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出てくるもの(1):露光装置の解像と EUV の多層膜鏡

2026年10月15日10分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第8章 回折限界の先へ
目次
  1. 解像の式
  2. 液浸:最後の空気の層を液体で埋める
  3. 位相シフトマスク:0次の光を消す
  4. 多重露光:線形のままでは何も増えない
  5. EUV と多層膜鏡
  6. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第8章 §8.2 ★★★ 定理の前提を守ったまま限界の式 λ0/(4NA)\lambda_0/(4\mathrm{NA}) を小さくする方法は、nn を上げる(液浸)・2つのモードの使い方を変える(位相シフトマスク)・間に非線形の工程を挟む(多重露光)・λ0\lambda_0 を下げる(EUV)の4つの方法である

解像の式

半導体の露光装置は、マスクの回路の形をレンズで縮小してウエハの上の感光材料(レジスト)に写す装置で、写せる線の細さはふつう、等間隔の線と間(ライン・アンド・スペース)の周期の半分(ハーフピッチ)RR で表し、

R=k1λ0NA(8.5)R=k_1\frac{\lambda_0}{\mathrm{NA}}\tag{8.5}

と書く。NA\mathrm{NA} はここではウエハの側の開口数で、k1k_1 は照明・マスク・レジストの工夫をまとめた無次元の係数である。定理 8.1 の限界の周期は λ0/(2NA)\lambda_0/(2\mathrm{NA}) なので、ハーフピッチは λ0/(4NA)\lambda_0/(4\mathrm{NA}) で、1回の露光では k1≥1/4k_1\ge1/4 である。RR を小さくするには λ0\lambda_0 を短くするか、NA\mathrm{NA} を上げるか、k1k_1 を 1/41/4 に近づけるか、1回の露光という前提を変えるかしかない。

液浸:最後の空気の層を液体で埋める

レンズの最後の面とウエハの間が空気(n=1n=1)なら、定理の証明の最後の一文により NA≤1\mathrm{NA}\le1 である。レンズのガラスの中で ∣q∣>k0\lvert \bm{q}\rvert >k_0 の光を作っても、横の波数は空気の層の前後で保たれるので、その光は空気の層の中でエバネッセント波になり、ガラスの面で全反射して戻る。空気の層の厚さは波長よりはるかに厚いので、この成分はウエハに届かない。この層を屈折率 nwn_{\mathrm w} の液体で埋めると、∣q∣≤nwk0\lvert \bm{q}\rvert \le n_{\mathrm w}k_0 の光が伝わる波としてウエハまで届き、NA\mathrm{NA} の上限が nwn_{\mathrm w} に上がる。ArF エキシマーレーザー(λ0=193 nm\lambda_0=193\,\mathrm{nm})の液浸の露光装置は水(193 nm193\,\mathrm{nm} で nw≈1.44n_{\mathrm w}\approx1.44)を使い、NA=1.35\mathrm{NA}=1.35 のレンズを持つ。水の中で光軸となす角は sin⁡θ=1.35/1.44=0.9375\sin\theta=1.35/1.44=0.9375、θ=69.6∘\theta=69.6^\circ である。

位相シフトマスク:0次の光を消す

光軸に沿った照明のままで限界の周期 λ0/(2NA)\lambda_0/(2\mathrm{NA}) に達する方法がある。周期 Λ\Lambda で並んだ透明な線のうち、1本おきに膜の厚さを変えて振幅の符号を反転させる(位相を π\pi ずらす)。これを交互型の位相シフトマスクと呼ぶ。振幅の透過率は +1+1, −1-1 を交互にとるので、振幅の周期は 2Λ2\Lambda になり、基本の波数は K/2=π/ΛK/2=\pi/\Lambda である。振幅の平均は 00 なので0次の光が無く、振幅は ±K/2\pm K/2(と、その奇数倍)のモードだけを持つ。光軸に沿った照明で ±K/2\pm K/2 の2つのモードが瞳を通る条件は K/2≤k0NAK/2\le k_0\mathrm{NA}、つまりΛ≥λ0/(2NA)\Lambda\ge\lambda_0/(2\mathrm{NA}) である。像の振幅は cos⁡(Kx/2)\cos(Kx/2) に比例し、強度 cos⁡2(Kx/2)=12(1+cos⁡Kx)\cos^2(Kx/2)=\frac12(1+\cos Kx) は周期 Λ\Lambda で、隣の線の間で振幅の符号が変わる所の強度は必ず 00 になる。傾けた照明が0次と1次を瞳の両端に置いたのに対し、位相シフトマスクは +1+1 次と −1-1 次を両端に置く。どちらも、瞳を通る2つのモードの波数の差を 2k0NA2k_0\mathrm{NA} まで広げた点で同じである。

多重露光:線形のままでは何も増えない

1回の露光で周期 Λ\Lambda の縞 I1=12(1+cos⁡Kx)I_1=\frac12(1+\cos Kx) を作り、マスクを Λ/2\Lambda/2 ずらしてもう1回 I2=12(1+cos⁡K(x−Λ/2))I_2=\frac12(1+\cos K(x-\Lambda/2)) を重ねれば、周期 Λ/2\Lambda/2 の縞ができるように思える。しかし、レジストが2回の露光量の和にだけ反応するなら、

I1+I2=1+12(cos⁡Kx+cos⁡(Kx−π))=1(8.6)I_1+I_2=1+\frac12\bigl(\cos Kx+\cos(Kx-\pi)\bigr)=1\tag{8.6}

で、縞は消える。足し算は線形なので、和のスペクトルは定理の円板の外に出られない。2倍の波数 2K2K の成分はどちらの露光にも無いので、和にも無い。実際の多重露光では、1回目の露光の後で現像とエッチングをして、1回目のパターンを硬い膜(ハードマスク)に彫り込んでから2回目の露光をする。現像は露光量がしきい値を越えたかどうかで残す・溶かすを決める強い非線形の操作で、彫り込んだ膜は2回目の露光量に足されない。1回ごとの像は定理の円板の中にとどまるが、ウエハの上にできる最終の形は円板の外の波数を持ち、周期 Λ/2\Lambda/2 の線の並びができる。この「間に非線形の工程を挟むと限界を越える」という構造は、8.4節の STED で蛍光分子の飽和として同じ形で現れる。

EUV と多層膜鏡

λ0\lambda_0 を一気に下げる方法が、波長 13.5 nm13.5\,\mathrm{nm} の極端紫外光(EUV)である。この波長では、すべての物質の屈折率が 11 に近く、しかも吸収がある:n~=1−δ+iβ\tilde n=1-\delta+\mathrm{i}\beta で、δ\delta は 10−310^{-3} から 10−110^{-1} の桁である。屈折で光を曲げるレンズは作れず(n−1n-1 が小さすぎ、厚くすれば吸収される)、光学系は鏡だけで組む。ところが1つの界面の垂直な反射率は Fresnel の式 ∣(n~1−n~2)/(n~1+n~2)∣2\lvert (\tilde n_1-\tilde n_2)/(\tilde n_1+\tilde n_2)\rvert ^2 で、屈折率の差が小さいのでごく小さい。モリブデンとシリコンの屈折率をこの波長でおおよそ n~Mo=0.9238+0.0064i\tilde n_{\mathrm{Mo}}=0.9238+0.0064\mathrm{i}, n~Si=0.9990+0.0018i\tilde n_{\mathrm{Si}}=0.9990+0.0018\mathrm{i} とすると(以下の計算の仮定)、界面1つの反射率は 1.54×10−31.54\times10^{-3} しかない。

そこで、Mo と Si を交互に積んだ周期 dd の膜(多層膜鏡)を作り、各界面で反射した弱い波の位相をそろえて足す。垂直に入射した光で、隣の周期の界面からの反射の光路の差 2nˉd2\bar n d(nˉ\bar n は周期の中の平均の屈折率)が λ0\lambda_0 になる条件

2nˉd=λ0(8.7)2\bar n d=\lambda_0\tag{8.7}

は、結晶の X 線回折の Bragg の条件と同じ形である。界面ごとの振幅の反射率を rr とすると、NN 周期の膜の反射の振幅は吸収が無視できる間は周期の数に比例して 2Nr2Nr 程度まで伸びる(1周期に Mo の上と下の界面が2つあり、符号が逆の2つの反射が半波長ずれて同じ向きに足される)。振幅が 11 に近づくと、深い層まで光が届かなくなり(入射光が上の層の反射で減る)、さらに吸収で深い層の寄与が消えるので、反射率は周期の数を増やしてもある値からほとんど伸びなくなる。層ごとの界面の反射と層の中の伝搬を 2×22\times2 の行列の積で正確に足し上げる(転送行列の方法)と、Mo の厚さの割合を 0.40.4 とした 4040 周期の膜は d=6.91 nmd=6.91\,\mathrm{nm} で反射率 0.7440.744 になる(図 8.2)。平均の屈折率 nˉ=0.969\bar n=0.969 を式 (8.7) に入れた d=6.97 nmd=6.97\,\mathrm{nm} とは1パーセントずれる。屈折率の虚部を 00 にして同じ計算をすると、最適の周期は 6.97 nm6.97\,\mathrm{nm} で式と合い、反射率は 0.9880.988 まで上がるので、ずれも反射率の頭の低さも吸収による。ここで出した 0.7440.744 は界面が完全に平らで混ざらない理想の膜の値で、実際の鏡では界面の粗さと Mo と Si の相互の拡散でこれより下がる。

図

図 8.2 Mo/Si 多層膜鏡の垂直入射の反射率(周期 d=6.91 nmd=6.91\,\mathrm{nm}、Mo の割合 0.40.4、屈折率は本文の仮定の値で波長によらず一定とした)。転送行列で界面の反射と層の中の伝搬を正確に足し上げた。周期の数を増やすと山は高く細くなるが、4040 周期の 0.7440.744 から先は吸収のために 6060 周期で 0.7530.753、100100 周期で 0.7540.754 とほとんど伸びない。

例題 8.2 4つの露光装置の限界のハーフピッチ ★★

オリジナル1回の露光の限界のハーフピッチ λ0/(4NA)\lambda_0/(4\mathrm{NA}) を、次の4つの組について求めよ。(a) ArF・空気 NA=0.93\mathrm{NA}=0.93、(b) ArF・液浸 NA=1.35\mathrm{NA}=1.35、(c) EUV・NA=0.33\mathrm{NA}=0.33、(d) EUV・NA=0.55\mathrm{NA}=0.55。また、(b) の装置で交互型の位相シフトマスクを光軸に沿った照明で使うとき、写せる最小の周期を求め、0次の光がある普通のマスク(透明と不透明の線)を同じ照明で使ったときと比べよ。

解答

λ0/(4NA)\lambda_0/(4\mathrm{NA}) は (a) 193/(4×0.93)=51.9 nm193/(4\times0.93)=51.9\,\mathrm{nm}、(b) 193/(4×1.35)=35.7 nm193/(4\times1.35)=35.7\,\mathrm{nm}、(c) 13.5/(4×0.33)=10.2 nm13.5/(4\times0.33)=10.2\,\mathrm{nm}、(d) 13.5/(4×0.55)=6.14 nm13.5/(4\times0.55)=6.14\,\mathrm{nm} である。液浸は NA\mathrm{NA} を 1.451.45 倍にし、EUV は λ0\lambda_0 を 1414 分の 11 にする。鏡だけで大きな開口を作るのは難しいので EUV の NA\mathrm{NA} は小さいが、NA\mathrm{NA} が小さくても、波長が 1414 分の 11 になることの寄与のほうが大きい。

位相シフトマスクでは、振幅の基本の波数が K/2K/2 で、±K/2\pm K/2 が瞳を通る条件 K/2≤k0NAK/2\le k_0\mathrm{NA} から最小の周期は λ0/(2NA)=71.5 nm\lambda_0/(2\mathrm{NA})=71.5\,\mathrm{nm}(ハーフピッチ 35.7 nm35.7\,\mathrm{nm}、定理の限界そのもの)である。普通のマスクでは0次と ±1\pm1 次の波数の差が KK なので、光軸に沿った照明では K≤k0NAK\le k_0\mathrm{NA}、最小の周期は λ0/NA=143 nm\lambda_0/\mathrm{NA}=143\,\mathrm{nm} で、位相シフトマスクの2倍になる。

例題 8.3 多層膜鏡の周期と鏡の枚数 ★

オリジナル本文の仮定の屈折率を使う。

  1. (1) Mo と Si の界面1つの垂直入射の振幅の反射率 rr の大きさと、反射率 ∣r∣2\lvert r\rvert ^2 を求めよ。
  2. (2) 吸収を無視し、NN 周期の反射の振幅を 2N∣r∣2N\lvert r\rvert と見積もるとき、振幅が 11 に届く周期の数の目安を求めよ。
  3. (3) 露光装置の光源からウエハまでに、反射率 0.7440.744 の鏡が 1010 枚あるとき、ウエハに届く光の割合を求めよ。
解答

(1) r=(n~Mo−n~Si)/(n~Mo+n~Si)r=(\tilde n_{\mathrm{Mo}}-\tilde n_{\mathrm{Si}})/(\tilde n_{\mathrm{Mo}}+\tilde n_{\mathrm{Si}}) で、∣r∣=0.0392\lvert r\rvert =0.0392、∣r∣2=1.54×10−3\lvert r\rvert ^2=1.54\times10^{-3} である。

(2) 2N∣r∣=12N\lvert r\rvert =1 から N≈13N\approx13 である。図 8.2 の 1010 周期の山の高さ 0.320.32 は振幅で 0.570.57 で、2×10×0.0392=0.782\times10\times0.0392=0.78 より小さい。上の層の反射で深い層へ届く光が減ることと吸収のために、単純な足し算より伸びが鈍る。この目安の数倍の深さで光はほぼ反射し尽くされ、さらに深い層は吸収のために寄与しないので、4040 周期から先では反射率がほとんど伸びない。

(3) 0.74410=0.0520.744^{10}=0.052 で、光源の光の5パーセントほどしかウエハに届かない。鏡1枚の反射率の1パーセントの違いが10枚で約10パーセントの違いになるので、EUV の露光装置では装置の処理の速さは鏡の反射率と光源の出力でほぼ決まる。

ほかの巻では

木下の勉強ステータス

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