電磁気学入門 第11章 §11.6
- 11.1-1 遅延は R/c=3.0/(3.00×108) s=1.0×10−8 s=10 ns である。場の点の時刻 t の場は、源の時刻 t−10 ns の状態で決まる。
- 11.1-2 rψ=f(t−r/c) なので、
∂r(rψ)=−cf′,∂r2(rψ)=c2f′′
である。したがって
∇2ψ=r1∂r2∂2(rψ)=c2rf′′(t−r/c).
一方 ∂t2ψ=f′′(t−r/c)/r なので c−2∂t2ψ−∇2ψ=0 である。r=0 では 1/r が特異になり、この計算は使えない(その点にデルタ関数の源が残ることを定理 11.2 で示した)。3. 11.1-3 場の点を (0,0,z) とし、面上の点 (x′,y′,0) までの距離を次のように書く。
R=ϱ2+z2,ϱ2=x′2+y′2
電流は t−R/c>0、すなわち ∣z∣≤R<ct の円板の部分からだけ寄与する。極座標で dS′=2πϱdϱ、RdR=ϱdϱ を使うと
Ax=4πμ0K0∫R2πϱdϱ=2μ0K0∫∣z∣ctdR=2μ0K0(ct−∣z∣)(∣z∣<ct)
である。電荷は無いので ϕ=0 である。電場と磁場は
Ex=−∂tAx=−2μ0cK0,By=∂zAx=−2μ0K0sgnz,Bx=Bz=0
である。∣Ex∣=c⋅μ0K0/2=c∣By∣ が成り立つ。
面の上下へ光速で進む平面波の波面(∣z∣=ct)の内側で、一様な場ができている。磁場の大きさは、第5章の無限面電流の静磁場 μ0K0/2 と同じである。電場は電流と逆向きで、面電流を流し続ける源は、この電場に逆らって仕事をする。そのエネルギーが、両側へ出ていく平面波の Poynting ベクトル ∣S∣=μ0cK02/4 で運ばれる。4. 11.1-4 t について積分すると、デルタ関数の積分が t=R/c の点で1になるので
∫−∞∞4πRδ(t−R/c)dt=4πR1.
これは ∇2(1/(4πR))=−δ(3) を満たす Poisson 方程式の Green 関数である。
意味は次のとおりである。時間によらない源 s(r) は、すべての時刻に点状の源を並べたものとみなせる。(11.5) の時間積分を先に行うと ∫Gdt′ が現れ、静的な解 ψ=4π1∫s/RdV′ に戻る。遅延の効果は、源が時間変化するときにだけ現れる。5. 11.2-1 最も強いのは双極子の軸に垂直な向き(θ=90∘)である。0になるのは軸の向き(θ=0∘,180∘)である。θ=45∘ では sin245∘=1/2 なので、最大値の0.5倍である。6. 11.2-2 共鳴より十分低い振動数では、誘起双極子の振幅 p0 は電場の振幅に比例し、振動数によらない。(11.20) により散乱電力は ω4∝λ−4 に比例するので
P(700 nm)P(400 nm)=(400700)4=1.754=9.38
倍である。空の散乱光で青い光が勝るのはこのためである。7. 11.2-3 補題 11.4 より、細い導線では p˙=∫I(z)dz である。三角形の分布では
p˙=∫−ℓ/2ℓ/2I0(1−ℓ2∣z∣)dz=2I0∫0ℓ/2(1−ℓ2z)dz=2I0(2ℓ−4ℓ)=2I0ℓ.
一様な電流の場合の p˙=I0ℓ の半分なので、放射電力は (1/2)2=1/4 倍になる。放射抵抗は、給電点の電流で ⟨P⟩=21RradI02 と定義する。したがって
Rrad=41⋅32πZ0(λℓ)2≃197 Ω×(λℓ)2
となる。8. 11.2-4 p¨=−ω2p0(cosωt,sinωt,0) である(遅延時刻の位相は角分布の平均に関係しないので省く)。放射帯の電場の2乗は、p¨ の進行方向に垂直な成分の2乗 ∣p¨∣2−(n^⋅p¨)2 に比例する。n^=(sinθcosφ,sinθsinφ,cosθ) とすると
∣p¨∣2−(n^⋅p¨)2=ω4p02[1−sin2θcos2(ωt−φ)].
時間平均で cos2→1/2 なので、平均は次のようになり、1+cos2θ に比例する。
ω4p02(1−21sin2θ)=21ω4p02(1+cos2θ)
(11.19) の p¨2sin2θ をこれに置き換えて積分すると
⟨P⟩=16π2cμ0⋅2ω4p02⋅2π∫0π(1+cos2θ)sinθdθ=16πcμ0ω4p02⋅38=6πcμ0p02ω4
を得る(∫−11(1+u2)du=8/3)。直線振動 (11.20) の2倍で、互いに 90∘ ずれた2つの直線振動の和として理解することができる。軸方向(θ=0)では円偏光、赤道面内では直線偏光の光が出る。9. 11.3-1 Coulomb の法則 F=q2/(4πε0r2) から、真空の誘電率の単位は C2J−1m−1 である。したがって
ε0c3q2a2 の単位=C2J−1m−1⋅m3s−3C2m2s−4=Js−1=W.
10. 11.3-2 サイクロトロン運動の角振動数は ωc=eB/me(第5章 §5.2)、加速度は a=ωcv である。K=21mev2 を使うと
dtdK=−6πε0c3e2ωc2v2=−3πε0mec3e2ωc2K,τc=e2ωc23πε0mec3=e4B23πε0me3c3.
数値を入れると
τc=(1.60×10−19)4×1.023π×8.85×10−12×(9.11×10−31)3×(3.00×108)3 s=2.6 s
である。周期 2π/ωc=3.6×10−11 s に比べてはるかに長いので、各周回を円運動とみなす近似は正しい。τc∝B−2 なので、強い磁場ほど速く冷える。11. 11.3-3 振動子の変位を x=x0cosω0t とすると、加速度は −ω02x である。Larmor の公式の時間平均は
⟨P⟩=12πε0c3e2ω04x02
である。振動子のエネルギーは W=21meω02x02 なので
Γ=W⟨P⟩=6πε0mec3e2ω02=τω02=3c2reω02
である(notebox の τω02 と同じ)。λ=500 nm では ω0=2πc/λ=3.77×1015 s−1 で、
Γ=3×3.00×1082×2.82×10−15×(3.77×1015)2 s−1=8.9×107 s−1,Γ1=1.1×10−8 s=11 ns.
振動の周期 1.7×10−15 s に比べて減衰はずっと遅い。原子の許容遷移の寿命が数 ns から数十 ns であることと、桁が合っている。12. 11.3-4 直線運動では β×a=0 なので P=e2γ6a2/(6πε0c3) である。運動方程式は d(γmev)/dt=γ3mea=eE である。したがって γ6a2=(eE/me)2 となり、
P=6πε0me2c3e2(eE)2
は速さによらない。電場から得る電力は eEv≃eEc なので
eEcP=6πε0me2c4e2eE=32mec2reeE=32×0.511×106 eV2.82×10−15 m×1.0×107 eV/m=3.7×10−14
である。直線加速での放射損失は無視してよい。比が 1 に近づくのは、電子が古典電子半径の距離で静止エネルギー程度を得るほど強い電場のときに限られる。13. 11.4-1 速さが常に c より小さいこと。世界線の傾きが光円錐より急なので、過去の光円錐と2回以上交わることがない(命題 11.9 の h′(u)=−cκ<0)。14. 11.4-2 前方の軸上では n^=x^ で κ=1−β である。遅延時刻の位置からの距離 R と現在位置からの距離の関係を求める。定理 11.12 のRp=R(n^−β) から、Rp=R(1−β) である。したがって
ϕ=4πε0κRq=4πε0R(1−β)q=4πε0Rpq.
前方の軸上では、スカラーポテンシャルは現在位置からの Coulomb 電位と同じ値になる。これは κR=Rp1−β2sin2ψ で ψ=0 と置いたものでもある。15. 11.4-3 γ=E/(mec2)=3.0×103/0.511=5.87×103 で、β≃1 である。円運動では、加速度は速度に垂直で a=v2/r0 である。Liénard の公式から
P=6πε0c3r02e2γ4v4
である。1周の時間 2πr0/v を掛けて
U=3ε0r0e2γ4β3=3×8.85×10−12×10(1.60×10−19)2×(5.87×103)4 J=1.15×10−13 J=717 keV.
1周ごとに全エネルギーの約 2.4×10−4 を失うので、加速器はこの分を毎周補給しなければならない。U∝E4 なので、エネルギーを2倍にすると損失は16倍になる。16. 11.4-4 電荷の現在位置を原点とし、運動方向を極軸にとった球座標で、半径 Rp の球面を考える。(11.32) の電場は動径方向を向くので、流束は
∮E⋅da=4πε0q(1−β2)⋅2π∫0π(1−β2sin2ψ)3/2sinψdψ.
u=cosψ と置くと 1−β2sin2ψ=(1−β2)+β2u2 で、
∫−11((1−β2)+β2u2)3/2du=[(1−β2)(1−β2)+β2u2u]−11=1−β22
(d/du[u/(AA+Bu2)]=1/(A+Bu2)3/2 を微分で確かめられる。A=1−β2、B=β2)。したがって流束は4πε0q(1−β2)⋅2π⋅1−β22=q/ε0 で、Gauss の法則どおりである。電場の形は β によってつぶれるが、全流束は変わらない。
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