tecktom.com

添字の上げ下げ

2026年10月22日10分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第5章 計量
目次
  1. ベクトルから1形式へ
  2. 反変成分と共変成分の図
  3. 勾配ベクトル
  4. 確認テスト
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

物理のための微分幾何入門 第5章 §5.2 ★★★ 計量があるとベクトルと1形式を1対1に対応させられる。勾配ベクトルはこの対応で df\mathrm{d} f から作る

ベクトルから1形式へ

計量に接ベクトル vv を1つだけ入れると、線形写像 w↦g(v,w)w\mapsto g(v,w) ができる。これは、ベクトルを入れて数を返す線形写像なので、1形式である(第3章 §3.1)。この1形式を v♭=g(v,⋅)v^\flat=g(v,\cdot) と書く。

成分は v♭(∂j)=g(v,∂j)=gijviv^\flat(\partial_j)=g(v,\partial_j)=g_{ij}v^i である。この成分を vjv_j と書く。

vj=gjivi(5.8)v_j=g_{ji}v^i\tag{5.8}

この操作を添字を下げると呼ぶ。

定理 5.6(計量はベクトルと1形式を同一視する)

計量が非退化なら、写像 ♭ ⁣:TpM→Tp∗M\flat\colon T_pM\to T^*_pM は線形な同型である。逆写像 ♯\sharp の成分は、行列 (gij)(g_{ij}) の逆行列を使って

αi=gijαj,gikgkj=δij(5.9)\alpha^i=g^{ij}\alpha_j,\qquad g^{ik}g_{kj}=\delta^i{}_j\tag{5.9}

と書ける。さらに gijg^{ij} は (2,0)(2,0) 型テンソルの成分として変換する。

証明

♭\flat が線形であることは、計量の双線形性から従う。v♭=0v^\flat=0 とすると、すべての入力に対して g(v,⋅)g(v,\cdot) は0を返す。非退化性から v=0v=0 となるので、♭\flat は単射である。接空間と余接空間はどちらも nn 次元なので、単射な線形写像は全単射になる。

成分で書くと、♭\flat は行列 (gij)(g_{ij}) を掛ける写像である。全単射なので、この行列は逆行列 (gij)(g^{ij}) を持つ。逆写像は αj↦gijαj\alpha_j\mapsto g^{ij}\alpha_j になる。

最後に変換則を調べる。(5.3) の逆行列をとると (g′)−1=J−1g−1(J−1)T(g')^{-1}=J^{-1}g^{-1}(J^{-1})^{\mathsf T} である。J−1J^{-1} の成分は ∂x′i/∂xk\partial x'^i/\partial x^k なので、成分で書けば

g′ij=∂x′i∂xk∂x′j∂xl gklg'^{ij}=\frac{\partial x'^i}{\partial x^k}\frac{\partial x'^j}{\partial x^l}\,g^{kl}

となる。これは (2,0)(2,0) 型テンソルの変換則である。

逆写像を添字を上げる操作と呼ぶ。上げてから下げると元に戻る。gijgjkαk=αig_{ij}g^{jk}\alpha_k=\alpha_i だからである。

直交座標で上付きと下付きを区別しない理由

Euclid 空間の直交座標では gij=δijg_{ij}=\delta_{ij} である。

  • このとき vi=viv_i=v^i となり、ベクトルの成分と対応する1形式の成分が数として等しい。
  • 初等的な物理では、力(1形式 −dV-\mathrm{d} V の成分)と変位(ベクトル)を同じ矢印で描く。これは直交座標と Euclid 計量を暗に使っている。
  • 斜交座標や極座標では vi≠viv_i\neq v^i なので、区別を省くと計算を誤る。

反変成分と共変成分の図

斜交座標で、上付きの成分と下付きの成分を図で比べる。ベクトル vv を2つの基底ベクトルの和に分けたときの係数が、上付きの成分 viv^i である。図では、vv の先端から各軸に平行に線を引いて読む。

下付きの成分は vi=g(v,∂i)=v⋅aiv_i=g(v,\partial_i)=\bm{v}\cdot\bm{a}_i である。基底ベクトルの長さは1なので、viv_i は vv をその方向へ垂直に射影した長さになる。図 5.2 の例では、上付きの成分は (v1,v2)=(2,1)(v^1,v^2)=(2,1) である。下付きの成分は (v1,v2)=(5/2, 2)(v_1,v_2)=(5/2,\,2) である。

(5.8) で計算すると v1=1⋅2+12⋅1=5/2v_1=1\cdot2+\tfrac12\cdot1=5/2 になる。同じく v2=12⋅2+1⋅1=2v_2=\tfrac12\cdot2+1\cdot1=2 となり、図と一致する。

図

図 5.2 角 60∘60^\circ の斜交座標でのベクトル v=2a1+a2v=2\bm{a}_1+\bm{a}_2。赤の破線は軸に平行な線で、上付きの成分 viv^i(係数)を読む。緑の点線は軸への垂線で、下付きの成分 vi=v⋅aiv_i=\bm{v}\cdot\bm{a}_i を読む。直交座標ではこの2つの線が一致するので、成分を区別しなくてよい。

勾配ベクトル

関数 ff の微分 df=∂if dxi\mathrm{d} f=\partial_if\,\mathrm{d} x^i は、計量が無くても定義できる1形式である(第3章 §3.2)。df\mathrm{d} f はベクトルではない。ベクトルとしての勾配は、df\mathrm{d} f の添字を上げて作る。

定義 5.7(勾配ベクトル)

計量のある多様体で、関数 ff の勾配を grad⁡f=(df)♯\operatorname{grad}f=(\mathrm{d} f)^\sharp で定める。成分は

(grad⁡f)i=gij ∂jf(5.10)(\operatorname{grad}f)^i=g^{ij}\,\partial_jf\tag{5.10}

である。定義から、すべての接ベクトル vv について次が成り立つ。

g(grad⁡f,v)=df(v)=vi∂ifg(\operatorname{grad}f,v)=\mathrm{d} f(v)=v^i\partial_if

命題 5.8(勾配は最も急に増える向き)

Riemann 計量のもとで、点 pp で df≠0\mathrm{d} f\neq0 とする。長さ1の接ベクトルの中で方向微分 df(v)\mathrm{d} f(v) が最大になるのは、vv が勾配と同じ向きのときである。最大値は ∥grad⁡f∥\left\Vert \operatorname{grad}f\right\Vert である。また、勾配は、等位集合に接するすべてのベクトルと直交する。

証明

df(v)=g(grad⁡f,v)\mathrm{d} f(v)=g(\operatorname{grad}f,v) に Cauchy–Schwarz の不等式を使う。長さ1の vv について df(v)≤∥grad⁡f∥\mathrm{d} f(v)\le\left\Vert \operatorname{grad}f\right\Vert である。等号は、vv が勾配の正の定数倍のときに限って成り立つ。

等位集合に接するベクトル ww の方向には関数が変わらないので、df(w)=0\mathrm{d} f(w)=0 である。したがって g(grad⁡f,w)=0g(\operatorname{grad}f,w)=0 となる。

命題の2つの主張は、どちらも計量を使っている。「最も急な向き」は長さ1のベクトルの中で比べるので、長さを決める計量が要る。「等位集合と直交する」も、直交を決める計量が要る。計量が無い空間で言えるのは、df\mathrm{d} f の核が等位集合の接空間になる、ということまでである。

極座標の勾配

極座標の逆計量は grr=1, gθθ=1/r2g^{rr}=1,\ g^{\theta\theta}=1/r^2 である。(5.10) から

grad⁡f=∂f∂r ∂r+1r2∂f∂θ ∂θ\operatorname{grad}f=\frac{\partial f}{\partial r}\,\partial_r+\frac{1}{r^2}\frac{\partial f}{\partial \theta}\,\partial_\theta

となる。動径に垂直な座標基底の長さは rr なので、長さ1の基底 e^θ=∂θ/r\hat{\bm{e}}_\theta=\partial_\theta/r で書き直す。

grad⁡f=∂f∂r e^r+1r∂f∂θ e^θ\operatorname{grad}f=\frac{\partial f}{\partial r}\,\hat{\bm{e}}_r+\frac1r\frac{\partial f}{\partial \theta}\,\hat{\bm{e}}_\theta

これが見慣れた ∇f\nabla f の極座標の式である。

例題 5.3 極座標で求めた勾配を直交座標と照らし合わせる ★★

オリジナル平面の関数 f=x2−y2f=x^2-y^2 を考える。

  1. ff を極座標で書け。df\mathrm{d} f の成分と、座標基底についての勾配の成分を求めよ。
  2. 点 (r,θ)=(2,π/6)(r,\theta)=(2,\pi/6) で、(1) の勾配を直交座標の成分に直せ。直交座標で直接計算した (2x, −2y)(2x,\,-2y) と一致することを確かめよ。
  3. 同じ点で、df\mathrm{d} f の成分と勾配の成分が異なることを確かめ、その理由を述べよ。
解答

(1) x2−y2=r2(cos⁡2θ−sin⁡2θ)=r2cos⁡2θx^2-y^2=r^2(\cos^2\theta-\sin^2\theta)=r^2\cos2\theta である。偏微分して

df=2rcos⁡2θ dr−2r2sin⁡2θ dθ\mathrm{d} f=2r\cos2\theta\,\mathrm{d} r-2r^2\sin2\theta\,\mathrm{d}\theta

を得る。逆計量を掛けると、勾配の成分は次のようになる。

(grad⁡f)r=2rcos⁡2θ,(grad⁡f)θ=−2sin⁡2θ(\operatorname{grad}f)^r=2r\cos2\theta,\qquad (\operatorname{grad}f)^\theta=-2\sin2\theta

(2) この点では cos⁡2θ=1/2, sin⁡2θ=3/2\cos2\theta=1/2,\ \sin2\theta=\sqrt3/2 である。勾配の成分は (grad⁡f)r=2, (grad⁡f)θ=−3(\operatorname{grad}f)^r=2,\ (\operatorname{grad}f)^\theta=-\sqrt3 になる。座標基底を直交座標で書くと、次のとおりである。

∂r=(cos⁡θ, sin⁡θ)=(32, 12),∂θ=(−rsin⁡θ, rcos⁡θ)=(−1, 3)\partial_r=(\cos\theta,\ \sin\theta)=\bigl(\tfrac{\sqrt3}{2},\ \tfrac12\bigr),\qquad \partial_\theta=(-r\sin\theta,\ r\cos\theta)=(-1,\ \sqrt3)

したがって

grad⁡f=2∂r−3 ∂θ=(3+3, 1−3)=(23, −2)\operatorname{grad}f=2\partial_r-\sqrt3\,\partial_\theta=(\sqrt3+\sqrt3,\ 1-3)=(2\sqrt3,\ -2)

である。点の直交座標は (x,y)=(3,1)(x,y)=(\sqrt3,1) なので、(2x,−2y)=(23,−2)(2x,-2y)=(2\sqrt3,-2) と一致する。

(3) 同じ点で、df\mathrm{d} f の成分は (∂rf,∂θf)=(2, −43)(\partial_rf,\partial_\theta f)=(2,\,-4\sqrt3) である。勾配の成分 (2, −3)(2,\,-\sqrt3) とは θ\theta 成分が異なる。両者の比は gθθ=r2=4g_{\theta\theta}=r^2=4 である。1形式の成分を計量で上げてベクトルの成分にしたので、計量の成分の分だけ値が変わる。

確認テスト

オリジナル

  1. 5.2-1 平面の極座標で、ベクトル ∂θ\partial_\theta の添字を下げた1形式を、dr, dθ\mathrm{d} r,\ \mathrm{d}\theta で書け。
  2. 5.2-2 半径 aa の球面(例題 5.1 の計量)で、関数 f=cos⁡θf=\cos\theta の勾配の成分と長さを求めよ。長さが最大になる緯度も答えよ。
  3. 5.2-3 角 60∘60^\circ の斜交座標で、ベクトル v=∂1+∂2v=\partial_1+\partial_2 の下付きの成分を求めよ。縮約 viviv_iv^i から長さを出せ。その長さが、長さ1の2本のベクトルを 60∘60^\circ で足した和の長さと一致することを確かめよ。
  4. 5.2-4 添字を下げてから上げると元のベクトルに戻ること、すなわち gij(gjkvk)=vig^{ij}(g_{jk}v^k)=v^i を示せ。また、2つのベクトルの内積が g(v,w)=viwi=gijviwjg(v,w)=v_iw^i=g^{ij}v_iw_j とも書けることを示せ。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

← AI生成教科書『基礎理論』の記事一覧へ