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母比率の差の検定

2026年10月17日10分で読めますAI生成教科書『資格試験』第13章 比率の検定とカイ二乗検定
目次
  1. 差の分散と、 の下での形
  2. 検定はプール、区間推定は非プールである理由
  3. プールしないと有意水準が保たれない場合
  4. 確認テスト
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

統計学の復習 第13章 §13.2 ★★★ H0:p1=p2H_0:p_1=p_2 の下では共通の比率が1つしかないので、2群を合わせて推定する(プール)。差の区間推定では H0H_0 を置かないのでプールしない

差の分散と、H0H_0 の下での形

独立な2つの標本で、第1群は n1n_1 人中 X1X_1 人、第2群は n2n_2 人中 X2X_2 人が性質 A を持っていたとする。X1∼Bin(n1,p1)X_1\sim\mathrm{Bin}(n_1,p_1)、X2∼Bin(n2,p2)X_2\sim\mathrm{Bin}(n_2,p_2) は独立である。帰無仮説 H0:p1=p2H_0:p_1=p_2 を検定したい。

比べるのは p^1−p^2\hat p_1-\hat p_2 である。2群が独立なので共分散は 00 で、第7章の V[X−Y]=V[X]+V[Y]V[X-Y]=V[X]+V[Y] から、p1,p2p_1,p_2 が何であっても

E[p^1−p^2]=p1−p2,V[p^1−p^2]=p1(1−p1)n1+p2(1−p2)n2(13.2)E[\hat p_1-\hat p_2]=p_1-p_2,\qquad V[\hat p_1-\hat p_2]=\frac{p_1(1-p_1)}{n_1}+\frac{p_2(1-p_2)}{n_2}\tag{13.2}

が成り立つ。この式は第11章で差の区間推定に使ったものと同じである。

H0H_0 の下では p1=p2p_1=p_2 なので、共通の値を pp と書くと、(13.2) は

E[p^1−p^2]=0,V[p^1−p^2]=p(1−p)(1n1+1n2)E[\hat p_1-\hat p_2]=0,\qquad V[\hat p_1-\hat p_2]=p(1-p)\Bigl(\frac1{n_1}+\frac1{n_2}\Bigr)

になる。2つの項に同じ pp が入るので、p(1−p)p(1-p) を括り出すことができる。

この pp は H0H_0 が指定していない未知の値なので、データから推定する必要がある。H0H_0 の下では、第1群の n1n_1 人も第2群の n2n_2 人も、同じ確率 pp で性質 A を持つ。したがって n1+n2n_1+n_2 人全体を1つの標本とみなしてよく、pp の推定値として全体の比率

p^=X1+X2n1+n2=n1n1+n2p^1+n2n1+n2p^2(13.3)\hat p=\frac{X_1+X_2}{n_1+n_2}=\frac{n_1}{n_1+n_2}\hat p_1+\frac{n_2}{n_1+n_2}\hat p_2\tag{13.3}

を使う。これをプールした比率(合併した比率)と呼ぶ。2番目の形から分かるように、p^\hat p は2群の比率を標本の大きさで重み付けた平均である。

命題 13.2(母比率の差の検定)

H0:p1=p2H_0:p_1=p_2 の下で、n1,n2n_1,n_2 が大きいとき

Z=p^1−p^2p^(1−p^)(1n1+1n2)(13.4)Z=\frac{\hat p_1-\hat p_2}{\sqrt{\hat p(1-\hat p)\bigl(\frac1{n_1}+\frac1{n_2}\bigr)}}\tag{13.4}

の分布は N(0,1)\mathrm{N}(0,1) で近似できる。ここで p^\hat p はプールした比率 (13.3) である。棄却域は §13.1 と同じく、対立仮説の向きで決める。

分子 p^1−p^2\hat p_1-\hat p_2 は、独立な2つの標本平均の差なので、中心極限定理から近似的に正規分布に従う。分母の p^\hat p は、H0H_0 の下で n1+n2n_1+n_2 個のデータから作った pp の推定量で、大数の法則により n1+n2n_1+n_2 が大きければ pp に近い。分母の pp を p^\hat p で置き換えた影響は、第11章の母比率の区間の場合と同じ理由で、正規近似の誤差に比べて小さい。

検定はプール、区間推定は非プールである理由

第11章の差の信頼区間では、標準誤差を

p^1(1−p^1)n1+p^2(1−p^2)n2\sqrt{\frac{\hat p_1(1-\hat p_1)}{n_1}+\frac{\hat p_2(1-\hat p_2)}{n_2}}

とし、2群の比率を別々に入れた(非プール)。検定の (13.4) はこれと形が違うが、別の公式から出てきたものではない。どちらも差の分散 (13.2) という同じ和で、違うのは「和の各項の p1,p2p_1,p_2 に何を入れるか」だけである。

区間推定では p1p_1 と p2p_2 が等しいとは仮定しない。2つの未知の値には、それぞれの群の推定値 p^1,p^2\hat p_1,\hat p_2 を入れるほかない。検定では、H0H_0 の世界での分布を計算している。その世界では p1=p2p_1=p_2 で、未知の値は1つしかない。1つの値を推定するのに、片方の群だけを使う理由は無く、n1+n2n_1+n_2 個全部を使った方が推定のばらつきが小さい。これは §13.1 の「検定は H0H_0 の値、区間は標本の値」という原則を2標本に当てはめたものである。1標本では H0H_0 が値 p0p_0 まで指定していたのでそれを入れ、2標本では H0H_0 が「等しい」としか言わないので、等しいという条件の下での推定値 p^\hat p を入れる。

手続き仮定標準誤差
差の区間推定(第11章)なしp^1(1−p^1)/n1+p^2(1−p^2)/n2\sqrt{\hat p_1(1-\hat p_1)/n_1+\hat p_2(1-\hat p_2)/n_2}
差の検定(本節)H0:p1=p2H_0:p_1=p_2p^(1−p^)(1/n1+1/n2)\sqrt{\hat p(1-\hat p)(1/n_1+1/n_2)}

第10章の2標本の tt でも同じ形のことが起きていた。等分散 σ12=σ22\sigma_1^2=\sigma_2^2 を仮定すると、Xˉ1−Xˉ2\bar X_1-\bar X_2 の分散 σ12/n1+σ22/n2\sigma_1^2/n_1+\sigma_2^2/n_2 の2つの項に同じ σ2\sigma^2 が入り、それを2群をまとめた不偏分散 Sp2S_p^2(第9章・第10章)で推定した。比率の場合との違いは、平均の場合の等分散が問題文で与えられる仮定であるのに対し、比率の場合は H0H_0 そのものから「分散の中の pp が等しい」ことが出てくる点である。比率の差の検定では、H0H_0 の世界では仮定が定義から正しいので、等分散の確認にあたる手続きは要らない。

プールしないと有意水準が保たれない場合

非プールの標準誤差で検定しても、n1,n2n_1,n_2 が十分大きければ H0H_0 の下で統計量は N(0,1)\mathrm{N}(0,1) に近づくので、大標本では間違いではない。しかし n1n_1 と n2n_2 の大きさが大きく違い、pp が小さいときには、非プールの検定は有意水準を保たない。

その理由は、小さい方の群の p^i\hat p_i が偶然 00 になりやすいことにある。p^1=0\hat p_1=0 だと、非プールの標準誤差の第1項 p^1(1−p^1)/n1\hat p_1(1-\hat p_1)/n_1 が 00 になり、標準誤差が実際のばらつきより小さく見積もられる。その結果、分母が小さくなって統計量の絶対値が大きく出て、H0H_0 が正しいのに棄却してしまう。プールした比率は n1+n2n_1+n_2 個全部から作るので、片方の群が 00 でも全体が 00 になることは少なく、この問題が起きにくい。

n1=20n_1=20、n2=80n_2=80 のとき、H0:p1=p2=pH_0:p_1=p_2=p の下で、両側 5%5\% の検定が実際に H0H_0 を棄却する確率(第1種の過誤の確率)は、X1=0,…,20X_1=0,\dots,20 と X2=0,…,80X_2=0,\dots,80 の全部の組の二項確率を足し合わせて正確に計算できる。結果を図 13.1 に示す。

図

図 13.1 n1=20n_1=20、n2=80n_2=80 で H0:p1=p2=pH_0:p_1=p_2=p が正しいとき、両側 5%5\% の検定が H0H_0 を棄却する確率(二項確率の和による正確な値)。破線は名目の 0.050.05。非プールでは p=0.05p=0.05 で 0.2080.208、p=0.06p=0.06 で 0.2110.211 と、名目の4倍を超える。プールした検定も p<0.15p<0.15 では 0.0350.035〜0.0880.088 の範囲で名目からずれるが、p≥0.15p\ge0.15 では 0.0470.047〜0.0510.051 でほぼ名目に一致する。

図の p=0.05p=0.05 では、プールした検定の棄却確率は 0.0470.047 で名目の 0.050.05 に近いのに対し、非プールの検定は 0.2080.208 で、「有意水準 5%5\%」と称しながら5回に1回は H0H_0 を棄却してしまう。非プールの検定が棄却しやすいことは、H0H_0 が正しくても棄却しているだけなので、検出力が高いことを意味しない。

注意

対策本によっては、比率の差の検定を非プールの標準誤差で書いているものがある。n1,n2n_1,n_2 が大きく、大きさがそろっていれば2つの統計量の値はほとんど同じで(例題 13.3 を参照)、結論も一致することが多い。2級の選択式の問題では、選択肢の数値に合う方を選べば足りる。記述で手続きを問われたときは、H0H_0 の下の分布を使うという理由を添えて、プールした (13.4) を書く。§13.4 で示すように、プールした ZZ の2乗は 2×22\times2 分割表の独立性検定の統計量に厳密に一致し、非プールの ZZ ではこの一致が成り立たない。

例題 13.3 2つの治療法の改善率の差 ★★★

オリジナル治療法 A を受けた200人のうち130人、治療法 B を受けた250人のうち140人の症状が改善した。

  1. 改善率に差があるかを、プールした比率で両側検定せよ(有意水準 5%5\%)。
  2. 非プールの標準誤差で計算した統計量の値と比べよ。
  3. 検定の前に「A の方が改善率が高いか」を調べると決めていた場合の結論を述べよ。
解答

(1) p^1=130/200=0.65\hat p_1=130/200=0.65、p^2=140/250=0.56\hat p_2=140/250=0.56、差は 0.090.09 である。プールした比率は p^=270/450=0.6\hat p=270/450=0.6 で、標準誤差は

0.6×0.4×(1200+1250)=0.24×0.009=0.00216=0.046476\sqrt{0.6\times0.4\times\Bigl(\frac1{200}+\frac1{250}\Bigr)}=\sqrt{0.24\times0.009}=\sqrt{0.00216}=0.046476

である。Z=0.09/0.046476=1.936Z=0.09/0.046476=1.936 で、両側 5%5\% の棄却域 ∣Z∣≥1.960\lvert Z\rvert \ge1.960 に入らない。pp 値は 2{1−Φ(1.936)}=0.05282\{1-\Phi(1.936)\}=0.0528 で、H0H_0 は棄却されない。

(2) 非プールの標準誤差は 0.65×0.35/200+0.56×0.44/250=0.0011375+0.0009856=0.0021231=0.046077\sqrt{0.65\times0.35/200+0.56\times0.44/250}=\sqrt{0.0011375+0.0009856}=\sqrt{0.0021231}=0.046077 で、統計量は 0.09/0.046077=1.9530.09/0.046077=1.953 である。2群の大きさが近く、比率も 1/21/2 から大きく離れていないので、2つの値はほとんど同じで、どちらも 1.9601.960 に届かない。

(3) H1:p1>p2H_1:p_1>p_2 の片側検定になり、棄却域は Z≥z0.05=1.645Z\ge z_{0.05}=1.645 である。Z=1.936Z=1.936 はこれに入るので棄却し、A の方が改善率が高いといえる(pp 値 0.02640.0264)。片側にするか両側にするかは、データを見る前に、調べたい差の向きで決める(第12章)。データを見て差が正だったから片側にする、という手順をとると、実際の第1種の過誤の確率は α\alpha の2倍になる。

確認テスト

オリジナル

  1. 13.2-1 母比率の差の検定ではプールした比率を、差の信頼区間では各群の比率を標準誤差に入れる。その理由を、差の分散の式 (13.2) に触れて2〜3文で述べよ。
  2. 13.2-2 男性300人のうち96人、女性250人のうち60人がある商品を購入した経験があった。購入率に男女差があるかを、有意水準 5%5\% で両側検定せよ。
  3. 13.2-3 13.2-2 のデータで、購入率の差 p1−p2p_1-p_2 の95% 信頼区間を求めよ。区間が 00 を含むかどうかと 13.2-2 の結論が合っているかを確かめよ。
  4. 13.2-4 H0:p1=p2=pH_0:p_1=p_2=p の下で、プールした比率 (13.3) が pp の不偏推定量であることを示し、その分散 V[p^]V[\hat p] を求めよ。V[p^]V[\hat p] が V[p^1]V[\hat p_1] と V[p^2]V[\hat p_2] のどちらよりも小さいことを確かめよ。

木下の勉強ステータス

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