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出てくるもの(3):連鎖律と凸性

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第1部 第3章 相対エントロピーと相互情報量
目次
  1. 相対エントロピーの連鎖律
  2. 凸性
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第1部 第3章 §1.3.5 ★★ DD は結合分布を「周辺」と「条件付き」に分けると足し算に分かれ、2つの分布の組について凸である。データ処理不等式と通信路容量の準備

相対エントロピーの連鎖律

結合分布どうしの DD も、エントロピーの連鎖律と同じように分かれる。pXY=pX pY∣Xp_{XY}=p_X\,p_{Y|X}、qXY=qX qY∣Xq_{XY}=q_X\,q_{Y|X} と書き、xx ごとの条件付き分布の DD を pXp_X で平均したものを

D(pY∣X ∥ qY∣X ∣ pX)≔∑xpX(x) D(pY∣X(⋅ ∣ x) ∥ qY∣X(⋅ ∣ x))(1.3.18)D(p_{Y|X}\,\|\,q_{Y|X}\,|\,p_X)\coloneqq\sum_xp_X(x)\,D\bigl(p_{Y|X}(\cdot\,|\,x)\,\big\|\,q_{Y|X}(\cdot\,|\,x)\bigr)\tag{1.3.18}

と書く(条件付き相対エントロピー)。

定理 1.3.7(相対エントロピーの連鎖律 ★★★)

D(pXY ∥ qXY)=D(pX ∥ qX)+D(pY∣X ∥ qY∣X ∣ pX).(1.3.19)D(p_{XY}\,\|\,q_{XY})=D(p_X\,\|\,q_X)+D(p_{Y|X}\,\|\,q_{Y|X}\,|\,p_X) .\tag{1.3.19}

証明

ln⁡pXY(x,y)qXY(x,y)=ln⁡pX(x)qX(x)+ln⁡pY∣X(y ∣ x)qY∣X(y ∣ x)\ln\dfrac{p_{XY}(x,y)}{q_{XY}(x,y)}=\ln\dfrac{p_X(x)}{q_X(x)}+\ln\dfrac{p_{Y|X}(y\,|\,x)}{q_{Y|X}(y\,|\,x)} を pXYp_{XY} で平均する。第1項は yy によらないので、yy で和をとると D(pX ∥ qX)D(p_X\,\|\,q_X) になる。第2項は、xx を止めて pY∣X(⋅ ∣ x)p_{Y|X}(\cdot\,|\,x) で平均してから pXp_X で平均したものなので、式 (1.3.18) になる。

この式から、2つのことがすぐに分かる。

1つ目は、周辺分布に移ると DD は増えないこと、すなわち D(pX ∥ qX)≤D(pXY ∥ qXY)D(p_X\,\|\,q_X)\le D(p_{XY}\,\|\,q_{XY}) である。第2項が Gibbs の不等式で 00 以上だからである。YY を捨てて XX だけを見ると、2つの分布は見分けにくくなる。これは「データを処理しても DD は増えない」というデータ処理不等式の最も簡単な場合で、一般の確率的な処理(通信路 WW)への拡張 D(Wp ∥ Wq)≤D(p ∥ q)D(Wp\,\|\,Wq)\le D(p\,\|\,q) は 第1部第4章 で示す。この巻の筋である「第二法則はデータ処理不等式の1つの姿」は、この1行から始まる。

2つ目は、独立な試行で DD が足し算になることである。pXY=pXpYp_{XY}=p_Xp_Y、qXY=qXqYq_{XY}=q_Xq_Y のように両方が積の分布なら、条件付き分布は xx によらないのでD(pXpY ∥ qXqY)=D(pX ∥ qX)+D(pY ∥ qY)D(p_Xp_Y\,\|\,q_Xq_Y)=D(p_X\,\|\,q_X)+D(p_Y\,\|\,q_Y) となる。同じ分布から独立に nn 個とる場合を p⊗np^{\otimes n} と書くと

D(p⊗n ∥ q⊗n)=n D(p ∥ q)(1.3.20)D(p^{\otimes n}\,\|\,q^{\otimes n})=n\,D(p\,\|\,q)\tag{1.3.20}

である。1.3.1 節で述べた「対数尤度比が nDnD の速さで伸びる」ことの、平均についての正確な形である。

凸性

定理 1.3.8(DD の結合凸性 ★★)

分布の2つの組 (p1,q1)(p_1,q_1)、(p2,q2)(p_2,q_2) と 0≤λ≤10\le\lambda\le1 について

D(λp1+(1−λ)p2 ∥ λq1+(1−λ)q2)≤λD(p1 ∥ q1)+(1−λ)D(p2 ∥ q2).(1.3.21)D\bigl(\lambda p_1+(1-\lambda)p_2\,\big\|\,\lambda q_1+(1-\lambda)q_2\bigr)\le\lambda D(p_1\,\|\,q_1)+(1-\lambda)D(p_2\,\|\,q_2) .\tag{1.3.21}

証明

各 xx について、対数和不等式 (1.3.7) を n=2n=2、a1=λp1(x)a_1=\lambda p_1(x)、a2=(1−λ)p2(x)a_2=(1-\lambda)p_2(x)、b1=λq1(x)b_1=\lambda q_1(x)、b2=(1−λ)q2(x)b_2=(1-\lambda)q_2(x) に当てはめると

(λp1(x)+(1−λ)p2(x))ln⁡λp1(x)+(1−λ)p2(x)λq1(x)+(1−λ)q2(x)≤λp1(x)ln⁡p1(x)q1(x)+(1−λ)p2(x)ln⁡p2(x)q2(x)\bigl(\lambda p_1(x)+(1-\lambda)p_2(x)\bigr)\ln\frac{\lambda p_1(x)+(1-\lambda)p_2(x)}{\lambda q_1(x)+(1-\lambda)q_2(x)}\le\lambda p_1(x)\ln\frac{p_1(x)}{q_1(x)}+(1-\lambda)p_2(x)\ln\frac{p_2(x)}{q_2(x)}

となる(右辺では λ\lambda と 1−λ1-\lambda が対数の中で約分される)。xx について足せば式 (1.3.21) である。

2つの分布の組を混ぜると、見分けにくくなる。式 (1.3.9) で q=uq=u を固定して使うと、D(p ∥ u)D(p\,\|\,u) が pp について凸なので、H(p)=ln⁡∣X∣−D(p ∥ u)H(p)=\ln\lvert \mathcal X\rvert -D(p\,\|\,u) は pp について凹である。分布を混ぜるとエントロピーは平均より大きくなる。

相互情報量については、入力の分布 pXp_X と通信路 W(y ∣ x)≔pY∣X(y ∣ x)W(y\,|\,x)\coloneqq p_{Y|X}(y\,|\,x) を分けて見ると、次の性質がある。

命題 1.3.9(相互情報量の凹凸 ★★)

(i) 通信路 WW を固定すると、I(X;Y)I(X;Y) は入力の分布 pXp_X について凹である。(ii) 入力の分布 pXp_X を固定すると、I(X;Y)I(X;Y) は通信路 WW について凸である。

証明

(i) I(X;Y)=H(Y)−∑xpX(x)H(Y ∣ X=x)I(X;Y)=H(Y)-\sum_xp_X(x)H(Y\,|\,X=x) と書く。第2項の H(Y ∣ X=x)H(Y\,|\,X=x) は W(⋅ ∣ x)W(\cdot\,|\,x) だけで決まるので、第2項は pXp_X について1次式である。第1項は、pY(y)=∑xpX(x)W(y ∣ x)p_Y(y)=\sum_xp_X(x)W(y\,|\,x) が pXp_X の1次式で、HH が分布について凹なので、pXp_X について凹である。凹と1次の和は凹である。

(ii) I(X;Y)=D(pXY ∥ pXpY)I(X;Y)=D(p_{XY}\,\|\,p_Xp_Y) で、pXp_X を止めると pXY(x,y)=pX(x)W(y ∣ x)p_{XY}(x,y)=p_X(x)W(y\,|\,x) も pX(x)pY(y)=pX(x)∑x′pX(x′)W(y ∣ x′)p_X(x)p_Y(y)=p_X(x)\sum_{x'}p_X(x')W(y\,|\,x') も WW の1次式である。2つの通信路を λ:1−λ\lambda:1-\lambda で混ぜると、DD の2つの引数がそれぞれ同じ比で混ざるので、結合凸性 (1.3.21) から II は WW について凸になる。

(i) は通信路容量 C=max⁡pI(X;Y)C=\max_{p}I(X;Y) の計算で使う。凹関数の最大化なので、局所的な最大がそのまま全体の最大になり、反復計算(Blahut–Arimoto)が最大値に収束する。これは 第1部第6章 で扱う。

例題 1.3.5 入力の偏りと相互情報量 ★★

オリジナル例題 1.3.4 の2値対称通信路(反転の確率 ε\varepsilon)に、X=1X=1 を確率 aa、X=0X=0 を確率 1−a1-a で送る。

  1. (1) pY(1)=a∗ε≔a(1−ε)+(1−a)εp_Y(1)=a\ast\varepsilon \coloneqq a(1-\varepsilon )+(1-a)\varepsilon とおくとき、I(X;Y)=hb(a∗ε)−hb(ε)I(X;Y)=h_{\mathrm b}(a\ast\varepsilon )-h_{\mathrm b}(\varepsilon ) を示せ。
  2. (2) II を aa で2回微分して aa について凹であることを確かめ、最大を与える aa と最大値を求めよ。
  3. (3) ε=0.1\varepsilon =0.1、a=0.2a=0.2 のときの II を求め、(2) の最大値と比べよ。
解答

(1) pY(1)=a(1−ε)+(1−a)ε=a∗εp_Y(1)=a(1-\varepsilon )+(1-a)\varepsilon =a\ast\varepsilon なので H(Y)=hb(a∗ε)H(Y)=h_{\mathrm b}(a\ast\varepsilon )。H(Y ∣ X)=hb(ε)H(Y\,|\,X)=h_{\mathrm b}(\varepsilon ) は例題 1.3.4 と同じで、aa によらない。よって I=hb(a∗ε)−hb(ε)I=h_{\mathrm b}(a\ast\varepsilon )-h_{\mathrm b}(\varepsilon )。

(2) hb′(t)=ln⁡1−tth_{\mathrm b}'(t)=\ln\frac{1-t}{t}、hb′′(t)=−1t(1−t)h_{\mathrm b}''(t)=-\frac{1}{t(1-t)} で、dda(a∗ε)=1−2ε\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d} a}(a\ast\varepsilon )=1-2\varepsilon なので

d2Ida2=(1−2ε)2hb′′(a∗ε)=−(1−2ε)2(a∗ε)(1−a∗ε)<0.\frac{\mathrm{d}^2I}{\mathrm{d} a^2}=(1-2\varepsilon )^2h_{\mathrm b}''(a\ast\varepsilon )=-\frac{(1-2\varepsilon )^2}{(a\ast\varepsilon )(1-a\ast\varepsilon )}<0 .

したがって II は aa について凹で、命題 1.3.9 (i) と合う。1回微分は (1−2ε)ln⁡1−a∗εa∗ε(1-2\varepsilon )\ln\frac{1-a\ast\varepsilon }{a\ast\varepsilon } で、a∗ε=1/2a\ast\varepsilon =1/2、つまり a=1/2a=1/2 で 00 になる。凹関数の停留点なので、そこが最大で、最大値は ln⁡2−hb(ε)\ln2-h_{\mathrm b}(\varepsilon ) である。

(3) a∗ε=0.2⋅0.9+0.8⋅0.1=0.26a\ast\varepsilon =0.2\cdot0.9+0.8\cdot0.1=0.26 で、I=hb(0.26)−hb(0.1)≈0.5731−0.3251=0.2480I=h_{\mathrm b}(0.26)-h_{\mathrm b}(0.1)\approx0.5731-0.3251=0.2480 nat。最大値 ln⁡2−hb(0.1)≈0.3681\ln2-h_{\mathrm b}(0.1)\approx0.3681 nat より小さい。入力を偏らせると、受け手の YY の不確かさ H(Y)H(Y) が減り、そのぶん伝わる情報が減る。

木下の勉強ステータス

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