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重回帰モデル

2026年10月15日18分で読めますAI生成教科書『資格試験』第9章 線形回帰モデル
目次
  1. モデルと正規方程式
  2. 射影行列の幾何
  3. 推定量の性質
  4. 二次形式の分布
  5. 係数の 検定と線形仮説の 検定
  6. 確認テスト
  7. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

数理統計 第9章 §9.2 ★★★ 行列で書いた最小二乗、射影行列、Gauss–Markov、二次形式の χ2\chi^2 と線形仮説の FF 検定

モデルと正規方程式

説明変数が p−1p-1 個あるとき、切片を含めて pp 個の係数をもつ重回帰モデル

Yi=β0+β1xi1+⋯+βp−1xi,p−1+εi(i=1,…,n)Y_i=\beta_0+\beta_1x_{i1}+\dots+\beta_{p-1}x_{i,p-1}+\varepsilon_i\qquad(i=1,\dots,n)

を考える。次の n×pn\times p 行列を計画行列と呼ぶ。

X=(1x11⋯x1,p−1⋮⋮⋮1xn1⋯xn,p−1).X=\begin{pmatrix}1&x_{11}&\cdots&x_{1,p-1}\\ \vdots&\vdots&&\vdots\\ 1&x_{n1}&\cdots&x_{n,p-1}\end{pmatrix}.

これを使うと、モデルは次の形になる。

Y=Xβ+ε,ε∼Nn(0,σ2In)(9.9)\bm{Y}=X\bm{\beta}+\bm{\varepsilon},\qquad \bm{\varepsilon}\sim\mathrm{N}_n(\bm{0},\sigma^2I_n)\tag{9.9}

以後、XX の列は一次独立で、階数は p<np<n であると仮定する。このとき X⊤XX^\top X は正則である。実際、X⊤Xv=0X^\top X\bm{v}=\bm{0} なら次のようになる。

∥Xv∥2=v⊤X⊤Xv=0 ⟹ Xv=0 ⟹ v=0(列の一次独立).\lVert X\bm{v}\rVert ^2=\bm{v}^\top X^\top X\bm{v}=0 \ \Longrightarrow\ X\bm{v}=\bm{0} \ \Longrightarrow\ \bm{v}=\bm{0}\quad(\text{列の一次独立}).

単回帰は、XX の列が 1,x\bm{1},\bm{x} の2本の場合である。

残差平方和は

Q(β)=∥Y−Xβ∥2=Y⊤Y−2β⊤X⊤Y+β⊤X⊤XβQ(\bm{\beta})=\lVert \bm{Y}-X\bm{\beta}\rVert ^2=\bm{Y}^\top\bm{Y}-2\bm{\beta}^\top X^\top\bm{Y}+\bm{\beta}^\top X^\top X\bm{\beta}

である。これを β\bm{\beta} で微分して零ベクトルとおくと、正規方程式 X⊤Xβ=X⊤YX^\top X\bm{\beta}=X^\top\bm{Y} を得る。したがって最小二乗推定量は

β^=(X⊤X)−1X⊤Y.(9.10)\hat{\bm{\beta}}=(X^\top X)^{-1}X^\top\bm{Y} .\tag{9.10}

QQ のヘッセ行列は 2X⊤X2X^\top X で正定値なので、これは最小点である。単回帰のときと同じく、正規誤差のもとではβ^\hat{\bm{\beta}} は最尤推定量でもある。σ2\sigma^2 の最尤推定量は Se/nS_e/n である(証明は命題 9.1 と同じ)。

射影行列の幾何

当てはめ値は次のように書ける。

Y^=Xβ^=HY,H=X(X⊤X)−1X⊤.\hat{\bm{Y}}=X\hat{\bm{\beta}}=H\bm{Y},\qquad H=X(X^\top X)^{-1}X^\top .

HH を射影行列(ハット行列)と呼ぶ。

命題 9.3(射影行列の性質)

HH と I−HI-H は次の性質をもつ。

  1. ともに対称(H⊤=HH^\top=H)かつべき等(H2=HH^2=H)である。
  2. HX=XHX=X、(I−H)X=O(I-H)X=O を満たす。
  3. H(I−H)=OH(I-H)=O を満たす。
  4. 階数はそれぞれ Tr⁡H=p\operatorname{Tr} H=p、Tr⁡(I−H)=n−p\operatorname{Tr}(I-H)=n-p である。
証明

対称性は ((X⊤X)−1)⊤=(X⊤X)−1((X^\top X)^{-1})^\top=(X^\top X)^{-1} から従う。べき等性などは代入で確かめられる。

H2=X(X⊤X)−1X⊤X(X⊤X)−1X⊤=H,HX=X(X⊤X)−1X⊤X=X,(I−H)2=I−2H+H2=I−H,H(I−H)=H−H2=O.\begin{aligned}H^2&=X(X^\top X)^{-1}X^\top X(X^\top X)^{-1}X^\top=H,\\ HX&=X(X^\top X)^{-1}X^\top X=X,\\ (I-H)^2&=I-2H+H^2=I-H,\\ H(I-H)&=H-H^2=O .\end{aligned}

べき等な対称行列の固有値は、λ2=λ\lambda^2=\lambda より0か1である。よって階数は固有値1の個数、すなわちトレースに等しい。

Tr⁡H=Tr⁡((X⊤X)−1X⊤X)=Tr⁡Ip=p(Tr⁡(AB)=Tr⁡(BA) を使った).\operatorname{Tr} H=\operatorname{Tr}\bigl((X^\top X)^{-1}X^\top X\bigr)=\operatorname{Tr} I_p=p\qquad(\operatorname{Tr}(AB)=\operatorname{Tr}(BA)\ \text{を使った}).

XX の列が張る部分空間を C(X)\mathcal C(X) と書く。その次元は pp で、HH はこの部分空間への直交射影である。実際、任意の Y\bm{Y} を次の2つに分ける。

Y=HY+(I−H)Y,HY∈C(X).\bm{Y}=H\bm{Y}+(I-H)\bm{Y},\qquad H\bm{Y}\in\mathcal C(X).

X⊤(I−H)Y=0X^\top(I-H)\bm{Y}=\bm{0} なので、後者は C(X)\mathcal C(X) と直交する。

最小二乗法とは「Y\bm{Y} に最も近い C(X)\mathcal C(X) の点を探すこと」である。その答えが直交射影 HYH\bm{Y} である(図 9.2)。

残差ベクトル e=(I−H)Y\bm{e}=(I-H)\bm{Y} は、X⊤e=0X^\top\bm{e}=\bm{0} を満たす。つまり XX のすべての列と直交する。これは単回帰の式 (9.3) の一般化である。

図

図 9.2 最小二乗法の幾何。Y\bm{Y} を XX の列空間 C(X)\mathcal C(X)(灰色の平面)へ直交射影したものが当てはめ値、垂線が残差である。真の平均 XβX\bm{\beta}(破線)も平面上にあるので、残差の方向には誤差しか入らない。

推定量の性質

β^=(X⊤X)−1X⊤Y\hat{\bm{\beta}}=(X^\top X)^{-1}X^\top\bm{Y} は Y\bm{Y} の線形変換なので正規分布に従い、

E[β^]=(X⊤X)−1X⊤Xβ=β,Cov(β^)=(X⊤X)−1X⊤(σ2I)X(X⊤X)−1=σ2(X⊤X)−1.E[\hat{\bm{\beta}}]=(X^\top X)^{-1}X^\top X\bm{\beta}=\bm{\beta},\qquad \mathrm{Cov}(\hat{\bm{\beta}})=(X^\top X)^{-1}X^\top(\sigma^2I)X(X^\top X)^{-1}=\sigma^2(X^\top X)^{-1} .

不偏性と共分散の式は正規性を使っていない。正規性が無くても、誤差が無相関・等分散でありさえすれば、最小二乗推定量は線形不偏推定量の中で最良である。

定理 9.4(Gauss–Markov の定理 ★★)

E[ε]=0E[\bm{\varepsilon}]=\bm{0}、Cov(ε)=σ2In\mathrm{Cov}(\bm{\varepsilon})=\sigma^2I_n とする(正規性は仮定しない)。線形関数 β~=CY\tilde{\bm{\beta}}=C\bm{Y} の形の不偏推定量を考える。このとき次が成り立つ。

  1. Cov(β~)−Cov(β^)\mathrm{Cov}(\tilde{\bm{\beta}})-\mathrm{Cov}(\hat{\bm{\beta}}) は半正定値である。
  2. 特に、任意の c∈Rp\bm{c}\in\mathbb R^p について V[c⊤β~]≥V[c⊤β^]V[\bm{c}^\top\tilde{\bm{\beta}}]\ge V[\bm{c}^\top\hat{\bm{\beta}}]。
証明

不偏性 E[CY]=CXβ=βE[C\bm{Y}]=CX\bm{\beta}=\bm{\beta} は、任意の母数で成り立つ。よって CX=IpCX=I_p である。C=(X⊤X)−1X⊤+DC=(X^\top X)^{-1}X^\top+D とおく。CX=Ip+DXCX=I_p+DX から DX=ODX=O である。すると

Cov(β~)=σ2CC⊤=σ2[(X⊤X)−1+(X⊤X)−1X⊤D⊤+DX(X⊤X)−1+DD⊤]=σ2(X⊤X)−1+σ2DD⊤.\mathrm{Cov}(\tilde{\bm{\beta}})=\sigma^2CC^\top=\sigma^2\bigl[(X^\top X)^{-1}+(X^\top X)^{-1}X^\top D^\top+DX(X^\top X)^{-1}+DD^\top\bigr] =\sigma^2(X^\top X)^{-1}+\sigma^2DD^\top .

DD⊤DD^\top は半正定値(c⊤DD⊤c=∥D⊤c∥2≥0\bm{c}^\top DD^\top\bm{c}=\lVert D^\top\bm{c}\rVert ^2\ge0)なので主張が成り立つ。

この定理の結論から、β^\hat{\bm{\beta}} を最良線形不偏推定量(BLUE)と呼ぶ。正規性を仮定すれば、第10章で扱う最良不偏推定の理論により、線形に限らずすべての不偏推定量の中で最良であることまで言える。

二次形式の分布

SeS_e の分布を求める道具は、次の補題に集約される。単回帰の定理 9.2 の証明で正規直交基底を作った操作を、固有値分解で一般の射影行列に対して行う。

補題 9.5(射影による二次形式の分布 ★★★)

Y∼Nn(μ,σ2In)\bm{Y}\sim\mathrm{N}_n(\bm{\mu},\sigma^2I_n) とする。AA を階数 rr の対称べき等行列とする。

  1. Aμ=0A\bm{\mu}=\bm{0} ならば Y⊤AY/σ2∼χr2\bm{Y}^\top A\bm{Y}/\sigma^2\sim\chi^2_r。
  2. BB を対称行列とし、AB=OAB=O とする。このとき AYA\bm{Y} と BYB\bm{Y} は独立である。特に次の2組も、それぞれ独立である。

(Y⊤AY, BY),(Y⊤AY, Y⊤BY).(\bm{Y}^\top A\bm{Y},\ B\bm{Y}),\qquad (\bm{Y}^\top A\bm{Y},\ \bm{Y}^\top B\bm{Y}).

証明
  1. AA は対称なので直交行列で対角化できる。その直交行列を QQ として A=QΛQ⊤A=Q\Lambda Q^\top と書く。べき等なので固有値は0か1で、1の個数は rr である。そこで Λ=diag(1,…,1,0,…,0)\Lambda=\mathrm{diag}(1,\dots,1,0,\dots,0)(1が rr 個)と並べる。

Z=Q⊤Y∼Nn(Q⊤μ,σ2In)\bm{Z}=Q^\top\bm{Y}\sim\mathrm{N}_n(Q^\top\bm{\mu},\sigma^2I_n) とおくと

Y⊤AY=Z⊤ΛZ=∑k=1rZk2.\bm{Y}^\top A\bm{Y}=\bm{Z}^\top\Lambda\bm{Z}=\sum_{k=1}^rZ_k^2 .

仮定 Aμ=0A\bm{\mu}=\bm{0} に左から Q⊤Q^\top を掛ける。すると ΛQ⊤μ=0\Lambda Q^\top\bm{\mu}=\bm{0} を得る。よって Q⊤μQ^\top\bm{\mu} の最初の rr 成分は0である。よって Z1,…,ZrZ_1,\dots,Z_r は独立に N(0,σ2)\mathrm{N}(0,\sigma^2) に従い、主張が出る。

  1. (AY,BY)(A\bm{Y},B\bm{Y}) は Y\bm{Y} の線形変換なので、同時に多変量正規分布に従う。共分散は

Cov(AY,BY)=A(σ2I)B⊤=σ2AB=O.\mathrm{Cov}(A\bm{Y},B\bm{Y})=A(\sigma^2I)B^\top=\sigma^2AB=O .

多変量正規分布では無相関と独立が同値なので、両者は独立である。AA は対称べき等だから Y⊤AY=∥AY∥2\bm{Y}^\top A\bm{Y}=\lVert A\bm{Y}\rVert ^2 である。これは AYA\bm{Y} の関数である。

BB もべき等なら、同じく Y⊤BY=∥BY∥2\bm{Y}^\top B\bm{Y}=\lVert B\bm{Y}\rVert ^2 である。べき等でないときも、AB=OAB=O の転置から BA=OBA=O となる。すると

BY=B(I−A)Y+BAY=B(I−A)Y,Y⊤BY=Y⊤(I−A)B(I−A)Y\begin{aligned}B\bm{Y}&=B(I-A)\bm{Y}+BA\bm{Y}=B(I-A)\bm{Y},\\ \bm{Y}^\top B\bm{Y}&=\bm{Y}^\top(I-A)B(I-A)\bm{Y}\end{aligned}

はいずれも (I−A)Y(I-A)\bm{Y} の関数である。最後に、A(I−A)=OA(I-A)=O である。よって (I−A)Y(I-A)\bm{Y} は AYA\bm{Y} と無相関、したがって独立で、主張が従う。

注意

Aμ≠0A\bm{\mu}\neq\bm{0} のときは、Y⊤AY/σ2\bm{Y}^\top A\bm{Y}/\sigma^2 は非心カイ二乗分布に従う。自由度は rr、非心度は λ=μ⊤Aμ/σ2\lambda=\bm{\mu}^\top A\bm{\mu}/\sigma^2 である。対立仮説のもとでの FF 検定の検出力は、この非心分布で計算する。

この補題を A=I−HA=I-H に使う。(I−H)Xβ=0(I-H)X\bm{\beta}=\bm{0} なので、

定理 9.6(重回帰の基本定理 ★★★)

モデル (9.9) のもとで、残差平方和 Se=∥Y−Xβ^∥2=Y⊤(I−H)YS_e=\lVert \bm{Y}-X\hat{\bm{\beta}}\rVert ^2=\bm{Y}^\top(I-H)\bm{Y} について次が成り立つ。

  1. Se/σ2∼χn−p2S_e/\sigma^2\sim\chi^2_{n-p}。
  2. SeS_e は β^\hat{\bm{\beta}} と独立である。
  3. したがって σ^2=Se/(n−p)\hat\sigma^2=S_e/(n-p) は σ2\sigma^2 の不偏推定量である。
証明

前半は補題 9.5 の1で A=I−HA=I-H、r=n−pr=n-p とすればよい。後半を示す。X⊤H=X⊤X^\top H=X^\top により、次のように書ける。

β^=(X⊤X)−1X⊤HY.\hat{\bm{\beta}}=(X^\top X)^{-1}X^\top H\bm{Y} .

よって β^\hat{\bm{\beta}} は HYH\bm{Y} の関数である。また (I−H)H=O(I-H)H=O である。補題の2から、SeS_e と HYH\bm{Y} は独立になる。

不偏性 E[Se]=(n−p)σ2E[S_e]=(n-p)\sigma^2 だけなら正規性は要らない。一般に

E[Y⊤AY]=Tr⁡(A Cov(Y))+μ⊤AμE[\bm{Y}^\top A\bm{Y}]=\operatorname{Tr}(A\,\mathrm{Cov}(\bm{Y}))+\bm{\mu}^\top A\bm{\mu}

であり、A=I−HA=I-H を入れれば σ2(n−p)+0\sigma^2(n-p)+0 となる(確認テスト 9.2-2)。

係数の tt 検定と線形仮説の FF 検定

(X⊤X)−1(X^\top X)^{-1} の対角成分を順に cjjc_{jj} と書く。β^j∼N(βj,σ2cjj)\hat\beta_j\sim\mathrm{N}(\beta_j,\sigma^2c_{jj}) で、これは SeS_e と独立なので

Tj=β^j−βjσ^2cjj∼tn−p.T_j=\frac{\hat\beta_j-\beta_j}{\sqrt{\hat\sigma^2c_{jj}}}\sim t_{n-p} .

複数の係数を同時に検定するには、モデルを入れ子にして残差平方和を比べる。H0H_0 のもとでのモデルを

Y=X0γ+ε\bm{Y}=X_0\bm{\gamma}+\bm{\varepsilon}

とする。X0X_0 は n×(p−q)n\times(p-q) 行列とする。その列空間は C(X)\mathcal C(X) に含まれるとする。その射影行列を H0H_0、残差平方和を Se0=Y⊤(I−H0)YS_{e0}=\bm{Y}^\top(I-H_0)\bm{Y} とする。

たとえば H0:βp−q=⋯=βp−1=0H_0:\beta_{p-q}=\dots=\beta_{p-1}=0 を考える。このときの X0X_0 は、計画行列から最後の qq 列を除いたものである。

定理 9.7(線形仮説の FF 検定 ★★★)

H0H_0 のもとで

F=(Se0−Se)/qSe/(n−p)∼Fq, n−p.F=\frac{(S_{e0}-S_e)/q}{S_e/(n-p)}\sim F_{q,\,n-p} .

証明

C(X0)⊂C(X)\mathcal C(X_0)\subset\mathcal C(X) なので HX0=X0HX_0=X_0 である。よって HH0=H0HH_0=H_0 で、転置して H0H=H0H_0H=H_0 である。A=H−H0A=H-H_0 とおくと、次が成り立つ。

A⊤=A,A2=H−H0−H0+H0=A(対称べき等),Tr⁡A=Tr⁡H−Tr⁡H0=p−(p−q)=q(階数),Se0−Se=Y⊤(I−H0)Y−Y⊤(I−H)Y=Y⊤AY.\begin{aligned}A^\top&=A,\qquad A^2=H-H_0-H_0+H_0=A &&\text{(対称べき等)},\\ \operatorname{Tr} A&=\operatorname{Tr} H-\operatorname{Tr} H_0=p-(p-q)=q &&\text{(階数)},\\ S_{e0}-S_e&=\bm{Y}^\top(I-H_0)\bm{Y}-\bm{Y}^\top(I-H)\bm{Y}=\bm{Y}^\top A\bm{Y} .\end{aligned}

帰無仮説のもとで μ=X0γ\bm{\mu}=X_0\bm{\gamma} なので、Aμ=X0γ−X0γ=0A\bm{\mu}=X_0\bm{\gamma}-X_0\bm{\gamma}=\bm{0}。補題 9.5 の1より Y⊤AY/σ2∼χq2\bm{Y}^\top A\bm{Y}/\sigma^2\sim\chi^2_q。

また A(I−H)=H−H2−H0+H0H=OA(I-H)=H-H^2-H_0+H_0H=O である。補題の2より、Y⊤AY\bm{Y}^\top A\bm{Y} と Se=Y⊤(I−H)YS_e=\bm{Y}^\top(I-H)\bm{Y} は独立である。両者を自由度で割った比が Fq,n−pF_{q,n-p} に従う。

q=1q=1 の場合を考える。このとき FF は、1つの係数の tt 統計量の2乗に一致する(例題 9.3 で数値で確かめる)。X0=1X_0=\bm{1}(切片だけ)とすると Se0=SYYS_{e0}=S_{YY} で、全係数が0かどうかの検定になる。このときの FF は、決定係数 R2=1−Se/SYYR^2=1-S_e/S_{YY} で次のように書ける(確認テスト 9.2-4)。

F=R2/(p−1)(1−R2)/(n−p).F=\frac{R^2/(p-1)}{(1-R^2)/(n-p)} .

例題 9.3 直交計画での重回帰と FF 検定 ★★★

オリジナル2つの説明変数を ±1\pm1 の2水準で振った8回の実験で、次の値を得た。

x1x_1−1-1−1-11111−1-1−1-11111
x2x_2−1-111−1-111−1-111−1-111
yy3.14.05.25.63.53.84.85.9

モデル Yi=β0+β1xi1+β2xi2+εiY_i=\beta_0+\beta_1x_{i1}+\beta_2x_{i2}+\varepsilon_i を当てはめる。

  1. X⊤XX^\top X を求めよ。また β^\hat{\bm{\beta}} と Cov(β^)\mathrm{Cov}(\hat{\bm{\beta}}) を求めよ。
  2. SeS_e と σ^2\hat\sigma^2 を求めよ。
  3. H0:β2=0H_0:\beta_2=0 を、縮小モデルの残差平方和との比較による FF 検定で有意水準 5% で検定せよ。また、β^2\hat\beta_2 の tt 統計量を求め、その2乗が上で求めた検定統計量に一致することを確かめよ。F1,5(0.05)=6.608F_{1,5}(0.05)=6.608 とする。
解答
  1. 列 1,x1,x2\bm{1},\bm{x}_1,\bm{x}_2 は互いに直交し、どれも長さの2乗が8なので X⊤X=8I3X^\top X=8I_3。また

X⊤y=(∑yi, ∑xi1yi, ∑xi2yi)⊤=(35.9, 7.1, 2.7)⊤.X^\top\bm{y}=\Bigl(\sum y_i,\ \sum x_{i1}y_i,\ \sum x_{i2}y_i\Bigr)^\top=(35.9,\ 7.1,\ 2.7)^\top .

よって

β^=18(35.9, 7.1, 2.7)⊤=(4.4875, 0.8875, 0.3375)⊤,Cov(β^)=σ28I3.\hat{\bm{\beta}}=\tfrac18(35.9,\ 7.1,\ 2.7)^\top=(4.4875,\ 0.8875,\ 0.3375)^\top,\qquad \mathrm{Cov}(\hat{\bm{\beta}})=\frac{\sigma^2}{8}I_3 .

係数どうしが無相関になるのは計画が直交しているからである。2. 直交性から次の2式が成り立つ。

∥y∥2=∥Hy∥2+Se,∥Hy∥2=8(β^02+β^12+β^22).\lVert \bm{y}\rVert ^2=\lVert H\bm{y}\rVert ^2+S_e,\qquad \lVert H\bm{y}\rVert ^2=8(\hat\beta_0^2+\hat\beta_1^2+\hat\beta_2^2) .

Syy=∑yi2−8yˉ2=168.55−161.10125=7.44875S_{yy}=\sum y_i^2-8\bar y^2=168.55-161.10125=7.44875 を使い、1\bm{1} 方向を除いて

Se=Syy−8β^12−8β^22=7.44875−6.30125−0.91125=0.23625,σ^2=0.23625/(8−3)=0.04725.\begin{aligned}S_e&=S_{yy}-8\hat\beta_1^2-8\hat\beta_2^2=7.44875-6.30125-0.91125=0.23625,\\ \hat\sigma^2&=0.23625/(8-3)=0.04725 .\end{aligned} 3. 縮小モデル(1,x1\bm{1},\bm{x}_1 だけ)でも直交性はそのままなので、係数の推定値は変わらない。よって

Se0=Se+8β^22=0.23625+0.91125=1.1475.S_{e0}=S_e+8\hat\beta_2^2=0.23625+0.91125=1.1475 .

F=(1.1475−0.23625)/10.04725=0.911250.04725=19.29>6.608F=\frac{(1.1475-0.23625)/1}{0.04725}=\frac{0.91125}{0.04725}=19.29>6.608

なので H0H_0 を棄却する。一方、tt 統計量は

t=β^2/σ^2/8=0.3375/0.07685=4.392,t2=19.29t=\hat\beta_2/\sqrt{\hat\sigma^2/8}=0.3375/0.07685=4.392,\qquad t^2=19.29

で、FF と一致する。

確認テスト

オリジナル

  1. 9.2-1 p=2p=2、X=(1,x)X=(\bm{1},\bm{x}) とする。HH の対角成分 hiih_{ii}(てこ比)が次の形になることを示せ。

hii=1n+(xi−xˉ)2Sxx.h_{ii}=\frac1n+\frac{(x_i-\bar x)^2}{S_{xx}} .

また ∑ihii=2\sum_ih_{ii}=2 を確かめよ。2. 9.2-2 正規性は仮定せず、E[ε]=0E[\bm{\varepsilon}]=\bm{0} と Cov(ε)=σ2I\mathrm{Cov}(\bm{\varepsilon})=\sigma^2I だけを仮定する。このとき E[Se]=(n−p)σ2E[S_e]=(n-p)\sigma^2 を示せ。3. 9.2-3 XX の列を 1, x=(0,1,2,3)⊤\bm{1},\ \bm{x}=(0,1,2,3)^\top とする。(X⊤X)−1(X^\top X)^{-1} を求めよ。また V[β^0]V[\hat\beta_0] と V[β^1]V[\hat\beta_1] が、単回帰の式 (9.5) と一致することを確かめよ。4. 9.2-4 切片を含む pp 列の計画で、全係数(切片を除く)が0という仮説を考える。その FF 統計量が次のように書けることを示せ。

F=R2/(p−1)(1−R2)/(n−p).F=\frac{R^2/(p-1)}{(1-R^2)/(n-p)} .

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

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