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出てくるもの2:境界の項と端の条件

2026年10月15日7分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第5章 場の Lagrangian 密度と場の Euler–Lagrange 方程式
目次
  1. 空間の端
  2. 全発散を足しても方程式は変わらない
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部 第5章 §2.5.4 ★★ 式 (2.5.14) の面積分の項から、固定端・自由端・ばねつきの端の条件が出る。全発散を足しても方程式は変わらない

空間の端

定理 2.5.2 では、境界の全体で η=0\eta=0 としていた。時刻 t1,t2t_1,t_2 の辺については、粒子のときと同じく始めと終わりの配置を固定する約束なので、これでよい。空間の端については事情が違う。弦の端が壁に結んであれば端の変位は 00 に決まっているが、端が自由に動けるなら、作用の停留は端を動かす変分についても要求しなければならない。

1次元の弦 0≤x≤ℓ0\le x\le\ell で、端 x=ℓx=\ell の変位が自由な場合を考える。式 (2.5.14) の面積分のうち、x=ℓx=\ell の辺(Nx=+1N_x=+1)の寄与は

ϵ∫t1t2∂L∂(∂xϕ)∣x=ℓη(t,ℓ) dt=−ϵ∫t1t2Y ∂xϕ(t,ℓ) η(t,ℓ) dt\epsilon\int_{t_1}^{t_2}\frac{\partial \mathcal L}{\partial (\partial_x\phi)}\Big|_{x=\ell}\eta(t,\ell)\,\mathrm{d} t=-\epsilon\int_{t_1}^{t_2}Y\,\partial_x\phi(t,\ell)\,\eta(t,\ell)\,\mathrm{d} t

である。まず端で 00 になる η\eta だけを使えば、内部で波動方程式が出る。次に、波動方程式が成り立つことを使うと δS\delta S の体積の項は消え、残るのはこの端の項だけになる。η(t,ℓ)\eta(t,\ell) は自由に選べるので、変分法の基本補題をもう一度使って

∂L∂(∂xϕ)∣x=ℓ=−Y∂xϕ(t,ℓ)=0(自由端)(2.5.20)\frac{\partial \mathcal L}{\partial (\partial_x\phi)}\Big|_{x=\ell}=-Y\partial_x\phi(t,\ell)=0\qquad(\text{自由端})\tag{2.5.20}

を得る。作用の停留から、運動方程式と一緒に端の条件も出てきた。端の条件は外から付け足すものではなく、作用の停留の一部である。一方、端 x=0x=0 を固定する場合(ϕ(t,0)=0\phi(t,0)=0)は、許される変分が η(t,0)=0\eta(t,0)=0 に限られるので、端の項は初めから 00 で、条件は ϕ(t,0)=0\phi(t,0)=0 そのものになる。

端に別の物体がつながっていれば、その物体の Lagrangian を足す。たとえば端 x=ℓx=\ell がばね定数 KeK_{\mathrm e} のばねで釣り合いの位置につながれているなら、作用に −∫Ke2ϕ(t,ℓ)2 dt-\int\frac{K_{\mathrm e}}{2}\phi(t,\ell)^2\,\mathrm{d} t を足す。この項の変分 −ϵ∫Keϕ(t,ℓ)η(t,ℓ) dt-\epsilon\int K_{\mathrm e}\phi(t,\ell)\eta(t,\ell)\,\mathrm{d} t を端の項に加えると

Y∂xϕ(t,ℓ)+Keϕ(t,ℓ)=0(ばねつきの端)(2.5.21)Y\partial_x\phi(t,\ell)+K_{\mathrm e}\phi(t,\ell)=0\qquad(\text{ばねつきの端})\tag{2.5.21}

となる。Ke→0K_{\mathrm e}\to0 で自由端 (2.5.20)、Ke→∞K_{\mathrm e}\to\infty で固定端 ϕ(t,ℓ)=0\phi(t,\ell)=0 に戻る。

全発散を足しても方程式は変わらない

粒子の Lagrangian に時間の全微分 dΛ(q,t)dt\frac{\mathrm{d} \Lambda(q,t)}{\mathrm{d} t} を足しても Euler–Lagrange 方程式は変わらなかった(第1部第4章)。場では次の形になる。

命題 2.5.3(全発散の不定性)

4つの関数 Λμ(ϕ,x)\Lambda^\mu(\phi,x) を選び、L′=L+∂μΛμ\mathcal L'=\mathcal L+\partial_\mu\Lambda^\mu とする(∂μ\partial_\mu は ϕ\phi を通した依存も含めて微分する)。L′\mathcal L' と L\mathcal L の場の Euler–Lagrange 方程式は同じである。

証明

発散定理 (2.5.10) から、作用の差は境界の上の Λμ\Lambda^\mu の値だけで決まる面積分になる。境界で η=0\eta=0 の変分では境界の ϕ\phi が動かないので、作用の差は変わらず、δS′=δS\delta S'=\delta S である。定理 2.5.2 により、方程式は同じになる。

Λμ\Lambda^\mu が ϕ\phi の微分を含む場合も、∂μΛμ\partial_\mu\Lambda^\mu の Euler–Lagrange の式は恒等的に 00 になることが知られている(Λt=ϕ2∂xϕ\Lambda^t=\phi^2\partial_x\phi などで直接計算して確かめられる)。Schrödinger 場の L\mathcal L (2.5.18) は実数でないが、iℏ2∂t(ψ∗ψ)\frac{\mathrm{i}\hbar}{2}\partial_t(\psi^*\psi) を引くとiℏ2(ψ∗∂tψ−ψ ∂tψ∗)−ℏ22m∣∇ψ∣2−V∣ψ∣2\frac{\mathrm{i}\hbar}{2}(\psi^*\partial_t\psi-\psi\,\partial_t\psi^*)-\frac{\hbar^2}{2m}\lvert \nabla\psi\rvert ^2-V\lvert \psi\rvert ^2 という実数の L\mathcal L になり、命題 2.5.3 により方程式は変わらない。ただし、全発散を足すと端の項 ∂L∂(∂μϕ)\frac{\partial \mathcal L}{\partial (\partial_\mu\phi)} の形が変わるので、自由端の条件の読み方は L\mathcal L の選び方と一緒に決める必要がある。

図

図 2.5.3 x=0x=0 を固定した弦の基本モード sin⁡kx\sin kx。x=ℓx=\ell が自由端なら傾きが 00(実線)、固定端なら変位が 00(点線)、ばね Keℓ/Y=1K_{\mathrm e}\ell/Y=1 でつないだ端ならその中間(破線)になる。どの形も式 (2.5.14) の端の項から決まる

例題 2.5.4 端の条件で決まる固有振動 ★★

オリジナル長さ ℓ\ell の弦(線密度 ρ\rho、弾性率 YY、v=Y/ρv=\sqrt{Y/\rho})の端 x=0x=0 を固定する。

  1. (1) 端 x=ℓx=\ell が自由端のとき、ϕ=sin⁡kx cos⁡ωt\phi=\sin kx\,\cos\omega t の形の解(固有振動)の kk と振動数 f=ω/(2π)f=\omega/(2\pi) を求めよ。
  2. (2) 端 x=ℓx=\ell をばね KeK_{\mathrm e} でつないだとき、kk が満たす式を書け。Keℓ/Y=1K_{\mathrm e}\ell/Y=1 のとき最も低い kℓk\ell を求め、基本振動数が固定-固定の場合の何倍になるかを答えよ。
解答

(1) sin⁡kx\sin kx は x=0x=0 で 00 なので固定端の条件を満たす。波動方程式から ω=vk\omega=vk。自由端の条件 (2.5.20) は Ykcos⁡kℓcos⁡ωt=0Yk\cos k\ell\cos\omega t=0 がすべての tt で成り立つこと、すなわち cos⁡kℓ=0\cos k\ell=0 だから kn=(2n−1)π2ℓk_n=\dfrac{(2n-1)\pi}{2\ell}(n=1,2,…n=1,2,\dots)、fn=(2n−1)v4ℓf_n=\dfrac{(2n-1)v}{4\ell}。管楽器の閉管と同じ奇数倍の列になる。

(2) 条件 (2.5.21) に入れると Ykcos⁡kℓ+Kesin⁡kℓ=0Yk\cos k\ell+K_{\mathrm e}\sin k\ell=0、z=kℓz=k\ell と置いて

tan⁡z=−YKeℓ z.\tan z=-\frac{Y}{K_{\mathrm e}\ell}\,z .

Keℓ/Y=1K_{\mathrm e}\ell/Y=1 なら tan⁡z=−z\tan z=-z で、π/2<z<π\pi/2<z<\pi に最小の正の根があり、数値で解くと z=2.0288z=2.0288 である。固定-固定の基本モードは z=πz=\pi なので、振動数の比は 2.0288/π=0.6462.0288/\pi=0.646 倍になる。Ke→0K_{\mathrm e}\to0 で z→π/2z\to\pi/2(自由端)、Ke→∞K_{\mathrm e}\to\infty で z→πz\to\pi(固定端)に近づくことも同じ式から読み取ることができる。

木下の勉強ステータス

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