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測地線の方程式

2026年10月15日25分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第9章 測地線
目次
  1. 平行移動からの定義
  2. 径数の取り替え
  3. 接ベクトルの大きさの保存と測地線の分類
  4. 固有時の停留からの導出
  5. 確認テスト
  6. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対論入門 第9章 §9.1 ★★★ 「接ベクトルを平行移動させる曲線」と「固有時を停留させる世界線」が同じ方程式を満たす

第5章では、力を受けない粒子の運動方程式を平らな時空の慣性系で duμ/dτ=0\mathrm{d} u^\mu/\mathrm{d}\tau=0 と書いた。第7章では等価原理から、重力だけを受けて自由落下する粒子は、その点の近くの局所慣性系で見ると力を受けない粒子と区別できないことを学んだ。

第8章では、係数が場所によって変わる線素 ds2=gμν(x) dxμdxν\mathrm{d} s^2=g_{\mu\nu}(x)\,\mathrm{d} x^\mu\mathrm{d} x^\nu を計量テンソルとして扱った。さらに Christoffel 記号 Γρμν\Gamma^\rho{}_{\mu\nu} と共変微分 ∇μ\nabla_\mu を導入し、曲線に沿ったベクトルの平行移動を整えた。この章では、この3つをまとめて、重力のもとでの自由粒子の運動方程式を作る。

答えは、接ベクトルを自分自身に沿って平行移動させる曲線、すなわち測地線である。§9.1 で測地線の方程式

d2xρdτ2+Γρμνdxμdτdxνdτ=0\frac{\mathrm{d}^2x^\rho}{\mathrm{d}\tau^2}+\Gamma^\rho{}_{\mu\nu}\frac{d x^\mu}{d \tau}\frac{d x^\nu}{d \tau}=0

を、平行移動の条件と固有時の停留の2通りから導く。§9.2 ではゆっくり動く粒子と弱い静的な重力場の極限をとり、この方程式が Newton の運動方程式 x¨=−∇Φ\ddot{\bm{x}}=-\nabla\Phi に戻ることと、そのために計量の時間成分が g00≃1+2Φ/c2g_{00}\simeq1+2\Phi/c^2 でなければならないことを示す。§9.3 では、計量の対称性(Killing ベクトル)から測地線に沿って保存する量を作り、静的な時空のエネルギーと軸対称な時空の角運動量を定義する。§9.4 では光の測地線を扱い、観測者が測る振動数・重力赤方偏移・弱い場での光の曲がりを計算する。

使う前の章の結果をここで式の形で書いておく。Christoffel 記号は計量から

Γρμν=12gρσ(∂μgσν+∂νgσμ−∂σgμν)(9.1)\Gamma^\rho{}_{\mu\nu}=\frac12g^{\rho\sigma}\bigl(\partial_\mu g_{\sigma\nu}+\partial_\nu g_{\sigma\mu}-\partial_\sigma g_{\mu\nu}\bigr)\tag{9.1}

で決まり、下の2つの添字について対称である(第8章 §8.3)。ベクトルとコベクトルの共変微分は

∇μVν=∂μVν+ΓνμλVλ,∇μων=∂μων−Γλμνωλ(9.2)\nabla_\mu V^\nu=\partial_\mu V^\nu+\Gamma^\nu{}_{\mu\lambda}V^\lambda,\qquad \nabla_\mu\omega_\nu=\partial_\mu\omega_\nu-\Gamma^\lambda{}_{\mu\nu}\omega_\lambda\tag{9.2}

で、計量については ∇λgμν=0\nabla_\lambda g_{\mu\nu}=0 が成り立つ(第8章 §8.3)。曲線 xμ(λ)x^\mu(\lambda) に沿ってベクトル Vρ(λ)V^\rho(\lambda) を平行移動する条件は

DVρdλ≡dVρdλ+ΓρμνdxμdλVν=0(9.3)\frac{DV^\rho}{\mathrm{d}\lambda}\equiv\frac{d V^\rho}{d \lambda}+\Gamma^\rho{}_{\mu\nu}\frac{d x^\mu}{d \lambda}V^\nu=0\tag{9.3}

である(第8章 §8.4)。どの点 pp のまわりにも、pp で

gμν=ημν,∂λgμν=0(したがって Γρμν=0)g_{\mu\nu}=\eta_{\mu\nu},\qquad \partial_\lambda g_{\mu\nu}=0\quad(\text{したがって }\Gamma^\rho{}_{\mu\nu}=0)

となる座標(局所慣性系)をとることができる(第8章 §8.2、第7章 §7.2)。

この章の結果は、第10章で近くの2本の測地線の離れ方(測地線偏差)から曲率を測るとき、第11章で Einstein 方程式の係数を Newton 極限で合わせるとき、第12章・第13章で Schwarzschild 時空の粒子と光の軌道を解くときに使う。同じ方程式を作用 S=−mc2∫dτS=-mc^2\int\mathrm{d}\tau の Euler–Lagrange 方程式として導く道は、虎の巻『解析力学から様々な理論分野を組み立てる』第2部第12章にある。この章は平行移動と固有時の停留という幾何の側から組み立てる。

平行移動からの定義

平らな空間の直線は、進む向きを変えない曲線である。言い換えると、直線の接ベクトルは直線に沿って平行に移動しても自分自身と一致する。曲がった空間ではベクトルを比べるのに平行移動の規則 (9.3) が要るので、この性質を「まっすぐ」の定義に使う。

定義 9.1(測地線)

曲線 xμ(λ)x^\mu(\lambda) の接ベクトル x˙μ=dxμ/dλ\dot x^\mu=\mathrm{d} x^\mu/\mathrm{d}\lambda が、その曲線自身に沿って平行移動されているとき、すなわち

Dx˙ρdλ=d2xρdλ2+Γρμνdxμdλdxνdλ=0(9.4)\frac{D\dot x^\rho}{\mathrm{d}\lambda}=\frac{\mathrm{d}^2x^\rho}{\mathrm{d}\lambda^2}+\Gamma^\rho{}_{\mu\nu}\frac{d x^\mu}{d \lambda}\frac{d x^\nu}{d \lambda}=0\tag{9.4}

が成り立つとき、この曲線を測地線と呼び、λ\lambda をそのアフィン径数と呼ぶ。

(9.3) で Vρ=x˙ρV^\rho=\dot x^\rho と置くと (9.4) になる。これは未知関数 xρ(λ)x^\rho(\lambda) についての2階の常微分方程式である。したがって始点 xμ(0)x^\mu(0) と初速度 x˙μ(0)\dot x^\mu(0) を指定すると、解は(少なくとも短い区間では)ただ1つに決まる。つまり、各点から各向きにただ1本の測地線が出る。

局所慣性系で見ると、この方程式の意味がはっきりする。点 pp で Γρμν=0\Gamma^\rho{}_{\mu\nu}=0 となる座標をとると、その点で

d2xρdλ2=0\frac{\mathrm{d}^2x^\rho}{\mathrm{d}\lambda^2}=0

で、測地線は pp の近くで座標の直線に一致する。第7章 §7.2 の Einstein の等価原理によると、自由落下する粒子は局所慣性系の中で等速直線運動をする。この「局所慣性系での等速直線運動」を座標によらない形に書いたものが (9.4) で、Γ\Gamma を含む項は、局所慣性系でない座標を使ったときに現れる見かけの加速度を表す。

Γ≠0\Gamma\ne0 は重力の証拠ではない

平らな平面でも、極座標を使えば Christoffel 記号が0でなくなる(Γrφφ=−r\Gamma^r{}_{\varphi\varphi}=-r、第8章 §8.3)。逆に、本当に重力がある時空でも、1点ではいつでも Γ=0\Gamma=0 にすることができる。したがって Γ\Gamma の値そのものは重力の有無を判定する量にならない。座標変換で消せない量は曲率で、それは第10章で扱う。

径数の取り替え

定義 9.1 は径数 λ\lambda の選び方に依存している。同じ曲線を別の径数で表したら何が起こるかを調べておく。

命題 9.2(径数の取り替え ★★)

xμ(λ)x^\mu(\lambda) をアフィン径数 λ\lambda の測地線とする。同じ曲線を別の径数 σ\sigma で λ=λ(σ)\lambda=\lambda(\sigma) と表し、記号を

λ′≡dλdσ≠0,x′μ≡dxμdσ\lambda'\equiv\frac{d \lambda}{d \sigma}\ne0,\qquad x'^\mu\equiv\frac{d x^\mu}{d \sigma}

と置く。このとき次が成り立つ。

  1. (i) 新しい径数での方程式は

d2xρdσ2+Γρμνx′μx′ν=f(σ) x′ρ,f(σ)=λ′′λ′=ddσln⁡∣λ′∣(9.5)\frac{\mathrm{d}^2x^\rho}{\mathrm{d}\sigma^2}+\Gamma^\rho{}_{\mu\nu}x'^\mu x'^\nu=f(\sigma)\,x'^\rho,\qquad f(\sigma)=\frac{\lambda''}{\lambda'}=\frac{d }{d \sigma}\ln\left\vert \lambda'\right\vert\tag{9.5}

となる。2. (ii) 新しい径数もアフィン径数である(f=0f=0)のは、λ=aσ+b (a≠0)\lambda=a\sigma+b\ (a\ne0) のときに限る。3. (iii) 逆に、ある径数で (9.5) を満たす曲線を考える。λ′=exp⁡∫f dσ\lambda'=\exp\int f\,\mathrm{d}\sigma で定めた λ\lambda を径数にとり直すと、この曲線は測地線の方程式 (9.4) を満たす。

証明

連鎖律で

x′ρ=λ′x˙ρ,d2xρdσ2=λ′′x˙ρ+λ′2x¨ρx'^\rho=\lambda'\dot x^\rho,\qquad \frac{\mathrm{d}^2x^\rho}{\mathrm{d}\sigma^2}=\lambda''\dot x^\rho+\lambda'^2\ddot x^\rho

である。したがって

d2xρdσ2+Γρμνx′μx′ν=λ′′x˙ρ+λ′2(x¨ρ+Γρμνx˙μx˙ν)=λ′′x˙ρ=λ′′λ′ x′ρ.\frac{\mathrm{d}^2x^\rho}{\mathrm{d}\sigma^2}+\Gamma^\rho{}_{\mu\nu}x'^\mu x'^\nu =\lambda''\dot x^\rho+\lambda'^2\bigl(\ddot x^\rho+\Gamma^\rho{}_{\mu\nu}\dot x^\mu\dot x^\nu\bigr) =\lambda''\dot x^\rho=\frac{\lambda''}{\lambda'}\,x'^\rho .

2つ目の等号で (9.4) を使った。f=0f=0 は λ′′=0\lambda''=0 と同じである。これは新旧の径数が1次式で結ばれることを意味する。

逆向きは、λ′=exp⁡∫f dσ\lambda'=\exp\int f\,\mathrm{d}\sigma とすると λ′′/λ′=f\lambda''/\lambda'=f となる。上の計算を逆にたどれば測地線の方程式 x¨ρ+Γρμνx˙μx˙ν=0\ddot x^\rho+\Gamma^\rho{}_{\mu\nu}\dot x^\mu\dot x^\nu=0 を得る。

「測地線である」という性質は曲線の形(時空の中の点の集合)の性質で、径数はそれを表す道具にすぎない。(9.5) の右辺は接ベクトルに平行な項なので、曲線の向きを変えず、曲線をたどる速さだけを変える。アフィン径数は、平行移動した接ベクトルの「長さ」まで一定に保つ特別な径数で、1次変換の自由度を除いて一通りに決まる。

接ベクトルの大きさの保存と測地線の分類

命題 9.3(接ベクトルの大きさの保存 ★★★)

アフィン径数の測地線に沿って、gμνx˙μx˙νg_{\mu\nu}\dot x^\mu\dot x^\nu は一定である。

証明

曲線に沿ったスカラー S(λ)S(\lambda) の微分は dS/dλ=x˙α∂αS=x˙α∇αS\mathrm{d} S/\mathrm{d}\lambda=\dot x^\alpha\partial_\alpha S=\dot x^\alpha\nabla_\alpha S である(スカラーの共変微分は偏微分と同じ)。S=gμνx˙μx˙νS=g_{\mu\nu}\dot x^\mu\dot x^\nu に Leibniz 則を使うと

dSdλ=x˙α(∇αgμν)x˙μx˙ν+2gμνx˙μ x˙α∇αx˙ν=0+2gμνx˙μDx˙νdλ=0\frac{d S}{d \lambda}=\dot x^\alpha(\nabla_\alpha g_{\mu\nu})\dot x^\mu\dot x^\nu+2g_{\mu\nu}\dot x^\mu\,\dot x^\alpha\nabla_\alpha\dot x^\nu =0+2g_{\mu\nu}\dot x^\mu\frac{D\dot x^\nu}{\mathrm{d}\lambda}=0

となる。∇g=0\nabla g=0 と測地線の方程式 (9.4) を使った。

ここで x˙ν\dot x^\nu は曲線の上でだけ定義された量である。そのため上の x˙α∇αx˙ν\dot x^\alpha\nabla_\alpha\dot x^\nu は Dx˙ν/dλD\dot x^\nu/\mathrm{d}\lambda の意味で書いている。Christoffel 記号の式 (9.1) だけを使って成分で確かめる計算は確認テスト 9.1-4 に回す。

この命題から、測地線の接ベクトルの種類は測地線の途中で変わらない。種類は gμνx˙μx˙νg_{\mu\nu}\dot x^\mu\dot x^\nu の符号で次の3つに分かれる。

  • 正なら時間的。
  • 0なら光的。
  • 負なら空間的。

時間的な測地線を時間的測地線と呼び、質量を持つ自由粒子の世界線を表す。光的なものを光的測地線と呼び、光の世界線を表す(§9.4)。

時間的測地線では、アフィン径数として固有時 τ\tau をとることができる。固有時は

dτ=1cgμνdxμdxν\mathrm{d}\tau=\frac1c\sqrt{g_{\mu\nu}\mathrm{d} x^\mu\mathrm{d} x^\nu}

で定まるので、λ=τ\lambda=\tau とすると gμνx˙μx˙ν=c2g_{\mu\nu}\dot x^\mu\dot x^\nu=c^2 となる。これは命題 9.3 により一定に保たれる。4元速度 uμ=dxμ/dτu^\mu=\mathrm{d} x^\mu/\mathrm{d}\tau を使うと、測地線の方程式と規格化の条件は

d2xρdτ2+Γρμνuμuν=0,gμνuμuν=c2(9.6)\frac{\mathrm{d}^2x^\rho}{\mathrm{d}\tau^2}+\Gamma^\rho{}_{\mu\nu}u^\mu u^\nu=0,\qquad g_{\mu\nu}u^\mu u^\nu=c^2\tag{9.6}

となる。平らな時空の慣性系では Γ=0\Gamma=0 なので、第5章の自由粒子の方程式 duμ/dτ=0\mathrm{d} u^\mu/\mathrm{d}\tau=0 に戻る。方程式に粒子の質量が入っていないので、同じ点から同じ4元速度で出発した粒子は、質量や組成によらず同じ世界線をたどる。これは第7章 §7.1 の落下の普遍性を幾何の言葉で述べたものである。

図

図 9.1 球面の測地線。赤道と経線は大円で、接ベクトルを自分自身に沿って平行移動させる測地線である。緯線 θ=θ0\theta=\theta_0(θ0≠π/2\theta_0\ne\pi/2)は測地線でなく、接ベクトルの共変微分 Dx˙/dsD\dot x/\mathrm{d} s は北極の向きを指す(確認テスト 9.1-2)。

固有時の停留からの導出

測地線にはもう1つの特徴づけがある。2つの事象を結ぶ時間的な世界線のうち、固有時を停留させるものが時間的測地線である。平らな時空では、第3章 §3.3 の双子のパラドックスで、慣性系にとどまった(直線の世界線をたどった)方が長い固有時を経験することを見た。この「直線は固有時を最大にする」という性質を曲がった時空へ広げる。

事象 AA と BB を結ぶ時間的な曲線を考え、任意の径数で表す。径数の範囲を λ∈[λA,λB]\lambda\in[\lambda_A,\lambda_B] とすると、その曲線に沿った固有時は

τ[x]=1c∫λAλBw dλ,w≡gμν(x) x˙μx˙ν(9.7)\tau[x]=\frac1c\int_{\lambda_A}^{\lambda_B}\sqrt{w}\,\mathrm{d}\lambda,\qquad w\equiv g_{\mu\nu}(x)\,\dot x^\mu\dot x^\nu\tag{9.7}

である。この値は径数の選び方によらない。径数を λ→σ\lambda\to\sigma と取り替えると、次の2つの倍率が打ち消し合うからである。

  • w\sqrt w は dλ/dσ\mathrm{d}\lambda/\mathrm{d}\sigma 倍になる。
  • dλ\mathrm{d}\lambda は dσ/dλ\mathrm{d}\sigma/\mathrm{d}\lambda 倍になる。

定理 9.4(固有時の停留 ★★★)

端点 AA、BB を固定した時間的な曲線を考える。

  1. (i) 固有時 (9.7) を停留させる曲線は、固有時を径数にとると測地線の方程式 (9.6) を満たす。
  2. (ii) 逆に、時間的測地線は固有時を停留させる。
証明

曲線を xμ(λ)→xμ(λ)+δxμ(λ)x^\mu(\lambda)\to x^\mu(\lambda)+\delta x^\mu(\lambda) とずらす。端点を固定するので δxμ(λA)=δxμ(λB)=0\delta x^\mu(\lambda_A)=\delta x^\mu(\lambda_B)=0 である。ww の変化の1次の部分は、計量の位置依存と x˙\dot x の変化の2つから

δw=∂αgμν δxα x˙μx˙ν+2gανx˙ν dδxαdλ\delta w=\partial_\alpha g_{\mu\nu}\,\delta x^\alpha\,\dot x^\mu\dot x^\nu+2g_{\alpha\nu}\dot x^\nu\,\frac{d \delta x^\alpha}{d \lambda}

となる(2項目では gg の対称性を使って2つの項をまとめた)。s≡ws\equiv\sqrt w と書くと δw=δw/(2s)\delta\sqrt w=\delta w/(2s) なので

c δτ=∫λAλB[12s∂αgμνx˙μx˙ν δxα+gανx˙νsdδxαdλ]dλ.c\,\delta\tau=\int_{\lambda_A}^{\lambda_B}\left[\frac{1}{2s}\partial_\alpha g_{\mu\nu}\dot x^\mu\dot x^\nu\,\delta x^\alpha+\frac{g_{\alpha\nu}\dot x^\nu}{s}\frac{d \delta x^\alpha}{d \lambda}\right]\mathrm{d}\lambda .

第2項を部分積分すると、端点で δx=0\delta x=0 なので境界項が消え、

c δτ=∫λAλB[12s∂αgμνx˙μx˙ν−ddλ(gανx˙νs)]δxα dλc\,\delta\tau=\int_{\lambda_A}^{\lambda_B}\left[\frac{1}{2s}\partial_\alpha g_{\mu\nu}\dot x^\mu\dot x^\nu-\frac{d }{d \lambda}\left(\frac{g_{\alpha\nu}\dot x^\nu}{s}\right)\right]\delta x^\alpha\,\mathrm{d}\lambda

を得る。これが任意の δxα\delta x^\alpha について0になるための条件は、各 α\alpha について

ddλ(gανx˙νs)=12s∂αgμνx˙μx˙ν(9.8)\frac{d }{d \lambda}\left(\frac{g_{\alpha\nu}\dot x^\nu}{s}\right)=\frac{1}{2s}\partial_\alpha g_{\mu\nu}\dot x^\mu\dot x^\nu\tag{9.8}

である。この式は径数の取り替えで形を変えないので、停留する曲線が求まったあとで径数を固有時 τ\tau にとり直してよい。そのとき s=c dτ/dλ=cs=c\,\mathrm{d}\tau/\mathrm{d}\lambda=c は定数なので、両辺の ss を払って

ddτ(gανuν)=12∂αgμνuμuν(9.9)\frac{d }{d \tau}\bigl(g_{\alpha\nu}u^\nu\bigr)=\frac12\partial_\alpha g_{\mu\nu}u^\mu u^\nu\tag{9.9}

となる。左辺を展開すると dgαν/dτ=∂βgανuβ\mathrm{d} g_{\alpha\nu}/\mathrm{d}\tau=\partial_\beta g_{\alpha\nu}u^\beta なので

gανduνdτ+∂βgαν uβuν−12∂αgβν uβuν=0.g_{\alpha\nu}\frac{d u^\nu}{d \tau}+\partial_\beta g_{\alpha\nu}\,u^\beta u^\nu-\frac12\partial_\alpha g_{\beta\nu}\,u^\beta u^\nu=0 .

第2項では uβuνu^\beta u^\nu が2つの添字の入れ替えについて対称なので、次のように書き換えてよい。

∂βgαν uβuν=12(∂βgαν+∂νgαβ)uβuν\partial_\beta g_{\alpha\nu}\,u^\beta u^\nu=\frac12\bigl(\partial_\beta g_{\alpha\nu}+\partial_\nu g_{\alpha\beta}\bigr)u^\beta u^\nu

すると

gανduνdτ+12(∂βgαν+∂νgαβ−∂αgβν)uβuν=0.g_{\alpha\nu}\frac{d u^\nu}{d \tau}+\frac12\bigl(\partial_\beta g_{\alpha\nu}+\partial_\nu g_{\alpha\beta}-\partial_\alpha g_{\beta\nu}\bigr)u^\beta u^\nu=0 .

両辺に gραg^{\rho\alpha} を掛けて添字 α\alpha について和をとる。(9.1) から第2項は Γρβνuβuν\Gamma^\rho{}_{\beta\nu}u^\beta u^\nu になり、測地線の方程式 (9.6) を得る。以上の変形はすべて同値変形なので、逆に (9.6) を満たす曲線は (9.8) を満たし、δτ=0\delta\tau=0 となる。

変分のあとで τ\tau を径数にとる理由

変分の前に径数を τ\tau に固定することはできない。ずらした曲線では固有時の長さそのものが変わるので、両端で λA=0\lambda_A=0、λB=τ\lambda_B=\tau と固定した径数は、ずらした曲線の固有時にはならないからである。そこで、任意の径数で停留条件 (9.8) を書いてから、解の曲線の上で径数を τ\tau に選んだ。

途中で出てきた (9.9) は、添字を下げた4元速度 uα=gανuνu_\alpha=g_{\alpha\nu}u^\nu を使うと

duαdτ=12 ∂αgμν uμuν(9.10)\frac{d u_\alpha}{d \tau}=\frac12\,\partial_\alpha g_{\mu\nu}\,u^\mu u^\nu\tag{9.10}

と書ける。計量がある座標 xkx^k によらなければ、右辺のその成分は0になる。したがって uku_k は測地線に沿って保存する。これは §9.3 の出発点になる。

固有時の停留は、停留の中身まで言うことができる。平らな時空で、事象 AA と BB を結ぶ直線の世界線の静止系をとり、

A=(0,0),B=(cT,0)A=(0,\bm{0}),\qquad B=(cT,\bm{0})

とする。任意の時間的な曲線の固有時は

τ=∫0T1−∣v(t)∣2c2 dt≤T\tau=\int_0^T\sqrt{1-\frac{\left\vert \bm{v}(t)\right\vert ^2}{c^2}}\,\mathrm{d} t\le T

で、等号は常に v=0\bm{v}=0 のとき、すなわち直線のときに限る。時間的測地線は固有時を最大にする(図 9.2)。

曲がった時空でも、AA と BB が十分近ければ同じことが成り立つ(局所慣性系で上の計算をすればよい)。離れた2点では、同じ2点を結ぶ測地線が複数あることがあり、そのときは最大でなく停留になる場合もある。この区別の完全な議論は微分幾何の本に譲る。

図

図 9.2 平らな時空で2つの事象 AA、BB を結ぶ時間的な世界線。直線(測地線)の固有時がいちばん長く、寄り道した世界線の固有時は短い。光的な折れ線(破線)では固有時は0になる。

正定値の計量の場合

2次元の球面のように計量が正定値の空間では、曲線の長さ ∫gijx˙ix˙j dλ\int\sqrt{g_{ij}\dot x^i\dot x^j}\,\mathrm{d}\lambda の停留条件が同じ形の方程式になり、測地線は(近い2点では)最短の曲線になる。時空では時間的測地線が固有時を最大にするので、不等号の向きが逆になる。Lorentz 型の計量の符号の違いがこの向きの違いの原因である。

例題 9.1 平面の極座標で直線を測地線として求める ★★

オリジナル平らな平面を極座標で表した線素 dl2=dr2+r2dφ2\mathrm{d} l^2=\mathrm{d} r^2+r^2\mathrm{d}\varphi^2 の測地線を、弧長 ss を径数にとって求めよ。Christoffel 記号は Γrφφ=−r\Gamma^r{}_{\varphi\varphi}=-r、Γφrφ=Γφφr=1/r\Gamma^\varphi{}_{r\varphi}=\Gamma^\varphi{}_{\varphi r}=1/r、ほかは0である(第8章 §8.3)。u=1/ru=1/r と置いて、軌道が直線 rcos⁡(φ−φ0)=br\cos(\varphi-\varphi_0)=b になることを示せ。

解答

˙=d/ds\dot{}=\mathrm{d}/\mathrm{d} s と書く。測地線の方程式 (9.4) の rr 成分と φ\varphi 成分は

r¨−rφ˙2=0,φ¨+2rr˙φ˙=0\ddot r-r\dot\varphi^2=0,\qquad \ddot\varphi+\frac2r\dot r\dot\varphi=0

である。第2式の係数2は、Γφrφ\Gamma^\varphi{}_{r\varphi} と Γφφr\Gamma^\varphi{}_{\varphi r} の2項から来る。φ\varphi 成分に r2r^2 を掛けると

r2φ¨+2rr˙φ˙=dds(r2φ˙)=0r^2\ddot\varphi+2r\dot r\dot\varphi=\frac{d }{d s}\bigl(r^2\dot\varphi\bigr)=0

なので、

r2φ˙=h(一定)r^2\dot\varphi=h\quad(\text{一定})

である。弧長を径数にとったので、命題 9.3 の規格化は r˙2+r2φ˙2=1\dot r^2+r^2\dot\varphi^2=1 である。

h=0h=0 なら φ\varphi は一定で、原点を通る直線(動径)である。以下 h≠0h\ne0 とし、u=1/ru=1/r を角度の関数とみる。すると

r˙=−1u2dudφφ˙=−1u2dudφ hu2=−hdudφ\dot r=-\frac{1}{u^2}\frac{d u}{d \varphi}\dot\varphi=-\frac{1}{u^2}\frac{d u}{d \varphi}\,hu^2=-h\frac{d u}{d \varphi}

となる。規格化の式に代入すると h2(du/dφ)2+h2u2=1h^2(\mathrm{d} u/\mathrm{d}\varphi)^2+h^2u^2=1 である。これを φ\varphi で微分すると

2h2dudφ(d2udφ2+u)=02h^2\frac{d u}{d \varphi}\left(\frac{\mathrm{d}^2u}{\mathrm{d}\varphi^2}+u\right)=0

となる。du/dφ≡0\mathrm{d} u/\mathrm{d}\varphi\equiv0 の場合は除いてよい。このとき u2=1/h2u^2=1/h^2 で半径一定の円になるが、rr 成分の式から

r¨=rφ˙2=h2r3≠0\ddot r=r\dot\varphi^2=\frac{h^2}{r^3}\ne0

となって矛盾するからである。残りの場合は

d2udφ2+u=0,u=cos⁡(φ−φ0)b\frac{\mathrm{d}^2u}{\mathrm{d}\varphi^2}+u=0,\qquad u=\frac{\cos(\varphi-\varphi_0)}{b}

を得る。規格化の式に入れると振幅は h2/b2=1h^2/b^2=1 を満たし、b=∣h∣b=\left\vert h\right\vert と決まる。

r=1/ur=1/u に戻すと rcos⁡(φ−φ0)=br\cos(\varphi-\varphi_0)=b となる。これは原点からの距離が bb の直線である。同じ形の方程式 d2u/dφ2+u=(右辺)\mathrm{d}^2u/\mathrm{d}\varphi^2+u=(\text{右辺}) は、第12章で Schwarzschild 時空の軌道を解くときに、右辺に重力の項が加わった形で再び現れる。

確認テスト

オリジナル

  1. 9.1-1 平らな時空の慣性系(gμν=ημνg_{\mu\nu}=\eta_{\mu\nu})で、測地線は xμ=aμλ+bμx^\mu=a^\mu\lambda+b^\mu に限ることを示せ。時間的な測地線は、どの慣性系から見ても等速直線運動であることを確かめよ。
  2. 9.1-2 半径 aa の球面

dl2=a2(dθ2+sin⁡2θ dφ2)\mathrm{d} l^2=a^2(\mathrm{d}\theta^2+\sin^2\theta\,\mathrm{d}\varphi^2)

を考える。Christoffel 記号は Γθφφ=−sin⁡θcos⁡θ\Gamma^\theta{}_{\varphi\varphi}=-\sin\theta\cos\theta、Γφθφ=cot⁡θ\Gamma^\varphi{}_{\theta\varphi}=\cot\theta で、ほかは0である。弧長 ss を径数として、次を示せ。

  1. (a) 経線 φ=φ0\varphi=\varphi_0、θ=s/a\theta=s/a は測地線である。
  2. (b) 緯線 θ=θ0\theta=\theta_0 は、θ0=π/2\theta_0=\pi/2(赤道)のときに限り測地線である。
  3. (c) 緯線について Dx˙θ/dsD\dot x^\theta/\mathrm{d} s を求めよ。
  4. 9.1-3 アフィン径数 τ\tau の測地線を、新しい径数を使って τ=τ0eσ\tau=\tau_0\mathrm{e}^{\sigma} と表した。(9.5) の f(σ)f(\sigma) を求めよ。逆に、ある径数で f(σ)=2/σf(\sigma)=2/\sigma となる曲線のアフィン径数を1つ求めよ。
  5. 9.1-4 共変微分を使わず、Christoffel 記号の式 (9.1) と測地線の方程式 (9.4) だけから、d(gμνx˙μx˙ν)/dλ=0\mathrm{d}(g_{\mu\nu}\dot x^\mu\dot x^\nu)/\mathrm{d}\lambda=0 を示せ。

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