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出てくるもの(2):相互情報量

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第1部 第3章 相対エントロピーと相互情報量
目次
  1. 独立だと仮定した分布と比べる
  2. 非負性から出てくる2つの不等式
  3. 条件付き相互情報量と連鎖律
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第1部 第3章 §1.3.4 ★★★ 結合分布と「独立だと仮定した分布」の DD が相互情報量。その非負性から「条件を付けると平均のエントロピーは減る」が出る

独立だと仮定した分布と比べる

2つの確率変数の関係を測るには、実際の結合分布 pXYp_{XY} を、同じ周辺分布を持ち XX と YY が独立だと仮定した分布 pXpYp_Xp_Y(積 pX(x)pY(y)p_X(x)p_Y(y) を確率とする分布)と比べればよい。

定義 1.3.6(相互情報量)

I(X;Y)≔D(pXY ∥ pXpY)=∑x,ypXY(x,y)ln⁡pXY(x,y)pX(x)pY(y)(1.3.13)I(X;Y)\coloneqq D(p_{XY}\,\|\,p_Xp_Y)=\sum_{x,y}p_{XY}(x,y)\ln\frac{p_{XY}(x,y)}{p_X(x)p_Y(y)}\tag{1.3.13}

を XX と YY の相互情報量と呼ぶ。

pXY(x,y)>0p_{XY}(x,y)>0 なら pX(x)>0p_X(x)>0 かつ pY(y)>0p_Y(y)>0 なので、I(X;Y)I(X;Y) はいつも有限である。対数の中をpXY/(pXpY)=pX∣Y/pXp_{XY}/(p_Xp_Y)=p_{X|Y}/p_X と書き直して平均すると、エントロピーで書いた形がそろって出てくる。

I(X;Y)=H(X)−H(X ∣ Y)=H(Y)−H(Y ∣ X)=H(X)+H(Y)−H(X,Y).(1.3.14)I(X;Y)=H(X)-H(X\,|\,Y)=H(Y)-H(Y\,|\,X)=H(X)+H(Y)-H(X,Y) .\tag{1.3.14}

1つ目の等号は、ln⁡(pX∣Y(x ∣ y)/pX(x))=−ln⁡pX(x)−(−ln⁡pX∣Y(x ∣ y))\ln\bigl(p_{X|Y}(x\,|\,y)/p_X(x)\bigr)=-\ln p_X(x)-\bigl(-\ln p_{X|Y}(x\,|\,y)\bigr) を平均したものである。YY を知る前の XX の驚きから、YY を知ったあとの驚きを引いた量なので、「YY を観測すると XX についての不確かさが平均でどれだけ減るか」を表す。定義 (1.3.13) は X,YX,Y について対称なので、YY が XX について教える量と XX が YY について教える量は等しい。3つ目の等号は、1つ目に連鎖律 (1.3.12) を代入したものである。Y=XY=X とおくと H(X ∣ X)=0H(X\,|\,X)=0 なので I(X;X)=H(X)I(X;X)=H(X) で、エントロピーは「自分自身との相互情報量」でもある。

図 1.3.3 は、式 (1.3.12) と (1.3.14) の関係を面積で表したものである。2つの円全体が H(X,Y)H(X,Y)、左の円が H(X)H(X)、右の円が H(Y)H(Y)、重なりが I(X;Y)I(X;Y) にあたる。ただし、この図は2変数の加減の関係を覚えるためのもので、3変数に広げた図の重なりの部分は負になることがあり、面積として読むことはできない。

図

図 1.3.3 2変数のエントロピーと相互情報量の関係。左の円が H(X)H(X)、右の円が H(Y)H(Y)、和集合が H(X,Y)H(X,Y)、重なりが I(X;Y)I(X;Y) にあたる。式 (1.3.12)・(1.3.14) の加減がこの面積の関係と同じ形をしている。

非負性から出てくる2つの不等式

I(X;Y)I(X;Y) は相対エントロピーなので、Gibbs の不等式から I(X;Y)≥0I(X;Y)\ge0 で、等号は pXY=pXpYp_{XY}=p_Xp_Y、つまり XX と YY が独立のときに限る。これを式 (1.3.14) の形に読み替えると、2つの不等式になる。

H(X ∣ Y)≤H(X),H(X,Y)≤H(X)+H(Y).(1.3.15)H(X\,|\,Y)\le H(X),\qquad H(X,Y)\le H(X)+H(Y) .\tag{1.3.15}

1つ目は「条件を付けると、平均のエントロピーは増えない」、2つ目は「結合エントロピーは和を超えない」(劣加法性)である。どちらも等号は独立のときに限る。劣加法性は、量子情報に移ると von Neumann エントロピーの劣加法性になり、そのさらに強い形(強劣加法性)が量子データ処理不等式と同じ内容になる。これは 第3部第3章 で扱う。

減るのは平均だけ

式 (1.3.15) の H(X ∣ Y)H(X\,|\,Y) は yy について平均した量である。個々の yy については、H(X ∣ Y=y)H(X\,|\,Y=y) が H(X)H(X) より大きくなることがある。例題 1.3.3 の分布では H(X)=hb(1/4)≈0.562H(X)=h_{\mathrm b}(1/4)\approx0.562 だが、Y=1Y=1 を観測すると XX は五分五分になり、H(X ∣ Y=1)=ln⁡2≈0.693H(X\,|\,Y=1)=\ln2\approx0.693 に増える。それでも Y=0Y=0 のときに XX が確定するので、平均は 12ln⁡2≈0.347\frac12\ln2\approx0.347 に減っている。この例の相互情報量は I(X;Y)=H(X)−H(X ∣ Y)=hb(1/4)−12ln⁡2≈0.216I(X;Y)=H(X)-H(X\,|\,Y)=h_{\mathrm b}(1/4)-\frac12\ln2\approx0.216 である。

条件付き相互情報量と連鎖律

3つ目の確率変数 ZZ があるとき、Z=zZ=z を知ったうえでの XX と YY の相互情報量を zz で平均したもの

I(X;Y ∣ Z)≔H(X ∣ Z)−H(X ∣ Y,Z)=∑zpZ(z) D(pXY∣Z(⋅,⋅ ∣ z) ∥ pX∣Z(⋅ ∣ z) pY∣Z(⋅ ∣ z))(1.3.16)I(X;Y\,|\,Z)\coloneqq H(X\,|\,Z)-H(X\,|\,Y,Z)=\sum_zp_Z(z)\,D\bigl(p_{XY|Z}(\cdot,\cdot\,|\,z)\,\big\|\,p_{X|Z}(\cdot\,|\,z)\,p_{Y|Z}(\cdot\,|\,z)\bigr)\tag{1.3.16}

を条件付き相互情報量と呼ぶ。右辺は DD の平均なので I(X;Y ∣ Z)≥0I(X;Y\,|\,Z)\ge0 で、等号は ZZ を知ると XX と YY が独立になる(XX と YY が ZZ のもとで条件付き独立)ときに限る。H(X)−H(X ∣ Y,Z)H(X)-H(X\,|\,Y,Z) を H(X)−H(X ∣ Y)H(X)-H(X\,|\,Y) と H(X ∣ Y)−H(X ∣ Y,Z)H(X\,|\,Y)-H(X\,|\,Y,Z) に分けると、相互情報量の連鎖律

I(X;Y,Z)=I(X;Y)+I(X;Z ∣ Y)(1.3.17)I(X;Y,Z)=I(X;Y)+I(X;Z\,|\,Y)\tag{1.3.17}

を得る。YY と ZZ を合わせて観測したときに XX について分かる量は、まず YY で分かる量と、YY を知ったうえで ZZ から追加で分かる量の和である。次の章のデータ処理不等式は、この式を2通りに展開して、I(X;Z ∣ Y)=0I(X;Z\,|\,Y)=0(X→Y→ZX\to Y\to Z が Markov 連鎖)を使うことで示す。

例題 1.3.4 2値対称通信路の相互情報量 ★★★

オリジナル送信者が X∈{0,1}X\in\{0,1\} を確率 1/21/2 ずつで送る。受信者が受け取る YY は、確率 1−ε1-\varepsilon で XX と同じ、確率 ε\varepsilon で反転した値である(0<ε<1/20<\varepsilon <1/2。2値対称通信路と呼ぶ)。

  1. (1) pYp_Y と H(Y ∣ X)H(Y\,|\,X) を求め、I(X;Y)=ln⁡2−hb(ε)I(X;Y)=\ln2-h_{\mathrm b}(\varepsilon ) を示せ。
  2. (2) ε=0.1\varepsilon =0.1 のとき I(X;Y)I(X;Y) を nat とビットで求めよ。
  3. (3) 同じ値を、定義 (1.3.13) の D(pXY ∥ pXpY)D(p_{XY}\,\|\,p_Xp_Y) から直接求めて確かめよ。
解答

(1) pY(1)=12ε+12(1−ε)=12p_Y(1)=\frac12\varepsilon +\frac12(1-\varepsilon )=\frac12 なので pYp_Y は一様で、H(Y)=ln⁡2H(Y)=\ln2。X=xX=x を知ると YY は確率 (1−ε,ε)(1-\varepsilon ,\varepsilon ) の2値なので、H(Y ∣ X=x)=hb(ε)H(Y\,|\,X=x)=h_{\mathrm b}(\varepsilon ) が xx によらず、H(Y ∣ X)=hb(ε)H(Y\,|\,X)=h_{\mathrm b}(\varepsilon ) である。式 (1.3.14) の2つ目の形から I(X;Y)=H(Y)−H(Y ∣ X)=ln⁡2−hb(ε)I(X;Y)=H(Y)-H(Y\,|\,X)=\ln2-h_{\mathrm b}(\varepsilon )。

(2) hb(0.1)=−0.1ln⁡0.1−0.9ln⁡0.9≈0.3251h_{\mathrm b}(0.1)=-0.1\ln0.1-0.9\ln0.9\approx0.3251 なので、I(X;Y)≈0.6931−0.3251=0.3681I(X;Y)\approx0.6931-0.3251=0.3681 nat、ln⁡2\ln2 で割って 0.5310.531 ビットである。序章の例題 1.1.3 で数値だけ先に出した値である。1ビットを送っても、受け手に伝わる情報は平均で約 0.530.53 ビットにとどまる。

(3) pXY(x,y)p_{XY}(x,y) は x=yx=y のとき (1−ε)/2(1-\varepsilon )/2、x≠yx\ne y のとき ε/2\varepsilon /2 で、pX(x)pY(y)=1/4p_X(x)p_Y(y)=1/4 はすべて同じである。

D(pXY ∥ pXpY)=2⋅1−ε2ln⁡(2(1−ε))+2⋅ε2ln⁡(2ε)=ln⁡2+(1−ε)ln⁡(1−ε)+εln⁡ε=ln⁡2−hb(ε)D(p_{XY}\,\|\,p_Xp_Y)=2\cdot\frac{1-\varepsilon }{2}\ln\bigl(2(1-\varepsilon )\bigr)+2\cdot\frac{\varepsilon }{2}\ln(2\varepsilon )=\ln2+(1-\varepsilon )\ln(1-\varepsilon )+\varepsilon \ln\varepsilon =\ln2-h_{\mathrm b}(\varepsilon )

で、(1) と一致する。

木下の勉強ステータス

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