相対論入門 第12章 §12.6
- 12.1-1 時刻と r が一定の面では dt=dr=0 である。符号を正にした2次元の面の計量は
r2(dθ2+sin2θdφ2)
で、行列式は r4sin2θ である。したがって面積要素は
r4sin2θdθdφ=r2sinθdθdφ
である。面積は
∫02π∫0πr2sinθdθdφ=r2⋅2⋅2π=4πr2
である。赤道 θ=π/2 の円では dθ=0 である。長さの要素は rdφ である。円周は
∫02πrdφ=2πr
である。2. 12.1-2 f≡e2α=1−rs/r と置くと α=21lnf で、
α′=2ff′,α′′=2ff′′−2f2f′2,β′=−α′
である。(12.8) に入れると
Rrr=−α′′−α′2−α′2−r2α′=−2ff′′+2f2f′2−4f22f′2−rff′=−2f1(f′′+r2f′)
となる。f′=rs/r2、f′′=−2rs/r3 なので
f′′+r2f′=−r32rs+r32rs=0
で、Rrr=0 である。3. 12.1-3 x=r/rs と置くと、不定積分は
rs[x(x−1)+ln(x+x−1)]
である(定数 rslnrs の差は除く)。微分すると
dxdx2−x=2x(x−1)2x−1,dxdln(x+x−1)=x+x−12x1+2x−11=2x(x−1)1
で、和は 2x(x−1)2x=x−1x=1−1/x1 となり、被積分関数に戻る。x=2 から 3 までは
[x(x−1)+ln(x+x−1)]23=6−2+ln2+13+2=1.0353+0.2648=1.300
なので、固有の距離は 1.300rs である。面積半径の差 rs より 30 % 長い。4. 12.1-4 球殻の内側は物質の無い球対称な領域なので、Birkhoff の定理により、計量は Schwarzschild 計量の形
ds2=C(1−rrs′)c2dt2−1−rs′/rdr2−r2(dθ2+sin2θdφ2)
をとる。C は正の定数、rs′ は内側の積分定数である。内側では無限遠の条件が使えないので、時刻の目盛りの定数 C を残した。
内側の領域は中心 r=0 を含み、そこには物質が無いので計量は滑らかでなければならない。rs′=0 だと、中心で計量の2つの成分が発散する。よって rs′=0 である。
これは、内側の積分定数が内側にある質量に比例し、その質量が 0 であることとも一致する。すると ds2=Cc2dt2−dr2−r2(…) で、時刻を C 倍に目盛り直せば Minkowski 計量である。したがって内側の時空は平らである。
外側の計量は質量 M の Schwarzschild 計量で、球殻の位置では g00=1−rs/R である。g00 が球殻をまたいで連続なので、内側では C=1−rs/R で一定である。内側に静止した時計の固有時は dτ=1−rs/Rdt で、無限遠の時計の固有時は dt そのものである。したがって1秒あたり
1−1−Rrs≃2Rrs=c2RGM
秒遅れる。内側では潮汐力も重力の加速度も無いが、時計の進みは球殻の外の無限遠と比べて遅い。Newton の重力で、球殻の内側のポテンシャルが一定値 −GM/R をとることに対応している。5. 12.2-1 第3項は、(12.16) の右辺の (1−rs/r)(c2+L2/r2) を展開したときの −(rs/r)(L2/r2) から生じる。2つの因子の意味は次のとおりである。
- rs/r は、計量の g00 のずれである。同じものが −1/grr のずれでもある。
- L2/r2 は、回転の運動(角運動量による遠心力の項)である。
この項は r−3 で、遠心力の障壁 L2/(2r2) より速く大きくなる。中心に近づくと負の第3項が障壁に勝ち、有効ポテンシャルは −∞ へ下がる。そのため、障壁の高さより大きなエネルギーをもつ粒子は中心へ落ちる。6. 12.2-2 GM/c2 を長さの単位、GM/c を角運動量の単位にする。すなわち
x=GMrc2,λ=GMLc
と置く。円軌道の条件 GMr2−L2r+3GML2/c2=0 は
x2−λ2x+3λ2=0
となる。λ=4 では
x2−16x+48=(x−4)(x−12)=0
なので、根は x=12 と x=4 である。
安定かどうかは、有効ポテンシャルの微分の符号の変わり方で調べる。
Veff′=r4GM(r2−λ2c2GMr+3λ2(c2GM)2)
の括弧は、x について上に開いた2次式である。括弧の符号は次のようになる。
- x<4 と x>12 では正である。
- 4<x<12 では負である。
したがって x=12 では微分が負から正へ変わって極小(安定)、x=4 では正から負へ変わって極大(不安定)である。半径は r=12GM/c2(安定)と r=4GM/c2(不安定)である。7. 12.2-3 1−e2=1−0.000279=0.99972 で、
Δφ=(2.998×108)2×1.496×1011×0.999726π×1.3271×1020=1.3442×10282.501×1021=1.861×10−7rad
である。1世紀の公転は 36525/365.26=100.0 回なので、100.0×1.861×10−7×206265′′=3.84′′ である。水星より太陽から遠く、軌道1周の補正が小さく、周期も長いので、水星の約 1/11 になる。8. 12.2-4 r˙=−Ldu/dφ と r=1/u を (12.16) に入れると
L2(dφdu)2=c2E2−(1−rsu)(c2+L2u2)=c2(E2−1)+rsc2u−L2u2+rsL2u3
である。両辺を φ で微分すると
2L2dφdudφ2d2u=(rsc2−2L2u+3rsL2u2)dφdu
となる。円軌道でない限り du/dφ=0 なので、2L2du/dφ で割って
dφ2d2u=2L2rsc2−u+23rsu2
を得る。rsc2/2=GM、3rs/2=3GM/c2 を使うと (12.20) になる。9. 12.2-5 動径方向の測地線の方程式は r¨+Γrμνx˙μx˙ν=0 である。円軌道では r˙=r¨=0、θ=π/2 である。(12.6) のうち Γr00 と Γrφφ だけが残り、
Γr00(x˙0)2+Γrφφφ˙2=0
となる。Schwarzschild 計量では e2α=e−2β=1−rs/r、α′=rs/(2r2(1−rs/r)) なので
Γr00=α′e2(α−β)=2r2rs(1−rrs),Γrφφ=−r(1−rrs)
である。共通の因子 1−rs/r で割ると
2r2rs(x˙0)2=rφ˙2
となる。φ˙/x˙0=dφ/(cdt) なので
(dtdφ)2=2r3c2rs=r3GM
である。10. 12.3-1 dr/dλ=0 を光の動径の式に入れると k02=(1−rs/r0)kφ2/r02 で、
b2=k02kφ2=1−rs/r0r02
である。0<1−rs/r0<1 なので b>r0 である。rs/r0≪1 では
b≃r0(1+2r0rs)=r0+2rs
なので、太陽の縁では b−r0≃rs/2=1.48km である。光は中心の側へ曲がるので、無限遠での直線よりも中心に近づく。11. 12.3-2 δ=4GM/(c2R) に入れて
δ=(2.998×108)2×7.149×1074×1.267×1017=6.426×10245.068×1017=7.89×10−8rad=0.0163′′
である。太陽の縁の値 1.75′′ の約 1/107 である。12. 12.3-3 q≡rs/(4ρ) と置くと r=ρ(1+q)2 である。まず
1−rrs=1−(1+q)24q=(1+q)2(1+q)2−4q=(1+q1−q)2
なので、g00 は等方座標の形になる。次に dq/dρ=−q/ρ を使って
dρdr=(1+q)2+ρ⋅2(1+q)(−ρq)=(1+q)(1+q−2q)=(1+q)(1−q)
である。したがって
1−rs/rdr2=(1−q)2/(1+q)2(1+q)2(1−q)2dρ2=(1+q)4dρ2,r2=ρ2(1+q)4
となり、空間部分は −(1+q)4(dρ2+ρ2dθ2+ρ2sin2θdφ2) である。13. 12.3-4 対数の中身は
(6.957×108)24×1.496×1011×1.082×1011=4.840×10176.475×1022=1.338×105,ln(1.338×105)=11.80
なので、Δtlog=1.970×10−5×11.80=2.33×10−4s=233μs である。14. 12.4-1 使った性質は2つである。
- (i) 計量が時刻によらないので、∂0 は Killing ベクトルである。光の4元波数との内積 k0 は、光的測地線に沿って厳密に保存する(第9章 §9.3 の定理)。
- (ii) 静止した観測者の4元速度は uμ=(c/g00,0) である。その観測者が測る角振動数は kμuμ=ck0/g00 である(第9章 §9.4)。
どちらも厳密な式で、g00 の値について近似を使っていない。したがって、Schwarzschild 計量の g00 を入れた式も厳密である。15. 12.4-2 rs/R⊙=2.953×103/(6.957×108)=4.245×10−6 で、
z=1−4.245×10−61−1=2.12×10−6,cz=2.998×108×2.12×10−6=636m/s
である。太陽のスペクトル線は、秒速約 0.64km で遠ざかる光源と同じだけ長い波長の側にずれる。16. 12.4-3 円軌道の時計は dτ/dt=1−3GM/(c2r)、表面に静止した時計は dτ/dt=1−2GM/(c2R) である。等しいとき
c2r3GM=c2R2GM⟹r=23R
である。第7章の1次の近似で求めた r=3R/2 は、Schwarzschild 計量では近似なしに成り立つ。17. 12.4-4 送り手の位置から時刻 t に出た光が、受け手の位置に時刻 t+T に届くとする。計量は時刻によらないので、T は t によらない。同じ道筋を時刻だけずらした光も測地線だからである。
したがって、送り手が座標時間 Δt のあいだに送った N 個の波の山は、受け手が同じ長さの座標時間のあいだに受け取る。それぞれの観測者の固有時は
Δτ1=g00(r1)Δt,Δτ2=g00(r2)Δt
なので、
ω1ω2=2πN/Δτ12πN/Δτ2=Δτ2Δτ1=g00(r2)g00(r1)
であり、振動数の比は時計の進みの比の逆数である。無限遠で受けるときは 1+z=1/1−rs/r である。z=1 となるのは
1−rrs=41,すなわちr=34rs
のときである。
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