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面積の変分と極小曲面

2026年10月22日11分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第7章 曲面の幾何
目次
  1. 面積の第1変分
  2. カテノイドと螺旋面
  3. 2つの輪に張った石鹸膜
  4. 確認テスト
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

物理のための微分幾何入門 第7章 §7.4 ★★ 面積の第1変分は −2∫Hϕ dA-2\int H\phi\,\mathrm{d} A。面積が停留する曲面は H=0H=0 で、針金の枠に張った石鹸膜の形になる

面積の第1変分

針金の枠に石鹸膜を張ると、膜は表面張力でできるだけ面積を小さくする形に落ち着く。膜の両側はどちらも大気圧なので、膜の形を決める条件は面積の停留だけである。この節では、面積が停留する条件を曲率で書く。

曲面片 r(u,v)\bm{r}(u,v) と滑らかな関数 ϕ(u,v)\phi(u,v) をとり、法線の向きにずらした曲面の族

rt(u,v)=r(u,v)+t ϕ(u,v) n(u,v)(7.22)\bm{r}_t(u,v)=\bm{r}(u,v)+t\,\phi(u,v)\,\bm{n}(u,v)\tag{7.22}

を考える。枠を固定する場合には、領域の境界で ϕ=0\phi=0 とする。

定理 7.17(面積の第1変分 ★★★)

領域 Ω\Omega は有界とする。曲面 rt\bm{r}_t の面積を A(t)A(t) と書く。このとき

ddt∣t=0A(t)=−2∬ΩH ϕ dA(7.23)\left.\frac{d }{d t}\right|_{t=0}A(t)=-2\iint_\Omega H\,\phi\,\mathrm{d} A\tag{7.23}

が成り立つ。ここで HH は法線 n\bm{n} について計算した平均曲率である。面積要素は dA=EG−F2 du dv\mathrm{d} A=\sqrt{EG-F^2}\,\mathrm{d} u\,\mathrm{d} v である。

証明

偏微分は

(rt)u=ru+t(ϕun+ϕ nu),(rt)v=rv+t(ϕvn+ϕ nv)(\bm{r}_t)_u=\bm{r}_u+t(\phi_u\bm{n}+\phi\,\bm{n}_u),\qquad (\bm{r}_t)_v=\bm{r}_v+t(\phi_v\bm{n}+\phi\,\bm{n}_v)

である。法線は ru,rv\bm{r}_u,\bm{r}_v と直交する。そのため内積をとると、tt の1次の項には ru⋅nu=−L\bm{r}_u\cdot\bm{n}_u=-L の形の項だけが残る。

(7.12) を使うと

Et=E−2tϕL+O(t2),Ft=F−2tϕM+O(t2),Gt=G−2tϕN+O(t2)E_t=E-2t\phi L+\mathcal{O}(t^2),\qquad F_t=F-2t\phi M+\mathcal{O}(t^2),\qquad G_t=G-2t\phi N+\mathcal{O}(t^2)

となる。行列式を展開すると

EtGt−Ft2=EG−F2−2tϕ (EN−2FM+GL)+O(t2)=(EG−F2)(1−4tϕH)+O(t2)E_tG_t-F_t^2=EG-F^2-2t\phi\,(EN-2FM+GL)+\mathcal{O}(t^2)=(EG-F^2)(1-4t\phi H)+\mathcal{O}(t^2)

である。最後の等号には (7.20) の HH の式を使った。

平方根をとると EtGt−Ft2=EG−F2 (1−2tϕH)+O(t2)\sqrt{E_tG_t-F_t^2}=\sqrt{EG-F^2}\,(1-2t\phi H)+\mathcal{O}(t^2) になる。これを Ω\Omega の上で積分し、tt で微分してから0とおけば (7.23) を得る。

接線方向のずらしと符号の確かめ

  • 一般のずらし r+tV\bm{r}+t\bm{V} では、V\bm{V} の接平面の成分は1次の近似では座標の付け替えにしかならない。そのため面積の変化には境界での寄与しか残らず、枠を固定すれば寄与は0である。面積の停留を調べるには法線方向のずらし (7.22) だけで足りる。
  • 符号を球面で確かめる。半径 RR の球面に外向きの法線をとると、H=−1/RH=-1/R である。
  • ϕ=1\phi=1 とすると球の半径は R+tR+t になる。面積 4π(R+t)24\pi(R+t)^2 を微分すると A′(0)=8πRA'(0)=8\pi R である。右辺も −2⋅(−1/R)⋅4πR2=8πR-2\cdot(-1/R)\cdot4\pi R^2=8\pi R で一致する。

定義 7.18(極小曲面)

平均曲率が恒等的に0の曲面を極小曲面と呼ぶ。

系 7.19(面積の停留と極小曲面)

次の2つは同値である。

  1. 境界で0となるすべての ϕ\phi について A′(0)=0A'(0)=0 が成り立つ。
  2. 曲面の各点で H=0H=0 である。
証明

H≡0H\equiv0 なら (7.23) の右辺は0である。逆に、ある内点で H≠0H\neq0 とすると、連続性からその近くで HH は符号を変えない。その近くだけで正になり境界で0となる ϕ\phi をとれば、右辺は0でない。

名前は「極小」だが、条件は面積の停留であって、面積が最小であることまでは言っていない。停留する曲面が実際に最小かどうかは面積の第2変分で決まり、後で見るように同じ枠に停留曲面が2つある場合もある。

カテノイドと螺旋面

回転面 r=(r(z)cos⁡v, r(z)sin⁡v, z)\bm{r}=(r(z)\cos v,\,r(z)\sin v,\,z) の平均曲率を計算する。法線を軸に向かう向き n=(−cos⁡v,−sin⁡v,r′)/1+r′2\bm{n}=(-\cos v,-\sin v,r')/\sqrt{1+r'^2} にとる。2階の偏微分と法線の内積をとると

L=−r′′1+r′2,M=0,N=r1+r′2L=\frac{-r''}{\sqrt{1+r'^2}},\qquad M=0,\qquad N=\frac{r}{\sqrt{1+r'^2}}

となる。E=1+r′2,F=0,G=r2E=1+r'^2,\quad F=0,\quad G=r^2 と合わせると、主曲率は経線方向と緯線方向の

κ1=−r′′(1+r′2)3/2,κ2=1r1+r′2(7.24)\kappa_1=\frac{-r''}{(1+r'^2)^{3/2}},\qquad \kappa_2=\frac{1}{r\sqrt{1+r'^2}}\tag{7.24}

である。

H=0H=0 は κ1+κ2=0\kappa_1+\kappa_2=0 のことで、分母を払うと

r r′′=1+r′2(7.25)r\,r''=1+r'^2\tag{7.25}

となる。この方程式の解を求める。両辺に r′/{r(1+r′2)}r'/\{r(1+r'^2)\} を掛けると

r′r′′1+r′2=r′r\frac{r'r''}{1+r'^2}=\frac{r'}{r}

となる。両辺を積分すると 12ln⁡(1+r′2)=ln⁡r−ln⁡a\tfrac12\ln(1+r'^2)=\ln r-\ln a を得る。すなわち r/1+r′2=ar/\sqrt{1+r'^2}=a(a>0a>0 は定数)である。

この1階の方程式で r=acosh⁡wr=a\cosh w とおくと、1+r′2=cosh⁡2w1+r'^2=\cosh^2w になる。よって r′=±sinh⁡wr'=\pm\sinh w である。一方 r′=asinh⁡w⋅w′r'=a\sinh w\cdot w' なので w′=±1/aw'=\pm1/a となる。したがって解は

r(z)=acosh⁡z−z0a(7.26)r(z)=a\cosh\frac{z-z_0}{a}\tag{7.26}

である。懸垂線 r=acosh⁡(z/a)r=a\cosh(z/a) を zz 軸のまわりに回した曲面をカテノイドと呼ぶ。平面を除くと、カテノイドは回転面の極小曲面のすべてである。

同じ式は面積の汎関数からも出る。回転面の面積は A=2π∫r1+r′2 dzA=2\pi\int r\sqrt{1+r'^2}\,\mathrm{d} z で、被積分関数が zz を陽に含まない。そのため Euler–Lagrange 方程式は1回積分でき、r/1+r′2=ar/\sqrt{1+r'^2}=a が第一積分として得られる。この変分の計算と、停留曲線が2本または0本になることの解析は、虎の巻『解析力学から様々な理論分野を組み立てる』第1部第4章にある。

螺旋面

螺旋面 r=(ucos⁡v, usin⁡v, cv)\bm{r}=(u\cos v,\,u\sin v,\,cv) では、確認テスト 7.1-3 のとおり E=1,F=0,G=u2+c2E=1,\quad F=0,\quad G=u^2+c^2 である。単位法線は n=(csin⁡v,−ccos⁡v,u)/u2+c2\bm{n}=(c\sin v,-c\cos v,u)/\sqrt{u^2+c^2} で、2階の偏微分との内積から

L=0,M=−cu2+c2,N=0L=0,\qquad M=\frac{-c}{\sqrt{u^2+c^2}},\qquad N=0

を得る。EN=GL=0E N=GL=0 かつ F=0F=0 なので (7.20) の分子は0で、螺旋面は極小曲面である。Gauss 曲率は K=−c2/(u2+c2)2K=-c^2/(u^2+c^2)^2 である。カテノイドと螺旋面が局所的に等長であることは第8章 §8.1 の例で扱う。

図

図 7.5 2つの極小曲面。左は r=cosh⁡zr=\cosh z を回したカテノイド、右は c=1/(2π)c=1/(2\pi) の螺旋面を1周半描いたもの。どちらも各点で κ1=−κ2\kappa_1=-\kappa_2 が成り立ち、Gauss 曲率は負である。

2つの輪に張った石鹸膜

半径 RR の2つの輪を、共通の軸に垂直に間隔 2h2h だけ離して置く。輪の間に張った石鹸膜は回転対称なカテノイド (7.26) になり、対称性から z0=0z_0=0 である。境界条件は acosh⁡(h/a)=Ra\cosh(h/a)=R である。s=h/as=h/a とおくと、この条件は

cosh⁡ss=Rh(7.27)\frac{\cosh s}{s}=\frac Rh\tag{7.27}

と書ける。

左辺の関数 cosh⁡s/s\cosh s/s は、ss が0に近づくときも無限大に向かうときも無限大になる。導関数 (ssinh⁡s−cosh⁡s)/s2(s\sinh s-\cosh s)/s^2 が0になるのは stanh⁡s=1s\tanh s=1 のときである。その解は s∗≃1.1997s_*\simeq1.1997 で、最小値は cosh⁡s∗/s∗≃1.5089\cosh s_*/s_*\simeq1.5089 になる。

したがって (7.27) の解は、R/h>1.5089R/h>1.5089 なら2つ、R/h<1.5089R/h<1.5089 なら無い。

解が2つあるとき、ss の小さい解は首の太いカテノイド、大きい解は首の細いカテノイドである。面積の第2変分を調べると、首の太いほうだけが安定であることが知られている。間隔を広げて 2h/R>2/1.5089≃1.32552h/R>2/1.5089\simeq1.3255 になると停留するカテノイドが無くなり、膜はちぎれて2枚の円板になる。

図

図 7.6 輪に張った石鹸膜の条件 (7.27)。破線は例題 7.4 の R/h=2.5R/h=2.5 で、交点が2つのカテノイドに対応する。破線が白丸より下に来ると解は無い。

例題 7.4 2つの輪に張った石鹸膜の見積もり ★★

オリジナル半径 5 cm5\ \mathrm{cm} の2つの輪を、軸をそろえて 4 cm4\ \mathrm{cm} 離して置き、その間に石鹸膜を張る。

  1. 停留するカテノイドの首の半径 aa を2つ求めよ。
  2. それぞれの面積を求め、2枚の円板の面積の和と比べよ。
  3. 輪を引き離していくとき、膜がちぎれる間隔を求めよ。
解答

(1) R=5R=5 cm、h=2h=2 cm なので、条件 (7.27) の右辺は 2.5 である。数値的に解くと s≃0.4392s\simeq0.4392 と s≃2.5322s\simeq2.5322 の2解がある。首の半径は a=h/sa=h/s なので、4.554 cm と 0.790 cm になる。

(2) カテノイドでは 1+r′2=cosh⁡(z/a)\sqrt{1+r'^2}=\cosh(z/a) なので、面積は

A=2π∫−hhacosh⁡2za dz=πa(2h+asinh⁡2ha)A=2\pi\int_{-h}^{h}a\cosh^2\frac za\,\mathrm{d} z=\pi a\Bigl(2h+a\sinh\frac{2h}{a}\Bigr)

である。首の太い解では A≃122.1 cm2A\simeq122.1\ \mathrm{cm^2}、細い解では A≃165.0 cm2A\simeq165.0\ \mathrm{cm^2} になる。2枚の円板の面積は 2πR2≃157.1 cm22\pi R^2\simeq157.1\ \mathrm{cm^2} である。首の太いカテノイドは円板より面積が小さく、細いカテノイドは円板より大きい。

(3) 解が存在するのは R/h≥1.5089R/h\ge1.5089 のときなので、限界の間隔は

2h=2R1.5089≃1.3255×5 cm≃6.63 cm2h=\frac{2R}{1.5089}\simeq1.3255\times5\ \mathrm{cm}\simeq6.63\ \mathrm{cm}

である。これより離すと停留するカテノイドが無くなり、膜はちぎれる。

確認テスト

オリジナル

  1. 7.4-1 半径 RR の球面は極小曲面ではない。その理由を平均曲率で1行で述べよ。
  2. 7.4-2 グラフ z=f(x,y)z=f(x,y) の面積 ∬1+fx2+fy2 dx dy\iint\sqrt{1+f_x^2+f_y^2}\,\mathrm{d} x\,\mathrm{d} y の Euler–Lagrange 方程式が

(1+fy2)fxx−2fxfyfxy+(1+fx2)fyy=0(1+f_y^2)f_{xx}-2f_xf_yf_{xy}+(1+f_x^2)f_{yy}=0

であることを導け。また、これがグラフの H=0H=0 と同値であることを示せ。グラフの L,M,NL,M,N は、2階の偏導関数を 1+fx2+fy2\sqrt{1+f_x^2+f_y^2} で割ったものである。3. 7.4-3 Scherk の曲面 z=ln⁡cos⁡y−ln⁡cos⁡xz=\ln\cos y-\ln\cos x(∣x∣,∣y∣<π/2\left\vert x\right\vert ,\left\vert y\right\vert <\pi/2)が 7.4-2 の方程式を満たすことを確かめよ。4. 7.4-4 半径1の2つの輪を間隔1で置く(R=1, h=0.5R=1,\ h=0.5)。2つのカテノイドの首の半径と面積を求め、2枚の円板の面積 2π2\pi と比べよ。

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