相対論入門 第8章 §8.6
- 8.1-1 点 (x,y)=(0,1) の極座標は (r,φ)=(1,π/2) である。もし xμ がベクトルなら、(8.3) により x′μ=(∂x′μ/∂xν)xν となるはずである。例題 8.1 の Jacobi 行列を使うと、φ 成分は
∂x∂φx+∂y∂φy=−r2yx+r2xy=0
で、実際の値 φ=π/2 と一致しない。変換が線形でないので、座標そのものは Jacobi 行列で変換されない。ベクトルとして変換するのは微小な差 dxμ である。2. 8.1-2 直交座標の成分は (Vx,Vy)=(−y,x)=(−rsinφ,rcosφ)。例題 8.1 の行列 ∂x′/∂x を掛けて
Vr=cosφ(−rsinφ)+sinφ(rcosφ)=0,Vφ=−rsinφ(−rsinφ)+rcosφ(rcosφ)=1.
つまり V=∂φ で、原点のまわりの回転の向きのベクトル場である。勾配は直交座標で (2x,2y)。∂x/∂x′ の転置を掛けると
∂rϕ=cosφ⋅2rcosφ+sinφ⋅2rsinφ=2r,∂φϕ=−rsinφ⋅2rcosφ+rcosφ⋅2rsinφ=0.
これは ϕ=r2 を直接微分した結果と一致する。縮約は Vμ∂μϕ=0⋅2r+1⋅0=0 で、回転の向きに沿って ϕ(原点からの距離の2乗)が変わらないことを表す。3. 8.1-3 球座標の Jacobi 行列の逆行列のうち、z の列が必要である。3つの成分を順に求める。
∂z∂r−sinθ∂z∂θ∂z∂φ=rz=cosθ=r1−r3z2=r1−cos2θ ⇒ ∂z∂θ=−rsinθ=0(r=x2+y2+z2 を微分した)(cosθ=z/r を微分した)(φ=arctan(y/x) は z によらない)
したがって
∂z=cosθ∂r−rsinθ∂θ.
4. 8.1-4 (8.7) を微分すると
∂μ′ων′=∂x′μ∂xα∂α(∂x′ν∂xβωβ)=∂x′μ∂xα∂x′ν∂xβ∂αωβ+∂x′μ∂x′ν∂2xβωβ.
2つ目の等号の第2項は、∂xβ/∂x′ν を x′μ で微分したものである。(∂xα/∂x′μ)∂α がちょうど ∂μ′ になることを使った。余分な第2項は μ と ν について対称である(偏微分の順序は入れ替えられる)。μ と ν を入れ替えた式を引くと第2項は打ち消し合い、
∂μ′ων′−∂ν′ωμ′=∂x′μ∂xα∂x′ν∂xβ(∂αωβ−∂βωα)
が残る。これは (0,2) 型テンソルの変換則である。電磁場テンソル Fμν=∂μAν−∂νAμ が、曲がった時空でも偏微分のままでテンソルになるのはこのためである。5. 8.2-1 計量を対称な部分と反対称な部分に分けて、gμν=Sμν+Aμν とする。Aμνdxμdxν でダミー添字の名前を入れ替えると
Aμνdxμdxν=Aνμdxνdxμ=−Aμνdxμdxν
なので、この量は自分自身の −1 倍に等しく、0である。したがって ds2=Sμνdxμdxν で、反対称な部分は寄与しない。6. 8.2-2 Jacobi 行列の3つの列は
∂rx∂θx∂φx=(sinθcosφ, sinθsinφ, cosθ),=r(cosθcosφ, cosθsinφ, −sinθ),=r(−sinθsinφ, sinθcosφ, 0)
である。互いの内積は0で、長さの2乗は順に 1, r2, r2sin2θ である。したがって
ds2=dr2+r2dθ2+r2sin2θdφ2,g=r4sin2θ,g=r2sinθ.
体積は
∫02π∫0π∫0Rr2sinθdrdθdφ=2π⋅2⋅3R3=34πR3.
7. 8.2-3 u=cosθ とおくと
du=−sinθdθ,sin2θ=1−u2⇒dθ2=1−u2du2
なので
ds2=a2[1−u2du2+(1−u2)dφ2],g=a4⋅1−u21⋅(1−u2)=a4,g=a2.
面積要素が a2dudφ と一定である。したがって u1<u<u2 の帯の面積は 2πa2(u2−u1) で、帯の高さに比例する(Archimedes の定理)。
北緯 30∘ は極角 60∘ である。これは u=1/2 にあたる。北側は 1/2<u<1 で、面積は
2πa2⋅21=πa2
である。これは全体 4πa2 の 1/4 である。8. 8.2-4 (8.12) は行列で g′=JTgJ と書ける。行列式の積の性質と detJT=detJ から
detg′=(detJ)2detg,∣g′∣=∣detJ∣∣g∣
である。一方、積分の変数変換の公式では
dnx=∣det(∂x/∂x′)∣dnx′=∣detJ∣dnx′⇒dnx′=∣detJ∣−1dnx
となる。掛け合わせると ∣g′∣dnx′=∣g∣dnx で、座標によらない。9. 8.2-5 n=3 で数える。
2階微分:係数 Cμαβγ:対称な組 (μ,ν) が 3⋅4/2=6 通り、対称な組 (λ,κ) も6通り ⇒ 6×6=36 個上の添字3通り、下の3つの対称な組 3⋅4⋅5/6=10 通り ⇒ 30 個
差は 36−30=6 で、公式 n2(n2−1)/12=9⋅8/12=6 に一致する。10. 8.3-1 テンソルの成分は、ある座標ですべて0ならどの座標でも0である(定理 8.5)。直交座標で0の Γ が極座標で0でないので、Γ はこの性質を持たず、テンソルではない。11. 8.3-2 計量とその逆の成分は
g00=N2,g11=−1,g01=0,g00=N21,g11=−1
である。N′=dN/dξ=α/c2 と書くと、0でない微分は ∂ξg00=2NN′ だけである。
Γ00ξ=Γ0ξ0Γξ00=21g00∂ξg00=2N22NN′=NN′=c2Nα,=21gξξ(−∂ξg00)=21(−1)(−2NN′)=NN′=c2αN.
ほかは0である。
Γ000=Γ0ξξ=Γξ0ξ=Γξξξ=0
原点では N=1 なので、Γξ00=α/c2 である。第9章で見るように、この座標に静止した物体を手放すと、Γξ00c2=α の大きさの加速度で −ξ の向きへ落ちはじめる。12. 8.3-3 g=r2sinθ。Vr=1/r2 では
∇μVμ=r2sinθ1∂r(r2sinθ⋅r21)=r2sinθ1∂r(sinθ)=0.
これは点電荷の電場が原点の外で発散しないことと同じ計算である。Vr=1 では
∇μVμ=r2sinθ1∂r(r2sinθ)=r2,
で、3次元のベクトル解析で ∇⋅r^=2/r となる結果と一致する。Vr=1 は長さ1の動径方向の単位ベクトル場だからである。13. 8.3-4 2つの変換則 (8.21) を引き算する。第2項の余分な項は座標変換だけで決まり、Γ にも Γ~ にも依らないので、差では打ち消し合う。残るのは
S′νμλ=∂x′μ∂xα∂x′λ∂xγ∂xβ∂x′νSβαγ
で、(1,2) 型テンソルの変換則そのものである。とくに Γ~νμλ=Γνλμ(添字を入れ替えたものも同じ変換則を満たす)とおけば、ねじれ Γνμλ−Γνλμ がテンソルであることが分かる。14. 8.4-1 計量と両立する条件 ∇λgμν=0 を使う。命題 8.10 により内積とそれぞれの長さが変わらないので、角の余弦 gμνUμVν/(∣U∣∣V∣) も変わらない。15. 8.4-2 3つの辺はどれも大円(赤道と子午線)である。本文で述べたように接ベクトルが平行移動されるので、平行移動されるベクトルと接ベクトルのなす角は各辺で一定である。3つの辺を順にたどる。
- (i) A→B。接ベクトルは東向きで、北向きのベクトルは東の左側 90∘ を保ち、B でも北を向く。
- (ii) B→N。接ベクトルが北向きなので、ベクトルは接ベクトルと同じ向きを保つ。N では「φ=Φ の子午線から来た進行方向」、つまり φ=Φ+π の子午線の南向きを向く。
- (iii) N→A。出発時の接ベクトルは φ=0 の子午線の南向きである。北極の接平面で方向を方位角で表すと、ベクトルは方位角 Φ+π、接ベクトルは方位角0を向き、なす角は Φ+π である。この角を保ったまま A に着くと、ベクトルは接ベクトル(南向き)から Φ+π 回った向き、すなわち北から Φ 回った向きを向く。
したがって1周で Φ だけ回っている(Φ=π/2 が図 8.3(b) の場合)。
三角形は、経度0から Φ までの北半球の部分である。面積は
∫0Φ∫0π/2a2sinθdθdφ=a2Φ
で、a2 で割ると Φ となり、回転の角に等しい。16. 8.4-3 cos60∘=1/2 なので、(8.33) で φ=2π とおくと
Vθ=V0cosπ=−V0,Vφ=−sinθ0V0sinπ=0
である。南向きのベクトルが北向きになり、向きが逆になった。
ちょうど直角だけ回るのは、回転角 −2πcosθ0 が ±π/2 と1周の整数倍の和に等しいときである。
- 北半球(0<θ0<π/2、0<cosθ0<1)。条件を満たすのは次の2つである。
cosθ0cosθ0=41=43(回転 −π/2、極角 θ0=75.5∘)(回転 −3π/2≡+π/2、極角 θ0=41.4∘)
- 南半球(π/2<θ0<π)。同様に cosθ0=−1/4,−3/4 が条件を満たす。極角は 104.5∘ と 138.6∘ である。
回転の大きさを囲んだ立体角 2π(1−cosθ0) で見る。cosθ0=3/4 では立体角は π/2 で、極冠が球面の8分の1を占める場合にあたる。17. 8.4-4 uθ=0、uφ=1 は定数なので、成分の微分は0である。(8.30) の Γ の項だけが残る。
dλDuθ=Γθφφuφuφ=−sinθ0cosθ0,dλDuφ=Γφθφuθuφ+Γφφθuφuθ=0.
Duθ/dλ=0 となるのは sinθ0cosθ0=0 のときである。緯線としては赤道(θ0=π/2)だけである。θ0=0,π は極で、緯線にならない。
θ0=45∘ では −sin45∘cos45∘=−1/2。負の値は、緯線をたどる人から見て接ベクトルが北(θ の減る向き)へ曲がりつづけることを表し、北半球の緯線は赤道より極の側へ曲がった曲線である。18. 8.4-5 sin60∘=0.8660 なので、1恒星日に 360∘×0.8660=311.8∘ 回る(上から見て時計回り)。1周の時間は 23.93 h/0.8660=27.6 h である。
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