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この章のまとめと試験での出方

2026年10月17日8分で読めますAI生成教科書『資格試験』第7章 2変数の確率分布

AI 生成・木下が未勉強

統計学の復習 第7章 §7.3

この章では、2つの確率変数の振る舞いを同時分布で記述し、片方について足すか積分すると周辺分布が、片方の値で条件を付けて割ると条件付き分布が出ることを確かめた。独立は同時分布が周辺分布の積に分かれることで、台が長方形でないときは独立にならない。2変数の関数の期待値は同時分布についての和や積分で計算でき、和の期待値は独立でなくても足し算に分かれるが、積の期待値が積に分かれるには独立性が要る。その差が共分散 Cov(X,Y)=E[XY]−E[X]E[Y]\mathrm{Cov}(X,Y)=E[XY]-E[X]E[Y] で、共分散は双線形であり、線形結合の分散は

V[∑iaiXi]=∑iai2V[Xi]+2∑i<jaiaj Cov(Xi,Xj)V\Bigl[\sum_ia_iX_i\Bigr]=\sum_ia_i^2V[X_i]+2\sum_{i<j}a_ia_j\,\mathrm{Cov}(X_i,X_j)

と対角項と非対角項に分かれる。独立(無相関)で分散が等しければ V[Xˉ]=σ2/nV[\bar X]=\sigma^2/n である。共分散を標準偏差の積で割った相関係数は −1-1 と 11 の間にあり、±1\pm1 は直線の関係に限られる。独立なら無相関だが、無相関でも独立とは限らない。

量式独立のとき
周辺分布pX(x)=∑yp(x,y)p_X(x)=\sum_yp(x,y)、fX(x)=∫f(x,y) dyf_X(x)=\int f(x,y)\,\mathrm{d} y
同時分布p(x,y)p(x,y)、f(x,y)f(x,y)pXpYp_Xp_Y、fXfYf_Xf_Y
和の期待値E[aX+bY]=aE[X]+bE[Y]E[aX+bY]=aE[X]+bE[Y]同じ
積の期待値E[XY]=E[X]E[Y]+Cov(X,Y)E[XY]=E[X]E[Y]+\mathrm{Cov}(X,Y)E[X]E[Y]E[X]E[Y]
和の分散V[aX+bY]=a2V[X]+b2V[Y]+2ab CovV[aX+bY]=a^2V[X]+b^2V[Y]+2ab\,\mathrm{Cov}a2V[X]+b2V[Y]a^2V[X]+b^2V[Y]
相関係数ρ=Cov/(σXσY)∈[−1,1]\rho=\mathrm{Cov}/(\sigma_X\sigma_Y)\in[-1,1]00

2級では、同時確率の表から周辺確率・条件付き確率・独立かどうかを読み取る問いと、V[aX+bY]V[aX+bY] や V[X−Y]V[X-Y] に数値を入れる問いが中心である。失点が多いのは、V[X−Y]V[X-Y] を引き算にする誤り、V[2X]=2V[X]V[2X]=2V[X] とする誤り(正しくは 4V[X]4V[X])、独立でないのに共分散の項を落とす誤りの3つである。データの共分散と相関係数の計算は第14章で扱う。

1級の統計数理では、この章の道具は単独で問われるより、推定量の性質を調べる小問の中で使われることが多い。典型的な連鎖は「推定量を観測値の線形結合として書く → 期待値の線形性で不偏性を確かめる → 共分散の項まで含めて分散を計算する → 分散を最小にする係数を選ぶ(例題 7.4 の型)」である。また、同時密度を与えて「周辺密度を求める → 独立かを判定する → 条件付き密度と条件付き期待値を求める → 共分散と相関係数を計算する」という連鎖も、多次元の確率分布の大問の前半の典型である。後者の続き(変数変換で和や比の密度を出す、2変量正規分布の条件付き分布)は数理統計の解説 第4章 §4.3・§4.4 で扱う。

次の総合問題は、第3章の数え上げ、第5章の二項分布、この章の共分散、第8章の中心極限定理をつなぐ。

総合問題 サイコロの目の個数の共分散(多項分布の入口)★★★

オリジナルサイコロを nn 回独立に振り、1の目が出た回数を XX、2の目が出た回数を YY とする。一般に、1回の試行で1の目が出る確率を p1p_1、2の目が出る確率を p2p_2(p1+p2<1p_1+p_2<1)として考え、最後にサイコロの値 p1=p2=1/6p_1=p_2=1/6 を入れる。

  1. (1) 同時確率 P(X=x, Y=y)P(X=x,\ Y=y) を数え上げで求めよ。また XX の周辺分布を答え、XX と YY が独立でないことを示せ。(使う道具:第3章 組合せ、第5章 二項分布、本章 §7.1)
  2. (2) ii 回目に1の目なら 11 をとる変数 AiA_i、2の目なら 11 をとる変数 BiB_i を使って X=∑iAiX=\sum_iA_i、Y=∑iBiY=\sum_iB_i と書き、Cov(X,Y)=−np1p2\mathrm{Cov}(X,Y)=-np_1p_2 を示せ。(使う道具:本章 定理 7.12)
  3. (3) 相関係数 ρ(X,Y)\rho(X,Y) を p1,p2p_1,p_2 で表し、サイコロの場合の値を求めよ。
  4. (4) V[X−Y]V[X-Y] と V[X+Y]V[X+Y] を求めよ。X+YX+Y の分布を別の見方で答え、V[X+Y]V[X+Y] が一致することを確かめよ。(使う道具:本章 定理 7.13、第5章 二項分布の分散)
  5. (5) n=180n=180 のサイコロで、X−YX-Y の期待値と標準偏差を求めよ。X−Y=∑i(Ai−Bi)X-Y=\sum_i(A_i-B_i) が独立同分布の和であることから中心極限定理(第8章)で正規分布に近似し、連続補正をして P(X−Y≥10)P(X-Y\ge10) の近似値を求めよ。
解答

(1) nn 回の結果の列のうち、1の目が xx 回、2の目が yy 回、それ以外が n−x−yn-x-y 回になる列は、nn 個の位置から1の目の位置を xx 個、残りから2の目の位置を yy 個選ぶ方法の数だけあり、その数は(nx)(n−xy)=n!x! y! (n−x−y)!\binom nx\binom{n-x}y=\dfrac{n!}{x!\,y!\,(n-x-y)!} である。各列の確率は独立性から p1xp2y(1−p1−p2)n−x−yp_1^xp_2^y(1-p_1-p_2)^{n-x-y} なので、x,y≥0x,y\ge0、x+y≤nx+y\le n で

P(X=x, Y=y)=n!x! y! (n−x−y)! p1x p2y (1−p1−p2)n−x−yP(X=x,\ Y=y)=\frac{n!}{x!\,y!\,(n-x-y)!}\,p_1^x\,p_2^y\,(1-p_1-p_2)^{n-x-y}

である(この分布を多項分布と呼び、数理統計の解説 第3章・第4章で一般の形を扱う)。XX だけを見ると、各回が「1の目か否か」のベルヌーイ試行なので X∼Bin(n,p1)X\sim\mathrm{Bin}(n,p_1)、同様に Y∼Bin(n,p2)Y\sim\mathrm{Bin}(n,p_2) である。P(X=n, Y=n)=0P(X=n,\ Y=n)=0(nn 回すべてが1の目で、かつすべてが2の目にはならない)だが、P(X=n)P(Y=n)=p1np2n>0P(X=n)P(Y=n)=p_1^np_2^n>0 なので独立でない。台が三角形 {x+y≤n}\{x+y\le n\} で長方形でないことが原因である。

(2) 双線形性(定理 7.12 (iii)(iv))から

Cov(X,Y)=∑i=1n∑j=1nCov(Ai,Bj).\mathrm{Cov}(X,Y)=\sum_{i=1}^n\sum_{j=1}^n\mathrm{Cov}(A_i,B_j).

i≠ji\ne j では、AiA_i は ii 回目だけで、BjB_j は jj 回目だけで決まり、異なる回の試行は独立なので Cov(Ai,Bj)=0\mathrm{Cov}(A_i,B_j)=0 である。i=ji=j では、同じ回に1の目と2の目が同時に出ることはないので AiBi=0A_iB_i=0 で、Cov(Ai,Bi)=E[AiBi]−E[Ai]E[Bi]=0−p1p2\mathrm{Cov}(A_i,B_i)=E[A_iB_i]-E[A_i]E[B_i]=0-p_1p_2 である。nn 個の対角の項が残り、Cov(X,Y)=−np1p2\mathrm{Cov}(X,Y)=-np_1p_2 となる。1の目が多く出れば、残りの回数が減るので2の目は少なくなりやすく、負の符号はこの事情と合う。

(3) V[X]=np1(1−p1)V[X]=np_1(1-p_1)、V[Y]=np2(1−p2)V[Y]=np_2(1-p_2) なので

ρ(X,Y)=−np1p2np1(1−p1)⋅np2(1−p2)=−p1p2(1−p1)(1−p2)\rho(X,Y)=\frac{-np_1p_2}{\sqrt{np_1(1-p_1)\cdot np_2(1-p_2)}}=-\sqrt{\frac{p_1p_2}{(1-p_1)(1-p_2)}}

で、nn によらない。p1=p2=1/6p_1=p_2=1/6 なら ρ=−1/65/6=−15\rho=-\dfrac{1/6}{5/6}=-\dfrac15 である。

(4) 式 (7.13) から

V[X−Y]=np1(1−p1)+np2(1−p2)+2np1p2,V[X+Y]=np1(1−p1)+np2(1−p2)−2np1p2.\begin{aligned} V[X-Y]&=np_1(1-p_1)+np_2(1-p_2)+2np_1p_2,\\ V[X+Y]&=np_1(1-p_1)+np_2(1-p_2)-2np_1p_2. \end{aligned}

X+YX+Y は「1の目か2の目が出た回数」で、各回が確率 p1+p2p_1+p_2 のベルヌーイ試行なので X+Y∼Bin(n,p1+p2)X+Y\sim\mathrm{Bin}(n,p_1+p_2) であり、V[X+Y]=n(p1+p2)(1−p1−p2)V[X+Y]=n(p_1+p_2)(1-p_1-p_2) である。展開すると n(p1+p2)−n(p12+2p1p2+p22)=np1(1−p1)+np2(1−p2)−2np1p2n(p_1+p_2)-n(p_1^2+2p_1p_2+p_2^2)=np_1(1-p_1)+np_2(1-p_2)-2np_1p_2 で、上の式と一致する。共分散の項 −2np1p2-2np_1p_2 を落とすと一致しない。

(5) n=180n=180、p1=p2=1/6p_1=p_2=1/6 では E[X−Y]=30−30=0E[X-Y]=30-30=0、V[X]=V[Y]=180⋅16⋅56=25V[X]=V[Y]=180\cdot\frac16\cdot\frac56=25、Cov(X,Y)=−180/36=−5\mathrm{Cov}(X,Y)=-180/36=-5 なので

V[X−Y]=25+25+10=60,標準偏差=60=7.746V[X-Y]=25+25+10=60,\qquad\text{標準偏差}=\sqrt{60}=7.746

である(参考に V[X+Y]=40=180⋅13⋅23V[X+Y]=40=180\cdot\frac13\cdot\frac23)。X−YX-Y は整数値をとるので、X−Y≥10X-Y\ge10 を連続の分布では X−Y≥9.5X-Y\ge9.5 と読み替えて

P(X−Y≥10)≈P(Z≥9.57.746)=P(Z≥1.226)=0.110P(X-Y\ge10)\approx P\Bigl(Z\ge\frac{9.5}{7.746}\Bigr)=P(Z\ge1.226)=0.110

となる(Z∼N(0,1)Z\sim\mathrm{N}(0,1))。(1) の多項分布の確率を正確に足し合わせた値は 0.10990.1099 で、近似はよく合っている。共分散を無視して V[X−Y]=50V[X-Y]=50 とすると、標準偏差 7.0717.071 から P(Z≥1.344)=0.090P(Z\ge1.344)=0.090 となり、確率を2割ほど小さく見積もる。

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