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配置と自由度

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第1部 第2章 一般化座標
目次
  1. 配置の空間
  2. ホロノミックな拘束
  3. 例
  4. 拘束は硬いばねの極限
  5. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第1部 第2章 §1.2.1 ★★★ 粒子の座標 3N3N 個から独立な拘束の数 kk を引いた f=3N−kf=3N-k が、配置を決めるのに要る数の個数

Newton の運動方程式 mar¨a=Fam_a\ddot{\bm{r}}_a=\bm{F}_a は、粒子の位置を直交座標で書くことを前提にしている。振り子のおもりや、輪に通した玉のように、粒子の動ける範囲が棒や針金で限られている系では、この書き方には2つの不便がある。1つは、棒や針金が粒子に及ぼす力(拘束力)があらかじめ分からず、運動を解いてはじめて決まることである。もう1つは、動ける範囲が直交座標の面に沿っていないので、振り子の角度のような「その系に合った数」で運動を書きたくなるが、直交座標の加速度を角度で書き直すと、遠心力や Coriolis 力にあたる項が単位ベクトルの微分から現れ、式が見通しにくくなることである。

この章では、系の配置を、拘束を最初から満たす ff 個の数 q1,…,qfq_1,\dots,q_f(一般化座標)で表す方法を作る。作る道具は5つある。1つ目は自由度の数え方で、粒子の座標の数から独立な拘束の数を引く。2つ目は位置を一般化座標で書く座標の写像 ra(q,t)\bm{r}_a(q,t) と、その選び方の自由さと限界である。3つ目は速度の式と、時刻を止めた変位(仮想変位)である。ここで、後の章の計算で何度も使う2つの恒等式を導く。4つ目は運動エネルギー TT を一般化速度の2次式として書く式で、その係数(質量行列)を使うと、配置の空間で長さを測ることができる。5つ目は一般化力で、加速度を一般化座標の向きへ射影したものが TT だけで書けることを示し、拘束力が仮想仕事をしないとき、Newton の方程式から拘束力を消して ff 本の式が残ることを確かめる。

この章では運動方程式を新しく仮定しない。Newton の方程式を一般化座標で書き直すだけである。同じ式が作用 S[q]=∫(T−V) dtS[q]=\int(T-V)\,\mathrm{d} t の停留から出ることは、第3・4章の変分法の道具をそろえたあと、第1部第5章で示す。拘束力が仮想仕事をしないという仮定の中身と、速度に関する拘束(転がる円板など)の扱いは 第1部第6章で扱う。

配置の空間

NN 個の粒子からなる系を考え、粒子に番号 a=1,…,Na=1,\dots,N を付けて、質量を mam_a、位置を ra\bm{r}_a と書く。ある時刻の全粒子の位置の組 (r1,…,rN)(\bm{r}_1,\dots,\bm{r}_N) を系の配置と呼ぶ。配置は 3N3N 個の実数で決まるので、3N3N 次元の空間 R3N\mathbb{R}^{3N} の1点とみなせる。粒子が自由に動けるなら、配置はこの空間のどの点もとれる。

ホロノミックな拘束

棒や針金があると、配置のとれる範囲が限られる。この章では、その制限が位置と時刻の等式

Φs(r1,…,rN,t)=0(s=1,…,k)(1.2.1)\Phi_s(\bm{r}_1,\dots,\bm{r}_N,t)=0\qquad(s=1,\dots,k)\tag{1.2.1}

で書ける場合を扱い、これをホロノミックな拘束と呼ぶ。たとえば長さ ℓ\ell の棒の一端を原点に固定し、他端におもりを付けた振り子ではΦ1=∣r1∣2−ℓ2=0\Phi_1=\lvert \bm{r}_1\rvert ^2-\ell^2=0 が拘束である。おもりが鉛直面の中だけを動くなら、Φ2=z1=0\Phi_2=z_1=0 も加わる。Φs\Phi_s が時刻 tt を含まない拘束を時間によらない拘束、含む拘束を時間による拘束と呼ぶ。一定の角速度 Ω\Omega で回る棒に通した玉は、棒の向きが時刻とともに変わるので、時間による拘束を受ける。

kk 本の拘束が独立であるとは、kk 本の式の勾配(3N3N 成分のベクトル ∂Φs/∂ra\partial\Phi_s/\partial\bm{r}_a を並べたもの)が、考えている配置のまわりで1次独立であることをいう。独立な kk 本の拘束を満たす配置の全体は、R3N\mathbb{R}^{3N} の中の 3N−k3N-k 次元の曲面になる(陰関数定理による)。この曲面を配置の空間と呼び、その次元

f=3N−k(1.2.2)f=3N-k\tag{1.2.2}

を系の自由度と呼ぶ。自由度は、配置を1つに決めるために自分で選んで指定しなければならない数の個数である。

拘束が独立でないと、式の本数がそのまま減る数にならない。3つの粒子を3本の棒で三角形につなぐと、3本の距離の式は独立で f=9−3=6f=9-3=6 になる。ところが3つの粒子を一直線に並べて棒でつなぐと、両端の距離の式は残りの2本から決まってしまうので、独立な拘束は2本しかない。拘束を数えるときは、本数でなく独立な本数を数える。

例

鉛直面内の振り子は N=1N=1, k=2k=2 で f=1f=1 である(角度1つで配置が決まる)。鉛直面内の二重振り子(固定点から長さ ℓ1\ell_1 の棒でおもり1、そこから長さ ℓ2\ell_2 の棒でおもり2を吊るしたもの)はN=2N=2 で、拘束は2本の棒の長さと、2つのおもりが面内にあることの合わせて4本なので f=6−4=2f=6-4=2 である。2つの粒子を長さ一定の棒でつないだ亜鈴は f=6−1=5f=6-1=5 で、重心の位置3つと棒の向き2つ(極角と方位角)にあたる。変形しない物体(剛体)は、どれだけ多くの粒子でできていても f=6f=6 である(重心の位置3つと向き3つ。例題 1.2.1)。

拘束が位置でなく速度の式でしか書けない場合もある。床の上を滑らずに転がる円板は、接点の速度が 00 という条件を持つが、この条件は積分して位置の式 (1.2.1) にすることができない。この種の拘束(ノンホロノミックな拘束)の扱いは第1部第6章に回し、この章ではすべての拘束がホロノミックであるとする。

拘束は硬いばねの極限

現実の棒はわずかに伸び縮みする。振り子の棒を、自然長 ℓ\ell・ばね定数 KK の硬いばねに置き換えると、拘束の無い2自由度の系になる。KK を大きくしていくと、ばねの伸びは小さくなり、おもりの運動は棒の振り子に近づくはずである。実際に g=9.81 m s−2g=9.81\,\mathrm{m\,s^{-2}}, ℓ=1 m\ell=1\,\mathrm m で、ばねを自然長にしたまま角度 0.5 rad0.5\,\mathrm{rad} から静かに放し、5秒間の運動を数値で比べると、K/m=103 s−2K/m=10^3\,\mathrm{s^{-2}} では角度の差の最大が約 0.05 rad0.05\,\mathrm{rad}(伸びの最大は約 0.02 m0.02\,\mathrm m)、K/m=105 s−2K/m=10^5\,\mathrm{s^{-2}} では約 5×10−4 rad5\times10^{-4}\,\mathrm{rad} になった。KK を10倍にするたびに差は約 1/101/10 になる。

ホロノミックな拘束は、このように「拘束に垂直な向きの復元力をとても強くした極限」として理解できる。極限が拘束した運動に一致するかどうかは、ばねの方向の速い振動と、拘束面に沿ったゆっくりした運動とを分けて調べる問題で、初めにばねの方向の振動が残っている場合にも一致するかどうかは、ここでは確かめていない。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの g/ℓ/K/m→0\sqrt{g/\ell}\big/\sqrt{K/m}\to0(拘束に垂直な振動の周期が運動の時間尺度より十分短い) | 証明 要確認(初めに拘束を満たし拘束に垂直な速度が 00 の場合を数値で確かめただけ。一般の初期条件での極限の前提は原論文で未確認) | 行き先 近似の数理 第7章

例題 1.2.1 剛体の自由度は粒子の数によらず6 ★★

オリジナル変形しない物体を、互いの距離が一定に保たれた NN 個(N≥3N\ge3、すべてが一直線上にはない)の粒子とみなす。

  1. (1) 一直線上にない3つの粒子を3本の棒で三角形につないだ系の自由度を求めよ。
  2. (2) (1) に4つ目の粒子を加え、もとの3つの粒子それぞれと棒でつないだ(4つの粒子は同じ平面上にない)。自由度を求めよ。
  3. (3) 一般の NN で、距離を固定するのに要る独立な拘束の本数が 3N−63N-6 であることを、(2) の手順を繰り返して示せ。N=5N=5 のとき、粒子のすべての組の距離 (52)=10\binom52=10 本を固定すると、拘束の本数と独立な本数はどう違うか。
解答

(1) 座標は 3×3=93\times3=9 個、拘束は3本の距離で、三角形がつぶれていなければ独立である。f=9−3=6f=9-3=6。6つの数は、たとえば1つ目の粒子の位置3つと、三角形の向きを決める角度3つにとれる。

(2) 座標は 1212 個、拘束は 3+3=63+3=6 本で、f=12−6=6f=12-6=6 である。4つ目の粒子の位置は、既に決まった3点からの距離3つでほぼ決まる(3つの球面の交点は2つあるが、どちらかは連続には移れないので、運動の途中で入れ替わることはない)。したがって4つ目を加えても新しい自由度は増えない。

(3) 3つの粒子の三角形から始めて、粒子を1つ加えるたびに、既にある3つの粒子との距離を3本固定すれば、座標が3つ増えて拘束も3本増える。拘束の本数は 3+3(N−3)=3N−63+3(N-3)=3N-6 で、自由度は 3N−(3N−6)=63N-(3N-6)=6 のまま変わらない。N=5N=5 ですべての組の距離を固定すると拘束は 1010 本になるが、独立なのは 3⋅5−6=93\cdot5-6=9 本で、残る1本はほかの9本から決まる。式の本数をそのまま引くと f=15−10=5f=15-10=5 と誤るので、独立な本数を数える必要がある。

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