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母関数:正準変換を1つの関数で書く

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第1部 第12章 正準変換:時間発展から入って母関数へ
目次
  1. 面積を保つことを線積分で書く
  2. 4つの型
  3. 無限小変換の母関数
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第1部 第12章 §1.12.4 ★★★ 「面積を保つ」を p dq−P dQp\,\mathrm{d} q-P\,\mathrm{d} Q が全微分であることに直すと、正準変換は1つの関数 FF で書くことができる。4つの型は互いに Legendre 変換

面積を保つことを線積分で書く

正準変換かどうかを判定するには括弧を計算すればよいが、正準変換を新しく作るには別の書き方が要る。1自由度で考える。(q,p)(q,p) 平面の閉曲線 CC に沿った線積分 ∮Cp dq\oint_Cp\,\mathrm{d} q は、Green の定理により CC が囲む面積に等しい(CC を時計回りに回るときは正、反時計回りでは負)。正準変換は面積と向きを保つので、CC の像を C′C' とすると ∮Cp dq=∮C′P dQ\oint_Cp\,\mathrm{d} q=\oint_{C'}P\,\mathrm{d} Q である。右辺を CC の上の積分に書き直すと、どんな閉曲線 CC についても

∮C(p dq−P dQ)=0(1.12.10)\oint_C\bigl(p\,\mathrm{d} q-P\,\mathrm{d} Q\bigr)=0\tag{1.12.10}

が成り立つ。ここで QQ, PP は CC の上で (q,p)(q,p) の関数として動く。どの閉曲線に沿っても積分が 00 になる1次の微分式は、(穴のない領域では)ある関数 FF の全微分 dF\mathrm{d} F に等しい。電磁気で、どの閉曲線に沿っても仕事が 00 になる力がポテンシャルの勾配で書けるのと同じ理由である。逆に、p dq−P dQp\,\mathrm{d} q-P\,\mathrm{d} Q が全微分なら式 (1.12.10) が成り立ち、すべての閉曲線で囲む面積が保たれるので、変換は正準である。

ff 自由度でも同じことが成り立つ。∮C∑ipi dqi\oint_C\sum_ip_i\,\mathrm{d} q_i は、閉曲線 CC を各 (qi,pi)(q_i,p_i) 平面へ射影した曲線が囲む向きつきの面積の和である。辺のベクトル uu, vv で張る小さな平行四辺形を1周すると、この和は −uTJv-u^{\mathsf T}\mathsf Jv になる。写像で辺が MuMu, MvMv に移るので、すべての小さな平行四辺形でこの和が保たれる条件は (Mu)TJ(Mv)=uTJv(Mu)^{\mathsf T}\mathsf J(Mv)=u^{\mathsf T}\mathsf Jv、すなわち MTJM=JM^{\mathsf T}\mathsf JM=\mathsf J である。大きな閉曲線は、張った面を小さな平行四辺形に分けて足し合わせれば扱える(隣り合う辺の寄与は向きが逆で打ち消し合う)。したがって

正準変換  ⟺  ∑i=1fpi dqi−∑i=1fPi dQi=dF(F は相空間の関数)(1.12.11)\text{正準変換}\iff\sum_{i=1}^fp_i\,\mathrm{d} q_i-\sum_{i=1}^fP_i\,\mathrm{d} Q_i=\mathrm{d} F\quad(F\ \text{は相空間の関数})\tag{1.12.11}

である。この FF を正準変換の母関数と呼ぶ。

4つの型

FF は相空間の関数なので、2f2f 個の変数の組で表せばよい。qq と QQ が互いに独立に動かせるとき(ff 本の式 Qi=Qi(q,p)Q_i=Q_i(q,p) を pp について解けるとき)は (q,Q)(q,Q) を変数に選び、F=F1(q,Q)F=F_1(q,Q) と書く。dF1=∑i(∂F1/∂qi)dqi+∑i(∂F1/∂Qi)dQi\mathrm{d} F_1=\sum_i(\partial F_1/\partial q_i)\mathrm{d} q_i+\sum_i(\partial F_1/\partial Q_i)\mathrm{d} Q_i を式 (1.12.11) と比べて

pi=∂F1∂qi,Pi=−∂F1∂Qi.(1.12.12)p_i=\frac{\partial F_1}{\partial q_i},\qquad P_i=-\frac{\partial F_1}{\partial Q_i}.\tag{1.12.12}

逆に、どんな関数 F1(q,Q)F_1(q,Q) を選んでも(∂2F1/∂qi∂Qj\partial^2F_1/\partial q_i\partial Q_j を並べた行列が正則なら)、第1式を QQ について解き、第2式で PP を決めると正準変換が1つできる。括弧を計算しなくても、関数を1つ選ぶだけで正準変換を作ることができる。これが母関数の使い道である。

ほかの変数の組を使いたいときは、F1F_1 を Legendre 変換する(第1部第7章)。d(QiPi)=Qi dPi+Pi dQi\mathrm{d}(Q_iP_i)=Q_i\,\mathrm{d} P_i+P_i\,\mathrm{d} Q_i を使って −Pi dQi-P_i\,\mathrm{d} Q_i を Qi dPiQ_i\,\mathrm{d} P_i に置き換えると、

F2(q,P)=F1+∑iQiPi,pi=∂F2∂qi,Qi=∂F2∂Pi,F3(p,Q)=F1−∑iqipi,qi=−∂F3∂pi,Pi=−∂F3∂Qi,F4(p,P)=F1+∑iQiPi−∑iqipi,qi=−∂F4∂pi,Qi=∂F4∂Pi.\begin{align*}F_2(q,P)&=F_1+\sum_iQ_iP_i, & p_i&=\frac{\partial F_2}{\partial q_i}, & Q_i&=\frac{\partial F_2}{\partial P_i},\tag{1.12.13}\\F_3(p,Q)&=F_1-\sum_iq_ip_i, & q_i&=-\frac{\partial F_3}{\partial p_i}, & P_i&=-\frac{\partial F_3}{\partial Q_i},\tag{1.12.14}\\F_4(p,P)&=F_1+\sum_iQ_iP_i-\sum_iq_ip_i, & q_i&=-\frac{\partial F_4}{\partial p_i}, & Q_i&=\frac{\partial F_4}{\partial P_i}.\tag{1.12.15}\end{align*}

符号は Goldstein の教科書と同じである。4つの関係を図 1.12.3 にまとめる。第1部第7章の Legendre 変換が L(q˙)↔H(p)L(\dot q)\leftrightarrow H(p) や U(S)↔F(T)U(S)\leftrightarrow F(T) で「独立変数を、その共役な量に取り替える」操作だったのと同じで、ここでは母関数の独立変数を Q↔PQ\leftrightarrow P、q↔pq\leftrightarrow p と取り替えている。

図

図 1.12.3 母関数の4つの型(1自由度で書いた。ff 自由度では QP→∑iQiPiQP\to\sum_iQ_iP_i などと読む)。矢印は Legendre 変換で、矢印の上の量を足すと独立変数が括弧の中のように取り替わる。

型が4つ要るのは、変換によって独立に動かせる変数の組が違うからである。恒等変換 Q=qQ=q, P=pP=p では qq と QQ が同じものなので F1(q,Q)F_1(q,Q) は作れないが、F2=∑iqiPiF_2=\sum_iq_iP_i とおくと pi=Pip_i=P_i, Qi=qiQ_i=q_i で恒等変換になる。逆に入れ替え Q=pQ=p, P=−qP=-q では qq と PP が独立でないので F2F_2 は作れないが、F1=qQF_1=qQ を使うことができる。点変換 Qi=Qi(q)Q_i=Q_i(q) は F2=∑iQi(q)PiF_2=\sum_iQ_i(q)P_i で書ける(pj=∑iPi ∂Qi/∂qjp_j=\sum_iP_i\,\partial Q_i/\partial q_j が出る。点変換の運動量の式の逆である)。

無限小変換の母関数

恒等変換の母関数 F2=∑iqiPiF_2=\sum_iq_iP_i を少しだけずらした

F2=∑iqiPi+ϵG(q,P)(1.12.16)F_2=\sum_iq_iP_i+\epsilon G(q,P)\tag{1.12.16}

を考える。式 (1.12.13) から pi=Pi+ϵ ∂G/∂qip_i=P_i+\epsilon\,\partial G/\partial q_i, Qi=qi+ϵ ∂G/∂PiQ_i=q_i+\epsilon\,\partial G/\partial P_i。ϵ\epsilon の1次までは ∂G/∂Pi\partial G/\partial P_i の中の PP を pp に置き換えてよいので

Qi=qi+ϵ∂G∂pi+O(ϵ2),Pi=pi−ϵ∂G∂qi+O(ϵ2)Q_i=q_i+\epsilon\frac{\partial G}{\partial p_i}+\mathcal{O}(\epsilon^2),\qquad P_i=p_i-\epsilon\frac{\partial G}{\partial q_i}+\mathcal{O}(\epsilon^2)

となり、無限小変換 (1.12.8) に戻る。第1部第9章の生成子 GG は、恒等変換からのずれを表す母関数の1次の部分である。時間発展なら G=HG=H、ϵ=dt\epsilon=\mathrm{d} t で、母関数は F2=∑iqiPi+H dtF_2=\sum_iq_iP_i+H\,\mathrm{d} t になる(有限の時間の流れの母関数は、章末の総合問題で調和振動子について求める)。

例題 1.12.4 母関数を探す・母関数から作る ★★

オリジナル

  1. (1) F1(q,Q)=qQF_1(q,Q)=qQ が作る正準変換を求めよ。
  2. (2) F2(q,P)=q2PF_2(q,P)=q^2P が作る正準変換を求め、1.12.2節の例題の (a) と同じであることを確かめよ。
  3. (3) F1(q,Q)=q2QF_1(q,Q)=q^2Q(q>0q>0, Q>0Q>0)が作る正準変換を求め、{Q,P}=1\{Q,P\}=1 を直接確かめよ。さらに同じ変換の F3(p,Q)F_3(p,Q) を求め、式 (1.12.14) の符号で同じ変換が出ることを確かめよ。
解答

(1) p=∂F1/∂q=Qp=\partial F_1/\partial q=Q, P=−∂F1/∂Q=−qP=-\partial F_1/\partial Q=-q。座標と運動量の入れ替え Q=pQ=p, P=−qP=-q である。

(2) p=∂F2/∂q=2qPp=\partial F_2/\partial q=2qP, Q=∂F2/∂P=q2Q=\partial F_2/\partial P=q^2。よって Q=q2Q=q^2, P=p/(2q)P=p/(2q) で、1.12.2節の例題の (a) と同じ点変換である。

(3) p=∂F1/∂q=2qQp=\partial F_1/\partial q=2qQ から Q=p/(2q)Q=p/(2q)、P=−∂F1/∂Q=−q2P=-\partial F_1/\partial Q=-q^2。{Q,P}=∂Q∂q∂P∂p−∂Q∂p∂P∂q=(−p2q2)⋅0−12q⋅(−2q)=1\{Q,P\}=\frac{\partial Q}{\partial q}\frac{\partial P}{\partial p}-\frac{\partial Q}{\partial p}\frac{\partial P}{\partial q}=\Bigl(-\frac{p}{2q^2}\Bigr)\cdot0-\frac{1}{2q}\cdot(-2q)=1。F3=F1−qpF_3=F_1-qp を (p,Q)(p,Q) で書くには q=p/(2Q)q=p/(2Q) を入れて F3=p24Q2Q−p22Q=−p24QF_3=\frac{p^2}{4Q^2}Q-\frac{p^2}{2Q}=-\frac{p^2}{4Q}。式 (1.12.14) から q=−∂F3/∂p=p2Qq=-\partial F_3/\partial p=\frac{p}{2Q}, P=−∂F3/∂Q=−p24Q2=−q2P=-\partial F_3/\partial Q=-\frac{p^2}{4Q^2}=-q^2 となり、同じ変換が出る。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

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