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全数調査と標本調査

2026年10月17日8分で読めますAI生成教科書『資格試験』第8章 標本抽出と大数の法則・中心極限定理
目次
  1. 全数調査と標本調査の使い分け
  2. 標本誤差と非標本誤差
  3. 必要な標本の大きさ
  4. 確認テスト
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

統計学の復習 第8章 §8.2 ★★ 全数調査でも誤差は残る。標本調査の誤差は、nn を増やすと小さくなる標本誤差と、nn によらない非標本誤差(偏り)に分かれ、平均二乗誤差は分散と偏りの2乗の和になる

全数調査と標本調査の使い分け

母集団のすべての個体を調べる方法を全数調査(悉皆調査)、一部を取り出して調べる方法を標本調査と呼ぶ。全数調査では標本の選び方による偶然のぶれは生じないが、費用と時間が大きい。標本調査を選ぶ理由は次の4つに分けて考えることができる。

  1. 費用と時間。母集団が大きいと全数調査は実行できないか、結果が出るまでに状況が変わってしまう。
  2. 破壊検査。電球の寿命や食品の成分のように、調べると製品が使えなくなる場合は、全数を調べると売る物が残らない。
  3. 無限母集団。測定の繰り返しや将来の製品のように、母集団の個体をすべて取り出すことがそもそもできない。
  4. 調査の質。調べる個体を減らすと、1件ごとの測定や聞き取りを丁寧に行うことができ、後で述べる非標本誤差を小さくすることができる。

逆に、母集団が小さく1件の誤りの重みが大きい場合(少人数の組織の名簿の確認や、法律で全数を調べることが決まっている調査)は全数調査を選ぶ。

標本を取り出す元になる個体の一覧(名簿・番号の表)を抽出枠(フレーム)と呼ぶ。抽出枠に載っていない個体は標本に選ばれる可能性がないので、抽出枠と母集団のずれはそのまま結果の偏りになる。

標本誤差と非標本誤差

推定値と母数の差(誤差)は、原因で2つに分かれる。

  1. 標本誤差。どの個体が選ばれたかという偶然によるぶれで、無作為抽出をしていれば確率の計算で大きさを評価できる。標本平均では標準誤差 σ/n\sigma/\sqrt n が目安で、nn を増やすと小さくなり、全数調査では 00 になる。
  2. 非標本誤差。抽出枠の不備(枠に載らない層がある)、回答しない人がいること(無回答)、質問の仕方や測定の誤り、集計の誤りなど、抽出の偶然以外の原因による誤差である。全数調査でも生じ、nn を増やしても小さくならない。

この2つは、推定量 TT が母数 θ\theta からどれだけ離れるかを測る平均二乗誤差 MSE(T)=E[(T−θ)2]\mathrm{MSE}(T)=E[(T-\theta)^2] の分解として式に表すことができる。TT の期待値を E[T]E[T] と書き、T−θ=(T−E[T])+(E[T]−θ)T-\theta=(T-E[T])+(E[T]-\theta) と分けて2乗の期待値をとると、交差項は 2(E[T]−θ) E[T−E[T]]=02(E[T]-\theta)\,E[T-E[T]]=0 なので

MSE(T)=V[T]+(E[T]−θ)2(8.5)\mathrm{MSE}(T)=V[T]+\bigl(E[T]-\theta\bigr)^2\tag{8.5}

となる。第2項の E[T]−θE[T]-\theta を偏り(バイアス)と呼ぶ。標本誤差は第1項の V[T]V[T] に、非標本誤差の多くは第2項の偏りに現れる。V[T]V[T] は nn に反比例して小さくなるが、偏りは nn によらないので、nn が大きい調査ほど MSE\mathrm{MSE} の中で偏りの割合が大きくなる。

例題 8.2 無回答による偏りは標本を増やしても消えない ★★

オリジナルある町の有権者は、若年層が60%、高齢層が40%で、ある政策の支持率は若年層で 0.30.3、高齢層で 0.60.6 である。調査票を無作為に選んだ人に送ると、若年層は50%、高齢層は80%が回答する。回答者の中での支持率を推定値として使う。

  1. 町全体の真の支持率を求めよ。
  2. 回答者に占める若年層の割合と、回答者の中での支持率(推定量の期待値)を求め、偏りを求めよ。
  3. 回答者が1000人のとき、推定量の標準誤差と平均二乗誤差を求め、その中で偏りの2乗が占める割合を答えよ。回答者の中での支持率を prp_r と書き、回答者1000人は支持率 prp_r の集団からの無作為標本とみなしてよい。
解答

(1) 全確率の公式(第3章)から 0.6×0.3+0.4×0.6=0.18+0.24=0.420.6\times0.3+0.4\times0.6=0.18+0.24=0.42 である。

(2) 調査票を送った人のうち、回答する若年層の割合は 0.6×0.5=0.300.6\times0.5=0.30、回答する高齢層の割合は 0.4×0.8=0.320.4\times0.8=0.32 で、回答者全体の割合は 0.620.62 である。回答者に占める若年層の割合は 0.30/0.62=0.48390.30/0.62=0.4839、高齢層は 0.32/0.62=0.51610.32/0.62=0.5161 である。回答者の中での支持率は

pr=0.4839×0.3+0.5161×0.6=0.1452+0.3097=0.4548p_r=0.4839\times0.3+0.5161\times0.6=0.1452+0.3097=0.4548

で、偏りは 0.4548−0.42=0.03480.4548-0.42=0.0348 である。高齢層の方がよく回答し、高齢層の支持率が高いので、推定値は上へずれる。

(3) 標準誤差は pr(1−pr)/1000=0.4548×0.5452/1000=0.0157\sqrt{p_r(1-p_r)/1000}=\sqrt{0.4548\times0.5452/1000}=0.0157 で、分散は 0.0002480.000248 である。偏りの2乗は 0.03482=0.0012140.0348^2=0.001214 なので、式 (8.5) から MSE=0.000248+0.001214=0.001462\mathrm{MSE}=0.000248+0.001214=0.001462 となる。偏りの2乗の割合は 0.001214/0.001462=0.830.001214/0.001462=0.83 で、誤差の8割以上が偏りによる。回答者を10倍の1万人にしても分散は 0.00002480.0000248 に下がるだけで、偏り 0.03480.0348 はそのまま残る。偏りを小さくするには、若年層の回答を増やす働きかけや、層ごとの回答率で重みを付け直す集計が要る。

必要な標本の大きさ

母比率 pp を標本比率 p^\hat p で推定するとき、標準誤差を ee 以下にしたい場合に必要な nn を、有限母集団修正を含めて求める。非復元抽出の p^\hat p は0か1の値の標本平均なので、定理 8.3 から V[p^]=p(1−p)n⋅N−nN−1V[\hat p]=\dfrac{p(1-p)}n\cdot\dfrac{N-n}{N-1} である。これが e2e^2 以下という条件を nn について解くと

p(1−p)(N−n)≤e2n(N−1)  ⟺  Np(1−p)≤n{(N−1)e2+p(1−p)}p(1-p)(N-n)\le e^2n(N-1)\iff Np(1-p)\le n\bigl\{(N-1)e^2+p(1-p)\bigr\}

となるので

n≥Np(1−p)(N−1)e2+p(1−p)(8.6)n\ge\frac{Np(1-p)}{(N-1)e^2+p(1-p)}\tag{8.6}

を得る。N→∞N\to\infty では右辺は p(1−p)/e2p(1-p)/e^2 に近づき、修正のない式 V[p^]=p(1−p)/n≤e2V[\hat p]=p(1-p)/n\le e^2 と一致する。pp が分からないときは、p(1−p)p(1-p) が p=1/2p=1/2 で最大値 1/41/4 をとることを使い、p=1/2p=1/2 として安全側の nn を求める。信頼係数95%の区間の幅で条件を与える場合は、ee の代わりに「区間の半幅 /1.96/1.96」を使う(第11章で扱う)。

例題 8.3 母集団の大きさで必要な標本の大きさが変わる ★★

オリジナル支持率 pp が分からない政策について、標本比率の標準誤差を 0.010.01 以下にしたい。母集団の大きさが (1) 十分大きい(N→∞N\to\infty)、(2) N=10000N=10000、(3) N=2000N=2000 のそれぞれの場合に、必要な標本の大きさの最小値を求めよ。

解答

pp が分からないので p(1−p)=1/4p(1-p)=1/4 とする。

(1) n≥0.25/0.012=2500n\ge0.25/0.01^2=2500 で、最小値は 25002500 である。

(2) 式 (8.6) から

n≥10000×0.259999×0.0001+0.25=25001.2499=2000.16n\ge\frac{10000\times0.25}{9999\times0.0001+0.25}=\frac{2500}{1.2499}=2000.16

で、nn は整数なので切り上げて 20012001 である。

(3) 同様に n≥2000×0.251999×0.0001+0.25=5000.4499=1111.36n\ge\dfrac{2000\times0.25}{1999\times0.0001+0.25}=\dfrac{500}{0.4499}=1111.36 で、11121112 である。

母集団が十分大きければ、必要な nn は母集団の大きさによらない。全国の有権者でも1つの市の有権者でも、同じ精度に要る標本の大きさはほぼ同じである。母集団が小さくなって抜き取りの割合が大きくなると、有限母集団修正の分だけ少ない標本で足りる。

確認テスト

オリジナル

  1. 8.2-1 次の調査は全数調査と標本調査のどちらで行うのが適切か。理由を1行で答えよ。(a) 出荷する花火の点火時間の検査 (b) 社員20人の会社での健康診断の受診状況の確認 (c) 全国の小学生の睡眠時間の平均の把握
  2. 8.2-2 推定量 TT と母数 θ\theta について、式 (8.5) MSE(T)=V[T]+(E[T]−θ)2\mathrm{MSE}(T)=V[T]+(E[T]-\theta)^2 を、交差項が 00 になる理由を明記して示せ。
  3. 8.2-3 母数 θ\theta の推定量として、偏りが 00 で分散が 4/n4/n の T1T_1 と、偏りが 0.10.1 で分散が 1/n1/n の T2T_2 がある。平均二乗誤差で比べて T1T_1 の方が小さくなるのは nn がいくつより大きいときか。
  4. 8.2-4 N=500N=500 人の部員の中での賛成の割合を、標準誤差 0.020.02 以下で推定したい。pp が分からないとき、必要な標本の大きさの最小値を式 (8.6) で求めよ。有限母集団修正をしない場合と比べよ。

木下の勉強ステータス

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