tecktom.com

発展的事項

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『資格試験』第1章 確率
目次
  1. 上極限事象と Borel–Cantelli の補題
  2. 第一歩解析とギャンブラーの破産問題
  3. 確認テスト
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

数理統計 第1章 §1.3 ★ Borel–Cantelli の補題と、条件付けで漸化式を立てる第一歩解析(ギャンブラーの破産)

この節では、1級の範囲で後の章とつながる2つの話題を選んだ。1つ目は、無限個の事象のうち「無限に多く起こる」事象の確率を決める Borel–Cantelli の補題で、確率の連続性の使い方の典型である。2つ目は、最初の1歩で場合分けして漸化式を立てる第一歩解析で、全確率の公式を確率過程に使うものである。第12章のランダム・ウォークとマルコフ連鎖の吸収確率は、この方法で求める。

上極限事象と Borel–Cantelli の補題

事象の列 A1,A2,…A_1,A_2,\dots を考える。「無限に多くの nn で AnA_n が起こる」という事象を

lim sup⁡n→∞An=⋂m=1∞⋃n=m∞An(1.11)\limsup_{n\to\infty}A_n=\bigcap_{m=1}^\infty\bigcup_{n=m}^\infty A_n\tag{1.11}

と書き、上極限事象と呼ぶ。右辺の読み方は次のとおりである。

  1. 根元事象が ⋃n≥mAn\bigcup_{n\ge m}A_n に入るとは、「mm 番目以降のどこかで事象が起こる」ことである。
  2. これがすべての mm で成り立つとは、どれほど先へ進んでもまだ AnA_n が起こることである。それは AnA_n が無限回起こることと同じである。

定理 1.15(Borel–Cantelli の補題)

  1. ∑n=1∞P(An)<∞\sum_{n=1}^\infty P(A_n)<\infty ならば P(lim sup⁡An)=0P(\limsup A_n)=0。
  2. 事象の列が独立で ∑n=1∞P(An)=∞\sum_{n=1}^\infty P(A_n)=\infty ならば、P(lim sup⁡An)=1P(\limsup A_n)=1。
証明
  1. 和事象 Cm=⋃n≥mAnC_m=\bigcup_{n\ge m}A_n は減少列で、その積は ⋂mCm=lim sup⁡An\bigcap_mC_m=\limsup A_n である。確率の連続性(定理1.4 の 2)と Boole の不等式から

P(lim sup⁡An)=lim⁡m→∞P(Cm)≤lim⁡m→∞∑n=m∞P(An)=0.P(\limsup A_n)=\lim_{m\to\infty}P(C_m)\le\lim_{m\to\infty}\sum_{n=m}^\infty P(A_n)=0 .

最後の等号は、収束する級数の残りの和が 0 に近づくことによる。

  1. 補集合で考える。de Morgan の法則から

(lim sup⁡An)c=⋃m⋂n≥mAnc.(\limsup A_n)^c=\bigcup_m\bigcap_{n\ge m}A_n^c .

よって各 mm で P(⋂n≥mAnc)=0P(\bigcap_{n\ge m}A_n^c)=0 を示せばよい。そうすれば Boole の不等式(可算個)から、補集合の確率は ∑m0=0\sum_m0=0 以下になる。

mm を固定し M>mM>m とする。このとき ⋂n≥mAnc⊂⋂n=mMAnc\bigcap_{n\ge m}A_n^c\subset\bigcap_{n=m}^MA_n^c である。補集合 AncA_n^c も独立(命題1.12 を有限個に広げたもの)だから

P(⋂n=mMAnc)=∏n=mM{1−P(An)}≤∏n=mMe−P(An)=exp⁡(−∑n=mMP(An)).P\Bigl(\bigcap_{n=m}^MA_n^c\Bigr)=\prod_{n=m}^M\{1-P(A_n)\}\le\prod_{n=m}^M\mathrm{e}^{-P(A_n)}=\exp\Bigl(-\sum_{n=m}^MP(A_n)\Bigr).

ここで不等式 1−x≤e−x1-x\le\mathrm{e}^{-x} を使った。これは、e−x\mathrm{e}^{-x} が凸で、原点での接線が 1−x1-x であることから従う。∑P(An)=∞\sum P(A_n)=\infty なので、M→∞M\to\infty で右辺は 0 に近づく。よって P(⋂n≥mAnc)=0P(\bigcap_{n\ge m}A_n^c)=0 を得る。

1 は独立性を仮定していない。2 には独立性が必要である。たとえば An=AA_n=A(すべて同じ事象)で 0<P(A)<10<P(A)<1 とする。このとき ∑P(An)=∞\sum P(A_n)=\infty だが、上極限事象の確率は P(A)<1P(A)<1 である。

Borel–Cantelli の補題 1 は、確率収束より強い「概収束」(確率 1 で収束すること)を示す標準の道具で、第5章の大数の法則の強い形はこれを使って証明する。

第一歩解析とギャンブラーの破産問題

考え方

確率過程の吸収確率を直接求めるのは難しい。しかし「最初の1歩で何が起こったか」で場合分けすると、1歩進んだあとの状況は出発点が変わっただけの同じ問題になる。全確率の公式 (1.7) でこれを式にすると、未知の確率についての漸化式(差分方程式)が得られる。

次の設定を考える。

  • 所持金 ii(0≤i≤N0\le i\le N の整数)から始める。
  • 毎回独立に、確率 pp で 1 増え、確率 q=1−pq=1-p で 1 減る。
  • 所持金が 0 になるか NN になった時点で終わる。

所持金 ii から始めたとき、0 より先に NN に到達する確率を考える。これを rir_i とする。

定理 1.16(ギャンブラーの破産問題)

0<p<10<p<1 とし、ρ=q/p\rho=q/p とおく。

ri={1−ρi1−ρN(p≠q),iN(p=q=1/2).(1.12)r_i=\begin{cases}\dfrac{1-\rho^i}{1-\rho^N}&(p\ne q),\\[2ex] \dfrac iN&(p=q=1/2).\end{cases}\tag{1.12}

証明

0<i<N0<i<N とし、1回目に増える事象を WW とする。WW が起こると所持金は i+1i+1 になる。そこからあとは、所持金 i+1i+1 から始めた場合と同じ確率法則に従う(毎回の結果が独立で、確率が過去によらないため)。NN に先に到達する事象を EE とすると、

P(E∣W)=ri+1,P(E∣Wc)=ri−1.P(E\mid W)=r_{i+1},\qquad P(E\mid W^c)=r_{i-1}.

全確率の公式から

ri=p ri+1+q ri−1(0<i<N),r0=0, rN=1.(1.13)r_i=p\,r_{i+1}+q\,r_{i-1}\qquad(0<i<N),\qquad r_0=0,\ r_N=1 .\tag{1.13}

左辺を ri=(p+q)rir_i=(p+q)r_i と書いて移項すると、次の式を得る。

p(ri+1−ri)=q(ri−ri−1).p(r_{i+1}-r_i)=q(r_i-r_{i-1}).

つまり差 di=ri+1−rid_i=r_{i+1}-r_i が di=ρ di−1d_i=\rho\,d_{i-1} をみたす。繰り返すと di=ρid0=ρir1d_i=\rho^id_0=\rho^ir_1 で、

ri=r0+∑k=0i−1dk=r1∑k=0i−1ρk.r_i=r_0+\sum_{k=0}^{i-1}d_k=r_1\sum_{k=0}^{i-1}\rho^k .

右辺の和と、境界条件 rN=1r_N=1 から決まる初項は、ρ\rho で場合が分かれる。

  • ρ≠1\rho\ne1 なら、和は 1−ρi1−ρ\frac{1-\rho^i}{1-\rho} である。境界条件から r1=1−ρ1−ρNr_1=\frac{1-\rho}{1-\rho^N} が決まる。
  • ρ=1\rho=1 なら、和は ii である。境界条件から r1=1/Nr_1=1/N が決まる。

これを代入すると (1.12) になる。

この証明では、終わらずに永遠に続く確率が 0 であることを使っていない。rir_i は「0 より先に NN に到達する確率」として定義した。だから (1.13) は、終わらない場合があっても成り立つ。

「NN より先に 0 に到達する確率」sis_i にも同じ計算を行う。すると ri+si=1r_i+s_i=1 が確かめられる(確認テスト 1.3-5)。これから、ゲームは確率 1 で終わることも分かる。

図

図 1.2 ギャンブラーの破産問題で N=20N=20 のときの到達確率 rir_i (1.12)。破線 p=0.55p=0.55、実線 p=0.5p=0.5(直線 i/Ni/N)、点線 p=0.45p=0.45。1回ごとの有利・不利は 0.050.05 の差でも、NN への到達確率では大きな差になる。

例題 1.5 不利な賭けでの到達確率と平均の回数 ★

オリジナルギャンブラーの破産問題で N=20N=20 とする。

  1. p=0.45p=0.45 で出発点が 10 のとき、r10r_{10} を求めよ。それを p=0.5p=0.5 の場合と比べよ。
  2. p=1/2p=1/2 とする。所持金 ii から始めて、ゲームが終わるまでの回数の平均を DiD_i とする。第一歩解析で DiD_i の漸化式と境界条件を立て、Di=i(N−i)D_i=i(N-i) を示せ。i=10i=10 のときの値を求めよ。
解答
  1. ρ=0.55/0.45=11/9\rho=0.55/0.45=11/9。(1.12) から

r10=1−(11/9)101−(11/9)20=11+(11/9)10≈11+7.4388≈0.1185.r_{10}=\frac{1-(11/9)^{10}}{1-(11/9)^{20}}=\frac{1}{1+(11/9)^{10}}\approx\frac{1}{1+7.4388}\approx0.1185 .

2つ目の等号では、1−ρ20=(1−ρ10)(1+ρ10)1-\rho^{20}=(1-\rho^{10})(1+\rho^{10}) と因数分解して約分した。p=0.5p=0.5 なら r10=10/20=0.5r_{10}=10/20=0.5 である。1回に勝つ確率が 0.05 下がるだけで、20 に到達する確率は 0.5 から 0.12 程度まで下がる。2. 1回目の結果で場合分けすると、1回を使ったあとは所持金 i±1i\pm1 から始めた問題になるので

Di=1+12Di+1+12Di−1(0<i<N),D0=DN=0.D_i=1+\tfrac12D_{i+1}+\tfrac12D_{i-1}\qquad(0<i<N),\qquad D_0=D_N=0 .

この式は回数の平均(期待値、第2章で定義する)についての全確率の公式の類似で、場合分けの重みが 1/21/2 ずつになっている。Di=i(N−i)D_i=i(N-i) を代入すると、右辺は

1+12(i+1)(N−i−1)+12(i−1)(N−i+1)=1+12{2i(N−i)−2}=i(N−i)1+\tfrac12(i+1)(N-i-1)+\tfrac12(i-1)(N-i+1)=1+\tfrac12\bigl\{2i(N-i)-2\bigr\}=i(N-i)

となり左辺に等しい。ここで次の式を足し合わせると、±\pm の項が消えることを使った。

(i±1)(N−i∓1)=i(N−i)∓i±(N−i)−1.(i\pm1)(N-i\mp1)=i(N-i)\mp i\pm(N-i)-1.

境界条件も D0=DN=0D_0=D_N=0 をみたす。

漸化式と2つの境界条件をみたす数列は一つに決まる。D0D_0 と D1D_1 が決まれば、漸化式で順に決まる。そして DN=0D_N=0 が D1D_1 を1つに定める。

よって Di=i(N−i)D_i=i(N-i) である。出発点が 10 なら D10=10×10=100D_{10}=10\times10=100 回である。

確認テスト

オリジナル

  1. 1.3-1 事象 AnA_n が独立で P(An)=1/n2P(A_n)=1/n^2 のとき、上極限事象の確率を求めよ。P(An)=1/nP(A_n)=1/n のときはどうか。
  2. 1.3-2 公正な硬貨を無限回独立に投げる。2k−12k-1 回目と 2k2k 回目がともに表である事象を考える。この事象を BkB_k とする。BkB_k が無限に多くの kk で起こる確率を求めよ。
  3. 1.3-3 ギャンブラーの破産問題で p=1/2p=1/2、N=10N=10 とし、出発点を 3 とする。到達確率 r3r_3 と、終わるまでの回数の平均 D3D_3 を求めよ。
  4. 1.3-4 p=0.6p=0.6、N=5N=5 とする。到達確率 r2r_2 を既約分数で求めよ。さらに N→∞N\to\infty の極限を求め、その意味を述べよ。
  5. 1.3-5 p≠qp\ne q とする。所持金 ii から始めて、NN より先に 0 に到達する確率を考える。これを sis_i とする。これを rir_i と同じ方法で求め、ri+si=1r_i+s_i=1 を示せ。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

← AI生成教科書『資格試験』の記事一覧へ