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当てる道具:Euler–Lagrange 方程式と座標の取り替え

2026年10月15日6分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第1部 第5章 L=T-V の由来
目次
  1. Euler–Lagrange 方程式は座標によらない
  2. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第1部 第5章 §1.5.2 ★★★ 作用は座標の選び方によらない数なので、Euler–Lagrange 方程式はどの一般化座標でも同じ形をとる。L=T−VL=T-V を直交座標で書いて代入するだけで済む

Euler–Lagrange 方程式は座標によらない

Newton の運動方程式 (1.5.3) は直交座標で書かれていて、極座標で使うには加速度の成分 r¨−rφ˙2\ddot r-r\dot\varphi^2 や rφ¨+2r˙φ˙r\ddot\varphi+2\dot r\dot\varphi を別に計算する必要がある。Euler–Lagrange 方程式にはこの手間が無い。その理由は、作用の値が「経路に沿った LL の積分」という1つの数で、経路をどの座標で表したかによらないことにある。

一般化座標 q=(q1,…,qf)q=(q_1,\dots,q_f) から別の一般化座標 Q=(Q1,…,Qf)Q=(Q_1,\dots,Q_f) への取り替え qi=qi(Q,t)q_i=q_i(Q,t) を考える。各時刻で Q↦qQ\mapsto q は滑らかで逆を持つとする(一般化座標の取り方は 第1部第2章)。速度は連鎖律で

q˙i=∑j∂qi∂QjQ˙j+∂qi∂t\dot q_i=\sum_j\frac{\partial q_i}{\partial Q_j}\dot Q_j+\frac{\partial q_i}{\partial t}

となるので、新しい Lagrangian を L~(Q,Q˙,t)≔L(q(Q,t),q˙(Q,Q˙,t),t)\tilde L(Q,\dot Q,t)\coloneqq L\bigl(q(Q,t),\dot q(Q,\dot Q,t),t\bigr) と定める。同じ経路を qq で表しても QQ で表しても、作用は同じ数になる。

命題 1.5.2(座標を取り替えても Euler–Lagrange 方程式の形は変わらない ★★★)

上の取り替えのもとで

δSδQj(t)=∑i=1fδSδqi(t) ∂qi∂Qj(j=1,…,f)(1.5.5)\frac{\delta S}{\delta Q_j(t)}=\sum_{i=1}^f\frac{\delta S}{\delta q_i(t)}\,\frac{\partial q_i}{\partial Q_j}\qquad(j=1,\dots,f)\tag{1.5.5}

が成り立つ。左辺は L~\tilde L で、右辺は LL で計算した Euler–Lagrange 方程式の左辺である。行列 (∂qi/∂Qj)(\partial q_i/\partial Q_j) は逆を持つので、一方の座標で Euler–Lagrange 方程式が成り立つことと、他方の座標で成り立つことは同じである。

証明

変分 δ\delta は時刻 tt を止めた操作(第1部第3章)なので、経路 QQ を δQ\delta Q だけずらしたときの qq のずれは、同じ時刻での連鎖律で δqi=∑j(∂qi/∂Qj) δQj\delta q_i=\sum_j(\partial q_i/\partial Q_j)\,\delta Q_j になる。δQ\delta Q が端で 00 なら δq\delta q も端で 00 である。作用は同じ数なので

δS=∫∑iδSδqi(t) δqi dt=∫∑j[∑iδSδqi(t)∂qi∂Qj]δQj dt\delta S=\int\sum_i\frac{\delta S}{\delta q_i(t)}\,\delta q_i\,\mathrm{d} t=\int\sum_j\Bigl[\sum_i\frac{\delta S}{\delta q_i(t)}\frac{\partial q_i}{\partial Q_j}\Bigr]\delta Q_j\,\mathrm{d} t

で、汎関数微分の一意性から角括弧が δS/δQj(t)\delta S/\delta Q_j(t) である。

この命題の要点は、Newton の運動方程式のように「ベクトルの成分」を座標ごとに変換し直す必要がなく、スカラー LL を新しい座標で書き直すだけでよいことである。運動エネルギーは速度の2乗という座標によらない量なので、極座標なら ∣r˙∣2=r˙2+r2φ˙2\lvert \dot{\bm{r}}\rvert ^2=\dot r^2+r^2\dot\varphi^2 を入れればよい。時刻によって動く座標(回転する座標系など)でも、∂qi/∂t≠0\partial q_i/\partial t\neq0 の項が速度に入るだけで、手順は同じである。

直交座標から極座標へ

平面上の質点で x=rcos⁡φx=r\cos\varphi、y=rsin⁡φy=r\sin\varphi とすると、x˙=r˙cos⁡φ−rφ˙sin⁡φ\dot x=\dot r\cos\varphi-r\dot\varphi\sin\varphi、y˙=r˙sin⁡φ+rφ˙cos⁡φ\dot y=\dot r\sin\varphi+r\dot\varphi\cos\varphi で、x˙2+y˙2=r˙2+r2φ˙2\dot x^2+\dot y^2=\dot r^2+r^2\dot\varphi^2 となる。∂x/∂r=cos⁡φ\partial x/\partial r=\cos\varphi、∂x/∂φ=−rsin⁡φ\partial x/\partial\varphi=-r\sin\varphi などから、式 (1.5.5) は

δSδr=cos⁡φ δSδx+sin⁡φ δSδy,δSδφ=−rsin⁡φ δSδx+rcos⁡φ δSδy\frac{\delta S}{\delta r}=\cos\varphi\,\frac{\delta S}{\delta x}+\sin\varphi\,\frac{\delta S}{\delta y},\qquad \frac{\delta S}{\delta\varphi}=-r\sin\varphi\,\frac{\delta S}{\delta x}+r\cos\varphi\,\frac{\delta S}{\delta y}

となる。1つ目は運動方程式の動径成分、2つ目は接線成分に rr を掛けたもの(力のモーメント)である。

例題 1.5.2 中心力の運動方程式を極座標で出す ★★★

オリジナル平面上の質量 mm の質点が、原点からの距離だけによるポテンシャル V(r)V(r) の中を動く。

  1. (1) 極座標 (r,φ)(r,\varphi) で LL を書け。
  2. (2) rr と φ\varphi の Euler–Lagrange 方程式を書き、Newton の運動方程式の動径成分・接線成分とどう対応するか述べよ。
  3. (3) V=12kr2V=\frac12kr^2 のとき、半径 R0R_0 の等速円運動 r=R0r=R_0、φ=Ωt\varphi=\Omega t が解になる Ω\Omega を求めよ。
解答

(1) 上の例から L=12m(r˙2+r2φ˙2)−V(r)L=\frac12m(\dot r^2+r^2\dot\varphi^2)-V(r)。

(2) rr について、∂L/∂r˙=mr˙\partial L/\partial\dot r=m\dot r、∂L/∂r=mrφ˙2−V′(r)\partial L/\partial r=mr\dot\varphi^2-V'(r) なので

m(r¨−rφ˙2)=−V′(r).m(\ddot r-r\dot\varphi^2)=-V'(r).

左辺の r¨−rφ˙2\ddot r-r\dot\varphi^2 は加速度の動径成分で、−rφ˙2-r\dot\varphi^2 が向心加速度の項にあたる。右辺は力の動径成分である。φ\varphi について、∂L/∂φ˙=mr2φ˙\partial L/\partial\dot\varphi=mr^2\dot\varphi、∂L/∂φ=0\partial L/\partial\varphi=0 なので

ddt(mr2φ˙)=0.\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}\bigl(mr^2\dot\varphi\bigr)=0 .

ddt(mr2φ˙)=mr(rφ¨+2r˙φ˙)\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}(mr^2\dot\varphi)=mr(r\ddot\varphi+2\dot r\dot\varphi) で、rφ¨+2r˙φ˙r\ddot\varphi+2\dot r\dot\varphi は加速度の接線成分である。中心力には接線成分が無いので右辺は 00 で、角運動量 mr2φ˙mr^2\dot\varphi が保存する。加速度の極座標成分を別に導かなくても、TT を極座標で書くだけで2つの成分が両方とも出てくる。

(3) r=R0r=R_0 で r¨=0\ddot r=0 なので、rr の式は −mR0Ω2=−kR0-mR_0\Omega^2=-kR_0。よって Ω=k/m\Omega=\sqrt{k/m} で、半径 R0R_0 によらない。φ\varphi の式は φ˙\dot\varphi が一定なので満たされている。等方的な調和振動子では、どの半径の円軌道も同じ角振動数で回る。

木下の勉強ステータス

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