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標本の抽出方法

2026年10月17日14分で読めますAI生成教科書『資格試験』第8章 標本抽出と大数の法則・中心極限定理
目次
  1. 6つの抽出方法
  2. 層別抽出の分散
  3. クラスター抽出の分散
  4. 確認テスト
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

統計学の復習 第8章 §8.3 ★★★ 層別抽出はすべての層から取り出して精度を上げ、クラスター抽出は集落を選んで費用を下げる。違いは推定量の分散の式に現れる

6つの抽出方法

2級で問われる抽出方法は次の6つである。前の5つは個体を選ぶ段階に確率を使う無作為抽出で、最後の1つだけが無作為でない。

  1. 単純無作為抽出。母集団の全個体に番号を振り、乱数で nn 個を選ぶ。どの nn 個の組も同じ確率で選ばれる。推定量の分散の式が最も素直で、ほかの方法と比べる基準になる。全個体の抽出枠が要り、選ばれた個体が地理的に散らばるので調査の費用は大きい。
  2. 系統抽出。抽出枠の先頭の kk 個から乱数で1つを選び、そこから一定の間隔 kk ごとに選ぶ。手間は少ないが、抽出枠の並び順に周期 kk(またはその約数)の繰り返しがあると、同じ性質の個体ばかりが選ばれて偏る。
  3. 層別抽出。母集団を、性別・年齢層・地域などの属性で層に分け、すべての層からそれぞれ無作為に取り出す。各層の大きさに比例して標本を配る方法を比例配分と呼ぶ。目的は精度を上げることである。
  4. クラスター抽出(集落抽出)。母集団を学校・町丁目・世帯などの集落に分け、集落そのものを無作為に選び、選ばれた集落の中は全数を調べる。選ばれなかった集落からは1個体も取り出さない。目的は費用を下げることである。
  5. 多段抽出。抽出を何段階かに分ける。たとえば第1段で市町村を選び、第2段で選ばれた市町村の中から地区を選び、第3段で選ばれた地区の中から世帯を選ぶ。選ばれた集落の中をさらに抽出する点でクラスター抽出と異なり、2段抽出は「クラスター抽出の第2段を全数でなく標本にしたもの」である。各段で選ぶ数をそろえる必要はない。
  6. 有意抽出。調査者が「代表的だ」と判断した個体を選ぶ。選ばれる確率が決まっていないので、標本誤差を確率で評価することができず、選び方の偏りを確かめる手段もない。街頭での聞き取りや、応募してきた人だけの調査がこれに当たる。

層別抽出とクラスター抽出の分かれ目

母集団をグループに分けたあと、すべてのグループから取り出すのが層別抽出、グループ自体を抽選して選ばれなかったグループからは取り出さないのがクラスター抽出である。問題文に「各グループから」とあれば層別抽出、「グループを選び」とあればクラスター抽出か多段抽出で、選んだグループの中を全部調べるならクラスター抽出、さらに選ぶなら多段抽出である。層別抽出は層の内側がよく似ていて層どうしが違うときに精度が上がり、クラスター抽出は各集落が母集団の縮図になっているときに精度の損失が小さい。

この2つの方法の精度を、以下で推定量の分散の式として比べる。計算を簡単にするため、各層・各集落の中は十分大きく、戻すか戻さないかの違い(有限母集団修正)は無視する。

層別抽出の分散

母集団が HH 個の層に分かれ、層 hh の個体の割合を WhW_h(∑hWh=1\sum_hW_h=1)、層 hh の中での平均と分散を μh\mu_h、σh2\sigma_h^2 とする。母平均は μ=∑hWhμh\mu=\sum_hW_h\mu_h である。まず母分散を、層の中のばらつきと層の間のばらつきに分ける。

定理 8.4(母分散の層内・層間への分解)

σ2=∑h=1HWhσh2⏟層内+∑h=1HWh(μh−μ)2⏟層間.(8.7)\sigma^2=\underbrace{\sum_{h=1}^HW_h\sigma_h^2}_{\text{層内}}+\underbrace{\sum_{h=1}^HW_h(\mu_h-\mu)^2}_{\text{層間}}.\tag{8.7}

証明

層 hh に属する個体の値を vv と書き、v−μ=(v−μh)+(μh−μ)v-\mu=(v-\mu_h)+(\mu_h-\mu) と分ける。層 hh の中で2乗を平均すると

1Nh∑v∈h(v−μ)2=1Nh∑v∈h(v−μh)2+2(μh−μ)Nh∑v∈h(v−μh)+(μh−μ)2=σh2+(μh−μ)2\frac1{N_h}\sum_{v\in h}(v-\mu)^2=\frac1{N_h}\sum_{v\in h}(v-\mu_h)^2+\frac{2(\mu_h-\mu)}{N_h}\sum_{v\in h}(v-\mu_h)+(\mu_h-\mu)^2=\sigma_h^2+(\mu_h-\mu)^2

となる。NhN_h は層 hh の個体の数で、交差項は層の中の偏差の和 ∑v∈h(v−μh)=0\sum_{v\in h}(v-\mu_h)=0 なので消える。母分散は全個体の平均なので、層ごとの平均に重み Wh=Nh/NW_h=N_h/N を掛けて足すと σ2=∑hWh{σh2+(μh−μ)2}\sigma^2=\sum_hW_h\{\sigma_h^2+(\mu_h-\mu)^2\} となり、式 (8.7) が得られる。

層 hh から大きさ nhn_h の無作為標本を取り、その標本平均を Xˉh\bar X_h とする。層別抽出での母平均の推定量は、層ごとの標本平均を層の大きさで重み付けした

Xˉst=∑h=1HWhXˉh\bar X_{\mathrm{st}}=\sum_{h=1}^HW_h\bar X_h

である。各 Xˉh\bar X_h の期待値は μh\mu_h なので E[Xˉst]=∑hWhμh=μE[\bar X_{\mathrm{st}}]=\sum_hW_h\mu_h=\mu となる。層ごとの抽出は互いに独立なので、分散は各項の分散の和になり、V[Xˉh]=σh2/nhV[\bar X_h]=\sigma_h^2/n_h から

V[Xˉst]=∑h=1HWh2σh2nh(8.8)V[\bar X_{\mathrm{st}}]=\sum_{h=1}^HW_h^2\frac{\sigma_h^2}{n_h}\tag{8.8}

である。

定理 8.5(比例配分の層別抽出は単純無作為抽出より精度が高い)

比例配分 nh=nWhn_h=nW_h のとき

V[Xˉst]=1n∑h=1HWhσh2=σ2n−1n∑h=1HWh(μh−μ)2≤σ2n(8.9)V[\bar X_{\mathrm{st}}]=\frac1n\sum_{h=1}^HW_h\sigma_h^2=\frac{\sigma^2}n-\frac1n\sum_{h=1}^HW_h(\mu_h-\mu)^2\le\frac{\sigma^2}n\tag{8.9}

であり、単純無作為抽出の標本平均の分散 σ2/n\sigma^2/n との差は、層間のばらつきを nn で割ったものである。

証明

式 (8.8) に nh=nWhn_h=nW_h を入れると Wh2σh2/(nWh)=Whσh2/nW_h^2\sigma_h^2/(nW_h)=W_h\sigma_h^2/n となり、最初の等号が出る。2つ目の等号は定理 8.4 を ∑hWhσh2=σ2−∑hWh(μh−μ)2\sum_hW_h\sigma_h^2=\sigma^2-\sum_hW_h(\mu_h-\mu)^2 と書き直したものである。層間の項は2乗の重み付き和なので 00 以上で、不等号が成り立つ。

単純無作為抽出では、各層から何個体が選ばれるかが偶然で決まり、「たまたま若年層ばかり」という標本が混じる。その偶然が層間のばらつきの分だけ分散を大きくする。

比例配分の層別抽出は各層の個体数を固定するので、層間のばらつきが分散から除かれる。したがって層別の効果が大きいのは、層の平均 μh\mu_h どうしの違いが大きく、層の中が均質なときである。層ごとの分散 σh\sigma_h も分かっていれば、nhn_h を WhσhW_h\sigma_h に比例させる配分(Neyman 配分)で分散がさらに小さくなる(確認テスト 8.3-4)。

例題 8.4 比例配分の層別抽出と単純無作為抽出の精度を比べる ★★★

オリジナルある市の世帯の月の食費(千円)を調べる。世帯は単身・2〜3人・4人以上の3層に分かれ、層の割合と層の中での平均・標準偏差は次のとおりである。

層割合 WhW_h平均 μh\mu_h標準偏差 σh\sigma_h
単身0.54010
2〜3人0.36012
4人以上0.29020
  1. 母平均 μ\mu と母分散 σ2\sigma^2 を、層内と層間に分けて求めよ。
  2. 標本の大きさ 200200 で、単純無作為抽出と比例配分の層別抽出の標準誤差をそれぞれ求めよ。
  3. 単純無作為抽出で比例配分の層別抽出と同じ精度を得るには、標本の大きさがいくつ必要か。
解答

(1) μ=0.5×40+0.3×60+0.2×90=20+18+18=56\mu=0.5\times40+0.3\times60+0.2\times90=20+18+18=56 である。層内の項は

∑hWhσh2=0.5×100+0.3×144+0.2×400=50+43.2+80=173.2,\sum_hW_h\sigma_h^2=0.5\times100+0.3\times144+0.2\times400=50+43.2+80=173.2,

層間の項は μh−μ=−16, 4, 34\mu_h-\mu=-16,\ 4,\ 34 から

∑hWh(μh−μ)2=0.5×256+0.3×16+0.2×1156=128+4.8+231.2=364\sum_hW_h(\mu_h-\mu)^2=0.5\times256+0.3\times16+0.2\times1156=128+4.8+231.2=364

で、σ2=173.2+364=537.2\sigma^2=173.2+364=537.2 である。この母集団では、層の違いによるばらつきの方が層の中のばらつきより大きい。

(2) 単純無作為抽出では V[Xˉ]=537.2/200=2.686V[\bar X]=537.2/200=2.686 で、標準誤差は 2.686=1.639\sqrt{2.686}=1.639 千円である。比例配分の層別抽出では、式 (8.9) から V[Xˉst]=173.2/200=0.866V[\bar X_{\mathrm{st}}]=173.2/200=0.866 で、標準誤差は 0.866=0.931\sqrt{0.866}=0.931 千円である。層別にすることで分散は 173.2/537.2=0.322173.2/537.2=0.322 倍、およそ3分の1になる。

(3) 単純無作為抽出で 537.2/n≤0.866537.2/n\le0.866 となる nn は n≥537.2/0.866=620.3n\ge537.2/0.866=620.3 で、621621 世帯が必要である。層別抽出なら200世帯で同じ精度が得られる。

クラスター抽出の分散

クラスター抽出の精度が下がる理由は、同じ集落の個体どうしの値が似ていることにある。これを式で表すために、次のモデルを置く。各集落には mm 個の個体があり、どの個体の値も平均 μ\mu・分散 σ2\sigma^2 を持ち、同じ集落の異なる2個体の相関係数はどの組でも ρ\rho(級内相関係数)、異なる集落の個体どうしは独立とする。

定理 8.6(クラスター抽出の標本平均の分散)

上のモデルで、kk 個の集落を独立に選んで中の kmkm 個体を全数調べるとき、全体の標本平均 Xˉcl\bar X_{\mathrm{cl}} について

V[Xˉcl]=σ2km{1+(m−1)ρ}(8.10)V[\bar X_{\mathrm{cl}}]=\frac{\sigma^2}{km}\bigl\{1+(m-1)\rho\bigr\}\tag{8.10}

である。同じ kmkm 個体を単純無作為抽出したときの分散 σ2/(km)\sigma^2/(km) との比 1+(m−1)ρ1+(m-1)\rho をデザイン効果と呼ぶ。

証明

1つの集落の mm 個の値の和 CC の分散を、対角項 mm 個と非対角項 m(m−1)m(m-1) 個に分けて計算する。非対角項の共分散は ρσ⋅σ=ρσ2\rho\sigma\cdot\sigma=\rho\sigma^2 なので

V[C]=mσ2+m(m−1)ρσ2=mσ2{1+(m−1)ρ}V[C]=m\sigma^2+m(m-1)\rho\sigma^2=m\sigma^2\bigl\{1+(m-1)\rho\bigr\}

となる。kk 個の集落の和 C1,…,CkC_1,\dots,C_k は独立なので、Xˉcl=1km∑l=1kCl\bar X_{\mathrm{cl}}=\frac1{km}\sum_{l=1}^kC_l の分散は

V[Xˉcl]=1(km)2⋅k⋅mσ2{1+(m−1)ρ}=σ2km{1+(m−1)ρ}.□V[\bar X_{\mathrm{cl}}]=\frac1{(km)^2}\cdot k\cdot m\sigma^2\bigl\{1+(m-1)\rho\bigr\}=\frac{\sigma^2}{km}\bigl\{1+(m-1)\rho\bigr\}.\quad\square

ρ=0\rho=0 なら集落の中の個体は互いに無関係で、クラスター抽出は単純無作為抽出と同じ精度になる。ρ>0\rho>0 では、集落の大きさ mm が大きいほどデザイン効果が大きくなる。極端な ρ=1\rho=1 では集落の中の mm 個体が同じ値になり、mm 個体を調べても1個体分の情報しか得られない。クラスター抽出は個体1つあたりの費用が小さいので、デザイン効果の分だけ標本を増やしても全体の費用が単純無作為抽出より小さければ選ぶ価値がある。

例題 8.5 学級単位で調べるときのデザイン効果 ★★

オリジナル中学生の1日の勉強時間(分)を調べる。生徒を1人ずつ無作為に選ぶ代わりに、30人の学級を20学級無作為に選び、選んだ学級の全員に聞く。勉強時間の標準偏差は σ=10\sigma=10 分、同じ学級の生徒どうしの相関係数は ρ=0.05\rho=0.05 とする。

  1. デザイン効果と、標本平均の標準誤差を求めよ。同じ600人を単純無作為抽出したときの標準誤差と比べよ。
  2. この調査は、単純無作為抽出の何人分の精度に当たるか。
解答

(1) m=30m=30、k=20k=20 である。デザイン効果は 1+29×0.05=2.451+29\times0.05=2.45 で、式 (8.10) から

V[Xˉcl]=100600×2.45=0.4083,標準誤差=0.4083=0.639 分V[\bar X_{\mathrm{cl}}]=\frac{100}{600}\times2.45=0.4083,\qquad\text{標準誤差}=\sqrt{0.4083}=0.639\ \text{分}

となる。単純無作為抽出の600人では 100/600=0.408\sqrt{100/600}=0.408 分である。相関係数 0.050.05 は小さく見えるが、30人の集落では 2929 組分が積み重なり、分散は2.45倍になる。

(2) 分散が等しくなる単純無作為抽出の大きさ n′n' は 100/n′=0.4083100/n'=0.4083 から n′=600/2.45=244.9n'=600/2.45=244.9 で、約245人分の精度である。この量を有効標本の大きさと呼ぶ。

確認テスト

オリジナル

  1. 8.3-1 次の (a)〜(d) の抽出方法の名前を答えよ。(a) 全国から50の市を選び、各市の中から10の町を選び、各町の中から20世帯を選ぶ。(b) 従業員を部署ごとに分け、すべての部署からその人数に比例した人数を無作為に選ぶ。(c) 社員名簿の先頭10人から乱数で1人を選び、そこから10人おきに選ぶ。(d) 県内の高校を無作為に8校選び、その8校の全生徒に調査票を配る。
  2. 8.3-2 4人1組の班が600人分、各班「班長・副班長・記録・発表」の順に並んだ名簿から、間隔 k=4k=4 の系統抽出で150人を選ぶ。選ばれる人の役割にどんな偏りが生じるか。間隔を k=5k=5 にした場合(選ばれるのは120人)はどうか。
  3. 8.3-3 母集団が同じ大きさの2つの層(W1=W2=0.5W_1=W_2=0.5)に分かれ、ある性質を持つ個体の割合が層1で 0.20.2、層2で 0.80.8 である。値を「性質を持てば1、持たなければ0」として、母分散を層内と層間に分けて求めよ。標本の大きさ 100100 で、単純無作為抽出と比例配分の層別抽出のそれぞれについて、標本比率の標準誤差を求めよ。
  4. 8.3-4 式 (8.8) の分散を、∑hnh=n\sum_hn_h=n の条件の下で最小にする配分は nh=n Whσh/∑lWlσln_h=n\,W_h\sigma_h\big/\sum_lW_l\sigma_l で、そのときの最小値は (∑hWhσh)2/n\bigl(\sum_hW_h\sigma_h\bigr)^2/n であることを、Cauchy–Schwarz の不等式 (∑hahbh)2≤∑hah2∑hbh2\bigl(\sum_ha_hb_h\bigr)^2\le\sum_ha_h^2\sum_hb_h^2 を使って示せ。例題 8.4 の母集団で n=200n=200 のときの各層の nhn_h と分散の最小値を求め、比例配分の 0.8660.866 と比べよ。
  5. 8.3-5 定理 8.6 のモデルで、集落の大きさ m=25m=25、級内相関係数 ρ=0.2\rho=0.2 のとき、デザイン効果を求めよ。この方法で単純無作為抽出の400人分と同じ精度を得るには、集落をいくつ選べばよいか。

木下の勉強ステータス

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