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出てくるもの(1):Rabi 振動・パルスの面積・エコー

2026年10月15日10分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第19章 Rabi 振動と光 Bloch 方程式
目次
  1. パルスの面積
  2. 減衰する Rabi 振動
  3. 不均一な広がりとエコー
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第19章 §19.3 ★★★ 共鳴の光は Bloch ベクトルを面積 ∫Ω dt\int\Omega\,\mathrm{d} t だけ回す。緩和があると Rabi 振動は率 (1/T1+1/T2)/2(1/T_1+1/T_2)/2 で減衰し、原子ごとの離調のばらつきで消えた信号は π\pi パルスでエコーとして戻る

パルスの面積

共鳴(Δ=0\Delta=0)では回転軸 Ω=(−Ω,0,0)\bm{\Omega}=(-\Omega,0,0) の向きが Ω\Omega の大きさに依らないので、Ω\Omega が時間とともに変わるパルスでも、Bloch ベクトルは同じ軸のまわりを回る。回る角は

Θ=∫−∞∞Ω(t) dt(19.11)\Theta=\int_{-\infty}^{\infty}\Omega(t)\,\mathrm{d} t\tag{19.11}

で決まり、パルスの形には依らない。これをパルスの面積と呼ぶ。緩和が無視できる短いパルスでは、南極から出発して ρee=sin⁡2(Θ/2)\rho_{ee}=\sin^2(\Theta/2) になる。Θ=π/2\Theta=\pi/2 のパルス(π/2\pi/2 パルス)は ∣g⟩| g \rangle を ∣e⟩| e \rangle と ∣g⟩| g \rangle の等しい重ね合わせへ、Θ=π\Theta=\pi のパルス(π\pi パルス)は ∣g⟩| g \rangle を ∣e⟩| e \rangle へ移す。π\pi パルスは占有を完全に反転させる操作で、Ramsey 分光(第24章・第28章、第24章・第28章)や原子干渉計の基本の操作になる。Θ=2π\Theta=2\pi のパルスでは R\bm{R} は元に戻るが、状態ベクトルは −1-1 倍になる。Bloch ベクトルは状態の全体の位相を見ないので、この符号は別の準位との干渉でだけ観測される。

例題 19.4 ガウス型の π\pi パルス ★★

オリジナルRabi 周波数の時間変化が Ω(t)=Ω0e−t2/τ2\Omega(t)=\Omega_0\mathrm{e}^{-t^2/\tau^2}、τ=10 ns\tau=10\,\mathrm{ns} のパルスを、緩和の無視できる原子に当てる。

  1. (1) 共鳴で π\pi パルスになる Ω0\Omega_0 を求めよ。
  2. (2) 共鳴では、パルスの形が違っても面積が π\pi なら占有が完全に反転することを、式 (19.5) から示せ。
  3. (3) 同じパルスを Δ/2π=5 MHz\Delta/2\pi=5\,\mathrm{MHz} で当てると、反転は完全でなくなる。その理由を球の上で述べよ(数値積分すると ρee=0.947\rho_{ee}=0.947)。
解答

(1) ∫Ω0e−t2/τ2dt=Ω0τπ=π\int\Omega_0\mathrm{e}^{-t^2/\tau^2}\mathrm{d} t=\Omega_0\tau\sqrt\pi=\pi から Ω0=π/τ=1.77×108 s−1\Omega_0=\sqrt\pi/\tau=1.77\times10^8\,\mathrm{s^{-1}}、Ω0/2π=28.2 MHz\Omega_0/2\pi=28.2\,\mathrm{MHz}。

(2) Δ=0\Delta=0 では u˙=0\dot u=0 で、v˙=Ω(t)w\dot v=\Omega(t)w、w˙=−Ω(t)v\dot w=-\Omega(t)v になる。新しい時間変数 ϑ(t)=∫−∞tΩ dt′\vartheta(t)=\int_{-\infty}^t\Omega\,\mathrm{d} t' を使うと dv/dϑ=w\mathrm{d} v/\mathrm{d}\vartheta=w、dw/dϑ=−v\mathrm{d} w/\mathrm{d}\vartheta=-v で、Ω(t)\Omega(t) が消える。初期値 (v,w)=(0,−1)(v,w)=(0,-1) の解は v=−sin⁡ϑv=-\sin\vartheta、w=−cos⁡ϑw=-\cos\vartheta で、パルスの後は ϑ=Θ\vartheta=\Theta だけで決まる。Θ=π\Theta=\pi で w=+1w=+1。

(3) Δ≠0\Delta\ne0 では回転軸 (−Ω(t),0,−Δ)(-\Omega(t),0,-\Delta) の向きが時間とともに変わり、Ω\Omega が小さいパルスの裾では軸が −w-w 方向へ傾く。そのため回転は1本の軸のまわりの角 Θ\Theta の回転にまとまらず、R\bm{R} は北極を外れる。この例では Δ\Delta がパルスの中心の Ω0\Omega_0 の 0.180.18 倍で、反転は 95%95\% にとどまる。離調に対して反転を頑丈にする方法が、軸をゆっくり倒す断熱急速通過(第24章)である。

減衰する Rabi 振動

連続の光を当て続けると、緩和のために Rabi 振動は減衰し、定常状態へ落ち着く。共鳴では式 (19.9) の uu が他から切り離され、(v,w)(v,w) は

ddt(vw)=(−1/T2Ω−Ω−1/T1)(vw)−(01/T1)(19.12)\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}\begin{pmatrix}v\\w\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}-1/T_2&\Omega\\-\Omega&-1/T_1\end{pmatrix}\begin{pmatrix}v\\w\end{pmatrix}-\begin{pmatrix}0\\1/T_1\end{pmatrix}\tag{19.12}

に従う。行列の固有値は −a±iλ-a\pm\mathrm{i}\lambda で、

a=12(1T1+1T2),λ=Ω2−14(1T1−1T2)2(19.13)a=\frac12\Bigl(\frac1{T_1}+\frac1{T_2}\Bigr),\qquad\lambda=\sqrt{\Omega^2-\frac14\Bigl(\frac1{T_1}-\frac1{T_2}\Bigr)^2}\tag{19.13}

である。∣g⟩| g \rangle(v=0v=0、w=−1w=-1、したがって w˙(0)=0\dot w(0)=0)から出発する解は

w(t)=wss−(1+wss) e−at(cos⁡λt+aλsin⁡λt),wss=−11+Ω2T1T2(19.14)w(t)=w_{\mathrm{ss}}-(1+w_{\mathrm{ss}})\,\mathrm{e}^{-at}\Bigl(\cos\lambda t+\frac a\lambda\sin\lambda t\Bigr),\qquad w_{\mathrm{ss}}=-\frac{1}{1+\Omega^2T_1T_2}\tag{19.14}

になる。自然放出だけのとき(T1=1/ΓT_1=1/\Gamma、T2=2/ΓT_2=2/\Gamma)は a=3Γ/4a=3\Gamma/4、λ=Ω2−Γ2/16\lambda=\sqrt{\Omega^2-\Gamma^2/16} である。減衰の率 3Γ/43\Gamma/4 は、占有の緩和 Γ\Gamma とコヒーレンスの緩和 Γ/2\Gamma/2 の平均になっている。Rabi 振動の間、Bloch ベクトルは vv 軸と ww 軸の間を行き来し、半分の時間は占有として、半分の時間はコヒーレンスとして減衰を受けるからである。

図

図 19.2 共鳴の減衰する Rabi 振動(Ω=3Γ\Omega=3\Gamma、自然放出だけ)。点線が光 Bloch 方程式の解 (19.14)(数値積分とも一致する)、細い実線が緩和を無視した sin⁡2(Ωt/2)\sin^2(\Omega t/2)。振動は e−3Γt/4\mathrm{e}^{-3\Gamma t/4} で減衰し、定常値 Ω2/(2Ω2+Γ2)=9/19\Omega^2/(2\Omega^2+\Gamma^2)=9/19 に落ち着く。

図 19.2 のように、定常状態の占有は 1/21/2 を超えない。強い光では wss→0w_{\mathrm{ss}}\to0 で、原子は ∣e⟩| e \rangle と ∣g⟩| g \rangle を半分ずつ占める完全な混合状態(Bloch 球の中心)に落ち着く。振動が見えるためには、減衰の時間 1/a1/a の間に何周期か回る必要があり、Ω≫Γ\Omega\gg\Gamma が条件になる。

不均一な広がりとエコー

気体の原子は Doppler 効果で、固体の中の不純物は周りの環境の違いで、原子ごとに遷移周波数が少しずつ違う。それぞれの原子の離調が違うと、自由に歳差する間に (u,v)(u,v) 面の中での向きがばらばらになり、集まり全体のコヒーレンス(分極)は個々の原子の T2T_2 より速く消える。離調の分布の幅で決まるこの見かけの減衰の時間を T2∗T_2^* と書き、不均一な広がりと呼ぶ。個々の原子の T2T_2 による広がり(均一な広がり)とは、次の操作で区別できる。

時刻 00 に π/2\pi/2 パルスを当てると、すべての原子の R\bm{R} は南極から (0,−1,0)(0,-1,0) へ倒れる。そこから光を切ると、離調 Δ\Delta の原子の u+ivu+\mathrm{i} v は e−iΔt\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\Delta t} で回り、向きが広がる。時刻 τ\tau に uu 軸のまわりの π\pi パルスを当てると (u,v,w)→(u,−v,−w)(u,v,w)\to(u,-v,-w) で、u+ivu+\mathrm{i} v は複素共役になる。その後も同じ向きに回るので、時刻 tt では eiΔτe−iΔ(t−τ)\mathrm{e}^{\mathrm{i}\Delta\tau}\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\Delta(t-\tau)} の位相を持ち、t=2τt=2\tau で Δ\Delta に依らず元の向きにそろう。速い原子も遅い原子も、往きに広がった分だけ帰りに戻るからである。そろった瞬間に集まりの分極が戻って光を出し、これをエコーと呼ぶ。エコーの大きさは、ばらつきで消えた分を除き、個々の原子の T2T_2 だけで e−2τ/T2\mathrm{e}^{-2\tau/T_2} に減る。磁気共鳴のスピンエコー(E. L. Hahn (1950)、Phys. Rev. 80, 580)を光の遷移で行ったものが光子エコー(N. A. Kurnit, I. D. Abella, S. R. Hartmann (1964)、Phys. Rev. Lett. 13, 567、ルビーの結晶)である。

例題 19.5 エコーで T2T_2 と T2∗T_2^* を分ける ★★

オリジナル固体の中の不純物の原子の集まりで、遷移周波数のばらつきが標準偏差 σΔ/2π=100 kHz\sigma_\Delta/2\pi=100\,\mathrm{kHz} の正規分布をしている。個々の原子の横緩和時間を T2=50 μsT_2=50\,\mu\mathrm s とし、T1T_1 は十分長いとする。パルスの Rabi 周波数は Ω/2π=10 MHz\Omega/2\pi=10\,\mathrm{MHz} である。

  1. (1) π/2\pi/2 パルスと π\pi パルスの長さを求め、パルスの間はばらつきを無視してよい理由を述べよ。
  2. (2) π/2\pi/2 パルスの直後から光を切ったとき、集まりの ⟨u+iv⟩\langle u+\mathrm{i} v \rangle の大きさが 1/e1/\mathrm{e} になる時間を求めよ(T2T_2 による減衰は無視する)。
  3. (3) τ=10 μs\tau=10\,\mu\mathrm s に π\pi パルスを当てたときの、時刻 2τ2\tau のエコーの大きさを、π/2\pi/2 パルスの直後の値との比で答えよ。
解答

(1) 長さは Θ/Ω\Theta/\Omega で、π/2\pi/2 パルスが (π/2)/(2π×107 s−1)=25 ns(\pi/2)/(2\pi\times10^7\,\mathrm{s^{-1}})=25\,\mathrm{ns}、π\pi パルスが 50 ns50\,\mathrm{ns}。回転軸の傾きは Δ/Ω∼σΔ/Ω=0.01\Delta/\Omega\sim\sigma_\Delta/\Omega=0.01 程度で、パルスの間に離調で回る角も σΔ×50 ns=0.03\sigma_\Delta\times50\,\mathrm{ns}=0.03 と小さいので、パルスはすべての原子を同じように回す。

(2) π/2\pi/2 パルスの後の u+iv=−iu+\mathrm{i} v=-\mathrm{i} が、各原子で −ie−iΔt-\mathrm{i}\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\Delta t} になる。正規分布で平均すると ⟨e−iΔt⟩=e−σΔ2t2/2\langle \mathrm{e}^{-\mathrm{i}\Delta t} \rangle =\mathrm{e}^{-\sigma_\Delta^2t^2/2} なので、大きさが 1/e1/\mathrm{e} になるのは t=2/σΔ=2.25 μst=\sqrt2/\sigma_\Delta=2.25\,\mu\mathrm s。これが T2∗T_2^* で、T2T_2 より20倍以上短い。

(3) 時刻 2τ2\tau で位相のばらつきはちょうど打ち消し、残るのは T2T_2 による減衰 e−2τ/T2=e−20/50=0.670\mathrm{e}^{-2\tau/T_2}=\mathrm{e}^{-20/50}=0.670 だけである。π\pi パルスの時刻 τ\tau を変えてエコーの大きさを測れば、その傾きから T2T_2 が、エコーの幅から T2∗T_2^* が分かる。

木下の勉強ステータス

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