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当てる道具:局所場と Clausius–Mossotti の関係

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第11章 Lorentz 振動子と局所場
目次
  1. 巨視的な場と原子が感じる場の違い
  2. 一様に分極した球の中心の場
  3. 立方格子では近くの双極子の場が消える
  4. Clausius–Mossotti の関係
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第11章 §11.2 ★★★ 原子が感じる場は巨視的な場より P/(3ε0)\bm{P}/(3\varepsilon_0) だけ強い。立方対称の格子ではこれが厳密で、感受率は (εr−1)/(εr+2)=Nα/(3ε0)(\varepsilon_{\mathrm r}-1)/(\varepsilon_{\mathrm r}+2)=N\alpha/(3\varepsilon_0) で決まる

巨視的な場と原子が感じる場の違い

巨視的な場 E\bm{E} は、原子の間隔より大きな範囲で平均した場である。この平均には、注目する原子の隣の原子の双極子が作る強い場も、平均してならした形で入っている。ところが注目する原子の電子が感じるのは、平均した場ではなく、自分以外のすべての双極子と外部の電荷が自分の位置に作る場である。この2つは一般に違う。

違いを計算するために、注目する原子を中心に半径 RR の球を考える(図 11.1)。RR は原子の間隔 aa よりは十分大きく、光の波長よりは十分小さく取る。球の外の双極子の作る場は、連続な分極 P\bm{P} で近似してよい。球の中の双極子は、1つずつ点双極子として足す。すると原子の位置の場は

Eloc=E−Esph+Enear(11.5)\bm{E}_{\mathrm{loc}}=\bm{E}-\bm{E}_{\mathrm{sph}}+\bm{E}_{\mathrm{near}}\tag{11.5}

と書ける。Esph\bm{E}_{\mathrm{sph}} は、球の中を連続な分極 P\bm{P} で一様に満たしたときに球の中心にできる場である(巨視的な場 E\bm{E} には球の中の分極がこの形で入っているので、それを差し引く)。Enear\bm{E}_{\mathrm{near}} は、球の中の点双極子(注目する原子自身を除く)が中心に作る場である。球の中では P\bm{P} が一様とみなせるので、どちらも静電場として計算してよい。

図

図 11.1 Lorentz の球。球の外(灰色の矢印)は連続な分極 P\bm{P} とみなし、球の表面に面電荷 P⋅n\bm{P}\cdot\bm{n}(++ と −-)が現れる。球の中(色の矢印)の双極子は点双極子として1つずつ足す。

一様に分極した球の中心の場

一様な分極 P=Pez\bm{P}=P\bm{e}_z で満たした球は、表面に面密度 σ=P⋅n=Pcos⁡θ\sigma=\bm{P}\cdot\bm{n}=P\cos\theta の分極電荷を持つ(θ\theta は zz 軸からの角度)。表面の面素 R2dΩR^2\mathrm{d}\Omega の電荷が中心に作る場は、電荷から中心へ向かう向き −n-\bm{n} を持ち、その zz 成分は −σcos⁡θ R2dΩ/(4πε0R2)-\sigma\cos\theta\,R^2\mathrm{d}\Omega/(4\pi\varepsilon_0R^2) である。全表面で積分すると

Esph,z=−P4πε0∫cos⁡2θ dΩ=−P4πε0⋅4π3=−P3ε0(11.6)E_{\mathrm{sph},z}=-\frac{P}{4\pi\varepsilon_0}\int\cos^2\theta\,\mathrm{d}\Omega=-\frac{P}{4\pi\varepsilon_0}\cdot\frac{4\pi}{3}=-\frac{P}{3\varepsilon_0}\tag{11.6}

となる。RR が消えたのは、面積が R2R^2 で増え、場が 1/R21/R^2 で減るからである。x,yx,y 成分は cos⁡θsin⁡θcos⁡φ\cos\theta\sin\theta\cos\varphi などの積分で 00 になる。したがって −Esph=+P/(3ε0)-\bm{E}_{\mathrm{sph}}=+\bm{P}/(3\varepsilon_0) で、球の中の連続な分極を取り除くと、中心の場は P/(3ε0)\bm{P}/(3\varepsilon_0) だけ強くなる。

立方格子では近くの双極子の場が消える

残る Enear\bm{E}_{\mathrm{near}} は球の中の原子の並び方で決まる。原子が立方対称に並んでいるときは、次の命題のとおり 00 になる。

命題 11.1(立方格子の近くの双極子 ★★★)

単純立方格子の格子点の1つを原点に取り、原点を除く格子点 r\bm{r} に同じ双極子 p\bm{p} を置く。原点を中心とする任意の半径の球の中にある双極子が原点に作る場の和は 00 である。

証明

位置 r\bm{r} の双極子が原点に作る場の ii 成分は Ei=14πε0∑k3xixk−r2δikr5pkE_i=\frac{1}{4\pi\varepsilon_0}\sum_{k}\frac{3x_ix_k-r^2\delta_{ik}}{r^5}p_k である。球の中の格子点の集合は、各座標の符号の反転 xi→−xix_i\to-x_i と、座標の入れ替えで変わらない。i≠ki\ne k の項 ∑xixk/r5\sum x_ix_k/r^5 は xi→−xix_i\to-x_i で符号を変えるので 00 である。i=ki=k の項では、座標の入れ替えで ∑x2/r5=∑y2/r5=∑z2/r5\sum x^2/r^5=\sum y^2/r^5=\sum z^2/r^5 が成り立ち、3つを足すと ∑r2/r5\sum r^2/r^5 なので、各々は 13∑r2/r5\frac13\sum r^2/r^5 に等しい。したがって ∑(3xi2−r2)/r5=0\sum(3x_i^2-r^2)/r^5=0 である。

証明に使ったのは格子の立方対称性だけなので、体心立方・面心立方の格子や、NaCl 型のように各格子点のまわりが立方対称な結晶でも同じ結論が成り立つ。対称性の低い格子や、原子が乱雑に並んだ液体では Enear\bm{E}_{\mathrm{near}} は一般に 00 でない(例題 11.2)。液体や非晶質では、乱雑さを平均すると Enear\bm{E}_{\mathrm{near}} の平均は 00 に近いと期待できるが、それは仮定である。

Clausius–Mossotti の関係

Enear=0\bm{E}_{\mathrm{near}}=0 とおくと、式 (11.5) と (11.6) から

Eloc=E+P3ε0(11.7)\bm{E}_{\mathrm{loc}}=\bm{E}+\frac{\bm{P}}{3\varepsilon_0}\tag{11.7}

である。これを Lorentz の局所場と呼ぶ。分極は原子の双極子の密度なので P=NαEloc=Nα(E+P/(3ε0))\bm{P}=N\alpha\bm{E}_{\mathrm{loc}}=N\alpha(\bm{E}+\bm{P}/(3\varepsilon_0)) で、P\bm{P} について解くと

P=Nα1−Nα/(3ε0)E,χ=Nα/ε01−Nα/(3ε0)\bm{P}=\frac{N\alpha}{1-N\alpha/(3\varepsilon_0)}\bm{E},\qquad\chi=\frac{N\alpha/\varepsilon_0}{1-N\alpha/(3\varepsilon_0)}

となる。εr−1=χ\varepsilon_{\mathrm r}-1=\chi と εr+2=3/(1−Nα/(3ε0))\varepsilon_{\mathrm r}+2=3/(1-N\alpha/(3\varepsilon_0)) の比を取ると

εr−1εr+2=Nα3ε0(11.8)\frac{\varepsilon_{\mathrm r}-1}{\varepsilon_{\mathrm r}+2}=\frac{N\alpha}{3\varepsilon_0}\tag{11.8}

を得る。これを Clausius–Mossotti の関係と呼ぶ。光の周波数で εr=n2\varepsilon_{\mathrm r}=n^2(吸収の無い所)と書いたもの (n2−1)/(n2+2)=Nα/(3ε0)(n^2-1)/(n^2+2)=N\alpha/(3\varepsilon_0) を、Lorentz と Lorenz がそれぞれ独立に導いたので Lorentz–Lorenz の式とも呼ぶ。

左辺は物質の巨視的な量、右辺は原子1個の量と密度の積である。Nα/(3ε0)≪1N\alpha/(3\varepsilon_0)\ll1 なら左辺は (εr−1)/3(\varepsilon_{\mathrm r}-1)/3 に近づき、薄い気体の式 (11.3) に戻る。Nα/(3ε0)N\alpha/(3\varepsilon_0) が 11 に近づくと χ\chi は発散する。静電場に対しては、周りの双極子が作る場が自分の双極子をさらに大きくし、それがまた周りを分極させる正のフィードバックが際限なく続き、外場が無くても分極が残る。これは強誘電体の転移の最も簡単な模型で、Clausius–Mossotti の破局と呼ばれる。

例題 11.2 双極子の鎖では局所場が向きで違う ★★

オリジナル間隔 aa で zz 軸の上に並んだ原子の鎖(分極率 α\alpha)に、一様な外場 Eext\bm{E}_{\mathrm{ext}} を当てる。すべての原子に同じ双極子 p\bm{p} ができるとする。ζ(3)=∑n≥1n−3=1.202\zeta(3)=\sum_{n\ge1}n^{-3}=1.202 を使ってよい。

  1. (1) p\bm{p} が鎖の方向(zz)を向くとき、ほかの原子の双極子が1つの原子の位置に作る場を求めよ。
  2. (2) p\bm{p} が鎖に垂直なときの同じ場を求めよ。
  3. (3) p=α(Eext+(1) または (2) の場)\bm{p}=\alpha(\bm{E}_{\mathrm{ext}}+\text{(1) または (2) の場}) を解き、実効的な分極率 α∥\alpha_\parallel と α⊥\alpha_\perp を求めよ。αζ(3)/(πε0a3)=0.2\alpha\zeta(3)/(\pi\varepsilon_0a^3)=0.2 のときの α∥/α\alpha_\parallel/\alpha と α⊥/α\alpha_\perp/\alpha を出せ。
解答

(1) 双極子 pezp\bm{e}_z がその軸の上の距離 rr に作る場は 2p/(4πε0r3)2p/(4\pi\varepsilon_0r^3) で、向きは +z+z である。原子の両側の r=nar=na(n=1,2,…n=1,2,\dots)から足すと

E∥=2∑n≥12p4πε0n3a3=ζ(3)πε0a3p.E_\parallel=2\sum_{n\ge1}\frac{2p}{4\pi\varepsilon_0n^3a^3}=\frac{\zeta(3)}{\pi\varepsilon_0a^3}p .

(2) 双極子に垂直な方向の距離 rr の場は −p/(4πε0r3)-p/(4\pi\varepsilon_0r^3)(双極子と逆向き)なので、同じく両側を足して E⊥=−ζ(3)2πε0a3pE_\perp=-\dfrac{\zeta(3)}{2\pi\varepsilon_0a^3}p。

(3) p=α(Eext+E∥)p=\alpha(E_{\mathrm{ext}}+E_\parallel) から p=αEext/(1−αζ(3)/(πε0a3))p=\alpha E_{\mathrm{ext}}/(1-\alpha\zeta(3)/(\pi\varepsilon_0a^3))、同様に垂直では分母が 1+αζ(3)/(2πε0a3)1+\alpha\zeta(3)/(2\pi\varepsilon_0a^3) になる。

α∥α=11−0.2=1.25,α⊥α=11+0.1=0.909.\frac{\alpha_\parallel}{\alpha}=\frac{1}{1-0.2}=1.25,\qquad\frac{\alpha_\perp}{\alpha}=\frac{1}{1+0.1}=0.909 .

原子1個は等方的でも、鎖の方向に並べると、鎖に沿った電場には強く、垂直な電場には弱く応答する。鎖に沿った双極子は隣の双極子を同じ向きに強め、垂直な双極子は隣を逆向きに弱めるからである。細長い分子を一方向にそろえた媒質や、細い線を並べた構造が、原子の性質と無関係に複屈折を示すのはこのためで、異方性媒質としては第15章(第15章)で扱う。立方格子で Enear=0\bm{E}_{\mathrm{near}}=0 になったのは、3つの方向の寄与がこの強め合いと弱め合いでちょうど打ち消すからである。

ほかの巻では

木下の勉強ステータス

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