tecktom.com

母比率の信頼区間

2026年10月17日13分で読めますAI生成教科書『資格試験』第11章 母比率と母分散の区間推定
目次
  1. 標本比率の分布
  2. 区間の導出
  3. なぜ 分布を使わないのか
  4. 近似の崩れと、2次不等式を解く区間
  5. 確認テスト
  6. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

統計学の復習 第11章 §11.1 ★★★ p^\hat p を中心極限定理で標準化し、標準誤差の pp を p^\hat p で置き換える。使う点は zα/2z_{\alpha/2} で、tt は使わない

この章は、対策本の第20章(母比率の区間推定)・第21章(母分散の区間推定)に当たる。

第10章では、正規母集団の母平均について、母分散が既知なら標準正規分布、未知なら tt 分布を使って信頼区間を作った。この章では同じ考え方を、別の2つの母数に当てはめる。1つは成功・失敗の2値データの母比率 pp、もう1つは正規母集団の母分散 σ2\sigma^2 である。

2つの母数で使う分布が違うのは、推定量の分布の出自が違うからである。母比率の推定量 p^\hat p は二項分布に従う成功回数を nn で割ったもので、厳密な分布は離散的である。区間を作るには、第8章 §8.5 の中心極限定理で p^\hat p を正規分布で近似するしかない。母分散の推定量 S2S^2 は、正規母集団の下では (n−1)S2/σ2(n-1)S^2/\sigma^2 が χ2\chi^2 分布に従うことが厳密に分かっている。こちらは近似を使わずに区間が作れる代わりに、母集団が正規分布であるという仮定に強く依存する。

この章で作る道具は次の4つである。第一に、母比率の信頼区間を、正規近似から導き、近似が崩れる条件と、2次不等式を解いて作る区間(Wilson の区間)まで含めて扱う。第二に、区間の幅を指定したときに必要な標本の大きさを逆算する。第三に、2つの母比率の差の信頼区間を作り、検定(第13章)でプールした比率を使うのに区間ではプールしない理由を説明する。第四に、χ2\chi^2 分布の密度を自由度 11 から積分だけで導き、その分布表の引き方を確かめたうえで、母分散の信頼区間を作る。

1級の統計数理では、「統計量の分布を導く → 母数を含みながら分布が母数によらない量(ピボット)を作る → 不等式を母数について解く」という区間の作り方そのものが記述で問われる。この章の母分散の区間は、その手順の最も基本的な例である。ピボットによる区間の一般論は数理統計の解説 第8章 §8.2 で扱う。

標本比率の分布

母集団の中で性質 A を持つものの割合を母比率 pp と呼ぶ。大きさ nn の無作為標本のうち性質 A を持つものの個数を XX とすると、X∼Bin(n,p)X\sim\mathrm{Bin}(n,p) である(母集団が標本に比べて十分大きければ、非復元抽出でも二項分布とみなしてよい。第5章 §5.4 の有限母集団修正 (N−n)/(N−1)(N-n)/(N-1) が 11 に近いからである)。標本比率を p^=X/n\hat p=X/n と書く。第5章で示した E[X]=npE[X]=np、V[X]=np(1−p)V[X]=np(1-p) と、第4章の E[aX]=aE[X]E[aX]=aE[X]、V[aX]=a2V[X]V[aX]=a^2V[X] から

E[p^]=p,V[p^]=p(1−p)n(11.1)E[\hat p]=p,\qquad V[\hat p]=\frac{p(1-p)}{n}\tag{11.1}

となる。p^\hat p は pp の不偏推定量で(第9章)、分散は nn に反比例して小さくなる。

XX は成功なら 11、失敗なら 00 をとる独立なベルヌーイ確率変数 B1,…,BnB_1,\dots,B_n の和なので、p^=(B1+⋯+Bn)/n\hat p=(B_1+\cdots+B_n)/n は標本平均である。第8章 §8.5 の中心極限定理を平均 pp、分散 p(1−p)p(1-p) の母集団に当てはめると、nn が大きいとき

Z=p^−pp(1−p)/n  の分布は  N(0,1)  で近似できる(11.2)Z=\frac{\hat p-p}{\sqrt{p(1-p)/n}}\ \ \text{の分布は}\ \ \mathrm{N}(0,1)\ \ \text{で近似できる}\tag{11.2}

ことが分かる(第8章 §8.5 で扱った二項分布の正規近似)。

区間の導出

上側 100α/2%100\alpha/2\% 点 zα/2z_{\alpha/2} を使うと、近似 (11.2) から

P ⁣(−zα/2≤p^−pp(1−p)/n≤zα/2)≈1−αP\!\left(-z_{\alpha/2}\le\frac{\hat p-p}{\sqrt{p(1-p)/n}}\le z_{\alpha/2}\right)\approx1-\alpha

である。括弧の中を pp について解きたいが、分母にも pp が入っていて、そのままでは pp の2次不等式になる。2級で使う方法は、分母の pp だけを推定値 p^\hat p に置き換えることである。nn が大きければ p^\hat p は pp に近い(大数の法則)ので、分母を置き換えても近似の精度はほとんど変わらない。置き換えた後は分母が pp を含まないので、不等式は1次になり、

P ⁣(p^−zα/2p^(1−p^)n≤p≤p^+zα/2p^(1−p^)n)≈1−αP\!\left(\hat p-z_{\alpha/2}\sqrt{\frac{\hat p(1-\hat p)}n}\le p\le\hat p+z_{\alpha/2}\sqrt{\frac{\hat p(1-\hat p)}n}\right)\approx1-\alpha

と解くことができる。

命題 11.1(母比率の信頼区間(Wald 型))

nn 回中 xx 回成功したとき、p^=x/n\hat p=x/n として、母比率 pp の信頼係数 1−α1-\alpha の近似的な信頼区間は

[ p^−zα/2p^(1−p^)n ,  p^+zα/2p^(1−p^)n ](11.3)\left[\ \hat p-z_{\alpha/2}\sqrt{\frac{\hat p(1-\hat p)}n}\ ,\ \ \hat p+z_{\alpha/2}\sqrt{\frac{\hat p(1-\hat p)}n}\ \right]\tag{11.3}

である。p^(1−p^)/n\sqrt{\hat p(1-\hat p)/n} を p^\hat p の標準誤差と呼ぶ。95% 区間では z0.025=1.960z_{0.025}=1.960、99% 区間では z0.005=2.576z_{0.005}=2.576、90% 区間では z0.05=1.645z_{0.05}=1.645 を使う。

近似を使ってよい目安として、np^≥5n\hat p\ge5 かつ n(1−p^)≥5n(1-\hat p)\ge5(成功も失敗も5回以上)がよく使われる。2級の問題文に「nn は十分大きいとする」と書かれるのは、この近似を前提にしていることの宣言である。

なぜ tt 分布を使わないのか

第10章の母平均では、母分散が未知なら σ\sigma を ss で置き換えて tt 分布を使った。母比率でも標準誤差の pp を p^\hat p で置き換えているのに、使う点は zz のままである。この違いは、未知の母数の数から説明できる。

正規分布 N(μ,σ2)\mathrm{N}(\mu,\sigma^2) には、μ\mu と σ2\sigma^2 という独立に動かせる2つの母数がある。母平均を推定したいとき、σ\sigma は推定の対象ではないが、知らないと標準誤差が計算できない。そこで同じデータから ss を作って分母に入れる。分母が定数でなく確率変数になるので、比 (Xˉ−μ)/(s/n)(\bar X-\mu)/(s/\sqrt n) のばらつきは N(0,1)\mathrm{N}(0,1) より大きくなり、その分布が厳密に tn−1t_{n-1} になる(第10章)。tt 分布は、この置き換えの影響を正確に補正するための分布である。

ベルヌーイ分布の母数は pp の1つだけで、分散 p(1−p)p(1-p) は pp が決まれば自動的に決まる。標準誤差の pp を p^\hat p で置き換えることは、別の未知の母数を推定することではなく、すでに分かっている関数関係に推定値を代入しているだけである。しかも p^\hat p の厳密な分布はもともと離散的な二項分布で、(11.2) の段階ですでに正規分布で近似している。分母を置き換える誤差は、この近似の誤差と同じ程度の大きさの小さな項に含まれてしまうので、tt 分布に替えても区間の精度は上がらない。母比率の区間の精度を決めているのは np^n\hat p と n(1−p^)n(1-\hat p) の大きさであって、tt と zz の違いではない。

近似の崩れと、2次不等式を解く区間

区間 (11.3) が「95% の確率で pp を含む」というのは近似にすぎない。XX は整数値しかとらないので、実際にどれだけの確率で pp を含むか(被覆確率)は、二項分布の確率を足し合わせて正確に計算することができる。n=50n=50 のとき、各 pp について X=0,1,…,50X=0,1,\dots,50 のうち区間が pp を含む XX の確率を足したものを図 11.1 に示す。

図

図 11.1 n=50n=50 の95% 区間が母比率 pp を実際に含む確率(二項分布の確率の和による正確な値)。破線は名目の 0.950.95。Wald 型は p=0.5p=0.5 で 0.9350.935、p=0.1p=0.1 で 0.8790.879 と名目を下回り、p=0.01p=0.01 では 0.3950.395 まで落ちる(図の範囲外)。Wilson の区間は端の近くでも 0.910.91 を下回らない。どちらの曲線もぎざぎざなのは、XX が整数値しかとらないからである。

被覆確率が名目を下回る原因は2つある。1つは XX が離散的で、正規分布の連続な裾と一致しないこと、もう1つは pp が 00 や 11 に近いと二項分布が強く歪むことである。特に x=0x=0 の場合、p^=0\hat p=0 で標準誤差も 00 になり、区間 (11.3) は1点 [0,0][0,0] につぶれてしまう。10回中1回も起きなかったからといって p=0p=0 と結論することはできず、この区間は使うことができない。

この欠点は、分母の pp を p^\hat p に置き換えずに、2次不等式をそのまま解くことで小さくなる。∣p^−p∣≤zp(1−p)/n\lvert \hat p-p\rvert \le z\sqrt{p(1-p)/n}(z=zα/2z=z_{\alpha/2})の両辺は負でないので2乗してよく、

(p^−p)2≤z2np(1−p)  ⟺  (1+z2n)p2−(2p^+z2n)p+p^2≤0(\hat p-p)^2\le\frac{z^2}np(1-p) \iff\Bigl(1+\frac{z^2}n\Bigr)p^2-\Bigl(2\hat p+\frac{z^2}n\Bigr)p+\hat p^2\le0

となる。左辺は pp の2次式で p2p^2 の係数が正なので、この不等式を満たす pp は2つの根の間である。根の公式で判別式を整理すると (2p^+z2/n)2−4(1+z2/n)p^2=4(z2/n)p^(1−p^)+(z2/n)2(2\hat p+z^2/n)^2-4(1+z^2/n)\hat p^2=4(z^2/n)\hat p(1-\hat p)+(z^2/n)^2 なので、

p=p^+z22n±zp^(1−p^)n+z24n21+z2n(11.4)p=\frac{\hat p+\dfrac{z^2}{2n}\pm z\sqrt{\dfrac{\hat p(1-\hat p)}n+\dfrac{z^2}{4n^2}}}{1+\dfrac{z^2}n}\tag{11.4}

が区間の両端になる。これを Wilson の区間と呼ぶ。中心は p^\hat p でなく、p^\hat p を 1/21/2 の側に少し引き寄せた点で、x=0x=0 でも幅が 00 にならない。nn が大きいと z2/nz^2/n の項は無視でき、(11.4) は (11.3) に一致する。2級で問われるのは (11.3) だが、2次不等式から区間を作る手順は1級の記述でそのまま使う形である。二項分布の確率そのものから作る正確な区間(Clopper–Pearson の区間)と、漸近正規性から作る区間の一般論は数理統計の解説 第8章 §8.2 で扱う。

注意

信頼区間の解釈は第10章と同じである。pp は定数で、ランダムなのは区間の方である。「95% 信頼区間」とは、同じ手続きで標本を取り直して区間を作ることを繰り返すと、そのうちほぼ95% の区間が pp を含む、という手続きの性質をいう。1回のデータから計算した [0.318,0.402][0.318,0.402] のような具体的な区間が pp を含む確率は、00 か 11 のどちらかである。

例題 11.1 世論調査の支持率の区間 ★★★

オリジナルある政策について無作為に選んだ500人に尋ねたところ、180人が賛成と答えた。

  1. 賛成の母比率 pp の95% 信頼区間を、Wald 型 (11.3) で求めよ。
  2. 正規近似の目安が満たされているかを確かめよ。
  3. Wilson の区間 (11.4) を求め、(1) と比べよ。
解答

(1) p^=180/500=0.36\hat p=180/500=0.36 である。標準誤差は

0.36×0.64500=0.0004608=0.021466\sqrt{\frac{0.36\times0.64}{500}}=\sqrt{0.0004608}=0.021466

で、半幅は 1.960×0.021466=0.042071.960\times0.021466=0.04207 である。よって95% 信頼区間は

[ 0.36−0.04207, 0.36+0.04207 ]=[ 0.3179, 0.4021 ].[\,0.36-0.04207,\ 0.36+0.04207\,]=[\,0.3179,\ 0.4021\,].

(2) np^=180n\hat p=180、n(1−p^)=320n(1-\hat p)=320 で、どちらも5を大きく超えるので、正規近似の目安は満たされている。

(3) z2=1.9602=3.8415z^2=1.960^2=3.8415、z2/n=0.0076829z^2/n=0.0076829 である。分母は 1+0.0076829=1.00768291+0.0076829=1.0076829、分子の中心は 0.36+0.0076829/2=0.3638410.36+0.0076829/2=0.363841 である。根号の中は 0.0004608+3.8415/(4×5002)=0.0004608+0.0000038415=0.000464640.0004608+3.8415/(4\times500^2)=0.0004608+0.0000038415=0.00046464 で、その平方根は 0.0215560.021556、これに zz を掛けて 0.0422490.042249 である。よって

[0.363841−0.0422491.0076829, 0.363841+0.0422491.0076829]=[ 0.3191, 0.4030 ].\left[\frac{0.363841-0.042249}{1.0076829},\ \frac{0.363841+0.042249}{1.0076829}\right]=[\,0.3191,\ 0.4030\,].

Wald 型と比べると、両端がどちらも 0.0010.001 ほど 1/21/2 の側にずれているだけで、幅もほぼ同じである。np^n\hat p と n(1−p^)n(1-\hat p) が十分大きいときは、2つの区間に実質的な違いはない。

例題 11.2 成功が少ないときの区間 ★★

オリジナル新しい部品を40個試験したところ、4個が規定の時間内に故障した。故障率 pp の95% 信頼区間を Wald 型と Wilson の区間で求め、近似の目安と合わせて比べよ。

解答

p^=4/40=0.1\hat p=4/40=0.1 で、Wald 型の標準誤差は 0.1×0.9/40=0.00225=0.04743\sqrt{0.1\times0.9/40}=\sqrt{0.00225}=0.04743、半幅は 1.960×0.04743=0.092971.960\times0.04743=0.09297 なので

Wald 型:[ 0.1−0.0930, 0.1+0.0930 ]=[ 0.0070, 0.1930 ]\text{Wald 型:}[\,0.1-0.0930,\ 0.1+0.0930\,]=[\,0.0070,\ 0.1930\,]

である。Wilson の区間は、z2/n=3.8415/40=0.096037z^2/n=3.8415/40=0.096037、分母 1.0960371.096037、中心 0.1+0.048019=0.1480190.1+0.048019=0.148019、根号の中 0.00225+3.8415/6400=0.002850230.00225+3.8415/6400=0.00285023、その平方根 0.0533880.053388 に zz を掛けて 0.1046380.104638 だから

Wilson:[0.148019−0.1046381.096037, 0.148019+0.1046381.096037]=[ 0.0396, 0.2305 ]\text{Wilson:}\left[\frac{0.148019-0.104638}{1.096037},\ \frac{0.148019+0.104638}{1.096037}\right]=[\,0.0396,\ 0.2305\,]

である。np^=4<5n\hat p=4<5 で近似の目安を満たしていない。Wald 型は p^=0.1\hat p=0.1 を中心に左右対称に広がり、下端が 00 のすぐ近くまで下がるが、Wilson の区間は全体が右へずれている。二項分布は pp が小さいと右に裾を引くので、母比率が p^\hat p より大きい側に広く、小さい側に狭い区間の方が実際の分布の形に合っている。

確認テスト

オリジナル

  1. 11.1-1 母平均の区間では母分散が未知なら tt 分布を使うのに、母比率の区間では標準誤差に p^\hat p を入れても zz を使う。その理由を、未知の母数の個数に触れて2〜3文で説明せよ。
  2. 11.1-2 1200人を調べたところ420人がある商品を知っていた。認知率の99% 信頼区間を Wald 型で求めよ(z0.005=2.576z_{0.005}=2.576)。
  3. 11.1-3 20個を検査して不良品が1個もなかった。Wald 型の95% 区間がどうなるかを述べ、Wilson の区間 (11.4) を p^=0\hat p=0 として計算せよ。
  4. 11.1-4 片側の区間 p≤p^+zαp^(1−p^)/np\le\hat p+z_{\alpha}\sqrt{\hat p(1-\hat p)/n} を上側信頼限界と呼ぶ。この不等式が近似的に確率 1−α1-\alpha で成り立つことを (11.2) から説明し、400個中24個が不良だったときの不良率の95% 上側信頼限界を求めよ(z0.05=1.645z_{0.05}=1.645)。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

← AI生成教科書『資格試験』の記事一覧へ