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単回帰モデル

2026年10月15日22分で読めますAI生成教科書『資格試験』第9章 線形回帰モデル
目次
  1. モデルと最小二乗推定
  2. 平方和分解と決定係数
  3. 推定量の分布
  4. による推測と予測
  5. 確認テスト
  6. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

数理統計 第9章 §9.1 ★★★ 最小二乗=最尤、平方和分解、Se/σ2∼χn−22S_e/\sigma^2\sim\chi^2_{n-2} と独立性、tt による推測。数理の大問がそのまま出る

この章では、説明変数 xx から応答 YY を予測する線形回帰モデルを扱う。道具として作るものは次の3つである。

  1. 最小二乗推定量の陽な式と、その標本分布。正規誤差のもとでは最尤推定量と一致する。
  2. 残差平方和 SeS_e が σ2χn−p2\sigma^2\chi^2_{n-p} に従い、しかも回帰係数の推定量と独立であることの証明。これがあると、係数の tt 検定・信頼区間・予測区間・線形仮説の FF 検定がすべて同じ手続きで導ける。
  3. 正規線形モデルの外へ出るための枠組み。変数選択の規準(AIC・CpC_p・交差検証)、ロジスティック回帰と一般化線形モデル、群の効果を確率変数とみなす変量効果モデルを扱う。

1級の統計数理では、単回帰の最尤推定から平方和分解、Se/σ2S_e/\sigma^2 の分布、標本相関係数の分布までを小問の連鎖で導かせる問題が出る。統計応用では、重回帰の射影行列の性質や、分散分析表の期待平均平方を式で書かせる問題が出る。どちらも公式を覚えているだけでは点にならず、行列と正規分布の性質から途中式を書き下せることが要求される。そこでこの章では、各定理を証明つきで書き、例題で数値まで計算しきる。

前提として、第5章(標本分布とその近似)で導いた次の3つを使う。

  1. Z1,…,Zm∼N(0,1)Z_1,\dots,Z_m\sim\mathrm{N}(0,1)(独立)なら、∑Zk2∼χm2\sum Z_k^2\sim\chi^2_m。
  2. Z∼N(0,1)Z\sim\mathrm{N}(0,1) と W∼χm2W\sim\chi^2_m が独立とする。このとき Z/W/m∼tmZ/\sqrt{W/m}\sim t_m。
  3. W1∼χm12W_1\sim\chi^2_{m_1} と W2∼χm22W_2\sim\chi^2_{m_2} が独立なら、

W1/m1W2/m2∼Fm1,m2.\frac{W_1/m_1}{W_2/m_2}\sim F_{m_1,m_2}.

また、多変量正規分布に従うベクトルの成分どうしは、共分散が0なら独立であること(第4章 §4.4)も使う。

モデルと最小二乗推定

nn 組のデータ (x1,Y1),…,(xn,Yn)(x_1,Y_1),\dots,(x_n,Y_n) がある。xix_i は値の決まった数(実験者が設定した値、あるいは観測値で条件づけたもの)、YiY_i は確率変数とする。単回帰モデルとは

Yi=α+βxi+εi,ε1,…,εn は独立に N(0,σ2)(i=1,…,n)(9.1)Y_i=\alpha+\beta x_i+\varepsilon_i,\qquad \varepsilon_1,\dots,\varepsilon_n\ \text{は独立に}\ \mathrm{N}(0,\sigma^2)\quad(i=1,\dots,n)\tag{9.1}

をいう。α\alpha を切片、β\beta を回帰係数(傾き)と呼ぶ。未知の母数は α,β,σ2\alpha,\beta,\sigma^2 である。

xix_i がすべて同じ値だと傾きは決められないので、xix_i のうち少なくとも2つは異なるものとする。以下では次の略記を使う。

xˉ=1n∑i=1nxi,Yˉ=1n∑i=1nYi,Sxx=∑i=1n(xi−xˉ)2,SxY=∑i=1n(xi−xˉ)(Yi−Yˉ),SYY=∑i=1n(Yi−Yˉ)2.\begin{gathered}\bar x=\frac1n\sum_{i=1}^n x_i,\qquad \bar Y=\frac1n\sum_{i=1}^n Y_i,\\ S_{xx}=\sum_{i=1}^n(x_i-\bar x)^2,\qquad S_{xY}=\sum_{i=1}^n(x_i-\bar x)(Y_i-\bar Y),\qquad S_{YY}=\sum_{i=1}^n(Y_i-\bar Y)^2 .\end{gathered}

仮定から Sxx>0S_{xx}>0 である。また ∑(xi−xˉ)=0\sum(x_i-\bar x)=0 なので SxY=∑(xi−xˉ)YiS_{xY}=\sum(x_i-\bar x)Y_i と書いてもよい。この書き換えは分布を求めるときに何度も使う。

最小二乗法は、残差の2乗和

Q(α,β)=∑i=1n(Yi−α−βxi)2Q(\alpha,\beta)=\sum_{i=1}^n(Y_i-\alpha-\beta x_i)^2

を最小にする (α,β)(\alpha,\beta) を推定値とする方法である。QQ は (α,β)(\alpha,\beta) の2次式で、下に有界な凸関数である。したがって偏導関数を0とおけば最小点が求まる。

∂Q∂α=−2∑i=1n(Yi−α−βxi)=0,∂Q∂β=−2∑i=1nxi(Yi−α−βxi)=0.\begin{aligned}\frac{\partial Q}{\partial \alpha}&=-2\sum_{i=1}^n(Y_i-\alpha-\beta x_i)=0,\\ \frac{\partial Q}{\partial \beta}&=-2\sum_{i=1}^n x_i(Y_i-\alpha-\beta x_i)=0 .\end{aligned}

この2式を正規方程式と呼ぶ。1つ目を nn で割ると次の式を得る。

Yˉ=α+βxˉ.\bar Y=\alpha+\beta\bar x .

すなわち回帰直線は点 (xˉ,Yˉ)(\bar x,\bar Y) を通る。これを2つ目に代入して α\alpha を消すと

∑xi(Yi−Yˉ)=β∑xi(xi−xˉ)\sum x_i(Y_i-\bar Y)=\beta\sum x_i(x_i-\bar x)

となる。左辺は SxYS_{xY}、右辺の和は SxxS_{xx} に等しい。これは ∑xˉ(Yi−Yˉ)=0\sum\bar x(Y_i-\bar Y)=0 と ∑xˉ(xi−xˉ)=0\sum\bar x(x_i-\bar x)=0 を足し引きすれば分かる。したがって

β^=SxYSxx,α^=Yˉ−β^xˉ.(9.2)\hat\beta=\frac{S_{xY}}{S_{xx}},\qquad \hat\alpha=\bar Y-\hat\beta\bar x .\tag{9.2}

当てはめ値を Y^i=α^+β^xi\hat Y_i=\hat\alpha+\hat\beta x_i、残差を ei=Yi−Y^ie_i=Y_i-\hat Y_i と書く。正規方程式はそのまま

∑i=1nei=0,∑i=1nxiei=0(9.3)\sum_{i=1}^n e_i=0,\qquad \sum_{i=1}^n x_ie_i=0\tag{9.3}

という残差の性質を言っている。残差平方和を Se=∑ei2S_e=\sum e_i^2 と書く。

命題 9.1(最小二乗推定量は最尤推定量)

モデル (9.1) のもとで、(α,β,σ2)(\alpha,\beta,\sigma^2) の最尤推定量は次のとおりである。

  1. (α,β)(\alpha,\beta) の最尤推定量は α^,β^\hat\alpha,\hat\beta(式 (9.2))。
  2. σ2\sigma^2 の最尤推定量は σ^ML2=Se/n\hat\sigma^2_{\mathrm{ML}}=S_e/n。
証明

Yi∼N(α+βxi,σ2)Y_i\sim\mathrm{N}(\alpha+\beta x_i,\sigma^2) が独立なので、対数尤度は

ℓ(α,β,σ2)=−n2log⁡(2πσ2)−12σ2Q(α,β).\ell(\alpha,\beta,\sigma^2)=-\frac n2\log(2\pi\sigma^2)-\frac{1}{2\sigma^2}Q(\alpha,\beta).

σ2\sigma^2 を固定する。すると ℓ\ell の最大化は QQ の最小化と同じである。よって (α,β)(\alpha,\beta) の最尤推定量は最小二乗推定量に一致する。そこで QQ を最小値 SeS_e に置き換える。σ2\sigma^2 について微分すると

∂ℓ∂σ2=−n2σ2+Se2σ4=0⟹σ2=Sen.\frac{\partial \ell}{\partial \sigma^2}=-\frac{n}{2\sigma^2}+\frac{S_e}{2\sigma^4}=0 \quad\Longrightarrow\quad \sigma^2=\frac{S_e}{n}.

この点で ℓ\ell は σ2\sigma^2 について増加から減少へ変わるので最大である。

平方和分解と決定係数

Yi−Yˉ=(Y^i−Yˉ)+eiY_i-\bar Y=(\hat Y_i-\bar Y)+e_i と分けて2乗和をとる。交差項は式 (9.3) により消える。

∑(Y^i−Yˉ)ei=α^∑ei+β^∑xiei−Yˉ∑ei=0.\sum(\hat Y_i-\bar Y)e_i=\hat\alpha\sum e_i+\hat\beta\sum x_ie_i-\bar Y\sum e_i=0 .

よって

SYY=SR+Se,SR=∑i=1n(Y^i−Yˉ)2=β^2Sxx=SxY2Sxx.(9.4)S_{YY}=S_R+S_e,\qquad S_R=\sum_{i=1}^n(\hat Y_i-\bar Y)^2=\hat\beta^2S_{xx}=\frac{S_{xY}^2}{S_{xx}} .\tag{9.4}

SRS_R の形は Y^i−Yˉ=β^(xi−xˉ)\hat Y_i-\bar Y=\hat\beta(x_i-\bar x) から出る。SRS_R を回帰平方和と呼ぶ。全体のばらつき SYYS_{YY} のうち回帰で説明できた割合

R2=SRSYY=1−SeSYY=SxY2SxxSYYR^2=\frac{S_R}{S_{YY}}=1-\frac{S_e}{S_{YY}}=\frac{S_{xY}^2}{S_{xx}S_{YY}}

を決定係数という。最後の形から、R2R^2 は標本相関係数 rr の2乗に等しい。

r=SxYSxxSYY,R2=r2.r=\frac{S_{xY}}{\sqrt{S_{xx}S_{YY}}},\qquad R^2=r^2 .

また Se=SYY(1−r2)S_e=S_{YY}(1-r^2) も成り立つ。

推定量の分布

β^\hat\beta は次のように書ける。

β^=∑iciYi,ci=xi−xˉSxx.\hat\beta=\sum_i c_iY_i,\qquad c_i=\frac{x_i-\bar x}{S_{xx}} .

よって β^\hat\beta は独立な正規確率変数の線形結合であり、正規分布に従う。係数について

∑ci=0,∑cixi=1,∑ci2=1/Sxx\textstyle\sum c_i=0,\qquad \sum c_ix_i=1,\qquad \sum c_i^2=1/S_{xx}

が成り立つ。これを使うと

E[β^]=∑ci(α+βxi)=β,V[β^]=σ2∑ci2=σ2Sxx.E[\hat\beta]=\sum c_i(\alpha+\beta x_i)=\beta,\qquad V[\hat\beta]=\sigma^2\sum c_i^2=\frac{\sigma^2}{S_{xx}} .

α^=Yˉ−β^xˉ\hat\alpha=\bar Y-\hat\beta\bar x については、Cov(Yˉ,β^)=σ2n∑ci=0\mathrm{Cov}(\bar Y,\hat\beta)=\frac{\sigma^2}{n}\sum c_i=0 なので

β^∼N ⁣(β,σ2Sxx),α^∼N ⁣(α,σ2(1n+xˉ2Sxx)),Cov(α^,β^)=−xˉ σ2Sxx.(9.5)\hat\beta\sim\mathrm{N}\!\left(\beta,\frac{\sigma^2}{S_{xx}}\right),\quad \hat\alpha\sim\mathrm{N}\!\left(\alpha,\sigma^2\Bigl(\frac1n+\frac{\bar x^2}{S_{xx}}\Bigr)\right),\quad \mathrm{Cov}(\hat\alpha,\hat\beta)=-\frac{\bar x\,\sigma^2}{S_{xx}} .\tag{9.5}

(α^\hat\alpha の分散の計算は確認テスト 9.1-2 で手を動かす。)

残る問題は2つある。1つは SeS_e の分布である。もう1つは、SeS_e が (α^,β^)(\hat\alpha,\hat\beta) と独立かどうかである。

σ2\sigma^2 が未知なので、tt 統計量を作るにはこれが要る。次の定理がこの節の中心である。

定理 9.2(単回帰の基本定理 ★★★)

モデル (9.1) のもとで、

  1. Se/σ2∼χn−22S_e/\sigma^2\sim\chi^2_{n-2}。
  2. SeS_e は (Yˉ,β^)(\bar Y,\hat\beta) と独立である。したがって (α^,β^)(\hat\alpha,\hat\beta) とも独立である。
  3. σ^2=Se/(n−2)\hat\sigma^2=S_e/(n-2) は σ2\sigma^2 の不偏推定量である。
証明

Rn\mathbb R^n の単位ベクトル

u1=1n(1,…,1)⊤,u2=1Sxx(x1−xˉ,…,xn−xˉ)⊤\bm{u}_1=\frac{1}{\sqrt n}(1,\dots,1)^\top,\qquad \bm{u}_2=\frac{1}{\sqrt{S_{xx}}}(x_1-\bar x,\dots,x_n-\bar x)^\top

は u1⊤u2=∑(xi−xˉ)/nSxx=0\bm{u}_1^\top\bm{u}_2=\sum(x_i-\bar x)/\sqrt{nS_{xx}}=0 より直交する。これに u3,…,un\bm{u}_3,\dots,\bm{u}_n を補って Rn\mathbb R^n の正規直交基底を作る。U=(u1,…,un)U=(\bm{u}_1,\dots,\bm{u}_n) は直交行列である。Y=(Y1,…,Yn)⊤\bm{Y}=(Y_1,\dots,Y_n)^\top に対して

Z=U⊤Y,すなわちZk=uk⊤Y\bm{Z}=U^\top\bm{Y},\qquad\text{すなわち}\quad Z_k=\bm{u}_k^\top\bm{Y}

とおく。

Y∼Nn(μ,σ2In)\bm{Y}\sim\mathrm{N}_n(\bm{\mu},\sigma^2I_n)(μi=α+βxi\mu_i=\alpha+\beta x_i)なので、

Z∼Nn(U⊤μ,σ2U⊤U)=Nn(U⊤μ,σ2In).\bm{Z}\sim\mathrm{N}_n(U^\top\bm{\mu},\sigma^2U^\top U)=\mathrm{N}_n(U^\top\bm{\mu},\sigma^2I_n).

共分散行列が対角なので Z1,…,ZnZ_1,\dots,Z_n は独立で、どれも分散 σ2\sigma^2 の正規分布に従う。平均ベクトルは次のように書ける。

μ=(α+βxˉ)n u1+βSxx u2.\bm{\mu}=(\alpha+\beta\bar x)\sqrt n\,\bm{u}_1+\beta\sqrt{S_{xx}}\,\bm{u}_2 .

これは u1,u2\bm{u}_1,\bm{u}_2 の張る平面に入っている。よって k≥3k\ge3 では E[Zk]=uk⊤μ=0E[Z_k]=\bm{u}_k^\top\bm{\mu}=0 である。

最初の2成分を書き下すと次のとおりである。

Z1=n Yˉ,Z2=∑(xi−xˉ)YiSxx=SxYSxx=Sxx β^.Z_1=\sqrt n\,\bar Y,\qquad Z_2=\frac{\sum(x_i-\bar x)Y_i}{\sqrt{S_{xx}}}=\frac{S_{xY}}{\sqrt{S_{xx}}}=\sqrt{S_{xx}}\,\hat\beta .

直交変換は長さを保つので ∑Yi2=∑k=1nZk2\sum Y_i^2=\sum_{k=1}^nZ_k^2。一方、平方和分解 (9.4) から

∑Yi2=nYˉ2+SYY=nYˉ2+β^2Sxx+Se=Z12+Z22+Se.\sum Y_i^2=n\bar Y^2+S_{YY}=n\bar Y^2+\hat\beta^2S_{xx}+S_e=Z_1^2+Z_2^2+S_e .

両者を比べて Se=∑k=3nZk2S_e=\sum_{k=3}^nZ_k^2 を得る。ここから3つの主張が出る。

  1. Z3,…,ZnZ_3,\dots,Z_n は独立に N(0,σ2)\mathrm{N}(0,\sigma^2) に従う。よって Se/σ2∼χn−22S_e/\sigma^2\sim\chi^2_{n-2}。
  2. SeS_e は (Z3,…,Zn)(Z_3,\dots,Z_n) だけの関数である。一方 Yˉ, β^, α^=Yˉ−β^xˉ\bar Y,\ \hat\beta,\ \hat\alpha=\bar Y-\hat\beta\bar x は (Z1,Z2)(Z_1,Z_2) だけの関数である。よって両者は独立である。
  3. E[χn−22]=n−2E[\chi^2_{n-2}]=n-2 から従う。

自由度が n−2n-2 になる理由

Y\bm{Y} の成分を方向ごとに見る。u1\bm{u}_1 方向(平均)と u2\bm{u}_2 方向(傾き)の2成分は、母数の推定に使われる。残りの n−2n-2 方向の成分だけが、純粋な誤差として SeS_e に入る。

自由度は「母数の推定に使われずに残った方向の数」である。最尤推定量 Se/nS_e/n は下に偏る。n−2n-2 個分しかない誤差の2乗和を nn で割っているからである。

tt による推測と予測

定理 9.2 と式 (9.5) を組み合わせる。次の2つは独立である。

β^−βσ2/Sxx∼N(0,1),Seσ2∼χn−22.\frac{\hat\beta-\beta}{\sqrt{\sigma^2/S_{xx}}}\sim\mathrm{N}(0,1),\qquad \frac{S_e}{\sigma^2}\sim\chi^2_{n-2} .

よって σ\sigma を消した

T=β^−βσ^2/Sxx∼tn−2(9.6)T=\frac{\hat\beta-\beta}{\sqrt{\hat\sigma^2/S_{xx}}}\sim t_{n-2}\tag{9.6}

が成り立つ。ここから次の2つが得られる。

  1. β\beta の信頼係数 1−α1-\alpha の信頼区間:

β^±tn−2(α/2)σ^2/Sxx.\hat\beta\pm t_{n-2}(\alpha/2)\sqrt{\hat\sigma^2/S_{xx}} . 2. H0:β=0H_0:\beta=0 の両側検定:∣T∣>tn−2(α/2)\lvert T\rvert >t_{n-2}(\alpha/2) で棄却する。

新しい点 x0x_0 での平均 μ0=α+βx0\mu_0=\alpha+\beta x_0 を推定する。推定量は

μ^0=α^+β^x0=Yˉ+β^(x0−xˉ)\hat\mu_0=\hat\alpha+\hat\beta x_0=\bar Y+\hat\beta(x_0-\bar x)

である。Yˉ\bar Y と β^\hat\beta は無相関なので

V[μ^0]=σ2(1n+(x0−xˉ)2Sxx).V[\hat\mu_0]=\sigma^2\left(\frac1n+\frac{(x_0-\bar x)^2}{S_{xx}}\right).

これと σ^2\hat\sigma^2 から、μ0\mu_0 の信頼区間が出る。

μ^0±tn−2(α/2) σ^1n+(x0−xˉ)2Sxx.\hat\mu_0\pm t_{n-2}(\alpha/2)\,\hat\sigma\sqrt{\frac1n+\frac{(x_0-\bar x)^2}{S_{xx}}} .

一方、x0x_0 で将来観測される値 Y0=μ0+ε0Y_0=\mu_0+\varepsilon_0 を当てたいときを考える。ここで ε0\varepsilon_0 は手元のデータと独立とする。このとき分散は

V[Y0−μ^0]=σ2(1+1n+(x0−xˉ)2Sxx)V[Y_0-\hat\mu_0]=\sigma^2\left(1+\frac1n+\frac{(x_0-\bar x)^2}{S_{xx}}\right)

になるので、予測区間は

μ^0±tn−2(α/2) σ^1+1n+(x0−xˉ)2Sxx(9.7)\hat\mu_0\pm t_{n-2}(\alpha/2)\,\hat\sigma\sqrt{1+\frac1n+\frac{(x_0-\bar x)^2}{S_{xx}}}\tag{9.7}

となる。予測区間は平均の信頼区間より必ず広い。n→∞n\to\infty でも幅は0にならず、新しい誤差 ε0\varepsilon_0 の分だけ残る。

どちらの区間も x0=xˉx_0=\bar x で最も狭い。x0x_0 が xˉ\bar x から離れるほど広がる。

例題 9.1 単回帰の推定・検定・予測を数値で通す ★★★

オリジナル6組のデータ (xi,yi)=(1,2.3),(2,3.6),(3,6.5),(4,7.4),(5,10.4),(6,11.8)(x_i,y_i)=(1,2.3),(2,3.6),(3,6.5),(4,7.4),(5,10.4),(6,11.8) にモデル (9.1) を当てはめる。

  1. α^, β^, Se, σ^2\hat\alpha,\ \hat\beta,\ S_e,\ \hat\sigma^2 と決定係数 R2R^2 を求めよ。
  2. H0:β=0H_0:\beta=0 を有意水準 5% で両側検定し、β\beta の 95% 信頼区間を求めよ。t4(0.025)=2.776t_4(0.025)=2.776 を使ってよい。
  3. x0=7x_0=7 における平均の 95% 信頼区間と、将来の観測値の 95% 予測区間を求めよ。
解答
  1. 平均は xˉ=3.5\bar x=3.5、yˉ=42/6=7\bar y=42/6=7。偏差平方和と積和は次のとおり。

xi−xˉ=−2.5,−1.5,−0.5,0.5,1.5,2.5,yi−yˉ=−4.7,−3.4,−0.5,0.4,3.4,4.8,Sxx=2(6.25+2.25+0.25)=17.5,Sxy=∑(xi−xˉ)yi=−5.75−5.4−3.25+3.7+15.6+29.5=34.4,Syy=22.09+11.56+0.25+0.16+11.56+23.04=68.66.\begin{aligned}x_i-\bar x&=-2.5,-1.5,-0.5,0.5,1.5,2.5,\\ y_i-\bar y&=-4.7,-3.4,-0.5,0.4,3.4,4.8,\\ S_{xx}&=2(6.25+2.25+0.25)=17.5,\\ S_{xy}&=\textstyle\sum(x_i-\bar x)y_i=-5.75-5.4-3.25+3.7+15.6+29.5=34.4,\\ S_{yy}&=22.09+11.56+0.25+0.16+11.56+23.04=68.66 .\end{aligned}

よって

β^=34.417.5=1.9657,α^=7−1.9657×3.5=0.120.\hat\beta=\frac{34.4}{17.5}=1.9657,\qquad \hat\alpha=7-1.9657\times3.5=0.120 .

平方和と決定係数は

SR=Sxy2/Sxx=1183.36/17.5=67.621,Se=68.66−67.621=1.039,σ^2=1.039/4=0.2599,R2=67.621/68.66=0.985.\begin{aligned}S_R&=S_{xy}^2/S_{xx}=1183.36/17.5=67.621, & S_e&=68.66-67.621=1.039,\\ \hat\sigma^2&=1.039/4=0.2599, & R^2&=67.621/68.66=0.985 .\end{aligned} 2. 標準誤差と tt 値は

σ^2/Sxx=0.2599/17.5=0.1219,t=1.9657/0.1219=16.13.\sqrt{\hat\sigma^2/S_{xx}}=\sqrt{0.2599/17.5}=0.1219,\qquad t=1.9657/0.1219=16.13 .

∣t∣>2.776\lvert t\rvert >2.776 なので H0H_0 は棄却される。信頼区間は次のとおり。

1.9657±2.776×0.1219=1.9657±0.338,すなわち [1.627, 2.304].1.9657\pm2.776\times0.1219=1.9657\pm0.338,\quad\text{すなわち}\ [1.627,\ 2.304]. 3. 点推定は μ^0=0.120+1.9657×7=13.88\hat\mu_0=0.120+1.9657\times7=13.88。また (x0−xˉ)2/Sxx=12.25/17.5=0.7(x_0-\bar x)^2/S_{xx}=12.25/17.5=0.7 である。2つの区間の半幅と区間は次のとおり。

平均の信頼区間:2.776×0.2599×1/6+0.7:=2.776×0.5098×0.9309=1.318,[12.56, 15.20],予測区間:2.776×0.5098×1+1/6+0.7=1.934,[11.95, 15.81].\begin{aligned}\text{平均の信頼区間}&:2.776\times\sqrt{0.2599}\times\sqrt{1/6+0.7}\\ &\phantom{:}=2.776\times0.5098\times0.9309=1.318, \qquad [12.56,\ 15.20],\\ \text{予測区間}&:2.776\times0.5098\times\sqrt{1+1/6+0.7}=1.934, \qquad [11.95,\ 15.81].\end{aligned}

図 9.1 に、この例題の回帰直線と、各 x0x_0 での平均の信頼区間・予測区間の端を結んだ帯を示す。帯は xˉ=3.5\bar x=3.5 でくびれ、データの外側(x0=7x_0=7)で開いていく。この様子は式の (x0−xˉ)2(x_0-\bar x)^2 の項に対応している。

図

図 9.1 例題 9.1 のデータ(黒丸)と回帰直線(実線)。破線は平均の 95% 信頼区間、点線は 95% 予測区間の端を結んだもの。

H0:β=0H_0:\beta=0 の tt 統計量を考える。これは標本相関係数 rr だけで書き直せる。次の2式を代入する。

β^=SxYSxx,σ^2=SYY(1−r2)n−2.\hat\beta=\frac{S_{xY}}{S_{xx}},\qquad \hat\sigma^2=\frac{S_{YY}(1-r^2)}{n-2} .

すると

T=β^Sxxσ^=SxYSxx⋅n−2SYY(1−r2)=n−2 r1−r2.(9.8)T=\frac{\hat\beta\sqrt{S_{xx}}}{\hat\sigma}=\frac{S_{xY}}{\sqrt{S_{xx}}}\cdot\frac{\sqrt{n-2}}{\sqrt{S_{YY}(1-r^2)}}=\frac{\sqrt{n-2}\,r}{\sqrt{1-r^2}} .\tag{9.8}

したがって「傾きが0かどうかの tt 検定」と「相関が0かどうかの検定」は同じ検定である。次の例題はこの関係から rr の分布を導く。

例題 9.2 傾きが0のときの標本相関係数の密度 ★★★

オリジナルモデル (9.1) で β=0\beta=0、n≥3n\ge3 とする。標本相関係数 R=SxY/SxxSYYR=S_{xY}/\sqrt{S_{xx}S_{YY}} の確率密度関数が

fR(r)=(1−r2)(n−4)/2B(12,n−22)(−1<r<1)f_R(r)=\frac{(1-r^2)^{(n-4)/2}}{B\bigl(\tfrac12,\tfrac{n-2}{2}\bigr)}\qquad(-1<r<1)

であることを示せ。また E[R]=0E[R]=0 と V[R]=1/(n−1)V[R]=1/(n-1) を示せ。

解答

m=n−2m=n-2 と置く。式 (9.8) より、β=0\beta=0 のとき

T=m R1−R2∼tm.T=\frac{\sqrt m\,R}{\sqrt{1-R^2}}\sim t_m .

写像 r↦t=m r/1−r2r\mapsto t=\sqrt m\,r/\sqrt{1-r^2} は狭義単調増加で、区間 (−1,1)(-1,1) を実数全体へ全単射に写す。さらに

dtdr=m 1−r2+r2/1−r21−r2=m(1−r2)3/2,1+t2m=1+r21−r2=11−r2.\frac{\mathrm{d} t}{\mathrm{d} r}=\sqrt m\,\frac{\sqrt{1-r^2}+r^2/\sqrt{1-r^2}}{1-r^2}=\frac{\sqrt m}{(1-r^2)^{3/2}},\qquad 1+\frac{t^2}{m}=1+\frac{r^2}{1-r^2}=\frac{1}{1-r^2} .

tmt_m の密度は

fT(t)=Γ(m+12)mπ Γ(m2)(1+t2m)−(m+1)/2f_T(t)=\frac{\Gamma(\frac{m+1}{2})}{\sqrt{m\pi}\,\Gamma(\frac m2)}\Bigl(1+\frac{t^2}{m}\Bigr)^{-(m+1)/2}

である。これに変数変換の公式を使うと

fR(r)=fT(t)dtdr=Γ(m+12)mπ Γ(m2)(1−r2)(m+1)/2⋅m(1−r2)3/2=Γ(m+12)Γ(12)Γ(m2)(1−r2)(m−2)/2.f_R(r)=f_T(t)\frac{\mathrm{d} t}{\mathrm{d} r}=\frac{\Gamma(\frac{m+1}{2})}{\sqrt{m\pi}\,\Gamma(\frac m2)}(1-r^2)^{(m+1)/2}\cdot\frac{\sqrt m}{(1-r^2)^{3/2}} =\frac{\Gamma(\frac{m+1}{2})}{\Gamma(\frac12)\Gamma(\frac m2)}(1-r^2)^{(m-2)/2} .

Γ(12)=π\Gamma(\frac12)=\sqrt\pi と B(a,b)=Γ(a)Γ(b)/Γ(a+b)B(a,b)=\Gamma(a)\Gamma(b)/\Gamma(a+b) を使う。m=n−2m=n-2 を戻せば主張の式になる。

密度は r↦−rr\mapsto-r で不変なので E[R]=0E[R]=0。よって分散は E[R2]E[R^2] である。被積分関数は偶関数なので、[0,1][0,1] の積分の2倍にする。そこで u=r2u=r^2(dr=du/(2u)\mathrm{d} r=\mathrm{d} u/(2\sqrt u))と置換すると

E[R2]=2B(12,m2)∫01r2(1−r2)(m−2)/2dr=1B(12,m2)∫01u1/2(1−u)m/2−1du=B(32,m2)B(12,m2).E[R^2]=\frac{2}{B(\frac12,\frac m2)}\int_0^1 r^2(1-r^2)^{(m-2)/2}\mathrm{d} r=\frac{1}{B(\frac12,\frac m2)}\int_0^1u^{1/2}(1-u)^{m/2-1}\mathrm{d} u =\frac{B(\frac32,\frac m2)}{B(\frac12,\frac m2)} .

ベータ関数の比はガンマ関数で計算できる。

B(32,m2)B(12,m2)=Γ(32)Γ(m+12)Γ(12)Γ(m+32)=1/2(m+1)/2=1m+1=1n−1.\frac{B(\frac32,\frac m2)}{B(\frac12,\frac m2)}=\frac{\Gamma(\frac32)\Gamma(\frac{m+1}{2})}{\Gamma(\frac12)\Gamma(\frac{m+3}{2})}=\frac{1/2}{(m+1)/2}=\frac{1}{m+1}=\frac{1}{n-1} .

確認テスト

オリジナル

  1. 9.1-1 残差 eie_i について次の3式が成り立つことを、正規方程式から示せ。

∑ei=0,∑xiei=0,∑Y^iei=0.\textstyle\sum e_i=0,\qquad \sum x_ie_i=0,\qquad \sum\hat Y_ie_i=0 . 2. 9.1-2 V[α^]=σ2(1/n+xˉ2/Sxx)V[\hat\alpha]=\sigma^2(1/n+\bar x^2/S_{xx}) と Cov(α^,β^)=−xˉσ2/Sxx\mathrm{Cov}(\hat\alpha,\hat\beta)=-\bar x\sigma^2/S_{xx} を導け。また α^\hat\alpha と β^\hat\beta が無相関になるのはどんなときか答えよ。3. 9.1-3 原点を通る回帰モデル Yi=βxi+εiY_i=\beta x_i+\varepsilon_i を考える。εi\varepsilon_i は独立に N(0,σ2)\mathrm{N}(0,\sigma^2) に従うとする。また ∑xi2>0\sum x_i^2>0 とする。 β\beta の最小二乗推定量 β~\tilde\beta とその分布を求めよ。また残差平方和を SeS_e とする。Se/(n−1)S_e/(n-1) が σ2\sigma^2 の不偏推定量になることを示せ。4. 9.1-4 n=12n=12 のデータで次の値を得た。

xˉ=5,yˉ=20,Sxx=40,Sxy=60,Syy=110.\bar x=5,\quad \bar y=20,\quad S_{xx}=40,\quad S_{xy}=60,\quad S_{yy}=110 .

β^, α^, Se, R2\hat\beta,\ \hat\alpha,\ S_e,\ R^2 を求め、H0:β=0H_0:\beta=0 を有意水準 5% で検定せよ。t10(0.025)=2.228t_{10}(0.025)=2.228 とする。

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