確率論入門 第11章 §11.6
11.1 の解答
11.1-1 原点での値は、番号の偶奇で次のように変わる。
- 偶数番目では Xn=1/n>0 なので、FXn(0)=0 である。
- 奇数番目では Xn=−1/n≤0 なので、FXn(0)=1 である。
よって原点での値は 0 と 1 を交互にとり、収束しない。極限 0 の分布関数 1[0,∞) の不連続点は原点だけである。定義 11.5 は、原点での収束を求めない。原点以外の点では次のとおりである。
- 正の点 x では、1/n<x となる番号から先で値が 1 になる。そこでは Xn<x だからである。
- 負の点 x では、1/n<∣x∣ となる番号から先で値が 0 になる。そこでは Xn>x だからである。
連続点ではすべて極限の値に収束するので、Xnd0 である。2. 11.1-2 Ex(n) の2次モーメントは
E[Xn2]=∫0∞x2ne−nxdx=n22→0
なので XnL20 である。ε>0 について P(Xn>ε)=e−nε であり、
n=1∑∞e−nε=1−e−εe−ε<∞
である。よって十分条件 (11.7) から Xn→0 a.s. である。この十分条件は独立性を使わない(第1補題は独立性が要らない)。3. 11.1-3 事象 Gn>k は、最初の k 回の試行がすべて失敗することである。よって次が成り立つ。
P(Gn>k)=(1−nλ)k
Gn は整数値なので、x≥0 について
P(Xn>x)=P(Gn>nx)=P(Gn>⌊nx⌋)=(1−nλ)⌊nx⌋
である。⌊nx⌋=nx−θn(0≤θn<1)と書くと
logP(Xn>x)=(nx−θn)log(1−nλ)=x⋅nlog(1−nλ)−θnlog(1−nλ)→−λx
である(nlog(1−λ/n)→−λ を使った。第2項は 0 に近づく)。
よってすべての x≥0 で FXn(x)→1−e−λx が成り立つ。負の点では両辺 0 である。極限は Ex(λ) の分布関数で連続なので、XndEx(λ) である。λ=1、n=100 では次のようになる。
P(X100>1)=0.99100≈0.3660
これと e−1≈0.3679 との差は、約 0.0018 である。4. 11.1-4 Dn=∣Xn−X∣ と置く。0<ε<1 とする。事象 {Dn>ε} の上では min(Dn,1)>ε である。よって
ε1{Dn>ε}≤min(Dn,1)
であり、
P(Dn>ε)≤ε1E[min(Dn,1)]
である。よって E[min(Dn,1)]→0 なら、XnPX である。1 以上の ε の場合は、ε=21 の場合から従う。
逆を示す。事象 {Dn≤ε} の上では min(Dn,1)≤ε である。その補事象の上では min(Dn,1)≤1 である。よって
E[min(Dn,1)]≤ε+P(Dn>ε)
である。XnPX なら、limsupnE[min(Dn,1)]≤ε である。ε は任意なので、E[min(Dn,1)]→0 である。
11.2 の解答
- 11.2-1 Xn=X なので、分布関数は FX に等しく、極限に分布収束する。標準正規分布の対称性から −X=dX である。よって Yn=−X の分布関数も FX に等しく、こちらも同じ極限に分布収束する。一方、和は Xn+Yn=0 なので、その分布関数は 1[0,∞) である。2X∼N(0,4) の分布関数 Φ(x/2) は連続である。たとえば点 −1 で、和の分布関数の値は 0 であり、Φ(−21)≈0.3085 に収束しない。よって Xn+Ynd2X は成り立たない。
- 11.2-2 ω∈(0,1) を固定する。n>1/ω のとき ω∈/(0,1/n) なので、値は 0 である。よって列はすべての標本点で 0 に収束し、とくに概収束する。p≥1 について
E[Xnp]=nap⋅n1=nap−1
である。よって Lp 収束の条件は ap<1 である。すなわち p<1/a である。a≥1 なら、1 以上のどの指数でも Lp 収束しない。3. 11.2-3 Xn の分布関数は次のとおりである。
FXn(x)=⎩⎨⎧0#{k:k/n≤x}/n=⌊nx⌋/n1(x<0)(0≤x<1)(x≥1)
一様分布の分布関数は 0≤x≤1 で FU(x)=x である。よって 0≤x<1 で
0≤FU(x)−FXn(x)=x−n⌊nx⌋<n1
である。x↑k/n でこの差は 1/n に近づく。[0,1) の外では差は 0 である。よって
xsup∣FXn(x)−FU(x)∣=n1
である。分布関数がすべての点で一様に収束するので、XndU である。
全変動距離については、集合 B={n1,…,nn} をとる。すると P(Xn∈B)=1、P(U∈B)=0 である(有限集合の Lebesgue 測度は 0)。よって全変動距離は 1 以上である。全変動距離は常に 1 以下なので、dTV(Xn,U)=1 である。4. 11.2-4 概収束が確率収束を導くことは、定理 11.7 (i) である。逆を示す。確率収束を仮定し、標本点 ω と正の数 ε を固定する。
- もし ∣Xn(ω)−X(ω)∣>ε なら、この標本点は事象 {∣Xn−X∣>ε} に入る。よって
P(∣Xn−X∣>ε)≥P({ω})
である。2. 確率収束から、ある番号から先で P(∣Xn−X∣>ε)<P({ω}) となる。よってその番号から先では、∣Xn(ω)−X(ω)∣≤ε である。3. ε は任意なので Xn(ω)→X(ω) である。これはすべての標本点で成り立つ。
移動する山の反例が [0,1) のような非可算の空間を必要とするのは、個々の点が正の確率をもつ空間では確率収束と概収束が区別できないからである。
11.3 の解答
- 11.3-1 2乗の期待値は次のように押さえられる。
E[Xn2]=μn2+σn2≤msupμm2+msupσm2<∞
よって命題 11.14 (iii) を r=2 で使えば、一様可積分である。評価の形で書くと次のとおりである。
E[∣Xn∣;∣Xn∣>K]≤KE[Xn2]≤Ksupμm2+supσm2
2. 11.3-2 2つの期待値は次のとおりである。
E[Xn3/2]=n3/2⋅n−3/2=1,E[Xn2]=n2⋅n−3/2=n1/2→∞
前者の上限は 1 で有限である。よって命題 11.14 (iii) を r=23 で使うと、E[Xn;Xn>K]≤1/K1/2→0 で、一様可積分である。直接にも同じ評価が得られる。n>K のときは次のとおりで、n≤K のときは 0 である。
E[Xn;Xn>K]=n⋅n−3/2=n−1/2<K−1/2
2乗の期待値は発散するので、L2 有界ではない。一様可積分性の確認に、2乗まで要求する必要はないことを示す例である。3. 11.3-3 (a) この列は区間 (0,1/n) の上で値 n/logn をとり、それ以外で 0 をとる。K≥3 とする。n=2 では値が 2/log2≈2.885<K なので、条件を満たさない。n≥3 では logn>1 である。よって値が K を超えるなら、n>n/logn>K であり、
E[Xn;Xn>K]=lognn⋅n1=logn1<logK1
である。値が K 以下なら E[Xn;Xn>K]=0 である。したがって次が成り立ち、一様可積分である。
nsupE[Xn;Xn>K]≤logK1→0
(b) ω∈[m+11,m1)(m≥2)とする。Xn(ω)>0 となるのは 2≤n≤m のときである。よって上限は m/logm 以上である。したがって
E[nsupXn]≥m=2∑∞logmm(m1−m+11)=m=2∑∞(m+1)logm1=∞
である((m+1)logm1≥2mlogm1 で、∫2∞xlogxdx=[loglogx]2∞=∞ と比べる)。すべての番号で Xn≤Y となる確率変数は、列の上限以上である。よって可積分な優関数は存在しない。
それでも、列は 0 に概収束する。(a) と Vitali の定理により、E[Xn]=1/logn→0 が成り立つ。4. 11.3-4 Zi=∣Xi∣、Mn=maxi≤nZi と置く。正の数 K を固定する。最大値がこの数を超えるときは、最大値をとる添字を j とすると Mn=Zj1{Zj>K} である。よっていずれの場合も
Mn≤K+i=1∑nZi1{Zi>K}
である。期待値をとる。同分布から E[Zi;Zi>K]=E[Z1;Z1>K] なので
nE[Mn]≤nK+E[Z1;Z1>K]
である。n→∞ として次を得る。
nlimsupnE[Mn]≤E[Z1;Z1>K]
(11.13) から、K→∞ で右辺は 0 に近づく。独立な Ex(1) の場合、比は次のとおりである。
nE[Mn]=n1k=1∑nk1
これは n=10 で約 0.2929、n=1000 で約 0.00749 である。logn/n の速さで 0 に近づく。5. 11.3-5 命題 11.13 の (a)(b) を確かめる。(a) は次から従う。
E∣Xn+Yn∣≤E∣Xn∣+E∣Yn∣≤msupE∣Xm∣+msupE∣Ym∣<∞
(b):ε>0 をとる。1つ目の列について ε/2 に対応する δ1 をとる。2つ目の列について同様に δ2 をとる。δ=min(δ1,δ2) と置く。P(A)<δ なら
E[∣Xn+Yn∣;A]≤E[∣Xn∣;A]+E[∣Yn∣;A]<2ε+2ε=ε
がすべての番号で成り立つ。よって和の列は一様可積分である。
11.4 の解答
- 11.4-1 Z∼N(0,1) とする。関数 h(x)=x2 は連続なので、連続写像定理 (iii) から次が成り立つ。
Xn2dZ2
Z2 の分布関数は連続なので、点 1 は連続点である。よって
P(Xn2≤1)→P(Z2≤1)=P(−1≤Z≤1)=2Φ(1)−1≈0.6827
である。2. 11.4-2 平均と分散は E[Xn/n]=1、V[Xn/n]=n/n2=1/n である。Chebyshev の不等式から
P(nXn−1≥ε)≤nε21→0
であり、Xn/nP1 である。関数を、正の点で h(q)=1/q、それ以外で 0 と定める。これは点 1 で連続なので、連続写像定理 (ii) から h(Xn/n)P1 である。Xn>0 のとき、次のように書ける。
Rn=nXn−n⋅Xnn=nXn−nh(nXn)
Xn=0 のときも右辺は 0=Rn である。よってこの表示は常に成り立つ。Slutsky の定理 (ii) から、Rnd1⋅N(0,1)=N(0,1) である。3. 11.4-3 (a) 分布関数は 0≤x≤1+n1 で Fn(x)=x/(1+n1) である。これは連続で狭義増加なので、逆関数は次のとおりである。
Fn−1(u)=(1+n1)u,F−1(u)=u
すべての u∈(0,1) で、差は u/n→0 である。例外の点は無い。
(b) 分布関数は次のとおりである。
Fn(x)=⎩⎨⎧021−n11(x<0)(0≤x<1)(x≥1)
よって
Fn−1(u)={01(u≤21−n1)(u>21−n1),F−1(u)={01(u≤21)(u>21)
である。点ごとに見ると次のとおりである。
- u<21 なら、n1<21−u となる番号から先で、両方の値が 0 になる。
- u>21 なら、すべての番号で両方の値が 1 である。
- 点 21 では、3 以上のすべての番号で Fn−1(21)=1 である。一方 F−1(21)=0 なので、収束しない。
点 21 はちょうど F−1 の不連続点であり、定理 11.16 の証明で除いた点に当たる。1点の Lebesgue 測度は 0 なので、Yn→Y a.s. は成り立つ。4. 11.4-4 和:三角不等式から次が成り立つ。
∣(Xn+Yn)−(X+Y)∣≤∣Xn−X∣+∣Yn−Y∣
よって左辺が ε を超えれば、右辺のどちらかが ε/2 を超える。したがって
P(∣(Xn+Yn)−(X+Y)∣>ε)≤P(∣Xn−X∣>ε/2)+P(∣Yn−Y∣>ε/2)→0
である。
積:系 11.9 を使う。任意の部分列 nk をとる。
- 確率収束から、さらに部分列 nk′ で、Xnk′ が概収束するものがとれる。
- 2つ目の列もこの部分列の上で確率収束する。よってそのさらに部分列 nk′′ で、Ynk′′ が概収束するものがとれる。
- この部分列では両方が概収束する(2つの事象の共通部分も確率 1)。よって Xnk′′Ynk′′→XY a.s. である。
よって積の列の任意の部分列が、XY に概収束する部分列を持つ。したがって XnYnPXY である。5. 11.4-5 ε>0 について、次が成り立つ。
P(∣Xn∣>ε)≤P(Xn=n)=n1→0
よって XnP0 であり、定理 11.7 (iv) から Xnd0 である。一方、期待値はすべての番号で E[Xn]=n⋅n1=1 であり、0 に収束しない。
命題 11.22 を p=1 で使うには、1 より大きいある指数で r 乗のモーメントが有界でなければならない。しかし次のとおり、これは成り立たない。
E[Xnr]=nr⋅n1=nr−1→∞
実際 n>K では E[Xn;Xn>K]=1 なので、列は一様可積分でもない。有界でない連続関数 g(x)=x について、(11.17) が成り立たない例になっている。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com