この章のまとめ
AI 生成・木下が未勉強
相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第6部 第1章 §6.1.7 ★★★ 回路モデルは「初期化・ゲート・最後の測定」の約束で、1量子ビットのゲートと CNOT で厳密に、 で近似的に万能になる。ゲートの数の下限は情報量の数え上げで決まり、測定型と断熱型も同じ力を持つ
回路モデルは、量子ビットを から始め、ゲートを順に当て、最後に計算基底で測る約束だった。1量子ビットのゲートは Bloch 球の回転で、ZYZ 分解によって と の2つの軸のまわりの回転に分けられる。2量子ビットのゲートは CNOT を標準に取り、制御つきのゲートを CNOT 2個と1量子ビットのゲートで作る補題と、任意のユニタリを 個の2準位ユニタリに分ける定理を合わせると、1量子ビットのゲートと CNOT で任意のユニタリが厳密に作れた。
有限のゲート集合では、作れるユニタリは数えられるだけなので、万能性は近似の意味になる。誤りはゲートごとに足し算で積み上がり、全体の誤り は Helstrom の成功確率 を通して測定で見分けられる限界を与えた。 の回転角が の無理数倍であることから は1量子ビットで万能になり、Solovay–Kitaev の定理は必要なゲートの数が で済むことを保証した。
情報の側から見ると、 個のゲートの回路は ビットで書け、精度 で見分けたい 量子ビットのユニタリを名指すには ビットが要る。この2つを比べて、ほとんどのユニタリは に比例する数のゲートを要することが分かった。量子計算で速く解ける問題は、少ないビットで書ける特別なユニタリに限られる。測定型(クラスター状態を1量子ビットずつ測る)と断熱型(Hamiltonian をゆっくり変える)は、どちらも回路と多項式の手間で真似し合える。測定型の測定結果は入力について何も教えず、計算の情報はすべて測定の角の選び方にあった。
次の章(第6部第2章)では、この章の部品で量子 Fourier 変換を組み、ユニタリの固有値を読む位相推定を作る。 ゲートが誤り訂正の中で特別扱いになる理由は第6部第5章で扱う。
この章の道具
- 回転 。ZYZ 分解 。
- 、。、。
- 制御 :、 で CNOT 2個。2準位ユニタリへの分解は 個。
- 誤りの積み上がり 、。
- Solovay–Kitaev:長さ 、。数え上げ:。
- 測定型の1段:、結果は確率 。断熱型の探索:、局所の速さで 。
総合問題 測定型の計算で1量子ビットの回転を作る ★★★
オリジナル直線に並んだクラスター状態の端に入力 を置き、3個の量子ビットを角 で順に測って1量子ビットのゲートを作る(図 6.1.3)。各段の測定は命題 6.1.12 に従うとする。
- (1) (使う道具:6.1.1節) と、ZYZ の形 を確かめよ。
- (2) (使う道具:6.1.5節・6.1.1節)副産物の Pauli 行列を次の段の角の符号で吸収すると、出力が に副産物 を掛けたものになることを示し、これが全体の位相を除いて であることを確かめよ。これで任意の1量子ビットのゲートが作れる理由を述べよ。
- (3) (使う道具:6.1.5節/第3部第6章)各段の測定結果と入力 の間の相互情報量を求め、テレポーテーションで Alice の測定結果が入力について何も教えなかったことと比べよ。
- (4) (使う道具:6.1.3節/第3部第1章)測定の角が装置の誤差で各段 だけずれるとする。1段のゲートの誤り を求め、10段続けたときの全体の誤りの上限と、理想の出力と見分ける成功確率の上限を求めよ。
- (5) (使う道具:6.1.3節・6.1.4節)すべての角が の倍数のとき、各段のゲート が Pauli 行列を Pauli 行列へ移すこと(Clifford 群の元であること)を確かめ、この場合の測定型の計算が古典の計算機で効率よく真似できる理由を述べよ。 では何が変わるか。
解答
(1) から 。ZYZ の形は、 が Bloch 球で 軸を 軸のまわりに 回したもの、すなわち になることから、 である。
(2) ある段の直前に副産物 が付いているとする。 は と交換し、 なので、測る角を に選べば(位相を除く)となる。続く を通すと (符号を除く)で、この段の新しい副産物 と合わせて、副産物は に更新される。3段を通すと、出力は の形になる。 と (1) の を使い、 と括ると、全体の位相を除いて である。・・ の Euler 角は ZYZ 分解と同じく任意の回転を表す(軸 を軸 に替えても直交する2軸であることは変わらない)ので、3つの角を選べば任意の1量子ビットのゲートに を掛けたものが作れる。最後の と副産物の Pauli 行列は、既知の Clifford 群の元なので、後の段で打ち消すか測定の解釈で読み替えればよい。
(3) 命題 6.1.12 から、各段の結果 は入力 と角によらず確率 で出る。結果の分布が入力によらないので、入力(を指定する変数)と結果の相互情報量は である。テレポーテーションでも、Alice の Bell 測定の4つの結果は確率 ずつで入力によらず、結果と入力の相互情報量は だった。測定型の各段は、入力を隣の量子ビットへテレポートしながらゲートを当てる手続きで、測定結果は副産物の補正に使われるだけで、入力の情報を外へ持ち出さない。
(4) なので、ノルムは 。( を掛けても値は変わらない。)補題 6.1.8 から10段の全体の誤りは 以下で、式 (6.1.6) と Helstrom の結果から、見分ける成功確率は 以下である。
(5) なら で、 と はどちらも Pauli 行列を符号を除いて Pauli 行列へ移す(、、、)。したがって は Clifford 群の元である。クラスター状態は に CZ を当てて作るスタビライザー状態で、Clifford 群のゲートと Pauli 行列の測定だけを使う計算は、Gottesman–Knill の定理により、4節で見たように ビットの表をたどって古典の計算機で効率よく真似できる。 では が を へ移し、Pauli 行列でないものになるので Clifford 群の外へ出る。測定型の計算が古典を超えるには、 の倍数でない角の測定が少なくとも一部に要る。これは回路で ゲートが要ったこと(3節)の、測定型での姿である。
木下の勉強ステータス
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