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光の測地線

2026年10月15日14分で読めますAI生成教科書『基礎理論』第9章 測地線
目次
  1. 光的測地線とアフィン径数
  2. 観測者の測る振動数
  3. 重力赤方偏移
  4. 弱い場の光の速さと光の曲がり
  5. 確認テスト
  6. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対論入門 第9章 §9.4 ★★★ 光は光的測地線を進む。観測者の測る振動数は kμuμk_\mu u^\mu で、静的な時空では ωg00\omega\sqrt{g_{00}} が保存する

光的測地線とアフィン径数

光の世界線は、各点で光円錐に接する曲線で、接ベクトルは gμνx˙μx˙ν=0g_{\mu\nu}\dot x^\mu\dot x^\nu=0 を満たす。等価原理(第7章 §7.2)によると、局所慣性系の中で光は直線を進むので、光の世界線は光的な測地線である。

dkρdλ+Γρμνkμkν=0,kμ=dxμdλ,gμνkμkν=0.(9.22)\frac{\mathrm{d} k^\rho}{\mathrm{d}\lambda}+\Gamma^\rho{}_{\mu\nu}k^\mu k^\nu=0,\qquad k^\mu=\frac{d x^\mu}{d \lambda},\qquad g_{\mu\nu}k^\mu k^\nu=0 .\tag{9.22}

命題 9.3 により、最初に光的なら光的なまま進む。

光的測地線では固有時が0なので、固有時を径数にとることはできない。時間的測地線の定理 9.4 の汎関数 ∫w dλ\int\sqrt w\,\mathrm{d}\lambda も、w=0w=0 の所で微分できない。平行移動による定義(定義 9.1)は ww の符号を使わないので、そのまま光にも使える。アフィン径数は、命題 9.2 により定数倍と定数の足し算の自由度 λ→aλ+b\lambda\to a\lambda+b を残して決まる。

変分で光的測地線を出すには

固有時の代わりに ∫12gμνx˙μx˙ν dλ\int\frac12g_{\mu\nu}\dot x^\mu\dot x^\nu\,\mathrm{d}\lambda の停留を考える。その条件は、定理 9.4 の証明で s=1s=1 と置いた式

ddλ(gανx˙ν)=12∂αgμνx˙μx˙ν\frac{d }{d \lambda}\bigl(g_{\alpha\nu}\dot x^\nu\bigr)=\frac12\partial_\alpha g_{\mu\nu}\dot x^\mu\dot x^\nu

になる。これは時間的・光的・空間的のどの場合にも、アフィン径数の測地線の方程式である。この関数を Lagrangian とする扱い(Hamiltonian 12gμνpμpν\frac12g^{\mu\nu}p_\mu p_\nu と質量殻の関係など)は虎の巻『解析力学から様々な理論分野を組み立てる』第2部第12章にある。

観測者の測る振動数

アフィン径数の定数倍の自由度を使って、kμk^\mu を光の4元波数(第4章 §4.2)kμ=(ω/c,k)k^\mu=(\omega/c,\bm{k}) に一致させることができる。高い振動数の電磁波(幾何光学の近似)では、波数ベクトルは光的測地線に接し、測地線に沿って (9.22) の形で平行移動されることが Maxwell 方程式から示される。その導出は曲がった時空の電磁場(第11章 §11.4)を使うので、ここでは結果だけを使う。

4元速度 uμu^\mu で動く観測者が測る光の角振動数は

ω観測=kμuμ(9.23)\omega_{\text{観測}}=k_\mu u^\mu\tag{9.23}

である。両辺ともスカラーなので、観測者の局所慣性系の静止系で確かめれば十分である。そこでは g=ηg=\eta、uμ=(c,0)u^\mu=(c,\bm{0}) なので

kμuμ=k0c=ωk_\mu u^\mu=k^0c=\omega

となる。これはその観測者が自分の時計で測る角振動数そのものである。

重力赤方偏移

静的な時空(∂0g=0\partial_0g=0、g0i=0g_{0i}=0)で、空間の座標が一定の観測者を静止した観測者と呼ぶ。その4元速度は uμ=(u0,0)u^\mu=(u^0,\bm{0}) の形である。規格化 g00(u0)2=c2g_{00}(u^0)^2=c^2 から

uμ=(cg00,0,0,0)u^\mu=\Bigl(\frac{c}{\sqrt{g_{00}}},0,0,0\Bigr)

である。この観測者が測る振動数は、(9.23) から ω=k0u0=ck0/g00\omega=k_0u^0=ck_0/\sqrt{g_{00}} である。一方、時間の並進 ξ=∂0\xi=\partial_0 は Killing ベクトルなので、定理 9.9 により ξμkμ=k0\xi_\mu k^\mu=k_0 は光の進路に沿って一定である。したがって次が成り立つ。

定理 9.10(重力赤方偏移 ★★★)

静的な時空で、位置 x1\bm{x}_1 に静止した観測者が送った光を、位置 x2\bm{x}_2 に静止した観測者が受けるとき、

ωg00=一定,ω2ω1=g00(x1)g00(x2)≃1+Φ(x1)−Φ(x2)c2(9.24)\omega\sqrt{g_{00}}=\text{一定},\qquad \frac{\omega_2}{\omega_1}=\sqrt{\frac{g_{00}(\bm{x}_1)}{g_{00}(\bm{x}_2)}}\simeq1+\frac{\Phi(\bm{x}_1)-\Phi(\bm{x}_2)}{c^2}\tag{9.24}

である(最後は弱い場 g00≃1+2Φ/c2g_{00}\simeq1+2\Phi/c^2 の1次まで)。

ポテンシャルの低い所(星の表面)から出た光を高い所(遠方)で受けると Φ1<Φ2\Phi_1<\Phi_2 で ω2<ω1\omega_2<\omega_1、すなわち赤方偏移する。弱い場の形は、第7章 §7.3 で加速するロケットの Doppler 効果とエネルギー保存から導いた Δf/f=−ΔΦ/c2\Delta f/f=-\Delta\Phi/c^2 に一致する。ここでは同じ結果を、Killing ベクトルの保存量と観測者の4元速度という時空の幾何の量だけから導いた。(9.24) の前半は弱い場の近似を使っていないので、第12章 §12.4 で Schwarzschild 解の g00=1−rs/rg_{00}=1-r_{\mathrm s}/r を入れると、強い場まで使える厳密な式になる。

弱い場の光の速さと光の曲がり

§9.2 で遅い粒子には g00g_{00} だけが入ることを見た。光では事情が違う。計量を

ds2=(1+2Φc2)c2dt2−(1−2Ψc2)∣dx∣2(9.25)\mathrm{d} s^2=\Bigl(1+\frac{2\Phi}{c^2}\Bigr)c^2\mathrm{d} t^2-\Bigl(1-\frac{2\Psi}{c^2}\Bigr)\left\vert \mathrm{d}\bm{x}\right\vert ^2\tag{9.25}

と書く。Ψ\Psi は空間部分のずれを表すポテンシャルで、Einstein 方程式によると星のまわりでは Ψ=Φ\Psi=\Phi である(第11章 §11.2・第12章 §12.3)。光の進路 ds=0\mathrm{d} s=0 から、座標で測った光の速さは

∣dxdt∣=c1+2Φ/c21−2Ψ/c2≃c(1+Φ+Ψc2)\left\vert \frac{d \bm{x}}{d t}\right\vert =c\sqrt{\frac{1+2\Phi/c^2}{1-2\Psi/c^2}}\simeq c\Bigl(1+\frac{\Phi+\Psi}{c^2}\Bigr)

で、Φ\Phi と Ψ\Psi が同じ重みで入る。

重力源の近くで Φ,Ψ<0\Phi,\Psi<0 なので、座標の光速は cc より遅い。光は屈折率 n=1−(Φ+Ψ)/c2>1n=1-(\Phi+\Psi)/c^2>1 の媒質を進むように振る舞う。その場所の局所慣性系で測る光速はいつも cc である。遅れて見えるのは遠方の座標 tt で測るからで、この遅れは第12章 §12.3 の Shapiro 遅延として観測される。

光の進路の曲がりを、測地線の方程式 (9.22) から直接求める。質量 MM の天体を原点に置く。光は zz 軸に平行に、天体から距離 bb(衝突径数)だけ離れて進むとする。重力がなければ光の進路は直線

x=b,y=0,z=c(t−t0)x=b,\qquad y=0,\qquad z=c(t-t_0)

である。径数をうまく選ぶと、c dt/dλ=dz/dλ=1c\,\mathrm{d} t/\mathrm{d}\lambda=\mathrm{d} z/\mathrm{d}\lambda=1 として kμ=(1,0,0,1)k^\mu=(1,0,0,1) となる。重力による曲がりは Φ/c2\Phi/c^2 の1次の小ささである。そのため Christoffel 記号を含む項では、kμk^\mu をこの直線の値で置き換えてよい。xx 成分の方程式は

d2xdλ2=−Γxμνkμkν≃−(Γx00+2Γx0z+Γxzz)\frac{\mathrm{d}^2x}{\mathrm{d}\lambda^2}=-\Gamma^x{}_{\mu\nu}k^\mu k^\nu\simeq-\bigl(\Gamma^x{}_{00}+2\Gamma^x{}_{0z}+\Gamma^x{}_{zz}\bigr)

である。静的で g0i=0g_{0i}=0 なので Γx0z=0\Gamma^x{}_{0z}=0 である。残りの2つは、gxx≃−1g^{xx}\simeq-1 を使って (9.1) から

Γx00=−12gxx∂xg00=1c2∂xΦ,Γxzz=12gxx(2∂zgxz−∂xgzz)=12∂xgzz=1c2∂xΨ\Gamma^x{}_{00}=-\frac12g^{xx}\partial_xg_{00}=\frac{1}{c^2}\partial_x\Phi,\qquad \Gamma^x{}_{zz}=\frac12g^{xx}\bigl(2\partial_zg_{xz}-\partial_xg_{zz}\bigr)=\frac12\partial_xg_{zz}=\frac{1}{c^2}\partial_x\Psi

となる(gzz=−(1−2Ψ/c2)g_{zz}=-(1-2\Psi/c^2) で、gxz=0g_{xz}=0)。主要項では λ\lambda と zz は同じなので

d2xdz2=−1c2 ∂x(Φ+Ψ)∣x=b(9.26)\frac{\mathrm{d}^2x}{\mathrm{d} z^2}=-\frac{1}{c^2}\,\partial_x(\Phi+\Psi)\Big|_{x=b}\tag{9.26}

を得る。光が z=−∞z=-\infty から +∞+\infty まで進むあいだに進む向きの傾きが変わる量が、曲がりの角である。点質量では Φ=Ψ=−GM/r\Phi=\Psi=-GM/r(r=x2+y2+z2r=\sqrt{x^2+y^2+z^2})である。その微分は ∂xΦ=GMx/r3\partial_x\Phi=GMx/r^3 なので

∫−∞∞GMb(b2+z2)3/2 dz=GMb[zb2b2+z2]−∞∞=2GMb\int_{-\infty}^{\infty}\frac{GMb}{(b^2+z^2)^{3/2}}\,\mathrm{d} z=GMb\Bigl[\frac{z}{b^2\sqrt{b^2+z^2}}\Bigr]_{-\infty}^{\infty}=\frac{2GM}{b}

なので、傾きの変化は Δ(dx/dz)=−(2GM/b+2GM/b)/c2\Delta(\mathrm{d} x/\mathrm{d} z)=-(2GM/b+2GM/b)/c^2 である。負号は光が天体の側(xx の減る向き)へ曲がることを表す。

定理 9.11(弱い場の光の曲がり ★★★)

計量 (9.25) の中を衝突径数 bb で通過する光は、天体の向きに

δ=2GMc2b(1+ΨΦ)(9.27)\delta=\frac{2GM}{c^2b}\Bigl(1+\frac{\Psi}{\Phi}\Bigr)\tag{9.27}

だけ曲がる。とくに次の2つの場合がある。

  1. (i) 時間成分のずれだけ(Ψ=0\Psi=0)なら、δ=2GM/(c2b)\delta=2GM/(c^2b) である。
  2. (ii) 空間部分も同じ大きさでずれる(Ψ=Φ\Psi=\Phi)なら、δ=4GM/(c2b)\delta=4GM/(c^2b) である。

Ψ=0\Psi=0 の値は、第7章 §7.4 で等価原理だけから素朴に見積もった値 2GM/(bc2)2GM/(bc^2) と一致する。等価原理が決めるのは g00g_{00} の部分だけだからである。空間の計量のずれが同じ大きさで加わると曲がりは2倍になり、この2倍の値が観測された値である(例題 9.4)。

光の曲がりは gijg_{ij} を測る実験になっていて、遅い粒子の運動からは分からない計量の空間部分を確かめることができる。同じ結果を Schwarzschild 解の光の軌道から厳密に求める計算は第12章 §12.3 で行う。

図

図 9.3 質量 MM の天体の近くを衝突径数 bb で通過する光の曲がり(角 δ\delta は誇張して描いた)。灰色の破線は重力がないときの直線で、光は天体の側へ曲がる。

例題 9.4 太陽の縁をかすめる光の曲がり ★★★

オリジナル太陽の縁(b=R⊙=6.957×108 mb=R_\odot=6.957\times10^8\,\mathrm m)をかすめる星の光の曲がりの角を、次の2つの場合について求めよ。

  1. (a) g00g_{00} のずれだけを入れた場合(Ψ=0\Psi=0)。
  2. (b) 空間部分も入れた場合(Ψ=Φ\Psi=\Phi)。

単位はラジアンと角度の秒(1′′=π/648000 rad1''=\pi/648000\,\mathrm{rad})とし、GM⊙/c2=1476.6 mGM_\odot/c^2=1476.6\,\mathrm m を使え。さらに、同じ光が太陽の近くを通過するあいだに受ける「座標の光速の遅れ」の大きさの目安として、縁での ∣Φ+Ψ∣/c2\left\vert \Phi+\Psi\right\vert /c^2 を (b) の場合に求めよ。

解答

(a) δ=2GM⊙/(c2b)=2×1476.6/(6.957×108)=4.245×10−6 rad\delta=2GM_\odot/(c^2b)=2\times1476.6/(6.957\times10^8)=4.245\times10^{-6}\,\mathrm{rad}。角度の秒に直すと 4.245×10−6×648000/π=4.245×10−6×206264.8=0.876′′4.245\times10^{-6}\times648000/\pi=4.245\times10^{-6}\times206264.8=0.876'' である。

(b) δ=4GM⊙/(c2b)=8.490×10−6 rad=1.751′′\delta=4GM_\odot/(c^2b)=8.490\times10^{-6}\,\mathrm{rad}=1.751''。

(b) の値が観測された値で、1919 年の日食のときに太陽の近くに見えた星の位置のずれとして初めて測られ、その後は電波の観測で高い精度で確かめられている。

縁での座標の光速のずれは ∣Φ+Ψ∣/c2=2GM⊙/(c2R⊙)=4.245×10−6\left\vert \Phi+\Psi\right\vert /c^2=2GM_\odot/(c^2R_\odot)=4.245\times10^{-6} で、曲がりの角 (a) と同じ数値になる。光が速さを c(1−4.2×10−6)c(1-4.2\times10^{-6}) 程度に落とす区間を、太陽の直径ほどの長さ(∼109 m\sim10^9\,\mathrm m)だけ通るとする。遅れの大きさは

109c×4×10−6∼10−5 s\frac{10^9}{c}\times4\times10^{-6}\sim10^{-5}\,\mathrm s

になる。正確な値(距離の対数を含む)は第12章 §12.3 の Shapiro 遅延で求める。

確認テスト

オリジナル

  1. 9.4-1 次に答えよ。

    1. (a) 光的測地線の径数として固有時を使うことができない理由を述べよ。
    2. (b) アフィン径数を λ′=aλ+b\lambda'=a\lambda+b に取り替えると、kμk^\mu はどう変わるか。
    3. (c) (b) の取り替えは、gμνkμkν=0g_{\mu\nu}k^\mu k^\nu=0 と kμuμk_\mu u^\mu にどう影響するか。
  2. 9.4-2 質量 M=1.0M⊙M=1.0M_\odot、半径 R=5.8×106 mR=5.8\times10^6\,\mathrm m の白色矮星の表面から出た光を、遠方で受ける。

    1. (a) 赤方偏移 z=(ω1−ω2)/ω2z=(\omega_1-\omega_2)/\omega_2 を弱い場の1次で求めよ。
    2. (b) それを Doppler 効果に読み替えたときの速度 czcz を km/s で求めよ。
  3. 9.4-3 地球の縁(b=R⊕=6.371×106 mb=R_\oplus=6.371\times10^6\,\mathrm m)をかすめる光の曲がり 4GM⊕/(c2b)4GM_\oplus/(c^2b) を求めよ。単位はラジアンとミリ秒角(千分の1秒角)とし、GM⊕=3.986004×1014 m3/s2GM_\oplus=3.986004\times10^{14}\,\mathrm{m^3/s^2} を使え。

  4. 9.4-4 計量 gμνg_{\mu\nu} と、任意の関数 χ\chi を使った計量

g~μν=e2χ(x)gμν\tilde g_{\mu\nu}=\mathrm{e}^{2\chi(x)}g_{\mu\nu}

を考える。

  1. (a) 次を示せ。

Γ~ρμν=Γρμν+δρμ∂νχ+δρν∂μχ−gμνgρσ∂σχ\tilde\Gamma^\rho{}_{\mu\nu}=\Gamma^\rho{}_{\mu\nu}+\delta^\rho{}_\mu\partial_\nu\chi+\delta^\rho{}_\nu\partial_\mu\chi-g_{\mu\nu}g^{\rho\sigma}\partial_\sigma\chi 2. (b) gg の光的測地線は、径数を取り替えれば g~\tilde g でも光的測地線であることを示せ。3. (c) g~\tilde g のアフィン径数 λ~\tilde\lambda と、元のアフィン径数の関係を求めよ。

木下の勉強ステータス

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