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ランダム・ウォーク

2026年10月15日12分で読めますAI生成教科書『資格試験』第12章 発展的トピック:確率過程
目次
  1. 単純ランダム・ウォーク
  2. 破産問題と第一歩解析
  3. 鏡像原理
  4. 再帰性
  5. 確認テスト
  6. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

数理統計 第12章 §12.2 ★★ 最初の一歩で場合を分ける第一歩解析と、経路を折り返して数える鏡像原理。前者はマルコフ連鎖の到達確率にもそのまま使う

単純ランダム・ウォーク

確率変数 X1,X2,…X_1,X_2,\dots が独立に次の分布に従うとする。

P(Xi=+1)=p,P(Xi=−1)=q=1−p.P(X_i=+1)=p,\qquad P(X_i=-1)=q=1-p.

出発点 aa(整数)から Sn=a+X1+⋯+XnS_n=a+X_1+\dots+X_n と定める。{Sn}\{S_n\} を単純ランダム・ウォークと呼び、p=1/2p=1/2 のとき対称であるという。期待値と分散は次のとおりである。

E[Xi]=p−q,V[Xi]=1−(p−q)2=4pq,E[Sn]=a+n(p−q),V[Sn]=4npq.E[X_i]=p-q,\quad V[X_i]=1-(p-q)^2=4pq,\qquad E[S_n]=a+n(p-q),\quad V[S_n]=4npq.

上に進んだ歩数を UU とする。これは二項分布 Bin(n,p)\mathrm{Bin}(n,p) に従う。変位は Sn−a=U−(n−U)=2U−nS_n-a=U-(n-U)=2U-n である。よって

P(Sn−a=k)=(n(n+k)/2)p(n+k)/2q(n−k)/2(k≡n(mod2), ∣k∣≤n)(12.5)P(S_n-a=k)=\binom{n}{(n+k)/2}p^{(n+k)/2}q^{(n-k)/2}\qquad(k\equiv n \pmod 2,\ \lvert k\rvert \le n)\tag{12.5}

となる。nn と kk の偶奇が違えば、確率は 0 である。

破産問題と第一歩解析

整数 0<a<N0<a<N から出発し、0 または NN に初めて達したら止まるとする。これは、所持金 aa で1回 1 単位を賭ける勝負を繰り返す賭けの模型である。所持金が 0 になる(破産する)か NN に達する(目標達成)まで続け、破産問題と呼ばれる。

出発点を kk とする。0 より先に NN に達する確率を h(k)h(k) とおく。最初の1歩で場合を分けると、確率 pp で k+1k+1 に移る。そこから先は、k+1k+1 から出発したのと同じ確率法則に従う。−1-1 の場合も同様なので

h(k)=p h(k+1)+q h(k−1)(0<k<N),h(0)=0,h(N)=1(12.6)h(k)=p\,h(k+1)+q\,h(k-1)\qquad(0<k<N),\qquad h(0)=0,\quad h(N)=1\tag{12.6}

を得る。このように最初の1歩で条件付けて差分方程式を立てる方法を第一歩解析と呼ぶ。

定理 12.5(破産問題の解 ★★)

r=q/pr=q/p とおく。kk から出発して 0 より先に NN に達する確率は

h(k)={1−rk1−rN(p≠q),kN(p=q=1/2)(12.7)h(k)=\begin{cases}\dfrac{1-r^k}{1-r^N}&(p\ne q),\\[2ex] \dfrac{k}{N}&(p=q=1/2)\end{cases}\tag{12.7}

である。止まるまでの歩数の期待値 D(k)D(k) は

D(k)={kq−p−Nq−p h(k)(p≠q),k(N−k)(p=q=1/2)(12.8)D(k)=\begin{cases}\dfrac{k}{q-p}-\dfrac{N}{q-p}\,h(k)&(p\ne q),\\[2ex] k(N-k)&(p=q=1/2)\end{cases}\tag{12.8}

である。

証明

(12.6) は定数係数の線形差分方程式である。h(k)=xkh(k)=x^k を代入すると、特性方程式 px2−x+q=0px^2-x+q=0 を得る。p+q=1p+q=1 を使うと px2−x+q=(x−1)(px−q)px^2-x+q=(x-1)(px-q) と因数分解できる。根は 1 と r=q/pr=q/p である。

  • p≠qp\ne q なら一般解は h(k)=A+Brkh(k)=A+Br^k である。h(0)=0h(0)=0 から A=−BA=-B である。h(N)=1h(N)=1 から B(rN−1)=1B(r^N-1)=1。よって h(k)=(rk−1)/(rN−1)h(k)=(r^k-1)/(r^N-1) で、これは (12.7) に等しい。
  • p=qp=q なら重根 1 で、一般解は h(k)=A+Bkh(k)=A+Bk である。境界条件から h(k)=k/Nh(k)=k/N である。

D(k)D(k) も第一歩解析で求める。1歩使ってから k±1k\pm1 に移るので

D(k)=1+p D(k+1)+q D(k−1)(0<k<N),D(0)=D(N)=0.D(k)=1+p\,D(k+1)+q\,D(k-1)\qquad(0<k<N),\qquad D(0)=D(N)=0.

これは非斉次方程式である。一般解は、斉次方程式の一般解に特解を足したものである。斉次方程式の一般解は A+BrkA+Br^k である(等確率なら A+BkA+Bk)。

  • p≠qp\ne q のとき。D(k)=ckD(k)=ck を代入すると

ck=1+pc(k+1)+qc(k−1)=1+ck+c(p−q)ck=1+pc(k+1)+qc(k-1)=1+ck+c(p-q)

から c=1/(q−p)c=1/(q-p)。一般解は D(k)=k/(q−p)+A+BrkD(k)=k/(q-p)+A+Br^k である。D(0)=0D(0)=0 から A=−BA=-B である。D(N)=0D(N)=0 から B(rN−1)=−N/(q−p)B(r^N-1)=-N/(q-p) で、

D(k)=kq−p−Nq−p⋅rk−1rN−1D(k)=\frac{k}{q-p}-\frac{N}{q-p}\cdot\frac{r^k-1}{r^N-1}

となり (12.8) を得る。

  • p=q=1/2p=q=1/2 のとき。D(k)=ck2D(k)=ck^2 を代入すると

ck2=1+c2{(k+1)2+(k−1)2}=1+ck2+cck^2=1+\tfrac c2\{(k+1)^2+(k-1)^2\}=1+ck^2+c

から c=−1c=-1。一般解は D(k)=−k2+A+BkD(k)=-k^2+A+Bk である。境界条件を入れると A=0A=0、B=NB=N となる。よって D(k)=k(N−k)D(k)=k(N-k) である。

この証明は、D(k)D(k) が有限であることを前提にしている。有限であることは次のように分かる。

NN 歩続けて +1+1 が出れば必ず止まる。よって NN 歩ずつの区切りごとに、確率 pNp^N 以上で止まる。よって止まらずに mNmN 歩を超える確率は、(1−pN)m(1-p^N)^m 以下になる。

例題 12.2 不利な賭けの破産確率と継続時間 ★★

オリジナル1回の勝負に勝つ確率が p=0.4p=0.4 の賭けを、所持金 3 単位から始める。所持金が 0 になるか 6 単位になるまで、1単位ずつ繰り返す。

  1. 所持金 6 に達する確率を求めよ。
  2. 止まるまでの勝負の回数の期待値を求めよ。
  3. 同じ所持金と目標で p=1/2p=1/2 だったとすると、(1)(2) はいくらになるか。
解答

(1) r=q/p=0.6/0.4=1.5r=q/p=0.6/0.4=1.5 と、出発点 3・目標 6 を (12.7) に入れる。r3=3.375r^3=3.375、r6=11.390625r^6=11.390625 なので

h(3)=1−3.3751−11.390625=−2.375−10.390625=0.2286.h(3)=\frac{1-3.375}{1-11.390625}=\frac{-2.375}{-10.390625}=0.2286.

(2) q−p=0.2q-p=0.2 を (12.8) に入れて、

D(3)=30.2−60.2×0.2286=15−6.857=8.143 (回).D(3)=\frac{3}{0.2}-\frac{6}{0.2}\times0.2286=15-6.857=8.143\ (\text{回}).

(3) h(3)=3/6=0.5h(3)=3/6=0.5、D(3)=3×3=9D(3)=3\times3=9(回)。勝つ確率がわずかに 1/2 を下回るだけで、目標に達する確率は 0.5 から 0.23 まで下がる。1回あたりの不利 q−p=0.2q-p=0.2 が、勝負を重ねるたびに所持金の平均を下げ続けることによる。

鏡像原理

対称ランダム・ウォーク(p=1/2p=1/2)では、長さ nn の経路はどれも同じ確率を持つ。その確率は 2−n2^{-n} である。

ここで経路とは ±1\pm1 の並びのことである。よって確率の計算は経路の数え上げに帰着する。平面上で点 (k,Sk)(k,S_k) を折れ線で結んだものを経路と呼ぶ。

定理 12.6(鏡像原理 ★★)

整数 a,b>0a,b>0 とする。(0,a)(0,a) から (n,b)(n,b) へ至る経路のうち、横軸(高さ 0)に触れるか横切るものを考える。その数は、(0,−a)(0,-a) から (n,b)(n,b) へ至る経路の総数に等しい。

証明

(0,a)(0,a) から出発して高さ 0 に触れる経路を考え、初めて高さ 0 に達する時刻を τ\tau とする。τ\tau までの部分を横軸に関して折り返す(高さの符号を反転する)。得られる経路は (0,−a)(0,-a) から出発して (τ,0)(\tau,0) を通る。そのあとは元と同じなので、(n,b)(n,b) に至る。

逆に (0,−a)(0,-a) から (n,b)(n,b) への経路は、終点が正なので必ずどこかで高さ 0 を通る。その最初の時刻までの部分を折り返すと、(0,a)(0,a) から出発して高さ 0 に触れる経路に戻る。この2つの操作は互いに逆なので、2つの経路の集合は1対1に対応し、数が等しい。

この定理の高さ 0 を任意の高さ mm に置き換えても、同じ折り返しが使える。これを最大値の分布に使う。原点から出発する対称ランダム・ウォークの最大値を、S‾n=max⁡0≤k≤nSk\overline S_n=\max_{0\le k\le n}S_k とする。

系 12.7(最大値の分布 ★★)

正の整数 mm に対して

P(S‾n≥m)=P(Sn≥m)+P(Sn>m)=2P(Sn>m)+P(Sn=m).(12.9)P(\overline S_n\ge m)=P(S_n\ge m)+P(S_n>m)=2P(S_n>m)+P(S_n=m).\tag{12.9}

証明

Sn≥mS_n\ge m なら当然 S‾n≥m\overline S_n\ge m なので、次のように分けられる。

P(S‾n≥m)=P(Sn≥m)+P(S‾n≥m, Sn<m).P(\overline S_n\ge m)=P(S_n\ge m)+P(\overline S_n\ge m,\ S_n<m).

S‾n≥m\overline S_n\ge m かつ Sn=b<mS_n=b<m の経路を考える。初めて高さ mm に達した時刻より後の部分を、高さ mm に関して折り返す。すると終点が 2m−b>m2m-b>m の経路になる(図 12.1)。

終点が mm より上の経路は、必ず高さ mm を通る。よってこの対応は1対1であり、

P(S‾n≥m, Sn=b)=P(Sn=2m−b).P(\overline S_n\ge m,\ S_n=b)=P(S_n=2m-b).

b<mb<m について和をとると、P(S‾n≥m, Sn<m)=P(Sn>m)P(\overline S_n\ge m,\ S_n<m)=P(S_n>m) を得る。

図

図 12.1 鏡像原理。実線の経路は k=5k=5 で初めて高さ m=3m=3 に達し、S10=0S_{10}=0 で終わる。その時刻より後を高さ3で折り返すと点線の経路になり、高さ 2m−b=62m-b=6 で終わる

再帰性

原点から出発した対称ランダム・ウォークが、いつか再び原点に戻る確率を ff とする。f=1f=1 のとき再帰的、f<1f<1 のとき一時的という。

定理 12.8(1次元対称ランダム・ウォークの再帰性 ★)

次のようにおく。

u2n=P(S2n=0)=(2nn)4−n.u_{2n}=P(S_{2n}=0)=\binom{2n}{n}4^{-n}.

このとき、f=1f=1 と ∑n≥1u2n=∞\sum_{n\ge1}u_{2n}=\infty は同値である。1次元の対称ランダム・ウォークでは実際に ∑u2n=∞\sum u_{2n}=\infty なので、再帰的である。

証明

原点に戻る回数を R=∑n≥11{S2n=0}R=\sum_{n\ge1}\mathbf 1\{S_{2n}=0\} とする。原点に戻った時点から先の歩みは、出発時と同じ確率法則に従う新しいランダム・ウォークである。よって kk 回戻ったあと、さらにもう1回戻る確率は ff である。これから P(R≥k)=fkP(R\ge k)=f^k となり、

E[R]=∑k≥1P(R≥k)=∑k≥1fkE[R]=\sum_{k\ge1}P(R\ge k)=\sum_{k\ge1}f^k

は、f<1f<1 なら f/(1−f)<∞f/(1-f)<\infty である。f=1f=1 なら発散する。一方 E[R]=∑nP(S2n=0)=∑nu2nE[R]=\sum_n P(S_{2n}=0)=\sum_n u_{2n} なので、前半の同値性が従う。Stirling の公式 m!∼2πm (m/e)mm!\sim\sqrt{2\pi m}\,(m/\mathrm{e})^m を使うと

u2n=(2n)!(n!)2 4n∼4πn (2n/e)2n2πn (n/e)2n 4n=1πnu_{2n}=\frac{(2n)!}{(n!)^2\,4^n}\sim\frac{\sqrt{4\pi n}\,(2n/\mathrm{e})^{2n}}{2\pi n\,(n/\mathrm{e})^{2n}\,4^n}=\frac{1}{\sqrt{\pi n}}

で、∑1/n\sum 1/\sqrt n は発散するので ∑u2n=∞\sum u_{2n}=\infty である。

再帰的であっても、原点に戻るまでの時間の期待値は無限大になる(§12.4 のブラウン運動の到達時刻と同じ事情による)。p≠1/2p\ne1/2 なら、大数の法則から Sn/n→p−q≠0S_n/n\to p-q\ne0 である。よって SnS_n は ±∞\pm\infty に発散し、原点に戻る回数は有限で一時的になる。

例題 12.3 10歩の最大値 ★★

オリジナル原点から出発する対称ランダム・ウォークの、10歩までの最大値を S‾10\overline S_{10} とする。

  1. 確率 P(S10=k)P(S_{10}=k) を、k=0,±2,…,±10k=0,\pm2,\dots,\pm10 について式で書け。
  2. P(S‾10≥4)P(\overline S_{10}\ge4) を求めよ。
  3. P(S‾10≥4, S10=0)P(\overline S_{10}\ge4,\ S_{10}=0) を求めよ。
解答

(1) (12.5) で p=q=1/2p=q=1/2、a=0a=0 とおく。

P(S10=k)=(10(10+k)/2)/210.P(S_{10}=k)=\binom{10}{(10+k)/2}\Big/2^{10}.

(2) 系 12.7 から P(S‾10≥4)=P(S10≥4)+P(S10>4)P(\overline S_{10}\ge4)=P(S_{10}\ge4)+P(S_{10}>4)。S10S_{10} は偶数の値しかとらないので、P(S10>4)=P(S10≥6)P(S_{10}>4)=P(S_{10}\ge6) である。二項係数の和を数える。

  • S10≥4S_{10}\ge4 は (10+k)/2∈{7,8,9,10}(10+k)/2\in\{7,8,9,10\} に当たる。和は 120+45+10+1=176120+45+10+1=176。
  • S10≥6S_{10}\ge6 は {8,9,10}\{8,9,10\} に当たる。和は 45+10+1=5645+10+1=56。

よって P(S‾10≥4)=(176+56)/1024=232/1024=0.2266P(\overline S_{10}\ge4)=(176+56)/1024=232/1024=0.2266。

(3) 系の証明の対応から

P(S‾10≥4, S10=0)=P(S10=8)=(109)/1024=101024=0.00977.P(\overline S_{10}\ge4,\ S_{10}=0)=P(S_{10}=8)=\binom{10}{9}\Big/1024=\frac{10}{1024}=0.00977.

確認テスト

オリジナル

  1. 12.2-1 p=0.6p=0.6 の単純ランダム・ウォークが原点から出発するとき、S25S_{25} の期待値と分散を求めよ。
  2. 12.2-2 原点から出発する対称ランダム・ウォークで P(S6=2)P(S_6=2) を求めよ。
  3. 12.2-3 対称な破産問題で止まるまでの歩数の期待値が D(k)=k(N−k)D(k)=k(N-k) になることを、差分方程式から導け。出発点 2・目標 5 での値も求めよ。
  4. 12.2-4 原点から出発する対称ランダム・ウォークで、u20=P(S20=0)u_{20}=P(S_{20}=0) を求めよ。それを近似 1/πn1/\sqrt{\pi n}(n=10n=10)と比べよ。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

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