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分布関数から確率測度を作る

2026年10月15日12分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第2章 確率測度の構成と一意性
目次
  1. Lebesgue–Stieltjes 測度
  2. 1点や閉区間の確率
  3. 確認テスト
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

確率論入門 第2章 §2.4 ★★ 右連続で単調な関数と、R\mathbb{R} 上の確率測度が一対一に対応する。分布関数を扱う章すべての出発点

Lebesgue–Stieltjes 測度

ここまでの3節の結果を組み合わせる。

定理 2.18(Lebesgue–Stieltjes 測度の存在と一意性 ★★★)

F:R→[0,1]F:\mathbb{R}\to[0,1] が (2.4) の3条件を満たすとする。すなわち、単調非減少・右連続で、F(−∞)=0F(-\infty)=0、F(+∞)=1F(+\infty)=1 である。このとき (R,B(R))(\mathbb{R},\mathcal B(\mathbb{R})) の上の確率測度 PFP_F で

PF((a,b])=F(b)−F(a)(−∞<a<b<∞)(2.12)P_F\bigl((a,b]\bigr)=F(b)-F(a)\qquad(-\infty<a<b<\infty)\tag{2.12}

を満たすものがただ1つ存在する。さらに PF((−∞,x])=F(x)P_F((-\infty,x])=F(x) である。

証明

存在。定理 2.6 から、μF\mu_F は SR\mathcal S_{\mathbb{R}} の上で可算加法的である。補題 2.5 により、集合代数 A0\mathcal A_0 の上の前測度に延長され、μF(R)=1\mu_F(\mathbb{R})=1 となる。

Carathéodory の拡張定理 2.11 により、これは σ(A0)\sigma(\mathcal A_0) の上の確率測度 PFP_F に延長される。補題 2.17 から σ(A0)=B(R)\sigma(\mathcal A_0)=\mathcal B(\mathbb{R}) なので、PFP_F は Borel 集合族の上の確率測度である。また (−∞,x]∈SR(-\infty,x]\in\mathcal S_{\mathbb{R}} なので PF((−∞,x])=μF((−∞,x])=F(x)−F(−∞)=F(x)P_F((-\infty,x])=\mu_F((-\infty,x])=F(x)-F(-\infty)=F(x)。

一意性。(2.12) を満たす確率測度 QQ をとる。(−∞,x]=⋃m(−m,x](-\infty,x]=\bigcup_m(-m,x] と連続性から Q((−∞,x])=lim⁡m(F(x)−F(−m))=F(x)Q((-\infty,x])=\lim_m(F(x)-F(-m))=F(x)。

同様に Q((a,∞))=1−F(a)Q((a,\infty))=1-F(a) である。よって2つの測度は、π系 SR\mathcal S_{\mathbb{R}} の上で一致する。系 2.16 と補題 2.17 から Q=PFQ=P_F。

PFP_F を FF の定める Lebesgue–Stieltjes 測度と呼ぶ。たとえば F(x)=min⁡(max⁡(x,0),1)F(x)=\min(\max(x,0),1) のときを考える。このとき PFP_F は (0,1](0,1] 上の一様分布である。これは Leb\mathrm{Leb} を (0,1](0,1] に制限したものである。

逆向きの対応も成り立つ。Borel 集合族の上の確率測度 PP に対して、F(x)≔P((−∞,x])F(x)\coloneqq P((-\infty,x]) とおく。このとき FF は (2.4) を満たす。

  • 単調性は、測度の単調性から従う。
  • 右連続性は、(−∞,x+1/m]↓(−∞,x](-\infty,x+1/m]\downarrow(-\infty,x] と連続性から従う。
  • 両端の極限は、次と連続性から従う。

(−∞,−m]↓∅,(−∞,m]↑R.(-\infty,-m]\downarrow\emptyset,\qquad (-\infty,m]\uparrow\mathbb{R} .

定理 2.18 と合わせると、次が得られる。

要点

(2.4) を満たす関数と、Borel 集合族の上の確率測度は一対一に対応する。対応は F(x)=P((−∞,x])F(x)=P((-\infty,x]) で与えられる。

第3章 §3.3 では、この対応を確率変数の分布と分布関数の言葉で述べ直す。

1点や閉区間の確率

PFP_F は Borel 集合すべての確率を定めているので、1点や閉区間の確率も FF から計算できる。F(x−)≔lim⁡y↑xF(y)F(x-)\coloneqq\lim_{y\uparrow x}F(y) を左極限とする(単調関数なので必ず存在する)。

命題 2.19(区間の端点の扱い)

a<ba<b について次が成り立つ。

PF({x})=F(x)−F(x−),PF((a,b))=F(b−)−F(a),PF([a,b])=F(b)−F(a−),PF([a,b))=F(b−)−F(a−).\begin{align*}P_F(\{x\})&=F(x)-F(x-),\tag{2.13}\\P_F\bigl((a,b)\bigr)&=F(b-)-F(a),\qquad P_F\bigl([a,b]\bigr)=F(b)-F(a-),\qquad P_F\bigl([a,b)\bigr)=F(b-)-F(a-).\tag{2.14}\end{align*}

証明

(x−1/m,x]↓{x}(x-1/m,x]\downarrow\{x\} なので、連続性からPF({x})=lim⁡m(F(x)−F(x−1/m))=F(x)−F(x−)P_F(\{x\})=\lim_m\bigl(F(x)-F(x-1/m)\bigr)=F(x)-F(x-)。残りは (2.13) と加法性から出る。

たとえば (a,b)=(a,b]∖{b}(a,b)=(a,b]\setminus\{b\} から PF((a,b))=F(b)−F(a)−(F(b)−F(b−))=F(b−)−F(a)P_F((a,b))=F(b)-F(a)-(F(b)-F(b-))=F(b-)-F(a)。[a,b]={a}⊔(a,b][a,b]=\{a\}\sqcup(a,b] から PF([a,b])=F(a)−F(a−)+F(b)−F(a)=F(b)−F(a−)P_F([a,b])=F(a)-F(a-)+F(b)-F(a)=F(b)-F(a-)。[a,b)={a}⊔(a,b)[a,b)=\{a\}\sqcup(a,b) についても同様である。

(2.13) から、点 xx での連続性は PF({x})=0P_F(\{x\})=0 と同値である。

FF の跳びの位置は高々可算個である。実際、跳びの大きさが 1/k1/k を超える点が kk 個以上あれば、それらの点の確率の和が 1 を超えてしまう。したがって、跳びが 1/k1/k を超える点は kk 個未満である。これを k=1,2,…k=1,2,\dots について合わせても、可算個である。

3種類の分布関数

  • 離散型。FF が跳びだけで増える階段関数のとき、PFP_F は跳びの位置に跳びの大きさの確率を置いた分布になる。二項分布や Poisson 分布がこの型である。
  • 絶対連続型。非負の可積分関数 ff で、F(x)=∫−∞xf(t) dtF(x)=\int_{-\infty}^xf(t)\,\mathrm{d} t と書けるとする。このとき次が成り立つ。

PF((a,b])=∫abf(t) dt.P_F((a,b])=\int_a^bf(t)\,\mathrm{d} t .

正規分布や指数分布がこの型で、ff を密度関数と呼ぶ。

  • 特異連続型。Cantor 集合(確認テスト 2.2-3)の上でだけ増える連続な階段状の関数(Cantor 関数)がある。FF は連続なので1点の確率は 0 だが、確率 1 が Leb\mathrm{Leb} で測って長さ 0 の集合に乗っているので、密度では書けない。

一般の分布関数はこの3つの型の混合で書ける(Lebesgue 分解)。その主張は第3章 §3.4 で扱う。

例題 2.5 跳びと連続部分を持つ分布関数 ★★

オリジナル次の関数 FF を考える(図 2.3)。

F(x)={0(x<0)1+x4(0≤x<1)1(x≥1)F(x)=\begin{cases}0 & (x<0)\\[2pt] \dfrac{1+x}4 & (0\le x<1)\\[6pt] 1 & (x\ge1)\end{cases}

  1. FF が (2.4) の3条件を満たすことを確かめよ。
  2. 次の3つを求め、和が 1 になることを確かめよ。

PF({0}),PF({1}),PF((0,1)).P_F(\{0\}),\qquad P_F(\{1\}),\qquad P_F((0,1)). 3. 次の3つを求めよ。

PF([0,12]),PF((12,1]),PF([12,1)).P_F([0,\tfrac12]),\qquad P_F((\tfrac12,1]),\qquad P_F([\tfrac12,1)).

解答
  1. 各区間の中で FF は定数か増加関数である。境目では次のように上がるので、単調非減少である。

F(0−)=0≤F(0)=14,F(1−)=12≤F(1)=1.F(0-)=0\le F(0)=\tfrac14,\qquad F(1-)=\tfrac12\le F(1)=1 .

境目の値 F(0)=14F(0)=\tfrac14 と F(1)=1F(1)=1 は、それぞれ右側の式で与えられているので右連続である。x<0x<0 で 0、x≥1x\ge1 で 1 なので極限の条件も満たす。2. (2.13) と (2.14) から

PF({0})=F(0)−F(0−)=14,PF({1})=F(1)−F(1−)=1−12=12,PF((0,1))=F(1−)−F(0)=12−14=14.\begin{aligned}P_F(\{0\})&=F(0)-F(0-)=\tfrac14,\\ P_F(\{1\})&=F(1)-F(1-)=1-\tfrac12=\tfrac12,\\ P_F((0,1))&=F(1-)-F(0)=\tfrac12-\tfrac14=\tfrac14 .\end{aligned}

x<0x<0 の部分の確率は F(0−)−F(−∞)=0F(0-)-F(-\infty)=0 である。x>1x>1 の部分の確率も F(+∞)−F(1)=0F(+\infty)-F(1)=0 である。よって全体は 14+12+14=1\tfrac14+\tfrac12+\tfrac14=1。確率の置かれ方は次のとおりである。

  • 点 0 に 14\tfrac14。
  • 点 1 に 12\tfrac12。
  • 区間 (0,1)(0,1) に一様に 14\tfrac14。
  1. F(12)=F(12−)=38F(\tfrac12)=F(\tfrac12-)=\tfrac38(12\tfrac12 では連続)を使って

PF([0,12])=F(12)−F(0−)=38,PF((12,1])=F(1)−F(12)=58,PF([12,1))=F(1−)−F(12−)=12−38=18.\begin{aligned}P_F\bigl([0,\tfrac12]\bigr)&=F(\tfrac12)-F(0-)=\tfrac38,\\ P_F\bigl((\tfrac12,1]\bigr)&=F(1)-F(\tfrac12)=\tfrac58,\\ P_F\bigl([\tfrac12,1)\bigr)&=F(1-)-F(\tfrac12-)=\tfrac12-\tfrac38=\tfrac18 .\end{aligned}

2つ目は点 1 の跳び 12\tfrac12 を含み、3つ目は含まない。差 58−18=12\tfrac58-\tfrac18=\tfrac12 がちょうど跳びの大きさである。

図

図 2.3 例題 2.5 の分布関数。黒丸はその点での値、白丸は値をとらない端点を表す。各跳びで値は上側の黒丸にあり、これが右連続性である。跳びの大きさが1点の確率になる。

多次元の分布関数

R2\mathbb{R}^2 の上の確率測度 PP についても、分布関数を次で定める。

F(x,y)=P((−∞,x]×(−∞,y]).F(x,y)=P((-\infty,x]\times(-\infty,y]).

確認テスト 2.3-3 から、この FF が PP を決める。ただし、存在の側の条件は1次元より強い。長方形の確率

P((a1,b1]×(a2,b2])=F(b1,b2)−F(a1,b2)−F(b1,a2)+F(a1,a2)P\bigl((a_1,b_1]\times(a_2,b_2]\bigr)=F(b_1,b_2)-F(a_1,b_2)-F(b_1,a_2)+F(a_1,a_2)

が非負であることを、各変数についての単調性とは別に要求する必要がある(確認テスト 2.4-5 に反例がある)。この条件と右連続性・極限の条件のもとで、1次元と同じ手順(長方形の半代数→前測度→Carathéodory→Dynkin)で R2\mathbb{R}^2 上の確率測度ができる。第4章 §4.3 の同時分布はこの測度である。

確認テスト

オリジナル

  1. 2.4-1 次の関数のうち、(2.4) の3条件を満たすものをすべて選び、満たさないものはどの条件が成り立たないかを答えよ。

    • (a) F(x)=12+1πarctan⁡xF(x)=\tfrac12+\tfrac1\pi\arctan x。
    • (b) 次の階段関数。

F(x)={0(x≤0)1(x>0)F(x)=\begin{cases}0&(x\le0)\\ 1&(x>0)\end{cases}

  • (c) F(x)=exp⁡(−e−x)F(x)=\exp(-\mathrm{e}^{-x})。
  • (d) 次の関数。

F(x)={ex(x<0)1(x≥0)F(x)=\begin{cases}\mathrm{e}^{x}&(x<0)\\ 1&(x\ge0)\end{cases} 2. 2.4-2 関数 FF を次で定める。

F(x)={0(x<1)1−12x(x≥1)F(x)=\begin{cases}0&(x<1)\\ 1-\dfrac1{2x}&(x\ge1)\end{cases}

次の4つを求めよ。

PF({1}),PF((1,2]),PF([2,∞)),PF((1,3)).P_F(\{1\}),\qquad P_F((1,2]),\qquad P_F([2,\infty)),\qquad P_F((1,3)). 3. 2.4-3 0<p<10<p<1 とし、関数 FF を次で定める。

F(x)={0(x<1)1−(1−p)⌊x⌋(x≥1)F(x)=\begin{cases}0&(x<1)\\ 1-(1-p)^{\lfloor x\rfloor}&(x\ge1)\end{cases}

ここで ⌊x⌋\lfloor x\rfloor は xx 以下の最大の整数である。PF({k})P_F(\{k\})(k=1,2,…k=1,2,\dots)を求めよ。また p=13p=\tfrac13 のとき PF((1.5,4])P_F((1.5,4]) を求めよ。4. 2.4-4 FF が連続だとする。このとき、任意の可算集合 C⊂RC\subset\mathbb{R} について PF(C)=0P_F(C)=0 であることを証明せよ。5. 2.4-5 関数 GG を次で定める。

G(x,y)={1(x+y≥0)0(x+y<0)G(x,y)=\begin{cases}1&(x+y\ge0)\\ 0&(x+y<0)\end{cases}

次の3つを確かめよ。

  • GG は各変数について単調非減少で右連続である。
  • x→−∞x\to-\infty または y→−∞y\to-\infty で 0 に近づく。
  • 両方の変数を +∞+\infty へ送ると 1 に近づく。

そのうえで、長方形 (−1,1]×(−1,1](-1,1]\times(-1,1] に上の式で割り当てた値を計算せよ。さらに、GG がどんな確率測度の2次元分布関数にもならないことを示せ。

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