}^2 倍のカイ二乗分布(帰無仮説のもとで中心)に従う。

期待平均平方の構造が因子の次数で違う理由

定理 12.2 で、1次因子と反復の期待平均平方には bσ(1)2b\sigma_{(1)}^2 が入る。2次因子と交互作用の期待平均平方には入らない。この違いは、平方和を作る対比(係数の和が0の1次結合)が、1次誤差を打ち消すかどうかで決まる。

AA の平方和は xˉi⋅⋅−xˉ\bar x_{i\cdot\cdot}-\bar x から作られる。この xˉi⋅⋅\bar x_{i\cdot\cdot} は、その水準を割り付けた rr 個の1次単位の平均である。異なる水準は異なる1次単位にあるので、差 xˉ1⋅⋅−xˉ2⋅⋅\bar x_{1\cdot\cdot}-\bar x_{2\cdot\cdot} には1次誤差の差 εˉ(1)1⋅−εˉ(1)2⋅\bar\varepsilon_{(1)1\cdot}-\bar\varepsilon_{(1)2\cdot} が残る。

1次単位の平均1個の誤差分散は σ(1)2+σ(2)2/b\sigma_{(1)}^2+\sigma_{(2)}^2/b である。平方和は bb 倍されているので、E(VA)E(V_A) の誤差の部分は次のようになる。

b(σ(1)2+σ(2)2/b)=σ(2)2+bσ(1)2b(\sigma_{(1)}^2+\sigma_{(2)}^2/b)=\sigma_{(2)}^2+b\sigma_{(1)}^2

一方、BB の平方和を作る差 xˉ⋅1⋅−xˉ⋅2⋅\bar x_{\cdot1\cdot}-\bar x_{\cdot2\cdot} を考える。どの1次単位の中にも2つの水準が1つずつあるので、この差は同じ1次単位の中での差の平均に書き直せる。

xˉ⋅1⋅−xˉ⋅2⋅=1ar∑i,k(xi1k−xi2k)\bar x_{\cdot1\cdot}-\bar x_{\cdot2\cdot}=\frac{1}{ar}\sum_{i,k}(x_{i1k}-x_{i2k})

同じ1次単位の中の差では ε(1)ik\varepsilon_{(1)ik} が打ち消し合う。交互作用の対比も、「同じ1次因子の水準の中での2次因子の水準の差」を1次因子の水準の間で比べたもので、やはり1次単位の中の差だけで書ける。

こうして、2次単位の中で比べられる量(2次因子とそれを含む交互作用)には1次誤差が入らず、1次単位をまたいで比べる量(1次因子と反復)には入る。期待平均平方の構造は、因子をどの次数の単位に割り付けたかで決まり、因子そのものの性質とは関係がない。同じ温度の因子でも、1回の焼成の中で炉の区画ごとに温度を変えられる装置なら2次因子になり、1次誤差は入らなくなる。

分割法の検定の分母

期待平均平方 (12.7) の構造から、帰無仮説のもとで分子と同じ期待値を持つ平均平方を分母に取る。

  • 1次因子:F0=VA/Ve(1)F_0=V_A/V_{e(1)} を FϕA,ϕe(1)F_{\phi_A,\phi_{e(1)}} と比べる。反復も同じく F0=VR/Ve(1)F_0=V_R/V_{e(1)}。
  • 1次誤差の有無(H0 ⁣:σ(1)2=0H_0\colon\sigma_{(1)}^2=0):F0=Ve(1)/Ve(2)F_0=V_{e(1)}/V_{e(2)} を使う。分子と分母の自由度は (ϕe(1),ϕe(2))(\phi_{e(1)},\phi_{e(2)}) である。
  • 2次因子と交互作用:VB/Ve(2)V_B/V_{e(2)} と VA×B/Ve(2)V_{A\times B}/V_{e(2)} を使う。分母の自由度は ϕe(2)\phi_{e(2)} である。

VAV_A を Ve(2)V_{e(2)} で割ると誤る。帰無仮説のもとでも分子の期待値は σ(2)2+bσ(1)2\sigma_{(2)}^2+b\sigma_{(1)}^2 で分母より大きいので、効果が無いのに有意と判定する確率が名目の α\alpha を超える。

例題 12.1 分割法で比べる量ごとの分散 ★

オリジナル構造式 (12.1) の分割法を考える。

  1. 次の4つの差の分散を、2つの誤差分散と a,b,ra,b,r で表せ。

    • (i) xˉ1⋅⋅−xˉ2⋅⋅\bar x_{1\cdot\cdot}-\bar x_{2\cdot\cdot}(1次因子の主効果の差)
    • (ii) xˉ⋅1⋅−xˉ⋅2⋅\bar x_{\cdot1\cdot}-\bar x_{\cdot2\cdot}(2次因子の主効果の差)
    • (iii) xˉ11⋅−xˉ12⋅\bar x_{11\cdot}-\bar x_{12\cdot}(同じ1次水準の中での2次因子の差)
    • (iv) xˉ11⋅−xˉ21⋅\bar x_{11\cdot}-\bar x_{21\cdot}(同じ2次水準での1次因子の差)
  2. 次の値のとき、4つの分散を計算せよ。

a=3,b=4,r=2,σ(1)2=2,σ(2)2=1a=3,\quad b=4,\quad r=2,\quad \sigma_{(1)}^2=2,\quad \sigma_{(2)}^2=1

また、同じ abr=24abr=24 回の実験を完全無作為化した繰返し2回の2元配置で、同じ差を推定したときの分散と比べよ。この2元配置の誤差分散は σ2=σ(1)2+σ(2)2=3\sigma^2=\sigma_{(1)}^2+\sigma_{(2)}^2=3 とする。

解答
  1. 平均を構造式で書く。反復の効果は、3種類の平均のどれにも同じ γˉ=1r∑kγk\bar\gamma=\frac1r\sum_k\gamma_k として入るので、どの差でも消える。

    1. (i) 水準平均は次のとおり。

xˉi⋅⋅=μ+ai+γˉ+εˉ(1)i⋅+εˉ(2)i⋅⋅\bar x_{i\cdot\cdot}=\mu+a_i+\bar\gamma+\bar\varepsilon_{(1)i\cdot}+\bar\varepsilon_{(2)i\cdot\cdot}

εˉ(1)i⋅\bar\varepsilon_{(1)i\cdot} は rr 個の1次誤差の平均である。εˉ(2)i⋅⋅\bar\varepsilon_{(2)i\cdot\cdot} は brbr 個の2次誤差の平均である。2つの水準の間に共通の項は無い。よって

V[xˉ1⋅⋅−xˉ2⋅⋅]=2(σ(1)2r+σ(2)2br)=2(σ(2)2+bσ(1)2)br.V[\bar x_{1\cdot\cdot}-\bar x_{2\cdot\cdot}]=2\Bigl(\frac{\sigma_{(1)}^2}{r}+\frac{\sigma_{(2)}^2}{br}\Bigr)=\frac{2(\sigma_{(2)}^2+b\sigma_{(1)}^2)}{br}. 2. (ii) 水準平均は次のとおり。

xˉ⋅j⋅=μ+bj+γˉ+εˉ(1)⋅⋅+εˉ(2)⋅j⋅\bar x_{\cdot j\cdot}=\mu+b_j+\bar\gamma+\bar\varepsilon_{(1)\cdot\cdot}+\bar\varepsilon_{(2)\cdot j\cdot}

1次誤差の平均 εˉ(1)⋅⋅\bar\varepsilon_{(1)\cdot\cdot} は jj によらないので差で消える。よって V[xˉ⋅1⋅−xˉ⋅2⋅]=2σ(2)2/(ar)V[\bar x_{\cdot1\cdot}-\bar x_{\cdot2\cdot}]=2\sigma_{(2)}^2/(ar)。3. (iii) 組合せの平均は次のとおり。

xˉij⋅=μ+ai+bj+(ab)ij+γˉ+εˉ(1)i⋅+εˉ(2)ij⋅\bar x_{ij\cdot}=\mu+a_i+b_j+(ab)_{ij}+\bar\gamma+\bar\varepsilon_{(1)i\cdot}+\bar\varepsilon_{(2)ij\cdot}

ii が同じなら εˉ(1)i⋅\bar\varepsilon_{(1)i\cdot} は共通で消える。よって V[xˉ11⋅−xˉ12⋅]=2σ(2)2/rV[\bar x_{11\cdot}-\bar x_{12\cdot}]=2\sigma_{(2)}^2/r。4. (iv) ii が違うと、2つの1次誤差の平均は別の1次単位の誤差なので残る。よって

V[xˉ11⋅−xˉ21⋅]=2(σ(1)2+σ(2)2)/r.V[\bar x_{11\cdot}-\bar x_{21\cdot}]=2(\sigma_{(1)}^2+\sigma_{(2)}^2)/r. 2. 完全無作為化では各データの誤差が独立で、分散は3である。2つの計画の分散を並べると次のようになる。

差分割法完全無作為化
(i)2(1+4×2)/8=2.252(1+4\times2)/8=2.252×3/(br)=6/8=0.752\times3/(br)=6/8=0.75
(ii)2×1/6=0.3332\times1/6=0.3332×3/(ar)=6/6=12\times3/(ar)=6/6=1
(iii)2×1/2=12\times1/2=12×3/r=32\times3/r=3
(iv)2(2+1)/2=32(2+1)/2=33
分割法は、1次因子の主効果の精度を0.75から2.25へ3倍悪くする。その代わりに、2次因子の主効果(1から0.333)と1次単位の中の比較(3から1)の精度を3倍良くする。 1次単位をまたぐ組合せの比較 (iv) は、どちらの計画でも同じ3である。分割法は全体の精度を損なう計画ではなく、精度を1次因子から2次因子へ移す計画と読める。

分割法のデータを普通の2元配置として解析したら

1次単位の構造を無視して、繰返し rr の2元配置(第5章)として解析したとする。誤差平方和は SR+Se(1)+Se(2)S_R+S_{e(1)}+S_{e(2)}、自由度は ab(r−1)ab(r-1) になる。定理 12.2 の3つの期待値を足すとE(SR+Se(1)+Se(2))=ab(r−1)(σ(2)2+σ(1)2+σR2)E(S_R+S_{e(1)}+S_{e(2)})=ab(r-1)(\sigma_{(2)}^2+\sigma_{(1)}^2+\sigma_R^2) なので、この誤差分散の期待値は σ(2)2+σ(1)2+σR2\sigma_{(2)}^2+\sigma_{(1)}^2+\sigma_R^2 である。

反復の分散成分が σR2<(b−1)σ(1)2\sigma_R^2<(b-1)\sigma_{(1)}^2 の範囲にあるとする。このとき、この期待値は E(Ve(1))=σ(2)2+bσ(1)2E(V_{e(1)})=\sigma_{(2)}^2+b\sigma_{(1)}^2 より小さく、E(Ve(2))=σ(2)2E(V_{e(2)})=\sigma_{(2)}^2 より大きい。したがって1次因子の検定は有意になりやすすぎ(第1種の誤りが増える)、2次因子と交互作用の検定は有意になりにくすぎる。どちらの向きにも誤るので、実際の実験の手順が2段の無作為化であれば、必ず分割法として解析する。

確認テスト

オリジナル

  1. 12.1-1 熱処理の時間 AA(変えるのに装置の冷却が要る)と表面の研磨方法 BB(試料ごとに変えられる)の影響を調べる。分割法で実験するとき、どちらを1次因子にするか、2段の無作為化をそれぞれ何について行うかを答えよ。
  2. 12.1-2 a=4, b=3, r=2a=4,\ b=3,\ r=2 の分割法の分散分析表について、各要因の自由度と期待平均平方を書け。
  3. 12.1-3 構造式 (12.1) のもとで、V[xˉ11⋅−xˉ21⋅]=2(σ(1)2+σ(2)2)/rV[\bar x_{11\cdot}-\bar x_{21\cdot}]=2(\sigma_{(1)}^2+\sigma_{(2)}^2)/r を、2つの平均の分散と共分散を求めるところから導け。
  4. 12.1-4 A×BA\times B の平方和を作る量 xˉij⋅−xˉi⋅⋅−xˉ⋅j⋅+xˉ\bar x_{ij\cdot}-\bar x_{i\cdot\cdot}-\bar x_{\cdot j\cdot}+\bar x を構造式で表し、反復の効果と1次誤差が含まれないことを示せ。また、a=b=2a=b=2 のとき次が成り立つ。

SA×B=r4(xˉ11⋅−xˉ12⋅−xˉ21⋅+xˉ22⋅)2S_{A\times B}=\frac{r}{4}(\bar x_{11\cdot}-\bar x_{12\cdot}-\bar x_{21\cdot}+\bar x_{22\cdot})^2

これを使い、E(VA×B)=σ(2)2+rσA×B2E(V_{A\times B})=\sigma_{(2)}^2+r\sigma_{A\times B}^2 を確かめよ。

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