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計量テンソルと線素

2026年10月22日18分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第5章 計量
目次
  1. 定義
  2. 座標変換の規則
  3. 長さと角
  4. 体積要素
  5. 確認テスト
  6. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

物理のための微分幾何入門 第5章 §5.1 ★★★ 計量は各点の接空間の内積。長さ・角・体積はすべて成分 gijg_{ij} と行列式 ∣g∣\left\vert g\right\vert で書ける

第2章で接ベクトル、第3章で1形式、第4章でテンソルを定義した。ここまでの道具では、1つの接ベクトルの長さも、2つの接ベクトルのなす角も言えない。接空間はただのベクトル空間で、ベクトル空間には内積が備わっていないからである。

各点の接空間に内積を1つずつ与える構造を計量と呼ぶ。この章では、計量の定義と座標変換の規則を書き、長さ・角・体積を計量で表す(§5.1)。続いて、計量を使ってベクトルと1形式を対応させる操作(添字の上げ下げ)を定め、勾配がベクトルになるには計量が要ることを示す(§5.2)。

§5.3 では、発散とラプラシアンの一般の公式を計量から導く。同じ節で、座標基底が正規直交になるのはどんなときかを調べる。§5.4 では、運動エネルギーの係数が配位空間の計量になることと、Minkowski 計量が正定値でないことを扱う。最後の §5.5 では、(x,t)(x,t) 平面・熱力学の状態空間・相空間の3つを例に、計量が備わっていない空間を調べる。

この章が答える問い:座標基底は正規直交か

答えは「一般には正規直交でない」である。この章で次の3つを順に示す。

  1. 斜交座標の座標基底は直交しない(図 5.1)。二重振り子の配位空間の座標基底も直交しない(§5.4)。
  2. 平面の極座標の座標基底は直交する。しかし ∂θ\partial_\theta の長さは rr なので、正規ではない(図 5.3)。
  3. (x,t)(x,t) 平面や熱力学の状態空間には、そもそも計量が無い。そこでは「直交」という語に意味が無い(§5.5)。

前の章から使う結果を1回ずつ書いておく。座標 xix^i の座標基底を ∂i=∂/∂xi\partial_i=\partial/\partial x^i と書く(第2章 §2.2)。双対基底は dxi\mathrm{d} x^i と書く(第3章 §3.1)。別の座標 x′ix'^i へ移ると、基底と成分は

∂i′=∂xk∂x′i ∂k,v′i=∂x′i∂xk vk,dx′i=∂x′i∂xk dxk\partial'_i=\frac{\partial x^k}{\partial x'^i}\,\partial_k,\qquad v'^i=\frac{\partial x'^i}{\partial x^k}\,v^k,\qquad \mathrm{d} x'^i=\frac{\partial x'^i}{\partial x^k}\,\mathrm{d} x^k

と変わる。

(0,2)(0,2) 型テンソル TT の成分は、次のように変わる(第4章 §4.2)。

Tij′=∂xk∂x′i∂xl∂x′j TklT'_{ij}=\frac{\partial x^k}{\partial x'^i}\frac{\partial x^l}{\partial x'^j}\,T_{kl}

和は第3章 §3.1 の総和規約で書く。

定義

平面の直交座標では、変位 (dx,dy)(\mathrm{d} x,\mathrm{d} y) の長さの2乗は dx2+dy2\mathrm{d} x^2+\mathrm{d} y^2 である。極座標で同じ変位を書くと dr2+r2dθ2\mathrm{d} r^2+r^2\mathrm{d}\theta^2 になり、係数が座標によって変わる。係数の組を、座標を取り替えても意味の変わらない1つの対象としてまとめたものが計量テンソルである。

定義 5.1(計量テンソル)

多様体の点 pp での接空間を TpMT_pM と書く。各点の接空間に、対称な双線形形式 gpg_p を1つずつ与える。座標 xix^i での成分を gij=g(∂i,∂j)g_{ij}=g(\partial_i,\partial_j) と書く。成分が座標の滑らかな関数であるとき、gg を計量テンソルまたは計量と呼ぶ。

  • すべての点で、0でないすべての vv について g(v,v)>0g(v,v)>0 なら、この計量を Riemann 計量と呼ぶ。
  • 正定値の代わりに非退化だけを要求するとき、gg を擬 Riemann 計量と呼ぶ。非退化とは、すべての ww について g(v,w)=0g(v,w)=0 となるベクトルが0しか無いことである。

計量は、第4章の言葉では対称な (0,2)(0,2) 型テンソル場である。接ベクトル v=vi∂iv=v^i\partial_i と w=wj∂jw=w^j\partial_j を入れると、双線形性から

g(v,w)=gij viwj(5.1)g(v,w)=g_{ij}\,v^iw^j\tag{5.1}

となる。成分の対称性 gij=gjig_{ij}=g_{ji} は、内積の対称性 g(v,w)=g(w,v)g(v,w)=g(w,v) の言い換えである。

gg をテンソル積で書くと g=gij dxi⊗dxjg=g_{ij}\,\mathrm{d} x^i\otimes\mathrm{d} x^j である。物理では、これを

ds2=gij dxidxj(5.2)\mathrm{d} s^2=g_{ij}\,\mathrm{d} x^i\mathrm{d} x^j\tag{5.2}

と書いて線素と呼ぶ。ds2\mathrm{d} s^2 は「座標が dxi\mathrm{d} x^i だけ変わる無限小の変位の長さの2乗」と読む。

座標変換の規則

計量は (0,2)(0,2) 型テンソルなので、成分は第4章の変換則に従う。行列の形で書いておくと計算に使いやすい。

命題 5.2(計量の変換則)

座標 xix^i から座標 x′ix'^i へ移る。成分が Jki=∂xk/∂x′iJ^k{}_i=\partial x^k/\partial x'^i の行列を JJ とすると、

gij′=∂xk∂x′i∂xl∂x′j gkl,行列でg′=JTgJ(5.3)g'_{ij}=\frac{\partial x^k}{\partial x'^i}\frac{\partial x^l}{\partial x'^j}\,g_{kl},\qquad\text{行列で}\quad g'=J^{\mathsf T}gJ\tag{5.3}

が成り立つ。

証明

定義から gij′=g(∂i′,∂j′)g'_{ij}=g(\partial'_i,\partial'_j) である。基底の変換則 ∂i′=Jki ∂k\partial'_i=J^k{}_i\,\partial_k を代入し、双線形性を使うと

gij′=JkiJlj g(∂k,∂l)=JkiJlj gklg'_{ij}=J^k{}_iJ^l{}_j\,g(\partial_k,\partial_l)=J^k{}_iJ^l{}_j\,g_{kl}

となる。右辺は行列の積 (JTgJ)ij(J^{\mathsf T}gJ)_{ij} である。

平面の極座標

x=rcos⁡θ, y=rsin⁡θx=r\cos\theta,\ y=r\sin\theta とする。直交座標の計量は単位行列で、

J=(cos⁡θ−rsin⁡θsin⁡θrcos⁡θ),JTJ=(100r2)J=\begin{pmatrix}\cos\theta&-r\sin\theta\\ \sin\theta&r\cos\theta\end{pmatrix},\qquad J^{\mathsf T}J=\begin{pmatrix}1&0\\0&r^2\end{pmatrix}

となる。したがって ds2=dr2+r2dθ2\mathrm{d} s^2=\mathrm{d} r^2+r^2\mathrm{d}\theta^2 である。

斜交座標

平面に長さ1の2つのベクトル a1, a2\bm{a}_1,\ \bm{a}_2 を、角 0<α<π0<\alpha<\pi で置く。点を r=x1a1+x2a2\bm{r}=x^1\bm{a}_1+x^2\bm{a}_2 と表す座標を斜交座標と呼ぶ。座標基底は ∂1=a1, ∂2=a2\partial_1=\bm{a}_1,\ \partial_2=\bm{a}_2 なので、

g11=g22=1,g12=g21=a1⋅a2=cos⁡α,ds2=(dx1)2+2cos⁡α dx1dx2+(dx2)2g_{11}=g_{22}=1,\qquad g_{12}=g_{21}=\bm{a}_1\cdot\bm{a}_2=\cos\alpha,\qquad \mathrm{d} s^2=(\mathrm{d} x^1)^2+2\cos\alpha\,\mathrm{d} x^1\mathrm{d} x^2+(\mathrm{d} x^2)^2

となる。α≠π/2\alpha\neq\pi/2 なら非対角の成分が0でなく、座標基底は直交しない。

図

図 5.1 斜交座標(α=60∘\alpha=60^\circ)の座標格子。灰色の線は x1x^1 または x2x^2 が整数の線である。座標基底 ∂1\partial_1 と ∂2\partial_2 はどちらも長さ1だが、なす角は α\alpha で、直交しない。色を付けた単位の平行四辺形の面積は det⁡g=sin⁡α\sqrt{\det g}=\sin\alpha である。

長さと角

曲線を xi(λ), a≤λ≤bx^i(\lambda),\ a\le\lambda\le b と表す。その速度は x˙=x˙i∂i\dot x=\dot x^i\partial_i である(第2章 §2.1)。Riemann 計量があれば、速度の長さを積分して曲線の長さを

L=∫abgij(x(λ)) x˙ix˙j  dλ(5.4)L=\int_a^b\sqrt{g_{ij}(x(\lambda))\,\dot x^i\dot x^j}\;\mathrm{d}\lambda\tag{5.4}

と定める。

命題 5.3(長さはパラメータの取り方によらない)

λ=λ(μ)\lambda=\lambda(\mu) を単調増加で滑らかな取り替えとする。曲線を μ\mu で表して (5.4) を計算しても、長さの値は変わらない。

証明

連鎖律から dxi/dμ=(dxi/dλ)(dλ/dμ)\mathrm{d} x^i/\mathrm{d}\mu=(\mathrm{d} x^i/\mathrm{d}\lambda)(\mathrm{d}\lambda/\mathrm{d}\mu) である。根号の中は (dλ/dμ)2(\mathrm{d}\lambda/\mathrm{d}\mu)^2 倍になる。dλ/dμ>0\mathrm{d}\lambda/\mathrm{d}\mu>0 なので、この因子は根号の外へ dλ/dμ\mathrm{d}\lambda/\mathrm{d}\mu として出る。

∫gijdxidμdxjdμ dμ=∫gijdxidλdxjdλ  dλdμ dμ=∫gijdxidλdxjdλ dλ\int\sqrt{g_{ij}\frac{d x^i}{d \mu}\frac{d x^j}{d \mu}}\,\mathrm{d}\mu=\int\sqrt{g_{ij}\frac{d x^i}{d \lambda}\frac{d x^j}{d \lambda}}\;\frac{d \lambda}{d \mu}\,\mathrm{d}\mu =\int\sqrt{g_{ij}\frac{d x^i}{d \lambda}\frac{d x^j}{d \lambda}}\,\mathrm{d}\lambda

最後の等号は置換積分である。

長さは座標の取り替えにもよらない。被積分関数の gijx˙ix˙jg_{ij}\dot x^i\dot x^j は、計量に1つの接ベクトルを2回入れた値 g(x˙,x˙)g(\dot x,\dot x) で、座標に依らない数だからである。

0でない2つの接ベクトル v,wv,w のなす角 φ\varphi は

cos⁡φ=g(v,w)g(v,v)g(w,w)(5.5)\cos\varphi=\frac{g(v,w)}{\sqrt{g(v,v)}\sqrt{g(w,w)}}\tag{5.5}

で定める。Riemann 計量なら Cauchy–Schwarz の不等式 g(v,w)2≤g(v,v)g(w,w)g(v,w)^2\le g(v,v)g(w,w) が成り立つ。そのため右辺の絶対値は1以下になる。斜交座標の ∂1, ∂2\partial_1,\ \partial_2 を入れると、cos⁡φ=cos⁡α\cos\varphi=\cos\alpha が出る。

体積要素

座標の小さな箱の「本当の体積」を計量で表す。まず、nn 本の接ベクトルが張る平行体の体積を計量で書く。

補題 5.4(平行体の体積)

Riemann 計量のある nn 次元の多様体の1点で、接ベクトル u1,…,unu_1,\dots,u_n をとる。成分を並べた行列を Mia=uaiM^i{}_a=u_a^i とする。これらが張る平行体の体積は

Vol(u1,…,un)=det⁡(g(ua,ub))=det⁡g ∣det⁡M∣(5.6)\mathrm{Vol}(u_1,\dots,u_n)=\sqrt{\det\bigl(g(u_a,u_b)\bigr)}=\sqrt{\det g}\,\left\vert \det M\right\vert\tag{5.6}

である。ここで det⁡g\det g は、成分 gij(p)g_{ij}(p) を並べた行列の行列式である。

証明

接空間に、gg についての正規直交基底 e1,…,ene_1,\dots,e_n を Gram–Schmidt の方法でとる。正規直交基底での成分を ua=Cbaebu_a=C^b{}_ae_b と書く。平行体の体積は、Euclid 空間と同じく ∣det⁡C∣\left\vert \det C\right\vert である。

内積を並べた Gram 行列は、成分で書けば g(ua,ub)=∑cCcaCcbg(u_a,u_b)=\sum_cC^c{}_aC^c{}_b である。行列では CTCC^{\mathsf T}C なので、その行列式は (det⁡C)2(\det C)^2 になる。

一方、座標基底で計算すると、Gram 行列は MTgMM^{\mathsf T}gM である。その行列式は (det⁡M)2det⁡g(\det M)^2\det g である。2つの計算は同じ Gram 行列の行列式なので、次が成り立つ。

(det⁡C)2=(det⁡M)2det⁡g(\det C)^2=(\det M)^2\det g

平方根をとって (5.6) を得る。

補題で ua=Δxa ∂au_a=\Delta x^a\,\partial_a(和をとらない)とおくと、MM は対角行列になる。座標の小さな箱の体積は det⁡g Δx1⋯Δxn\sqrt{\det g}\,\Delta x^1\cdots\Delta x^n である。これを積分の形にしたものが体積要素である。

定理 5.5(体積要素は座標によらない)

計量の行列式を g=det⁡(gij)g=\det(g_{ij}) と書く。擬 Riemann 計量も含めて、

dV=∣g∣  dx1⋯dxn(5.7)\mathrm{d} V=\sqrt{\left\vert g\right\vert }\;\mathrm{d} x^1\cdots\mathrm{d} x^n\tag{5.7}

は座標の取り替えで形を変えない。すなわち ∣g′∣ dnx′=∣g∣ dnx\sqrt{\left\vert g'\right\vert }\,\mathrm{d}^nx'=\sqrt{\left\vert g\right\vert }\,\mathrm{d}^nx が成り立つ。

証明

変換則 (5.3) の行列式をとると det⁡g′=(det⁡J)2det⁡g\det g'=(\det J)^2\det g である。したがって ∣g′∣=∣det⁡J∣∣g∣\sqrt{\left\vert g'\right\vert }=\left\vert \det J\right\vert \sqrt{\left\vert g\right\vert } となる。一方、重積分の変数変換の公式は dnx=∣det⁡J∣ dnx′\mathrm{d}^nx=\left\vert \det J\right\vert \,\mathrm{d}^nx' である。2つを合わせると、次のようになる。

∣g′∣ dnx′=∣g∣ ∣det⁡J∣ dnx′=∣g∣ dnx\sqrt{\left\vert g'\right\vert }\,\mathrm{d}^nx'=\sqrt{\left\vert g\right\vert }\,\left\vert \det J\right\vert \,\mathrm{d}^nx'=\sqrt{\left\vert g\right\vert }\,\mathrm{d}^nx

行列式の記号 gg と計量 gg は同じ字だが、添字の有無と文脈で区別する。極座標では g=r\sqrt g=r で、斜交座標では g=sin⁡α\sqrt g=\sin\alpha である。3次元の球座標 (r,θ,φ)(r,\theta,\varphi) の計量と体積要素は次のとおりである。

ds2=dr2+r2dθ2+r2sin⁡2θ dφ2,g=r2sin⁡θ\mathrm{d} s^2=\mathrm{d} r^2+r^2\mathrm{d}\theta^2+r^2\sin^2\theta\,\mathrm{d}\varphi^2,\qquad \sqrt g=r^2\sin\theta

例題 5.1 球面の緯線の長さと極冠の面積 ★★

オリジナル半径 aa の球面を、極角と方位角 (θ,φ)(\theta,\varphi) で表す。

  1. 球面の計量と g\sqrt g を、3次元の Euclid 空間の計量から求めよ。
  2. 北緯 λ\lambda の緯線は θ=π/2−λ\theta=\pi/2-\lambda の曲線である。その長さと、それより北の部分(極冠)の面積を求めよ。
  3. 地球を半径 6371 km6371\,\mathrm{km} の球とみなす。北緯 35.7∘35.7^\circ の緯線の長さと、極冠が球面全体に占める割合を求めよ。
解答

(1) 埋め込みは次の式で、接ベクトルはその偏微分である。

r=a(sin⁡θcos⁡φ, sin⁡θsin⁡φ, cos⁡θ),∂θr=a(cos⁡θcos⁡φ, cos⁡θsin⁡φ, −sin⁡θ),∂φr=a(−sin⁡θsin⁡φ, sin⁡θcos⁡φ, 0)\begin{gathered}\bm{r}=a(\sin\theta\cos\varphi,\ \sin\theta\sin\varphi,\ \cos\theta),\\ \partial_\theta\bm{r}=a(\cos\theta\cos\varphi,\ \cos\theta\sin\varphi,\ -\sin\theta),\qquad \partial_\varphi\bm{r}=a(-\sin\theta\sin\varphi,\ \sin\theta\cos\varphi,\ 0)\end{gathered}

内積をとると、成分は次のようになる。

gθθ=a2,gφφ=a2sin⁡2θ,gθφ=0g_{\theta\theta}=a^2,\qquad g_{\varphi\varphi}=a^2\sin^2\theta,\qquad g_{\theta\varphi}=0

したがって ds2=a2(dθ2+sin⁡2θ dφ2)\mathrm{d} s^2=a^2(\mathrm{d}\theta^2+\sin^2\theta\,\mathrm{d}\varphi^2) で、g=a2sin⁡θ\sqrt g=a^2\sin\theta である。

(2) 緯線は、極角を θ0\theta_0 に固定して方位角を1周させる曲線である。速度は ∂φ\partial_\varphi で、その長さは asin⁡θ0a\sin\theta_0 である。緯線の長さは 2πasin⁡θ0=2πacos⁡λ2\pi a\sin\theta_0=2\pi a\cos\lambda になる。

極冠の面積は、体積要素 (5.7) を極冠の範囲で積分して

A=∫02π ⁣ ⁣∫0θ0a2sin⁡θ dθ dφ=2πa2(1−cos⁡θ0)=2πa2(1−sin⁡λ)A=\int_0^{2\pi}\!\!\int_0^{\theta_0}a^2\sin\theta\,\mathrm{d}\theta\,\mathrm{d}\varphi=2\pi a^2(1-\cos\theta_0)=2\pi a^2(1-\sin\lambda)

となる。

(3) cos⁡35.7∘=0.8121\cos35.7^\circ=0.8121 なので、緯線の長さは 2π×6371×0.8121 km2\pi\times6371\times0.8121\,\mathrm{km} である。値は約 3.25×104 km3.25\times10^4\,\mathrm{km} で、赤道の長さ(約4万 km)の約8割になる。極冠の割合は A/(4πa2)=(1−sin⁡λ)/2A/(4\pi a^2)=(1-\sin\lambda)/2 である。sin⁡35.7∘=0.5835\sin35.7^\circ=0.5835 を入れると、約 0.208 になる。

例題 5.2 斜交座標の長さ・角・面積 ★★

オリジナル角 α=60∘\alpha=60^\circ の斜交座標(図 5.1)を考える。

  1. 原点から点 (2,1)(2,1) までの線分の長さを、計量を使って求めよ。
  2. 同じ線分と x1x^1 軸のなす角の余弦を求めよ。
  3. 領域 0≤x1≤2, 0≤x2≤30\le x^1\le2,\ 0\le x^2\le3 の面積を求めよ。
解答

計量の成分は g11=g22=1, g12=cos⁡60∘=1/2g_{11}=g_{22}=1,\ g_{12}=\cos60^\circ=1/2 である。

(1) 線分を xi(λ)=λ (2,1), 0≤λ≤1x^i(\lambda)=\lambda\,(2,1),\ 0\le\lambda\le1 と表すと、速度の成分は一定である。

gijx˙ix˙j=1⋅4+2⋅12⋅2⋅1+1⋅1=7g_{ij}\dot x^i\dot x^j=1\cdot4+2\cdot\tfrac12\cdot2\cdot1+1\cdot1=7

なので、長さは 7≈2.65\sqrt7\approx2.65 である。直交座標で書くと 2a1+a2=(2.5, 0.866)2\bm{a}_1+\bm{a}_2=(2.5,\ 0.866) である。その長さ 6.25+0.75=7\sqrt{6.25+0.75}=\sqrt7 と一致する。

(2) 線分の方向 v=(2,1)v=(2,1) と ∂1=(1,0)\partial_1=(1,0) の内積を計算する。値は g11⋅2+g21⋅1=5/2g_{11}\cdot2+g_{21}\cdot1=5/2 である。(5.5) から cos⁡φ=5/(27)≈0.945\cos\varphi=5/(2\sqrt7)\approx0.945 となる。

(3) det⁡g=1−14=34\det g=1-\tfrac14=\tfrac34 なので、g=3/2\sqrt g=\sqrt3/2 である。面積は ∫02 ⁣∫0332 dx2dx1=33≈5.20\int_0^2\!\int_0^3\tfrac{\sqrt3}{2}\,\mathrm{d} x^2\mathrm{d} x^1=3\sqrt3\approx5.20 になる。座標の上の面積6に、単位の平行四辺形の面積 sin⁡α\sin\alpha を掛けた値である。

確認テスト

オリジナル

  1. 5.1-1 2次元で成分が g11=g22=1, g12=g21=2g_{11}=g_{22}=1,\ g_{12}=g_{21}=2 の対称な双線形形式は、Riemann 計量か。理由とともに答えよ。
  2. 5.1-2 3次元の円柱座標 (ρ,ϕ,z)(\rho,\phi,z) を、x=ρcos⁡ϕ, y=ρsin⁡ϕx=\rho\cos\phi,\ y=\rho\sin\phi で定める。計量と g\sqrt g を求めよ。それを使って、半径 RR・高さ hh の円柱の体積を求めよ。
  3. 5.1-3 平面の極座標で表した曲線 r=eθ, 0≤θ≤2πr=\mathrm{e}^{\theta},\ 0\le\theta\le2\pi の長さを求めよ。また、この曲線の速度と ∂r\partial_r のなす角が、どの点でも同じ値になることを示せ。
  4. 5.1-4 変換則 (5.3) から、det⁡g\det g の符号が座標の取り替えで変わらないことを示せ。Minkowski 計量では det⁡g<0\det g<0 となる。このことと合わせて、体積要素の根号の中に絶対値が要る理由を述べよ。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

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