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磁気回路

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第6章 磁性体
目次
  1. 磁気回路の考え方
  2. 確認テスト
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

電磁気学入門 第6章 §6.4 ★ 鉄心の磁束は、起磁力 NINI を磁気抵抗の和で割って求まる

磁気回路の考え方

変圧器・モーター・電磁石では、コイルを鉄心に巻き、鉄心の中に磁束を通す。§6.2 で見たように、透磁率の大きな物質の表面では、磁束線は空気側へほぼ垂直に出るか、鉄の中で表面に沿って進む。鉄心の透磁率が十分大きければ、磁束はほとんど鉄心の中を通り、導線の中を流れる電流のように鉄心に沿って流れる。この近似のもとで、磁束の計算を電気回路と同じ形に書き直す。

図 6.4 の環状の鉄心を考える。鉄心の断面積を AA、平均の長さを ℓ\ell とする。透磁率は μ\mu である。

鉄心には幅 gg の空隙(エアギャップ)がある。鉄心に導線を NN 回巻いて電流 II を流す。鉄心の中の磁束を Φ=∫B⋅dS\Phi=\int\bm{B}\cdot\mathrm{d}\bm{S} とする。

図

図 6.4 空隙のある環状の鉄心に巻いたコイル。破線は鉄心の中を回る磁束の経路。

磁束の経路に沿って物質中の Ampère の法則 (6.11) を使う。経路は NN 本の導線を貫くので

∮H⋅dr=Hiℓ+Hgg=NI\oint\bm{H}\cdot\mathrm{d}\bm{r}=H_{\mathrm i}\ell+H_{\mathrm g}g=NI

である。HiH_{\mathrm i} は鉄心の中の磁場、HgH_{\mathrm g} は空隙の中の磁場である。一方、∇⋅B=0\nabla\cdot\bm{B}=0 から、磁束が鉄心の外へ漏れなければ、どの断面を通る磁束も同じ Φ\Phi である。

空隙の幅が断面の寸法より十分小さければ、空隙の中の磁束も広がらず、同じ断面積を通る(境界に垂直な BnB_n の連続)。したがって

Bi=Bg=ΦA,Hi=ΦμA,Hg=Φμ0AB_{\mathrm i}=B_{\mathrm g}=\frac{\Phi}{A},\qquad H_{\mathrm i}=\frac{\Phi}{\mu A},\qquad H_{\mathrm g}=\frac{\Phi}{\mu_0A}

で

Φ(ℓμA+gμ0A)=NI(6.27)\Phi\Bigl(\frac{\ell}{\mu A}+\frac{g}{\mu_0A}\Bigr)=NI\tag{6.27}

を得る。

定義 6.7(起磁力と磁気抵抗)

F=NI\mathcal F=NI を起磁力と呼ぶ。磁路の長さを ℓ\ell、断面積を AA とする。透磁率 μ\mu の磁路について

R=ℓμA(6.28)\mathcal R=\frac{\ell}{\mu A}\tag{6.28}

を磁気抵抗(リラクタンス)と呼ぶ。単位は A/Wb\mathrm{A/Wb} である。

この言葉で (6.27) を書き直すと

F=Φ(Ri+Rg)\mathcal F=\Phi(\mathcal R_{\mathrm i}+\mathcal R_{\mathrm g})

となり、電気回路の Ohm の法則 V=I(R1+R2)V=I(R_1+R_2) と同じ形になる。起磁力が起電力に、磁束が電流に、磁気抵抗が電気抵抗に対応する。一般の磁気回路では、次の2つの法則が Kirchhoff の法則の役をする。

  • 磁路の分岐点では、流れ込む磁束の和が 0(∇⋅B=0\nabla\cdot\bm{B}=0 を分岐点を囲む閉曲面で積分したもの)。
  • 閉じた磁路を1周すると、各区間の ΦR\Phi\mathcal R の和が、その磁路が囲む起磁力に等しい((6.11) を閉じた磁路で積分したもの)。

これらから、磁気抵抗の直列は和、並列は逆数の和で合成でき、電気回路と同じ計算で磁束が求まる。

近似の範囲

  • 電気回路では導線と空気の電気伝導率の比が 102010^{20} を超えるので、電流が導線の外へ漏れることはない。磁気回路では、鉄と空気の透磁率の比は 10310^3 から 10510^5 程度である。そのため一部の磁束は鉄心の外を通る(漏れ磁束)。
  • 空隙の幅が断面の寸法に比べて無視できないと、空隙で磁束が横に広がり(縁の効果)、実効的な断面積が AA より大きくなる。
  • 鉄心の透磁率は一定ではなく、磁束密度によって変わる(§6.3)。μ\mu を一定とみなせるのは、飽和より十分低い範囲に限られる。

例題 6.7 空隙のある電磁石 ★★

オリジナル図 6.4 の鉄心で、数値を次のとおりとする。

ℓ=0.30 m,A=4.0×10−4 m2,g=1.0 mm,μr=2000,N=500,I=1.0 A\ell=0.30\,\mathrm m,\quad A=4.0\times10^{-4}\,\mathrm{m^2},\quad g=1.0\,\mathrm{mm},\quad \mu_{\mathrm r}=2000,\quad N=500,\quad I=1.0\,\mathrm A

  1. 鉄心と空隙の磁気抵抗を求めよ。また、磁束 Φ\Phi と空隙の磁束密度 BgB_{\mathrm g} を求めよ。
  2. 空隙が無いとしたときの磁束密度を求め、空隙の役割を述べよ。
解答
  1. μ0A=(4π×10−7)(4.0×10−4)=5.03×10−10 Wb⋅m/A\mu_0A=(4\pi\times10^{-7})(4.0\times10^{-4})=5.03\times10^{-10}\,\mathrm{Wb\cdot m/A} なので

Ri=0.302000×5.03×10−10=2.98×105 A/Wb,Rg=1.0×10−35.03×10−10=1.99×106 A/Wb.\mathcal R_{\mathrm i}=\frac{0.30}{2000\times5.03\times10^{-10}}=2.98\times10^{5}\,\mathrm{A/Wb},\qquad \mathcal R_{\mathrm g}=\frac{1.0\times10^{-3}}{5.03\times10^{-10}}=1.99\times10^{6}\,\mathrm{A/Wb}.

合成は 2.29×106 A/Wb2.29\times10^{6}\,\mathrm{A/Wb} で、

Φ=NIRi+Rg=5002.29×106 Wb=2.19×10−4 Wb,Bg=ΦA=0.55 T.\Phi=\frac{NI}{\mathcal R_{\mathrm i}+\mathcal R_{\mathrm g}}=\frac{500}{2.29\times10^6}\,\mathrm{Wb}=2.19\times10^{-4}\,\mathrm{Wb},\qquad B_{\mathrm g}=\frac{\Phi}{A}=0.55\,\mathrm T . 2. 空隙が無ければ

B=μNIℓ=2000×(4π×10−7)×5000.30 T=4.2 TB=\frac{\mu NI}{\ell}=\frac{2000\times(4\pi\times10^{-7})\times500}{0.30}\,\mathrm T=4.2\,\mathrm T

となる。実際の鉄は 2 T 前後で飽和するので、この値は直線近似の範囲を超えている。

幅 1 mm の空隙の磁気抵抗は、長さ 30 cm の鉄心の約7倍である。回路の磁気抵抗のほとんどを空隙が占める。そのため磁束は鉄の透磁率にほとんどよらず、ほぼ μ0NI/g\mu_0NI/g で決まる。透磁率が磁束密度によって変わる鉄を使っても、空隙を入れると磁束を安定に設計することができる。

例題 6.8 永久磁石と空隙 ★

オリジナル長さ ℓm=10 mm\ell_{\mathrm m}=10\,\mathrm{mm} の永久磁石と、透磁率が無限大とみなせる鉄のヨークで磁路をつくる。磁路には幅 g=2.0 mmg=2.0\,\mathrm{mm} の空隙を設ける(コイルは無い)。磁石の断面積と空隙の断面積は等しいとする。磁石の中の磁束密度と磁場は、次の直線に従うとする。

B=Br+μ0H,Br=1.2 TB=B_{\mathrm r}+\mu_0H,\qquad B_{\mathrm r}=1.2\,\mathrm T

空隙の磁束密度を求めよ。

解答

コイルが無いので、磁路を1周する ∮H⋅dr=0\oint\bm{H}\cdot\mathrm{d}\bm{r}=0 である。ヨークの中では透磁率が無限大なので H=0H=0 となり

Hmℓm+Hgg=0H_{\mathrm m}\ell_{\mathrm m}+H_{\mathrm g}g=0

となる。断面積が等しく磁束が連続なので、Bm=Bg=BB_{\mathrm m}=B_{\mathrm g}=B である。Hg=B/μ0H_{\mathrm g}=B/\mu_0 なので

Hm=−Bgμ0ℓmH_{\mathrm m}=-\frac{Bg}{\mu_0\ell_{\mathrm m}}

である。磁石の中の磁場は磁化と逆向きで、例題 6.1 の反磁場と同じ性格を持つ。これを磁石の特性 B=Br+μ0HmB=B_{\mathrm r}+\mu_0H_{\mathrm m} に入れると

B=Br−gℓmB⟹B=ℓmℓm+gBr=1012×1.2 T=1.0 T.B=B_{\mathrm r}-\frac{g}{\ell_{\mathrm m}}B\quad\Longrightarrow\quad B=\frac{\ell_{\mathrm m}}{\ell_{\mathrm m}+g}B_{\mathrm r}=\frac{10}{12}\times1.2\,\mathrm T=1.0\,\mathrm T .

磁石の中の磁場は

Hm=B−Brμ0=−0.24π×10−7 A/m=−1.6×105 A/mH_{\mathrm m}=\frac{B-B_{\mathrm r}}{\mu_0}=\frac{-0.2}{4\pi\times10^{-7}}\,\mathrm{A/m}=-1.6\times10^{5}\,\mathrm{A/m}

である。HH–BB 面で見ると、動作点は2本の直線の交点である。1本は磁石の特性の直線、もう1本は空隙で決まる直線 B=−μ0(ℓm/g)HB=-\mu_0(\ell_{\mathrm m}/g)H である。空隙を広げるほど、動作点の磁束密度は下がる。

確認テスト

オリジナル

  1. 6.4-1 磁気抵抗の単位 A/Wb\mathrm{A/Wb} が 1/H1/\mathrm H(ヘンリーの逆数)に等しいことを示せ。また、起磁力・磁束・磁気抵抗が電気回路のどの量に対応するかを述べよ。
  2. 6.4-2 「日」の字形の鉄心の中央の脚に、コイル(起磁力 300 A300\,\mathrm A)を巻く。中央の脚の磁気抵抗は 1.0×105 A/Wb1.0\times10^{5}\,\mathrm{A/Wb} である。左右の脚(上下の横棒を含む)の磁気抵抗は、2.0×105 A/Wb2.0\times10^{5}\,\mathrm{A/Wb} と 6.0×105 A/Wb6.0\times10^{5}\,\mathrm{A/Wb} である。中央の脚と左右の脚を通る磁束を求めよ。
  3. 6.4-3 電磁石の2つの磁極面(面積の合計 2.0×10−3 m22.0\times10^{-3}\,\mathrm{m^2})に鉄板が密着している。磁極面の磁束密度は 1.0 T である。第7章 §7.3 で導く磁場のエネルギー密度 B2/(2μ0)B^2/(2\mu_0) を借り、鉄板をわずかに引き離す仮想仕事から吸引力を求めよ。
  4. 6.4-4 例題 6.7 の空隙の磁束密度が、透磁率が無限大のときの値 μ0NI/g\mu_0NI/g の 1/(1+ℓ/(μrg))1/(1+\ell/(\mu_{\mathrm r}g)) 倍であることを示せ。また、数値で確かめよ。

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