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出てくるもの2:最尤推定と漸近有効性

2026年10月15日6分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第1部 第7章 Fisher 情報と Cramér–Rao
目次
  1. 最尤推定は の最小化
  2. 漸近正規性
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第1部 第7章 §1.7.4 ★★ 最尤推定は経験分布との DD を最小にする推定で、観測が多いとき Cramér–Rao の下限に達する

最尤推定は DD の最小化

観測値 x1,…,xnx_1,\dots,x_n が得られたとき、対数尤度

ℓn(θ)≔∑i=1nln⁡p(xi;θ)(1.7.14)\ell_n(\theta)\coloneqq\sum_{i=1}^n\ln p(x_i;\theta)\tag{1.7.14}

を最大にする θ\theta を最尤推定量 θ^ML\hat\theta_{\mathrm{ML}} と呼ぶ。観測値の経験分布を p^n(x)=1n#{i:xi=x}\hat p_n(x)=\frac1n\#\{i:x_i=x\} とすると、序章の式 (1.1.13) により 1nℓn(θ)=−H(p^n)−D(p^n ∥ pθ)\frac1n\ell_n(\theta)=-H(\hat p_n)-D(\hat p_n\,\|\,p_\theta) で、H(p^n)H(\hat p_n) は θ\theta によらない。したがって最尤推定は、経験分布 p^n\hat p_n から相対エントロピーで測って最も近い族の元 pθp_\theta を選ぶことである。n→∞n\to\infty では大数の法則により p^n\hat p_n が真の分布 pθ0p_{\theta_0} に近づき、D(pθ0 ∥ pθ)D(p_{\theta_0}\,\|\,p_\theta) は θ=θ0\theta=\theta_0 でだけ 0 になるので、θ^ML\hat\theta_{\mathrm{ML}} は真の値 θ0\theta_0 に近づく(一致性)。

漸近正規性

θ^ML\hat\theta_{\mathrm{ML}} が θ0\theta_0 に近いとして、最大の条件 ℓn′(θ^ML)=0\ell_n'(\hat\theta_{\mathrm{ML}})=0 を θ0\theta_0 のまわりで1次まで展開すると

0=ℓn′(θ0)+ℓn′′(θ0) (θ^ML−θ0)+⋯ ,n (θ^ML−θ0)≈ℓn′(θ0)/n−ℓn′′(θ0)/n0=\ell_n'(\theta_0)+\ell_n''(\theta_0)\,(\hat\theta_{\mathrm{ML}}-\theta_0)+\cdots,\qquad \sqrt n\,(\hat\theta_{\mathrm{ML}}-\theta_0)\approx\frac{\ell_n'(\theta_0)/\sqrt n}{-\ell_n''(\theta_0)/n}

となる。分子はスコアの独立な nn 個の和を n\sqrt n で割ったもので、各項は平均 0・分散 J(θ0)J(\theta_0) なので、中心極限定理によって分散 J(θ0)J(\theta_0) の正規分布に近づく。分母は大数の法則によって −⟨∂θsθ⟩=J(θ0)-\langle \partial_\theta s_\theta \rangle =J(\theta_0) に近づく。合わせて

n (θ^ML−θ0) → 分布  N(0, 1J(θ0))(1.7.15)\sqrt n\,(\hat\theta_{\mathrm{ML}}-\theta_0)\ \xrightarrow{\ \text{分布}\ }\ \mathcal N\Bigl(0,\ \frac{1}{J(\theta_0)}\Bigr)\tag{1.7.15}

を得る。分散 1/(nJ)1/(nJ) は Cramér–Rao の下限そのものである。有限の nn では最尤推定量に偏りが残ることがあるが、偏りは O(1/n)\mathcal{O}(1/n) で、標準偏差 O(1/n)\mathcal{O}(1/\sqrt n) より速く消える。最尤推定が「nn が大きいとき下限に達する」というこの性質を漸近有効性と呼ぶ。この節の議論は 1/n→01/n\to0 の極限での主要項だけを残したもので、剰余が本当に小さいことの証明には正則条件の第二(3回微分の一様な有界性)と一致性が要る。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの 1/n→01/n\to0(観測の回数が多い) | 証明 条件付き(Cramér の正則条件:台が θ\theta によらない・3階微分が可積分な関数で一様に押さえられる・0<J<∞0<J<\infty・識別可能) | 行き先 近似の数理 第1章

下限を下回る推定量

式 (1.7.15) は「漸近分散が 1/J1/J より小さい推定量は無い」とは言っていない。J. L. Hodges は、標本平均を0 の近くでだけ 0 に丸める推定量が、θ=0\theta=0 の1点で漸近分散 0 を持ち、それ以外では標本平均と同じ漸近分散を持つことを示した(L. Le Cam (1953), Univ. California Publ. Statist. 1, 277–330 に収録)。このような推定量は、下限を下回る点の近くの θ\theta では成績が悪い。「正規近似の分散が 1/J1/J を下回る点は、測度 0 の集合に限られる」という形で下限を言い直したのが Le Cam の定理である。

図

図 1.7.2 Cauchy 分布の位置パラメータを、標本の中央値と最尤推定で推定したときの2乗誤差の平均に nn を掛けたもの(各 nn で4000回の乱数実験。verify_ch1-07.py が出した値)。点線は厳密な漸近値で、最尤推定は Cramér–Rao の下限 1/J=21/J=2 に、中央値は π2/4≈2.47\pi^2/4\approx2.47 に近づく。

例題 1.7.4 Cauchy 分布の位置:平均は使えず、中央値より最尤が良い ★★

オリジナルXX が位置 θ\theta の Cauchy 分布 p(x;θ)=1π(1+(x−θ)2)p(x;\theta)=\dfrac{1}{\pi\bigl(1+(x-\theta)^2\bigr)} に従う。

  1. J(θ)=12J(\theta)=\frac12 を示せ。
  2. 標本の中央値 θ~n\tilde\theta_n の漸近分散は、密度 pp の中央での値を使って 1/(4n p(θ;θ)2)1/\bigl(4n\,p(\theta;\theta)^2\bigr) で与えられる。これを求め、Cramér–Rao の下限との比(漸近効率)を求めよ。
  3. 標本平均が θ\theta の推定に使えない理由を述べよ。
解答

(1) u=x−θu=x-\theta とおくと sθ=2u1+u2s_\theta=\dfrac{2u}{1+u^2} なので

J=∫−∞∞4u2(1+u2)2 duπ(1+u2)=4π∫−∞∞u2(1+u2)3 du=4π⋅π8=12J=\int_{-\infty}^{\infty}\frac{4u^2}{(1+u^2)^2}\,\frac{\mathrm{d} u}{\pi(1+u^2)}=\frac4\pi\int_{-\infty}^\infty\frac{u^2}{(1+u^2)^3}\,\mathrm{d} u=\frac4\pi\cdot\frac\pi8=\frac12

である(u=tan⁡φu=\tan\varphi と置くと ∫u2(1+u2)−3du=∫−π/2π/2sin⁡2φcos⁡2φ dφ=π/8\int u^2(1+u^2)^{-3}\mathrm{d} u=\int_{-\pi/2}^{\pi/2}\sin^2\varphi\cos^2\varphi\,\mathrm{d}\varphi=\pi/8)。

(2) p(θ;θ)=1/πp(\theta;\theta)=1/\pi なので漸近分散は π2/(4n)≈2.47/n\pi^2/(4n)\approx2.47/n である。下限は 1/(nJ)=2/n1/(nJ)=2/n なので、漸近効率は (2/n)/(π2/(4n))=8/π2≈0.811(2/n)/(\pi^2/(4n))=8/\pi^2\approx0.811。中央値は下限の約8割の効率で、最尤推定(漸近分散 2/n2/n)より誤差が大きい。図 1.7.2 の乱数実験はこの2つの値に近づいている。

(3) Cauchy 分布は平均を持たない(∫∣x∣p dx\int\lvert x\rvert p\,\mathrm{d} x が発散する)。nn 個の標本平均はもとと同じ Cauchy 分布に従い、nn を増やしても広がりが縮まない。分散が有限という Cramér–Rao の前提を満たさない推定量なので、下限と比べる対象にならない。

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