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回転面と Clairaut の関係

2026年10月22日12分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第10章 測地線
目次
  1. 回転面の測地線の方程式
  2. Clairaut の関係
  3. 保存量としての読みと折り返し
  4. 球面の大円
  5. 確認テスト
  6. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

物理のための微分幾何入門 第10章 §10.2 ★★★ 回転の対称性から保存量が1つ出て、測地線の方程式が1変数の問題に落ちる

回転面の測地線の方程式

zz 軸のまわりに平面曲線を回してできる曲面を回転面と呼ぶ。母線(回す前の曲線)を弧長 uu で (f(u),h(u))(f(u),h(u)) と表すと、回転面は次のように書ける。

X(u,φ)=(f(u)cos⁡φ, f(u)sin⁡φ, h(u)),f′2+h′2=1(10.8)\bm X(u,\varphi)=\bigl(f(u)\cos\varphi,\ f(u)\sin\varphi,\ h(u)\bigr),\qquad f'^2+h'^2=1\tag{10.8}

ここで f(u)>0f(u)>0 は軸からの距離である。第一基本形式(第7章 §7.1)を計算すると、線素は次のようになる。

ds2=du2+f(u)2 dφ2(10.9)\mathrm{d} s^2=\mathrm{d} u^2+f(u)^2\,\mathrm{d}\varphi^2\tag{10.9}

uu 一定の曲線を緯線(平行円)、φ\varphi 一定の曲線を経線と呼ぶ。

計量の成分は guu=1g_{uu}=1、gφφ=f2g_{\varphi\varphi}=f^2 である。例題 10.1 と同じ計算で、0でない Christoffel 記号は次の2つになる。

Γuφφ=−ff′,Γφuφ=Γφφu=f′f\Gamma^u{}_{\varphi\varphi}=-ff',\qquad \Gamma^\varphi{}_{u\varphi}=\Gamma^\varphi{}_{\varphi u}=\frac{f'}{f}

したがって、弧長 ss を径数とする測地線の方程式は次の2本である。

u¨−ff′ φ˙2=0,φ¨+2f′f u˙φ˙=0(10.10)\ddot u-ff'\,\dot\varphi^2=0,\qquad \ddot\varphi+\frac{2f'}{f}\,\dot u\dot\varphi=0\tag{10.10}

Clairaut の関係

(10.10) の2本めの式に f2f^2 を掛けると、左辺は f2φ˙f^2\dot\varphi の微分にまとまる。これが次の定理の中身である。

定理 10.8(Clairaut の関係)

回転面の上の測地線を弧長で径数づけ、各点で測地線が緯線となす角を ψ\psi とする。このとき次の量は測地線に沿って一定である。

J≔f2φ˙=fcos⁡ψ(10.11)J\coloneqq f^2\dot\varphi=f\cos\psi\tag{10.11}

証明

(10.10) の2本めに f2f^2 を掛ける。ff が u(s)u(s) を通して弧長に依存することに注意すると、次のようにまとまる。

f2φ¨+2ff′u˙φ˙=dds(f2φ˙)=0f^2\ddot\varphi+2ff'\dot u\dot\varphi=\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d} s}\left(f^2\dot\varphi\right)=0

よって J=f2φ˙J=f^2\dot\varphi は一定である。次に角 ψ\psi との関係を示す。緯線方向の単位ベクトルは Xφ/f\bm X_\varphi/f で、測地線の単位接ベクトルは u˙Xu+φ˙Xφ\dot u\bm X_u+\dot\varphi\bm X_\varphi である。第一基本形式で内積をとると、Xu\bm X_u と Xφ\bm X_\varphi は直交するので次の式を得る。

cos⁡ψ=⟨u˙Xu+φ˙Xφ, Xφf⟩=φ˙ f2f=fφ˙\cos\psi=\left\langle\dot u\bm X_u+\dot\varphi\bm X_\varphi,\ \frac{\bm X_\varphi}{f}\right\rangle=\frac{\dot\varphi\,f^2}{f}=f\dot\varphi

両辺に ff を掛ければ fcos⁡ψ=f2φ˙=Jf\cos\psi=f^2\dot\varphi=J である。

この定理から、どの経線とどの緯線が測地線になるかがすぐ分かる。

系 10.9(経線と緯線)

  1. 経線はすべて測地線である。
  2. 緯線 u=u0u=u_0 が測地線になるのは、f′(u0)=0f'(u_0)=0 のとき、つまり軸からの距離がそこで極値をとるときに限る。
証明

経線 φ=φ0, u=s\varphi=\varphi_0,\ u=s では φ˙=u¨=0\dot\varphi=\ddot u=0 なので、(10.10) の2本はどちらも満たされる。緯線 u=u0u=u_0 を弧長で走ると、u˙=0, φ˙=1/f(u0)\dot u=0,\ \dot\varphi=1/f(u_0) である。2本めの式は満たされ、1本めの式は次の条件になる。

−f(u0)f′(u0)⋅1f(u0)2=0  ⟺  f′(u0)=0-f(u_0)f'(u_0)\cdot\frac{1}{f(u_0)^2}=0\iff f'(u_0)=0

保存量としての読みと折り返し

弧長で径数づけているので u˙2+f2φ˙2=1\dot u^2+f^2\dot\varphi^2=1 である。これに φ˙=J/f2\dot\varphi=J/f^2 を入れると、uu だけの1階の方程式になる。

u˙2=1−J2f(u)2(10.12)\dot u^2=1-\frac{J^2}{f(u)^2}\tag{10.12}

右辺は負になれないので、測地線は f(u)≥∣J∣f(u)\ge\left\vert J\right\vert の帯の中しか通らない。f(u)=∣J∣f(u)=\left\vert J\right\vert になる緯線では u˙=0\dot u=0 になり、測地線はそこで緯線に接して折り返す。

この構造は、中心力の運動で角運動量から有効ポテンシャルをつくる手順と同じである。実際、J=f2φ˙J=f^2\dot\varphi は回転軸のまわりの角運動量(単位質量あたり)の形をしている。

§10.3 で示すように、滑らかな回転面に束縛された質点の自由運動は測地線なので、Clairaut の関係はその質点の角運動量保存そのものである。回転の対称性から保存量が出るという仕組みは、第13章 §13.3 で Killing ベクトル KK と保存量 g(K,x˙)g(K,\dot x) の形に一般化する。ここでは K=∂φK=\partial_\varphi で、g(∂φ,x˙)=f2φ˙=Jg(\partial_\varphi,\dot x)=f^2\dot\varphi=J である。

球面の大円

半径 aa の球面は f(u)=asin⁡(u/a)f(u)=a\sin(u/a) の回転面である。θ=u/a\theta=u/a を北極からの角とすると、線素は次の形になる。

ds2=a2(dθ2+sin⁡2θ dφ2)\mathrm{d} s^2=a^2\left(\mathrm{d}\theta^2+\sin^2\theta\,\mathrm{d}\varphi^2\right)

以下では a=1a=1 とする。Clairaut の定数 c=sin⁡2θ φ˙c=\sin^2\theta\,\dot\varphi を使って、測地線がすべて大円であることを示す。

経線は系 10.9 により測地線で、大円でもある。そこで c≠0c\ne0 とし、向きを選んで 0<c<10<c<1 としてよい。残る c=±1c=\pm1 は赤道である。

(10.12) は θ˙2=1−c2/sin⁡2θ\dot\theta^2=1-c^2/\sin^2\theta となる。φ˙\dot\varphi と θ˙\dot\theta の比をとると、軌道の式が得られる。

dφdθ=φ˙θ˙=csin⁡θsin⁡2θ−c2\frac{\mathrm{d}\varphi}{\mathrm{d}\theta}=\frac{\dot\varphi}{\dot\theta}=\frac{c}{\sin\theta\sqrt{\sin^2\theta-c^2}}

変数を ζ=cot⁡θ\zeta=\cot\theta に変える。dζ=−dθ/sin⁡2θ\mathrm{d}\zeta=-\mathrm{d}\theta/\sin^2\theta と sin⁡2θ−c2=sin⁡2θ (1−c2−c2ζ2)\sin^2\theta-c^2=\sin^2\theta\,(1-c^2-c^2\zeta^2) を使うと、次の積分に直る。

dφ=−c dζ(1−c2)−c2ζ2⟹φ−φ0=arccos⁡c ζ1−c2\mathrm{d}\varphi=-\frac{c\,\mathrm{d}\zeta}{\sqrt{(1-c^2)-c^2\zeta^2}} \qquad\Longrightarrow\qquad \varphi-\varphi_0=\arccos\frac{c\,\zeta}{\sqrt{1-c^2}}

よって測地線の軌道は次の式で表される。

cot⁡θ=Acos⁡(φ−φ0),A=1−c2c(10.13)\cot\theta=A\cos(\varphi-\varphi_0),\qquad A=\frac{\sqrt{1-c^2}}{c}\tag{10.13}

両辺に sin⁡θ\sin\theta を掛けると cos⁡θ=Asin⁡θcos⁡(φ−φ0)\cos\theta=A\sin\theta\cos(\varphi-\varphi_0) となる。デカルト座標では z=A(xcos⁡φ0+ysin⁡φ0)z=A(x\cos\varphi_0+y\sin\varphi_0) で、原点を通る平面の式である。球面と原点を通る平面の交わりは大円なので、球面の測地線は大円に限られる。

この大円の最高緯度も Clairaut の関係から読める。最も北の点では測地線が緯線に接するので ψ=0\psi=0 で、sin⁡θmin⁡=c\sin\theta_{\min}=c となる。赤道では f=1f=1 なので cos⁡ψ0=c\cos\psi_0=c である。したがって、大円が赤道となす角 ψ0\psi_0 と最高緯度 π2−θmin⁡\frac\pi2-\theta_{\min} は等しい(図 10.2)。

図

図 10.2 球面の大円(太い線)と Clairaut の関係。赤道と角 ψ0\psi_0 で交わった大円は、緯度 ψ0\psi_0 の緯線(細い線)に接して折り返す。接する点では ψ=0\psi=0 なので、fcos⁡ψf\cos\psi の一定値は赤道での値 cos⁡ψ0\cos\psi_0 と最高緯度での値 sin⁡θmin⁡\sin\theta_{\min} の両方に等しい。奥の側は破線で描いた。

例題 10.2 円錐の測地線と巻きつき ★★

オリジナル半頂角 α\alpha の円錐を考え、頂点から母線に沿って測った距離を uu とする。軸からの距離は f(u)=usin⁡αf(u)=u\sin\alpha である。

  1. 線素を書き、χ=φsin⁡α\chi=\varphi\sin\alpha とおくと平面の極座標の線素になることを示せ。
  2. 頂点からの最短距離が u0u_0 の測地線を求め、Clairaut の定数を求めよ。
  3. 遠方から来て遠方へ去る測地線が、軸のまわりに回る角 Δφ\Delta\varphi を求めよ。α=20∘\alpha=20^\circ での値と、測地線が自分自身と交わる条件も求めよ。
解答
  1. (10.9) に f=usin⁡αf=u\sin\alpha を入れ、dχ=sin⁡α dφ\mathrm{d}\chi=\sin\alpha\,\mathrm{d}\varphi を使う。

ds2=du2+u2sin⁡2α dφ2=du2+u2dχ2\mathrm{d} s^2=\mathrm{d} u^2+u^2\sin^2\alpha\,\mathrm{d}\varphi^2=\mathrm{d} u^2+u^2\mathrm{d}\chi^2

これは平面の極座標 (u,χ)(u,\chi) の線素である。方位角が1周する間に、χ\chi は 2πsin⁡α2\pi\sin\alpha だけ進む。したがって円錐は、中心角 2πsin⁡α2\pi\sin\alpha の扇形の2辺を貼り合わせたものと等長である。2. 平面の測地線は直線なので、例題 10.1 から ucos⁡(χ−β)=u0u\cos(\chi-\beta)=u_0 である。φ\varphi で書くと、測地線は次の式で表される。

ucos⁡(φsin⁡α−β)=u0u\cos(\varphi\sin\alpha-\beta)=u_0

最短距離の点 u=u0u=u_0 では測地線が緯線に接するので ψ=0\psi=0 である。Clairaut の定数は J=f(u0)=u0sin⁡αJ=f(u_0)=u_0\sin\alpha となる。3. 平面の直線は、遠方から来て遠方へ去るまでに頂点のまわりを角度 π\pi だけ回る。Δχ=π\Delta\chi=\pi なので、次の式を得る。

Δφ=πsin⁡α\Delta\varphi=\frac{\pi}{\sin\alpha}

α=20∘\alpha=20^\circ では sin⁡α=0.342\sin\alpha=0.342 である。このとき Δφ=9.19 rad=526∘\Delta\varphi=9.19\ \mathrm{rad}=526^\circ になる。軸のまわりを1周半ほど回ってから去る。

測地線が自分と交わるのは、軸のまわりを1周より多く回るとき、すなわち sin⁡α<1/2\sin\alpha<1/2 のときである。半頂角で言えば α<30∘\alpha<30^\circ である。

円錐は第8章で見た「平面と局所等長な曲面」の例で、Gauss 曲率は頂点以外で0である。測地線は展開図の直線にすぎないが、貼り合わせの切れ目を何度もまたぐので、もとの円錐の上では巻きつく(図 10.3)。

図

図 10.3 半頂角 α=20∘\alpha=20^\circ の円錐の展開図。中心角 2πsin⁡α≈123∘2\pi\sin\alpha\approx123^\circ の扇形1枚が円錐1周にあたり、破線の切れ目どうしは同じ母線である。測地線(太い線)は展開図では直線で、頂点のまわりを 180∘180^\circ 回るあいだに切れ目を1回以上またぐ。円錐の上ではそのたびに軸のまわりをもう1周する。

確認テスト

オリジナル

  1. 10.2-1 円環面(トーラス)を、母線を半径 aa の円とする回転面として表す。軸からの距離は f(u)=R+acos⁡(u/a)f(u)=R+a\cos(u/a) で、R>aR>a とする。緯線のうち測地線になるものをすべて挙げよ。

  2. 10.2-2 半径 aa の球面の上で、赤道上の点から赤道と 60∘60^\circ の角をなして北へ向かう測地線を考える。

    1. (a) この測地線が達する最高緯度を求めよ。
    2. (b) 緯度 30∘30^\circ の緯線を横切るとき、測地線がその緯線となす角を求めよ。
  3. 10.2-3 カテノイドは、母線の弧長 uu を使って f(u)=c2+u2f(u)=\sqrt{c^2+u^2} と表される回転面である。正の定数 cc は首の半径である。

    1. (a) 母線の高さを h(u)h(u) とする。h′=c/c2+u2h'=c/\sqrt{c^2+u^2} ととれば f′2+h′2=1f'^2+h'^2=1 となることを確かめよ。
    2. (b) c=1c=1 とする。u=2u=2 の点から首の側へ、緯線と 60∘60^\circ の角をなして出発した測地線は、首を越えるか。越えないなら折り返す位置 uu を求めよ。
  4. 10.2-4 回転面の測地線が、測地線でない緯線 u=u0u=u_0 に点 PP で接しているとする。このとき点 PP で u¨≠0\ddot u\ne0 となることを示せ。さらに、測地線が PP の前後でその緯線の片側だけにあることを示せ。どちらの側にあるかを f′(u0)f'(u_0) の符号で答えよ。

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