全数調査と標本調査
AI 生成・木下が未勉強
統計学の復習 第8章 §8.2 ★★ 全数調査でも誤差は残る。標本調査の誤差は、 を増やすと小さくなる標本誤差と、 によらない非標本誤差(偏り)に分かれ、平均二乗誤差は分散と偏りの2乗の和になる
全数調査と標本調査の使い分け
母集団のすべての個体を調べる方法を全数調査(悉皆調査)、一部を取り出して調べる方法を標本調査と呼ぶ。全数調査では標本の選び方による偶然のぶれは生じないが、費用と時間が大きい。標本調査を選ぶ理由は次の4つに分けて考えることができる。
- 費用と時間。母集団が大きいと全数調査は実行できないか、結果が出るまでに状況が変わってしまう。
- 破壊検査。電球の寿命や食品の成分のように、調べると製品が使えなくなる場合は、全数を調べると売る物が残らない。
- 無限母集団。測定の繰り返しや将来の製品のように、母集団の個体をすべて取り出すことがそもそもできない。
- 調査の質。調べる個体を減らすと、1件ごとの測定や聞き取りを丁寧に行うことができ、後で述べる非標本誤差を小さくすることができる。
逆に、母集団が小さく1件の誤りの重みが大きい場合(少人数の組織の名簿の確認や、法律で全数を調べることが決まっている調査)は全数調査を選ぶ。
標本を取り出す元になる個体の一覧(名簿・番号の表)を抽出枠(フレーム)と呼ぶ。抽出枠に載っていない個体は標本に選ばれる可能性がないので、抽出枠と母集団のずれはそのまま結果の偏りになる。
標本誤差と非標本誤差
推定値と母数の差(誤差)は、原因で2つに分かれる。
- 標本誤差。どの個体が選ばれたかという偶然によるぶれで、無作為抽出をしていれば確率の計算で大きさを評価できる。標本平均では標準誤差 が目安で、 を増やすと小さくなり、全数調査では になる。
- 非標本誤差。抽出枠の不備(枠に載らない層がある)、回答しない人がいること(無回答)、質問の仕方や測定の誤り、集計の誤りなど、抽出の偶然以外の原因による誤差である。全数調査でも生じ、 を増やしても小さくならない。
この2つは、推定量 が母数 からどれだけ離れるかを測る平均二乗誤差 の分解として式に表すことができる。 の期待値を と書き、 と分けて2乗の期待値をとると、交差項は なので
となる。第2項の を偏り(バイアス)と呼ぶ。標本誤差は第1項の に、非標本誤差の多くは第2項の偏りに現れる。 は に反比例して小さくなるが、偏りは によらないので、 が大きい調査ほど の中で偏りの割合が大きくなる。
例題 8.2 無回答による偏りは標本を増やしても消えない ★★
オリジナルある町の有権者は、若年層が60%、高齢層が40%で、ある政策の支持率は若年層で 、高齢層で である。調査票を無作為に選んだ人に送ると、若年層は50%、高齢層は80%が回答する。回答者の中での支持率を推定値として使う。
- 町全体の真の支持率を求めよ。
- 回答者に占める若年層の割合と、回答者の中での支持率(推定量の期待値)を求め、偏りを求めよ。
- 回答者が1000人のとき、推定量の標準誤差と平均二乗誤差を求め、その中で偏りの2乗が占める割合を答えよ。回答者の中での支持率を と書き、回答者1000人は支持率 の集団からの無作為標本とみなしてよい。
解答
(1) 全確率の公式(第3章)から である。
(2) 調査票を送った人のうち、回答する若年層の割合は 、回答する高齢層の割合は で、回答者全体の割合は である。回答者に占める若年層の割合は 、高齢層は である。回答者の中での支持率は
で、偏りは である。高齢層の方がよく回答し、高齢層の支持率が高いので、推定値は上へずれる。
(3) 標準誤差は で、分散は である。偏りの2乗は なので、式 (8.5) から となる。偏りの2乗の割合は で、誤差の8割以上が偏りによる。回答者を10倍の1万人にしても分散は に下がるだけで、偏り はそのまま残る。偏りを小さくするには、若年層の回答を増やす働きかけや、層ごとの回答率で重みを付け直す集計が要る。
必要な標本の大きさ
母比率 を標本比率 で推定するとき、標準誤差を 以下にしたい場合に必要な を、有限母集団修正を含めて求める。非復元抽出の は0か1の値の標本平均なので、定理 8.3 から である。これが 以下という条件を について解くと
となるので
を得る。 では右辺は に近づき、修正のない式 と一致する。 が分からないときは、 が で最大値 をとることを使い、 として安全側の を求める。信頼係数95%の区間の幅で条件を与える場合は、 の代わりに「区間の半幅 」を使う(第11章で扱う)。
例題 8.3 母集団の大きさで必要な標本の大きさが変わる ★★
オリジナル支持率 が分からない政策について、標本比率の標準誤差を 以下にしたい。母集団の大きさが (1) 十分大きい()、(2) 、(3) のそれぞれの場合に、必要な標本の大きさの最小値を求めよ。
解答
が分からないので とする。
(1) で、最小値は である。
(2) 式 (8.6) から
で、 は整数なので切り上げて である。
(3) 同様に で、 である。
母集団が十分大きければ、必要な は母集団の大きさによらない。全国の有権者でも1つの市の有権者でも、同じ精度に要る標本の大きさはほぼ同じである。母集団が小さくなって抜き取りの割合が大きくなると、有限母集団修正の分だけ少ない標本で足りる。
確認テスト
オリジナル
- 8.2-1 次の調査は全数調査と標本調査のどちらで行うのが適切か。理由を1行で答えよ。(a) 出荷する花火の点火時間の検査 (b) 社員20人の会社での健康診断の受診状況の確認 (c) 全国の小学生の睡眠時間の平均の把握
- 8.2-2 推定量 と母数 について、式 (8.5) を、交差項が になる理由を明記して示せ。
- 8.2-3 母数 の推定量として、偏りが で分散が の と、偏りが で分散が の がある。平均二乗誤差で比べて の方が小さくなるのは がいくつより大きいときか。
- 8.2-4 人の部員の中での賛成の割合を、標準誤差 以下で推定したい。 が分からないとき、必要な標本の大きさの最小値を式 (8.6) で求めよ。有限母集団修正をしない場合と比べよ。
木下の勉強ステータス
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