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幾何分布と負の二項分布

2026年10月17日11分で読めますAI生成教科書『資格試験』第5章 離散型確率分布
目次
  1. 幾何分布の確率関数と裾の確率
  2. 期待値と分散
  3. 無記憶性
  4. 負の二項分布
  5. 確認テスト
  6. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

統計学の復習 第5章 §5.3 ★★ 「成功するまで」続ける試行の回数。幾何分布は平均 1/p1/p・無記憶性を持つ唯一の離散分布で、rr 回目の成功までの回数(負の二項分布)は幾何分布 rr 個の和になる

幾何分布の確率関数と裾の確率

定義 5.7(幾何分布)

成功確率 pp(0<p<10<p<1)のベルヌーイ試行を独立に繰り返し、初めて成功するまでの試行の回数(成功した回を含む)を XX とすると

P(X=k)=qk−1p(k=1,2,3,… )(5.8)P(X=k)=q^{k-1}p\qquad(k=1,2,3,\dots)\tag{5.8}

である。この分布を幾何分布と呼ぶ。

X=kX=k は「最初の k−1k-1 回がすべて失敗で、kk 回目が成功」という1通りの列で、独立性からその確率は qk−1pq^{k-1}p である。確率が公比 qq の等比数列になることが名前の由来である。総和は等比級数で ∑k=1∞qk−1p=p/(1−q)=1\sum_{k=1}^\infty q^{k-1}p=p/(1-q)=1 となる。

幾何分布の2つの数え方

幾何分布は、成功までの試行の回数 XX(値は 1,2,…1,2,\dots)で定義する本と、成功までの失敗の回数 Y=X−1Y=X-1(値は 0,1,…0,1,\dots、P(Y=k)=qkpP(Y=k)=q^kp)で定義する本がある。2級の対策本は前者で、平均は 1/p1/p である。数理統計の解説 第3章 §3.1 は後者を Ge(p)\mathrm{Ge}(p) と書き、平均は q/pq/p になる(確認テスト 5.3-2)。分散はどちらも q/p2q/p^2 で同じである。答案ではどちらで数えるかを最初に書く。この章では、断らない限り試行の回数で数える。

裾の確率 P(X>k)P(X>k) は、和をとるより事象で考える方が早い。「kk 回目までに成功しない」は「最初の kk 回がすべて失敗」と同じ事象なので

P(X>k)=qk(k=0,1,2,… )(5.9)P(X>k)=q^k\qquad(k=0,1,2,\dots)\tag{5.9}

である(和で確かめる計算は確認テスト 5.3-1)。

期待値と分散

定理 5.8(幾何分布の期待値と分散)

試行の回数で数えた幾何分布に従う XX について、E[X]=1/pE[X]=1/p、V[X]=q/p2V[X]=q/p^2 である。

証明

期待値は裾の確率の和で計算できる。非負の整数値をとる XX では、X=∑j=0∞1{X>j}X=\sum_{j=0}^\infty\mathbf 1\{X>j\}(X=kX=k なら j=0,…,k−1j=0,\dots,k-1 の kk 個の項が 11 になる)と書けるので、両辺の期待値をとって

E[X]=∑j=0∞P(X>j)=∑j=0∞qj=11−q=1p.E[X]=\sum_{j=0}^\infty P(X>j)=\sum_{j=0}^\infty q^j=\frac1{1-q}=\frac1p.

分散には階乗モーメントを使う。∣x∣<1\lvert x\rvert <1 で等比級数 ∑k=0∞xk=(1−x)−1\sum_{k=0}^\infty x^k=(1-x)^{-1} を項ごとに2回微分すると ∑k=2∞k(k−1)xk−2=2(1−x)−3\sum_{k=2}^\infty k(k-1)x^{k-2}=2(1-x)^{-3} である。x=qx=q と置いて

E[X(X−1)]=∑k=2∞k(k−1)qk−1p=pq∑k=2∞k(k−1)qk−2=2pq(1−q)3=2qp2.E[X(X-1)]=\sum_{k=2}^\infty k(k-1)q^{k-1}p=pq\sum_{k=2}^\infty k(k-1)q^{k-2}=\frac{2pq}{(1-q)^3}=\frac{2q}{p^2}.

よって

V[X]=E[X(X−1)]+E[X]−E[X]2=2qp2+1p−1p2=2q+p−1p2=qp2.□V[X]=E[X(X-1)]+E[X]-E[X]^2=\frac{2q}{p^2}+\frac1p-\frac1{p^2}=\frac{2q+p-1}{p^2}=\frac{q}{p^2}.\quad\square

E[X]=1/pE[X]=1/p は、確率 1/61/6 の目が出るまでには平均6回かかる、という直観と合う。確率母関数は GX(s)=∑kqk−1psk=ps/(1−qs)G_X(s)=\sum_kq^{k-1}ps^k=ps/(1-qs)(∣qs∣<1\lvert qs\rvert <1)で、ここから同じ期待値と分散を出すこともできる。

無記憶性

幾何分布の最も大事な性質は、すでに何回失敗したかが、この先の待ち回数に影響しないことである。

定理 5.9(無記憶性)

試行の回数で数えた幾何分布に従う XX と非負の整数 m,km,k について

P(X>m+k∣X>m)=P(X>k)P(X>m+k\mid X>m)=P(X>k)

が成り立つ。逆に、正の整数値をとり 0<P(X>1)<10<P(X>1)<1 を満たす確率変数 XX がすべての非負の整数 m,km,k でこの等式を満たすなら、XX は p=1−P(X>1)p=1-P(X>1) の幾何分布に従う。

証明

前半:{X>m+k}⊂{X>m}\{X>m+k\}\subset\{X>m\} なので、条件付き確率の定義と式 (5.9) から

P(X>m+k∣X>m)=P(X>m+k)P(X>m)=qm+kqm=qk=P(X>k).P(X>m+k\mid X>m)=\frac{P(X>m+k)}{P(X>m)}=\frac{q^{m+k}}{q^m}=q^k=P(X>k).

後半:g(k)=P(X>k)g(k)=P(X>k) と置く。等式は g(m+k)=g(m)g(k)g(m+k)=g(m)g(k) と書き直すことができる。XX は正の整数値なので g(0)=1g(0)=1 である。g(1)=rg(1)=r と置くと、m=1m=1 として g(k+1)=r g(k)g(k+1)=r\,g(k) が全ての kk で成り立ち、g(0)=1g(0)=1 から順に g(k)=rkg(k)=r^k である。よって P(X=k)=g(k−1)−g(k)=rk−1(1−r)P(X=k)=g(k-1)-g(k)=r^{k-1}(1-r) で、p=1−rp=1-r と置けば式 (5.8) に一致する。

この定理は、正の整数値の分布の中で無記憶性を持つのは幾何分布だけであることを示している。サイコロで6の目が10回続けて出なかったとしても、11回目に6が出る確率は 1/61/6 のままであり、「そろそろ出るはずだ」という考えは独立な試行では成り立たない。連続の時間で同じ性質を持つ唯一の分布が指数分布で、ポアソン分布と指数分布の関係は、二項分布と幾何分布の関係と平行している(第6章で扱う)。

例題 5.5 サイコロで6が出るまで ★★

オリジナルサイコロを6の目が出るまで振り続け、振った回数を XX とする。

  1. E[X]E[X] と V[X]V[X] を求めよ。
  2. 10回振っても6が出ない確率を求めよ。
  3. 5回振って6が出なかったと分かったとき、さらに10回振っても6が出ない条件付き確率を求めよ。
解答

(1) p=1/6p=1/6、q=5/6q=5/6 の幾何分布なので、E[X]=6E[X]=6、V[X]=(5/6)/(1/36)=30V[X]=(5/6)/(1/36)=30 である。標準偏差は 30=5.48\sqrt{30}=5.48 で、平均に近い大きさのばらつきがある。

(2) 式 (5.9) から P(X>10)=(5/6)10=0.1615P(X>10)=(5/6)^{10}=0.1615 である。

(3) 求めるのは P(X>15∣X>5)P(X>15\mid X>5) で、定理 5.9 から P(X>10)=(5/6)10=0.1615P(X>10)=(5/6)^{10}=0.1615 である。最初の5回の失敗は、この先の確率を変えない。定義どおりに計算しても (5/6)15/(5/6)5=(5/6)10(5/6)^{15}/(5/6)^5=(5/6)^{10} となる。

負の二項分布

幾何分布は「1回目の成功まで」の試行の回数だった。これを「rr 回目の成功まで」に広げる。

定義 5.10(負の二項分布)

成功確率 pp のベルヌーイ試行を独立に繰り返し、rr 回目の成功が起きるまでの試行の回数を XX とすると

P(X=k)=(k−1r−1)prqk−r(k=r,r+1,… )(5.10)P(X=k)=\binom{k-1}{r-1}p^rq^{k-r}\qquad(k=r,r+1,\dots)\tag{5.10}

である。この分布を負の二項分布と呼ぶ。r=1r=1 のときは幾何分布である。

X=kX=k となるのは、(i) kk 回目が成功で、(ii) それより前の k−1k-1 回の中に成功がちょうど r−1r-1 回ある、の2つが同時に起こるときである。(ii) の確率は二項分布の (k−1r−1)pr−1qk−r\binom{k-1}{r-1}p^{r-1}q^{k-r} で、(i) は kk 回目だけで決まるので (ii) と独立であり、確率は pp である。積をとって式 (5.10) を得る。「kk 回中 rr 回成功」の二項分布と違い、最後の回が成功だと決まっているので、並べ方は残りの k−1k-1 回の中だけで数える。

総和が 11 になることは、∣x∣<1\lvert x\rvert <1 で成り立つ展開

(1−x)−r=∑j=0∞(r+j−1j)xj(1-x)^{-r}=\sum_{j=0}^\infty\binom{r+j-1}{j}x^j

(等比級数 (1−x)−1=∑xj(1-x)^{-1}=\sum x^j を r−1r-1 回微分して (r−1)!(r-1)! で割ると得られる)で x=qx=q、j=k−rj=k-r と置き、(k−1k−r)=(k−1r−1)\binom{k-1}{k-r}=\binom{k-1}{r-1} を使って ∑kP(X=k)=pr(1−q)−r=1\sum_kP(X=k)=p^r(1-q)^{-r}=1 と確かめられる。この展開は指数が負の二項展開なので、「負の二項分布」の名前が付いている。

定理 5.11(負の二項分布の期待値と分散、二項分布との双対性)

rr 回目の成功までの試行の回数 XX について

  1. E[X]=r/pE[X]=r/p、V[X]=rq/p2V[X]=rq/p^2 である。
  2. 正の整数 kk について P(X≤k)=P(W≥r)P(X\le k)=P(W\ge r) が成り立つ。ここで W∼Bin(k,p)W\sim\mathrm{Bin}(k,p) である。
証明

(1) 11 回目の成功までの回数を G1G_1、そこから 22 回目の成功までの回数を G2G_2、…、r−1r-1 回目から rr 回目の成功までの回数を GrG_r とすると X=G1+⋯+GrX=G_1+\cdots+G_r である。各回の試行は独立で、成功した直後から先の試行は最初からやり直したのと同じ状況なので、G1,…,GrG_1,\dots,G_r は独立に、同じ幾何分布に従う。定理 5.8 と期待値の線形性から E[X]=r/pE[X]=r/p、独立な和の分散の加法性(第7章)から V[X]=rq/p2V[X]=rq/p^2 である。

(2) 「rr 回目の成功が kk 回目までに起きる」ことと「最初の kk 回の中に成功が rr 回以上ある」ことは同じ事象である。前者の確率が P(X≤k)P(X\le k)、後者の確率が P(W≥r)P(W\ge r) である。

(2) は、待ち回数の分布の確率を、試行の回数を固定した二項分布の確率に読み替える式である。負の二項分布の確率関数を rr から kk まで足す代わりに、二項分布の確率を少数の項で計算すればよい。同じ形の関係は、連続の時間ではガンマ分布とポアソン分布の間に成り立つ(数理統計の解説 第3章 §3.2 で扱う)。

例題 5.6 3回目の成功までの回数 ★★

オリジナル1回の勧誘で契約が取れる確率が 0.40.4 で、勧誘の結果は互いに独立とする。3件目の契約が取れるまでの勧誘の回数を XX とする。

  1. P(X=5)P(X=5) を求めよ。
  2. E[X]E[X] と V[X]V[X] を求めよ。
  3. P(X≤5)P(X\le5) を、定理 5.11 (2) を使って求めよ。
解答

(1) r=3r=3、p=0.4p=0.4、k=5k=5 を式 (5.10) に入れて

P(X=5)=(42) 0.43 0.62=6×0.064×0.36=0.13824.P(X=5)=\binom42\,0.4^3\,0.6^2=6\times0.064\times0.36=0.13824.

(2) E[X]=3/0.4=7.5E[X]=3/0.4=7.5、V[X]=3×0.6/0.42=1.8/0.16=11.25V[X]=3\times0.6/0.4^2=1.8/0.16=11.25 である。

(3) W∼Bin(5,0.4)W\sim\mathrm{Bin}(5,0.4) として P(X≤5)=P(W≥3)P(X\le5)=P(W\ge3) である。

P(W=3)=10×0.064×0.36=0.2304,P(W=4)=5×0.0256×0.6=0.0768,P(W=5)=0.45=0.01024\begin{aligned} P(W=3)&=10\times0.064\times0.36=0.2304,\\ P(W=4)&=5\times0.0256\times0.6=0.0768,\\ P(W=5)&=0.4^5=0.01024 \end{aligned}

を足して P(X≤5)=0.31744P(X\le5)=0.31744 である。検算として、負の二項分布の側から P(X=3)=0.43=0.064P(X=3)=0.4^3=0.064、P(X=4)=(32) 0.43 0.6=0.1152P(X=4)=\binom32\,0.4^3\,0.6=0.1152、P(X=5)=0.13824P(X=5)=0.13824 を足しても 0.317440.31744 になる。

確認テスト

オリジナル

  1. 5.3-1 試行の回数で数えた幾何分布について、P(X>k)=∑j=k+1∞qj−1pP(X>k)=\sum_{j=k+1}^\infty q^{j-1}p を等比級数で計算し、qkq^k になることを確かめよ。
  2. 5.3-2 失敗の回数 Y=X−1Y=X-1 の確率関数を書き、E[Y]E[Y] と V[Y]V[Y] を求めよ。
  3. 5.3-3 正の整数値をとる確率変数 XX が P(X=1)=0.2P(X=1)=0.2 と無記憶性を満たすとき、P(X=4)P(X=4) と P(X≥4)P(X\ge4) を求めよ。
  4. 5.3-4 当たりの確率が 0.20.2 のくじを、2本当たるまで(引いたくじは毎回元に戻して)引き続ける。引く回数を XX とするとき、E[X]E[X]・V[X]V[X]・P(X≤4)P(X\le4) を求めよ。

木下の勉強ステータス

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