統計学の復習 第4章 §4.3 ★★★ 密度 f(x) は確率ではなく、区間で積分して初めて確率になる。f(x) は1を超えてよい
1点の確率から区間の確率へ
電球の寿命 X が「ちょうど 1000 時間」になる確率を考える。1000.0 時間と 1000.00001 時間を区別するなら、ちょうど1点に一致する確率は 0 とみるほかない。連続的な量では、1点ごとの確率を並べる確率関数の方法が使えない。そこで、区間 (x,x+h] に入る確率を区間の幅 h で割り、幅を小さくした極限
f(x)=h→0limhP(x<X≤x+h)
を考える。これは「x の近くの単位長さあたりにどれだけ確率が集まっているか」を表す量で、確率の密度と呼ばれる。物理の質量密度 ρ(x) が1点の質量ではなく単位長さあたりの質量で、質量そのものは ∫ρ(x)dx と積分して初めて得られるのと同じ構造である。
定義 4.4(確率密度関数・連続型)
関数 f が
(i) f(x)≥0(すべての x),(ii) ∫−∞∞f(x)dx=1(4.3)
を満たし、確率変数 X がすべての a≤b について
P(a≤X≤b)=∫abf(x)dx(4.4)
を満たすとき、f を X の確率密度関数(密度関数、密度)と呼び、X を連続型の確率変数と呼ぶ。
(4.4) は、確率が密度のグラフの下の面積で与えられることを言っている(図 4.1)。条件 (ii) は全体の面積が 1 であること、すなわち X がどこかの値をとる確率が 1 であることに当たる。

図 4.1 密度 f(x)=6x(1−x)(0≤x≤1)。網掛けの面積が P(41≤X≤43)=1611 である。頂点の高さ f(21)=1.5 は破線の 1 を超えているが、f(x) は確率ではないので矛盾はない。
密度は確率ではない
密度 f(x) そのものは確率ではない。このことは次の3点から確かめられる。
第一に、f(x) は 1 を超えてよい。0≤x≤21 で f(x)=2、それ以外で 0 と定めた関数は、面積が 2×21=1 なので密度である。値 2 は「長さ 21 の区間に確率 1 が詰まっているので、単位長さあたりでは 2」という意味で、確率が 2 という意味ではない。図 4.1 の密度も頂点で 1.5 になる。さらに f(x)=2x1(0<x≤1)のように、x→0 で限りなく大きくなる密度もある(確認テスト 4.3-3)。
第二に、f(x) には単位がある。X をメートルで測った長さとすると、P(a≤X≤b) は単位のない数で、dx はメートルなので、f(x) の単位は「1メートルあたり」である。同じ量をセンチメートルで測り直すと、区間の幅の数値が 100 倍になるので密度の数値は 1/100 倍になる(確認テスト 4.3-4)。確率の値が単位の取り方で変わることはないので、単位の取り方で数値が変わる f(x) は確率ではない。
第三に、確率と結びつくのは f(x) と小さな幅の積である。f が x で連続なら、小さな h>0 に対して
P(x≤X≤x+h)=∫xx+hf(t)dt≈f(x)h(4.5)
が成り立つ。f(x) は「確率 ≈f(x)h」の比例係数である。
要点
密度を与えられたら、確率は必ず積分で出す。f(a) の値を見て「X=a となる確率」と読んではいけない。連続型では P(X=a)=0 である(§4.4 で示す)。
例題 4.3 定数を決めて区間の確率を出す ★★★
オリジナルf(x)=cx2(0≤x≤1)、それ以外で f(x)=0 とする。
- f が確率密度関数になるように c を定めよ。
- P(21≤X≤1) を求めよ。
- f(1) の値を求め、それが 1 を超えても矛盾しない理由を、P(1−h≤X≤1) を h の式で書いて説明せよ。
解答
(1) 条件 (i) から c≥0。条件 (ii) から ∫01cx2dx=c/3=1、よって c=3。
(2) ∫1/213x2dx=[x3]1/21=1−81=87。
(3) f(1)=3 である。0<h≤1 に対し
P(1−h≤X≤1)=1−(1−h)3=3h−3h2+h3.
h が小さいとき右辺は 3h にほぼ等しく、比例係数が f(1)=3 である。幅 h の区間に入る確率は 3h 程度で、h≤31 ならこれは 1 以下に収まる。f(1)=3 は確率ではなく、確率を幅で割った値なので、1 を超えても矛盾しない。
確認テスト
オリジナル
- 4.3-1 f(x)=c(1−x2)(−1≤x≤1)、それ以外で 0 が密度になるように c を定め、P(∣X∣≤21) を求めよ。
- 4.3-2 f(x)=c/x2(x≥1)、それ以外で 0 が密度になるように c を定め、P(X>3) を求めよ。
- 4.3-3 f(x)=2x1(0<x≤1)、それ以外で 0 とする。f が密度の条件を満たすことを示し、f が有界でないことを確かめよ。また P(X≤41) を求めよ。
- 4.3-4 長さ X(単位メートル)が密度 fX(x)=2(0≤x≤21)、それ以外で 0 に従う。同じ長さをセンチメートルで表した Y=100X の密度 fY を求め、P(0.1≤X≤0.2) と P(10≤Y≤20) が一致することを確かめよ。
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