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出てくるもの3:カノニカル分布の Fisher 情報は熱容量

2026年10月15日7分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第1部 第7章 Fisher 情報と Cramér–Rao
目次
  1. 逆温度の Fisher 情報はエネルギーの分散
  2. 温度の推定の限界
  3. Gibbs 分布どうしの
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第1部 第7章 §1.7.5 ★★ 温度を推定する精度の限界は、測る系の熱容量で決まる

逆温度の Fisher 情報はエネルギーの分散

温度 TT の熱浴に接した系の微視的な状態 xx の確率は、カノニカル分布

p(x;β)=e−βE(x)Z(β),Z(β)=∑xe−βE(x),β=1kBT(1.7.16)p(x;\beta)=\frac{\mathrm{e}^{-\beta E(x)}}{Z(\beta)},\qquad Z(\beta)=\sum_x\mathrm{e}^{-\beta E(x)},\qquad \beta=\frac1{ k_{\mathrm B} T}\tag{1.7.16}

で与えられる(解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第3部第3章。情報の側からの導き方は 第2部第1章)。この巻では HH を Shannon エントロピーに使うので、状態 xx のエネルギーを E(x)E(x) と書く。これは β\beta をパラメータとする指数型分布族である。スコアは sβ(x)=−E(x)−∂βln⁡Z=−E(x)+⟨E⟩βs_\beta(x)=-E(x)-\partial_\beta\ln Z=-E(x)+\langle E \rangle _\beta で、Fisher 情報は

J(β)=⟨(E−⟨E⟩β)2⟩β=Varβ(E)=∂2ln⁡Z∂β2(1.7.17)J(\beta)=\langle (E-\langle E \rangle _\beta)^2 \rangle _\beta=\mathrm{Var}_\beta(E)=\frac{\partial^2\ln Z}{\partial\beta^2}\tag{1.7.17}

となる。逆温度についての Fisher 情報は、エネルギーの揺らぎの大きさそのものである。

温度の推定の限界

統計力学で知られている揺らぎと熱容量の関係 Varβ(E)=kBT2CV\mathrm{Var}_\beta(E)= k_{\mathrm B} T^2C_V(CV=∂⟨E⟩/∂TC_V=\partial\langle E \rangle /\partial T)を使い、付け替えの式 (1.7.9) で β\beta から TT に移る(dβ/dT=−1/(kBT2)\mathrm{d}\beta/\mathrm{d} T=-1/( k_{\mathrm B} T^2))と

J(T)=Varβ(E)(1kBT2)2=CVkBT2(1.7.18)J(T)=\mathrm{Var}_\beta(E)\Bigl(\frac{1}{ k_{\mathrm B} T^2}\Bigr)^2=\frac{C_V}{ k_{\mathrm B} T^2}\tag{1.7.18}

を得る。系のエネルギーを nn 回独立に測って温度を推定するとき、Cramér–Rao の不等式から

Var(T^)T2≥kBn CV(1.7.19)\frac{\mathrm{Var}(\hat T)}{T^2}\ge\frac{ k_{\mathrm B}}{n\,C_V}\tag{1.7.19}

となる。熱容量の小さい温度計ほど、1回の測定から読み取れる温度の情報が少ない。熱容量が小さいとは、温度を変えてもエネルギーの分布がほとんど変わらないことで、分布の変化が小さければ見分けにくいという、1.7.1 節の DD の読み方と同じ理由である。カノニカル分布ではエネルギー EE が十分統計量なので、エネルギーの測定は状態 xx そのものを見るのと同じ Fisher 情報を持つ(命題 1.7.2 の等号)。

外場 hh が磁化 M(x)M(x) と −hM-hM の形で結合する場合も同じ計算で J(h)=β2Var(M)J(h)=\beta^2\mathrm{Var}(M) となり、揺らぎと応答の関係(解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第3部第9章)から、これは帯磁率に比例する。統計力学の応答係数は、どれも対応するパラメータの Fisher 情報として読める。

Gibbs 分布どうしの DD

カノニカル分布どうしの相対エントロピーは自由エネルギーで書ける。F(β)=−β−1ln⁡Z(β)F(\beta)=-\beta^{-1}\ln Z(\beta) とすると

D(pβ ∥ pβ′)=(β′−β)⟨E⟩β+ln⁡Z(β′)Z(β)(1.7.20)D(p_\beta\,\|\,p_{\beta'})=(\beta'-\beta)\langle E \rangle _\beta+\ln\frac{Z(\beta')}{Z(\beta)}\tag{1.7.20}

で、これを β′=β+δ\beta'=\beta+\delta で2次まで展開すると 12 ∂β2ln⁡Z δ2=12Varβ(E) δ2\frac12\,\partial_\beta^2\ln Z\,\delta^2=\frac12\mathrm{Var}_\beta(E)\,\delta^2 となり、式 (1.7.17) と合う。Gibbs 分布でない一般の分布 pp と Gibbs 分布の DD が自由エネルギーの差になること(Gibbs の変分原理)は第2部第2章(第2部第2章)で扱う。量子系の温度計の精度は、量子 Fisher 情報を使って第3部第8章で同じ形に書ける。

図

図 1.7.3 エネルギー差 ε\varepsilon の2準位系を温度計にしたときの、温度についての Fisher 情報(ε2/kB2\varepsilon ^2/ k_{\mathrm B}^2 を単位にした値)。kBT≈0.242 εk_{\mathrm B} T\approx0.242\,\varepsilon で最大になり、それより低温でも高温でも急に小さくなる(例題 1.7.5)。

例題 1.7.5 2準位系の温度計が最もよく働く温度 ★★

オリジナルエネルギー 00 と ε>0\varepsilon >0 の2つの状態だけを持つ系が温度 TT の熱浴と平衡にある。系がどちらの状態にあるかを測って TT を推定する。

  1. x=βεx=\beta\varepsilon とおいて、熱容量 CVC_V と温度についての Fisher 情報 J(T)J(T) を xx で表せ。
  2. ε\varepsilon を固定して TT を動かしたとき、J(T)J(T) を最大にする xx が満たす方程式を導き、数値で解け。
  3. 1回の測定あたりの相対誤差の下限 kB/CV\sqrt{ k_{\mathrm B}/C_V} を、その温度で求めよ。
解答

(1) 上の状態の確率は q=1/(1+ex)q=1/(1+\mathrm{e}^{x}) で、EE は 00 か ε\varepsilon の値をとるので Var(E)=ε2q(1−q)=ε2ex/(1+ex)2\mathrm{Var}(E)=\varepsilon ^2q(1-q)=\varepsilon ^2\mathrm{e}^x/(1+\mathrm{e}^x)^2 である。Var(E)=kBT2CV\mathrm{Var}(E)= k_{\mathrm B} T^2C_V より CV/kB=x2ex/(1+ex)2C_V/ k_{\mathrm B}=x^2\mathrm{e}^x/(1+\mathrm{e}^x)^2。式 (1.7.18) と T=ε/(kBx)T=\varepsilon /( k_{\mathrm B} x) から

J(T)=CVkBT2=kB2ε2 x4ex(1+ex)2J(T)=\frac{C_V}{ k_{\mathrm B} T^2}=\frac{ k_{\mathrm B}^2}{\varepsilon ^2}\,\frac{x^4\mathrm{e}^x}{(1+\mathrm{e}^x)^2}

となる。

(2) g(x)=x4ex/(1+ex)2g(x)=x^4\mathrm{e}^x/(1+\mathrm{e}^x)^2 の対数微分は 4x+1−2ex1+ex=4x−tanh⁡x2\dfrac4x+1-\dfrac{2\mathrm{e}^x}{1+\mathrm{e}^x}=\dfrac4x-\tanh\dfrac x2 なので、最大の条件は

xtanh⁡x2=4x\tanh\frac x2=4

である。x=4x=4 で左辺は 3.8563.856、x=4.2x=4.2 で 4.0764.076 なので解はその間にあり、数値で解くと x=4.131x=4.131、すなわち kBT=0.242 εk_{\mathrm B} T=0.242\,\varepsilon を得る(図 1.7.3)。このとき g=4.53g=4.53 である。

(3) x=4.131x=4.131 で CV/kB=x2ex/(1+ex)2=0.265C_V/ k_{\mathrm B}=x^2\mathrm{e}^x/(1+\mathrm{e}^x)^2=0.265 なので kB/CV=1.94\sqrt{ k_{\mathrm B}/C_V}=1.94 である。1回の測定では温度の相対誤差が約2倍(194%)にもなり、相対誤差を10%にするには n≥(1.94/0.1)2≈377n\ge(1.94/0.1)^2\approx377 回の測定が要る。最適な温度はエネルギー差の約4分の1である。それより低温では系がほとんど下の状態にいて、高温では2つの状態がほぼ等確率になるので、どちらの場合も測定結果の分布が温度によってほとんど変わらない。

ほかの巻では

木下の勉強ステータス

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