光学と量子エレクトロニクス 第8章 §8.6 ★★ 学部の光学の Rayleigh の基準 0.61λ/(nsinα) は点の像の形についての約束で、Abbe の λ/(2nsinα) は伝達関数の切れる所である。どちらも同じ瞳から出て、数の違いは基準の違い
学部の光学では、顕微鏡の分解能を2つの式で習う。1つは Rayleigh の基準で、2つの点の像の一方の中心が他方の最初の暗い輪に重なるとき2点がちょうど分かれるとみなし、分けられる最小の間隔を
δR=1.22Dλf=0.61nsinαλ(8.12)
と書く(f はレンズの焦点距離、D は口径、α は対物レンズに入る光の最大の角)。もう1つは Abbe の顕微鏡の理論で、格子を物体として0次と1次の光がともに対物レンズに入るとき格子の像ができるとし、斜めの照明で見える最小の周期を
dA=2nsinαλ(8.13)
と書く。nsinα がこの章の NA で、λ は真空中の波長 λ0 である。
この章の言葉では、式 (8.13) は定理 8.1 の円板の半径 2k0NA を周期に直したもので、伝達関数(図 8.1)が 0 になる所を表す。式 (8.12) は、その伝達関数の逆 Fourier 変換である点の像(Airy 円盤)の最初の零点 k0NAr=3.832 を、r=3.832/(2π)⋅λ0/NA=0.610λ0/NA と書いたものである。2つの式の係数 0.61 と 0.5 の違いは物理の違いでなく、「2点が分かれて見える」ことの約束の違いである。Rayleigh の基準で並べた2点の像は、2つの山の間の谷の深さが山の高さの 0.735 倍で、谷がはっきり見える。谷がちょうど消える間隔を分かれる境目とする Sparrow の基準では、間隔は 0.474λ0/NA になり、Abbe の値に近づく。
| 基準 | 何についての約束か | 間隔(λ0/NA の単位) |
| Rayleigh | 一方の山が他方の最初の零点に重なる | 0.610 |
| Abbe(周期) | 伝達関数が 0 になる周期 | 0.5 |
| Sparrow | 2点の間の谷が消える | 0.474 |
露光装置の式 (8.5) は、同じ限界をハーフピッチで書き、照明とマスクの工夫を k1 にまとめたものである。k1=1/4 が Abbe の値に当たる。学部の授業でこれらの式を別々の公式として覚えたときは、定理 8.1 の1つの円板からの読み方の違いとして並べ直すことができる。
例題 8.7 Rayleigh の谷の深さと Sparrow の間隔 ★
オリジナル2つの同じ明るさの点の像(インコヒーレント)A(v)=[2J1(v)/v]2(v=k0NAr)を、間隔 vs で並べる。強度の和を I(v)=A(v−vs/2)+A(v+vs/2) とする(1次元の切り口で考える)。
- (1) Rayleigh の間隔 vs=3.832 のとき、真ん中の谷の強度 I(0) と山の強度 I(±vs/2) の比を求めよ。
- (2) 真ん中で I の2階微分が 0 になる間隔(Sparrow の間隔)を数値で求め、λ0/NA の単位で表せ。
解答
(1) I(0)=2A(1.916) で、J1(1.916)=0.581 から A(1.916)=0.3675、I(0)=0.735。山では I(±vs/2)=A(0)+A(3.832)=1+0=1。比は 0.735 で、谷は山より約 26 パーセント暗い。
(2) I′′(0)=2A′′(vs/2)=0 を数値で解くと vs=2.976 で、間隔は 2.976/(2π)⋅λ0/NA=0.474λ0/NA である。A(v) の2階微分が 0 になる点、つまり点の像の変曲点が v=1.488 にあり、2つの像の変曲点が真ん中で重なるとき谷が消える。Sparrow の間隔は Abbe の周期 0.5λ0/NA より少し短いが、2点の間隔と格子の周期は別の量なので、どちらが「本当の」限界かを比べることには意味が無い。
AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com