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取り出すモードと結合:結像は横の波数のフィルタ

2026年10月15日14分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第8章 回折限界の先へ
目次
  1. 横の波数で光を分ける
  2. 物体と光の結合:薄いマスク
  3. レンズは横の波数のフィルタ
  4. Abbe の限界
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第8章 §8.1 ★★★ 横の波数 q\bm{q} で光をモードに分けると、レンズは ∣q∣≤k0NA\lvert \bm{q}\rvert \le k_0\mathrm{NA} だけを通すフィルタで、像の強度には 2k0NA2k_0\mathrm{NA} より大きな波数が現れない

第6章(第6章)では、円形の開口が点の像を Airy 円盤に広げ、その最初の暗い輪の半径が 0.61λ0/NA0.61\lambda_0/\mathrm{NA} になることを示した。第7章(第7章)では、レンズが Fourier 変換をすること、結像系がコヒーレントな照明では瞳の形そのものを、インコヒーレントな照明では瞳の自己相関を伝達関数に持つことを示した。この章はこの2つの結果を出発点に置き、細かい構造を光で見る、あるいは光で描くときに、どこまで細かくできるかという問いを扱う。

この章で取り出すモードは、光軸に垂直な面の中の波数 q\bm{q} で番号を付けた平面波である。物質のモデルは2つあり、1つは光の振幅に透過率を掛けるだけの薄いマスク、もう1つは光を吸って光を出す蛍光分子で、これは2準位系(第1章 第1章)の励起と誘導放出で書く。8.1節で、レンズを通った像の強度が ∣q∣≤2k0NA\lvert \bm{q}\rvert \le2k_0\mathrm{NA} の波数しか含まないこと(Abbe の限界)を定理の形で示し、その証明が使う3つの前提を取り出す。8.2節では前提を守ったまま NA\mathrm{NA} を上げ、波長 λ0\lambda_0 を下げる方法として、半導体の露光装置の液浸・位相シフトマスク・多重露光・EUV の多層膜鏡を扱う。8.3節では「伝わる波だけ」という前提を外し、エバネッセント波を小さな開口で検出する近接場の顕微鏡を扱う。8.4節では「線形」と「事前の情報なし」という前提を外し、構造化照明・STED・1分子の位置決めという蛍光の超解像の原理を扱う。8.5節で置いた近似と測る量を、8.6節で学部の光学の Rayleigh の基準・Abbe の式と並べる。

横の波数で光を分ける

屈折率 nn の一様な媒質の中を角周波数 ω\omega の単色の光が zz の正の向きへ進むとする。電場の1つの成分を複素振幅 U(x,z)U(\bm{x},z)(x=(x,y)\bm{x}=(x,y) は光軸に垂直な面の中の位置)で書くと、UU は Helmholtz 方程式 (∇2+n2k02)U=0(\nabla^2+n^2k_0^2)U=0 を満たす。ここで k0=ω/c=2π/λ0k_0=\omega/c=2\pi/\lambda_0 で、λ0\lambda_0 は真空中の波長である。面 z=0z=0 の上の振幅を横の方向に Fourier 変換し(この本の流儀で、2π2\pi は逆変換の側に置く)、

U(x,z)=∫d2q(2π)2 U~(q) ei(q⋅x+kzz),kz=n2k02−∣q∣2,U~(q)=∫d2x U(x,0) e−iq⋅x(8.1)U(\bm{x},z)=\int\frac{\mathrm{d}^2q}{(2\pi)^2}\,\tilde U(\bm{q})\,\mathrm{e}^{\mathrm{i}(\bm{q}\cdot\bm{x}+k_z z)},\qquad k_z=\sqrt{n^2k_0^2-\lvert \bm{q}\rvert ^2},\qquad \tilde U(\bm{q})=\int\mathrm{d}^2x\,U(\bm{x},0)\,\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\bm{q}\cdot\bm{x}}\tag{8.1}

と書くのが第6章の角スペクトルの表示である。横の波数 q\bm{q} を1つ決めると、その成分は Helmholtz 方程式の解として zz の方向の振る舞いまで決まる。∣q∣≤nk0\lvert \bm{q}\rvert \le nk_0 なら kzk_z は実数で、成分は光軸と角 θ\theta(∣q∣=nk0sin⁡θ\lvert \bm{q}\rvert =nk_0\sin\theta)をなして進む平面波になる。∣q∣>nk0\lvert \bm{q}\rvert >nk_0 なら kz=iκk_z=\mathrm{i}\kappa, κ=∣q∣2−n2k02\kappa=\sqrt{\lvert \bm{q}\rvert ^2-n^2k_0^2} で、成分は e−κz\mathrm{e}^{-\kappa z} で減り、遠くへ届かない。これをエバネッセント波と呼ぶ。この章では、q\bm{q} で番号を付けたこの平面波の1つ1つをモードと呼ぶ。

光軸に垂直な境界面(レンズの平らな面・液体と固体の境)は、面の中の平行移動で変わらない。平行移動の不変性に対応する保存量は運動量の面内の成分で(Noether の定理。解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第1部第10章)、光では横の波数 q\bm{q} が境界の前後で保たれる。∣q∣=n1k0sin⁡θ1=n2k0sin⁡θ2\lvert \bm{q}\rvert =n_1k_0\sin\theta_1=n_2k_0\sin\theta_2 は Snell の法則そのものである。したがって、屈折率 nn の層を通る光は、q\bm{q} を変えずに伝わる波とエバネッセント波に振り分けられ、層が厚ければ ∣q∣>nk0\lvert \bm{q}\rvert >nk_0 の成分は層の向こうへ届かない。

物体と光の結合:薄いマスク

物体は、光の振幅に位置ごとの複素数 t(x)t(\bm{x}) を掛ける薄い膜とする(透過率と呼ぶ。位相を変える膜なら tt は絶対値 11 の複素数になる)。横の波数 qi\bm{q}_{\mathrm i} の平面波 eiqi⋅x\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{q}_{\mathrm i}\cdot\bm{x}} で照らすと、膜の直後の振幅は t(x)eiqi⋅xt(\bm{x})\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{q}_{\mathrm i}\cdot\bm{x}} で、そのスペクトルは

∫d2x t(x)eiqi⋅xe−iq⋅x=t~(q−qi)(8.2)\int\mathrm{d}^2x\,t(\bm{x})\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{q}_{\mathrm i}\cdot\bm{x}}\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\bm{q}\cdot\bm{x}}=\tilde t(\bm{q}-\bm{q}_{\mathrm i})\tag{8.2}

になる。照明を傾けると、物体のスペクトルが丸ごと qi\bm{q}_{\mathrm i} だけずれる。光と物体の結合は振幅について線形で、物体の波数 K\bm{K} の成分は照明の波数に K\bm{K} を足したモードへ光を移す。周期 Λ\Lambda の格子 t(x)=12(1+cos⁡Kx)t(x)=\frac12(1+\cos Kx)(K=2π/ΛK=2\pi/\Lambda)なら、光は qi\bm{q}_{\mathrm i}, qi±Kex\bm{q}_{\mathrm i}\pm K\bm{e}_x の3つのモードに分かれる。これが回折格子の0次と ±1\pm1 次の光である。

レンズは横の波数のフィルタ

物体から出た光を、物体の側の開口数 NA=nsin⁡θmax⁡\mathrm{NA}=n\sin\theta_{\max} のレンズ系で倍率 11 の像に結ぶとする(倍率が 11 でない系も、像の座標を倍率で割れば同じ形になる)。レンズに入るのは光軸と θmax⁡\theta_{\max} 以下の角をなす光、つまり ∣q∣≤k0NA\lvert \bm{q}\rvert \le k_0\mathrm{NA} のモードだけである。第7章で示したとおり、収差の無い系の像の振幅のスペクトルは

U~img(q)=P(q) t~(q−qi),P(q)={1(∣q∣≤k0NA)0(∣q∣>k0NA)(8.3)\tilde U_{\mathrm{img}}(\bm{q})=P(\bm{q})\,\tilde t(\bm{q}-\bm{q}_{\mathrm i}),\qquad P(\bm{q})=\begin{cases}1&(\lvert \bm{q}\rvert \le k_0\mathrm{NA})\\0&(\lvert \bm{q}\rvert >k_0\mathrm{NA})\end{cases}\tag{8.3}

である。PP をコヒーレント伝達関数と呼ぶ(瞳の形そのもの)。像の強度 I(x)=∣Uimg(x)∣2I(\bm{x})=\lvert U_{\mathrm{img}}(\bm{x})\rvert ^2 は、カメラや感光材料(レジスト)が測る量である。

照明が1つの平面波でなく、いろいろな向きの平面波が互いに位相の関係を持たずに混ざっているとき(部分コヒーレントな照明)は、向きごとの像の強度を足す。極端な場合として、物体の各点が互いに無関係に光る(蛍光の分子・自分で光る物体)なら、像の強度は物体の強度の分布 o(x)o(\bm{x}) と点の像の強度 ∣h(x)∣2\lvert h(\bm{x})\rvert ^2(hh は PP の逆 Fourier 変換)の畳み込みになり、そのスペクトルは o~(q)\tilde o(\bm{q}) に光学伝達関数 OTF⁡(q)\operatorname{OTF}(\bm{q}) を掛けたものになる。∣h∣2\lvert h\rvert ^2 の Fourier 変換は PP の自己相関なので、

OTF⁡(q)=∫d2q′ P(q′)P(q′−q)∫d2q′ P(q′)2=2π(arccos⁡ν−ν1−ν2),ν=∣q∣2k0NA≤1(8.4)\operatorname{OTF}(\bm{q})=\frac{\int\mathrm{d}^2q'\,P(\bm{q}')P(\bm{q}'-\bm{q})}{\int\mathrm{d}^2q'\,P(\bm{q}')^2} =\frac{2}{\pi}\Bigl(\arccos\nu-\nu\sqrt{1-\nu^2}\Bigr),\qquad \nu=\frac{\lvert \bm{q}\rvert }{2k_0\mathrm{NA}}\le1\tag{8.4}

で、ν>1\nu>1 では 00 である。右辺は半径 k0NAk_0\mathrm{NA} の2つの円を中心の距離 ∣q∣\lvert \bm{q}\rvert でずらして重ねた面積を、円1つの面積で割ったものである。図 8.1 に PP と OTF⁡\operatorname{OTF} を並べる。

図

図 8.1 収差の無い円形の瞳の伝達関数。コヒーレント伝達関数 PP は振幅に掛かり、k0NAk_0\mathrm{NA} で切れる。光学伝達関数 OTF⁡\operatorname{OTF}(式 (8.4))は強度に掛かり、2k0NA2k_0\mathrm{NA} まで伸びるが、そこへ向かって 00 に下がる。どちらも 2k0NA2k_0\mathrm{NA} より先には何も通さない。

Abbe の限界

定理 8.1(Abbe の限界 ★★★)

薄い物体を、物体の側の開口数 NA\mathrm{NA} のレンズ系で結像する。照明は、伝わる波の平面波を(コヒーレントでもインコヒーレントでも)どのように混ぜたものでもよいとする。物体と光の結合が振幅について線形で、検出器が像の振幅の絶対値の2乗を測るなら、像の強度 I(x)I(\bm{x}) の Fourier 変換は ∣q∣>2k0NA\lvert \bm{q}\rvert >2k_0\mathrm{NA} で 00 である。NA≤n\mathrm{NA}\le n なので、像は周期 λ0/(2n)\lambda_0/(2n) より短い構造を含まない。

証明

照明の1つの成分 qi\bm{q}_{\mathrm i} について、像の振幅のスペクトルは式 (8.3) により ∣q∣≤k0NA\lvert \bm{q}\rvert \le k_0\mathrm{NA} の円板の外で 00 である。照明の向き qi\bm{q}_{\mathrm i} がどこにあっても、瞳 PP は像の側で掛かるので、この円板は動かない。強度 ∣Uimg∣2=UimgUimg∗\lvert U_{\mathrm{img}}\rvert ^2=U_{\mathrm{img}}U_{\mathrm{img}}^* のスペクトルは、U~img(q′)\tilde U_{\mathrm{img}}(\bm{q}') と U~img∗(q′−q)\tilde U_{\mathrm{img}}^*(\bm{q}'-\bm{q}) の q′\bm{q}' についての積分(畳み込み)で、q′\bm{q}' と q′−q\bm{q}'-\bm{q} がともに半径 k0NAk_0\mathrm{NA} の円板に入る必要があるから、∣q∣≤2k0NA\lvert \bm{q}\rvert \le2k_0\mathrm{NA} でなければ 00 になる。照明の成分ごとの強度を足し合わせても、和のスペクトルは同じ円板の外で 00 のままである。最後に、レンズの手前の媒質の中で伝わる波の横の波数は nk0nk_0 を越えないので NA≤n\mathrm{NA}\le n である。

格子 t(x)=12(1+cos⁡Kx)t(x)=\frac12(1+\cos Kx) に当てはめると、像に縞が出るには、0次と1次のように異なる2つのモードが同時に瞳を通る必要がある。光軸に沿った照明(qi=0\bm{q}_{\mathrm i}=0)では、1次 ±K\pm K が瞳に入る条件 K≤k0NAK\le k_0\mathrm{NA} から、像になる最小の周期は λ0/NA\lambda_0/\mathrm{NA} である。照明を瞳の縁まで傾けて qi=−k0NAq_{\mathrm i}=-k_0\mathrm{NA} にすると、0次が瞳の一方の縁を、+1+1 次が反対の縁を通るので、K≤2k0NAK\le2k_0\mathrm{NA}、つまり周期 λ0/(2NA)\lambda_0/(2\mathrm{NA}) まで像になり、定理の限界に達する。インコヒーレントな物体では OTF⁡\operatorname{OTF} が同じ 2k0NA2k_0\mathrm{NA} で切れる。

定理が使った3つの前提

証明が使ったのは3つの事実だけである。第一に、レンズまで届くのは伝わる波(∣q∣≤nk0\lvert \bm{q}\rvert \le nk_0)だけであること。第二に、物体と光の結合が振幅について線形で、測る量がその絶対値の2乗であること。第三に、物体について何も知らないこと(像のスペクトルからそのまま物体のスペクトルを読む)。8.2節は3つとも守ったまま nn を上げ λ0\lambda_0 を下げる。8.3節は第一の前提を外し、8.4節は第二と第三の前提を外す。

例題 8.1 同じ格子を3通りに照らす ★★

オリジナル波長 λ0=193 nm\lambda_0=193\,\mathrm{nm}、NA=0.93\mathrm{NA}=0.93 のレンズで、周期 Λ=150 nm\Lambda=150\,\mathrm{nm} の格子 t(x)=12(1+cos⁡Kx)t(x)=\frac12(1+\cos Kx) を結像する。

  1. (1) 光軸に沿った照明で像になる最小の周期と、瞳の縁まで傾けた照明で像になる最小の周期を求めよ。周期 150 nm150\,\mathrm{nm} はそれぞれ像になるか。
  2. (2) 縁まで傾けた照明で、像の縞の明暗の比(可視度)V=(Imax⁡−Imin⁡)/(Imax⁡+Imin⁡)V=(I_{\max}-I_{\min})/(I_{\max}+I_{\min}) を求めよ。
  3. (3) 同じ周期で強度が 12(1+cos⁡Kx)\frac12(1+\cos Kx) と変わる蛍光の物体(インコヒーレント)の像の可視度を、式 (8.4) から求めよ。
解答

(1) 光軸に沿った照明では λ0/NA=207.5 nm\lambda_0/\mathrm{NA}=207.5\,\mathrm{nm} で、150 nm150\,\mathrm{nm} はこれより短いので ±1\pm1 次が瞳から外れ、0次だけが通って像は一様になる。縁まで傾けた照明では λ0/(2NA)=103.8 nm\lambda_0/(2\mathrm{NA})=103.8\,\mathrm{nm} で、150 nm150\,\mathrm{nm} は像になる。

(2) 格子の振幅の Fourier 係数は0次が a0=12a_0=\frac12、±1\pm1 次が a1=14a_1=\frac14 である。qi=−k0NAq_{\mathrm i}=-k_0\mathrm{NA} では0次(q=−k0NAq=-k_0\mathrm{NA})と +1+1 次(q=−k0NA+Kq=-k_0\mathrm{NA}+K。K=0.0419 nm−1<2k0NA=0.0605 nm−1K=0.0419\,\mathrm{nm^{-1}}<2k_0\mathrm{NA}=0.0605\,\mathrm{nm^{-1}})が通り、−1-1 次(q=−k0NA−Kq=-k_0\mathrm{NA}-K)は通らない。像の振幅は a0eiqix+a1ei(qi+K)xa_0\mathrm{e}^{\mathrm{i} q_{\mathrm i}x}+a_1\mathrm{e}^{\mathrm{i}(q_{\mathrm i}+K)x} で、強度は

I(x)=a02+a12+2a0a1cos⁡Kx,V=2a0a1a02+a12=1/45/16=0.8.I(x)=a_0^2+a_1^2+2a_0a_1\cos Kx,\qquad V=\frac{2a_0a_1}{a_0^2+a_1^2}=\frac{1/4}{5/16}=0.8 .

2つのモードだけで縞ができるので、元の格子(可視度 11)よりは明暗が浅いが、縞の周期は Λ\Lambda のまま正しく写る。

(3) ν=K/(2k0NA)=λ0/(2NAΛ)=0.692\nu=K/(2k_0\mathrm{NA})=\lambda_0/(2\mathrm{NA}\Lambda)=0.692 で、OTF⁡(0.692)=2π(arccos⁡0.692−0.6921−0.6922)=0.196\operatorname{OTF}(0.692)=\frac2\pi(\arccos0.692-0.692\sqrt{1-0.692^2})=0.196。物体の可視度 11 に OTF⁡\operatorname{OTF} が掛かるので、像の可視度は 0.1960.196 である。限界の内側でも、限界に近い周期ではインコヒーレントな像の縞は浅くなる。

木下の勉強ステータス

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