何を近似したか・何の実験の量で確かめるか
AI 生成・木下が未勉強
光学と量子エレクトロニクス 第8章 §8.5 ★★ 薄いマスクとスカラーの波・蛍光分子のレート方程式・小さな穴の極限の3つの近似と、限界を測る量(写った線のハーフピッチ・点の像の半値全幅・位置の散らばり)
置いた近似
1つ目の近似は、物体を光の振幅に を掛けるだけの薄い膜とし、光をスカラーの波として扱ったことである。膜の直後の場を入射の場と の積で置き換えることは、膜の中で光がどう散乱されるかという未知のものを、既知の入射の場で書いて閉じる操作である。線の幅が波長の何倍もあるときは良い近似だが、露光装置のマスクのように線の幅とマスクの厚さが波長と同じ程度になると、マスクの段差の側面で散乱する光や偏光による違いが無視できなくなり、Maxwell 方程式を数値で解いて像を出す。
近似の裏付け
型 C(閉じる) | 小さいもの マスクの直後の場を入射の場と透過率の積で置き換える(小さいパラメータは線の幅に対する波長とマスクの厚さ) | 証明 要確認(線の幅とマスクの厚さが波長と同程度の領域で、厳密な電磁場の計算との差を押さえる定理の形を確かめていない) | 行き先 近似の数理 第9章
スカラーの波の近似が破れる例を1つ挙げる。開口数が大きいと、像の縞を作る2つの平面波は大きな角で交わり、電場の向きが互いに違ってくる。この効果は次の例題で見る。
2つ目の近似は、蛍光分子の励起状態の占有確率を、確率の速さの方程式(レート方程式)(8.9) で書いたことである。2準位系の正しい時間発展は、占有確率と、 と の重ね合わせの位相(コヒーレンス)を一緒に扱う光 Bloch 方程式で、コヒーレンスが占有確率の変化よりはるかに速く壊れるときに、コヒーレンスを消去して占有確率だけの式が残る(第21章 第21章 で扱う)。溶液の中の色素分子では、コヒーレンスが壊れる時間は蛍光の寿命よりはるかに短い。
近似の裏付け
型 B(極限) | 小さいもの コヒーレンスの寿命 と STED パルスの長さ・蛍光の寿命の比 | 証明 条件付き(速い変数の断熱消去で、Tikhonov の定理の前提=速い変数の方程式が一様に漸近安定であることを満たす。コヒーレンスの式は線形で減衰 。室温の色素では が fs の程度で、STED パルス・蛍光の寿命よりずっと短い。 より短いパルスでは使えない) | 行き先 近似の数理 第7章
3つ目は、小さな穴の透過率 (8.8) が の極限の最低次の式であること、しかも板が完全導体で厚さが無いと仮定したことである。実際の近接場の探針は金属の被膜を付けた細いファイバーで、金属の中へ光が染み込む深さ(数十 )が穴の大きさと同じ程度なので、実効の穴は幾何学の穴より大きい。
近似の裏付け
型 B(極限) | 小さいもの (穴が波長より十分小さい) | 証明 要確認(完全導体の厚さの無い板という前提のもとでの最低次の式。高次の項の評価の形を原論文で確かめていない) | 行き先 近似の数理 第7章
何の実験の量で確かめるか
露光装置の限界は、ウエハの上に写ったライン・アンド・スペースのハーフピッチを電子顕微鏡で測り、式 (8.5) の に直して確かめる。 が より小さい値は、1回の露光では出てこない。顕微鏡の分解能は、直径が分解能よりずっと小さい蛍光のビーズや1分子の像の半値全幅を測る。STED では、STED 光のパルスのエネルギーを変えて半値全幅を測り、式 (8.10) の に乗るかを見る(前に挙げた Westphal と Hell の論文はこの形の測定を報告している)。位置決めでは、動かない1分子の位置を何度も測ったときの散らばりを、集めた光子の数に対して描き、式 (8.11) の の傾きと比べる。
例題 8.6 開口数の大きい液浸で縞が浅くなる偏光 ★★
オリジナル屈折率 の媒質の中で、光軸と をなして進む同じ強さの2つの平面波が干渉して、 方向の縞を作る。2つの波の電場は、(s) 縞の線の方向()を向く場合と、(p) 入射面( 面)の中にある場合を考える。
- (1) 縞の可視度が (s) で 、(p) で になることを示せ。
- (2) の液浸で、限界の周期の縞を作る2つの波が水()の中と、レジスト( と仮定)の中でなす角について、(p) の可視度を求めよ。
解答
(1) 2つの波の電場の振幅を とすると、強度は で、縞の深さは2つの電場の内積で決まる。(s) では がともに を向くので内積は 、可視度は 。(p) では で、内積は 、可視度は である。 では2つの電場が直交し、縞は消える。
(2) 限界の周期では2つの波が瞳の両端を通るので、媒質の中で である。水の中では 、 で、可視度は 。レジストの中では 、 で、可視度は まで下がる。縞はレジストの中にできるので、開口数の大きい液浸の露光装置は (s) の偏光で照明する必要がある。スカラーの波の近似ではこの違いは出てこない。
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