解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部 第12章 §2.12.6 ★★ Newton の重力・慣性力・面積速度・重力赤方偏移と、測地線の言葉を式で並べる。慣性力は回転座標の Christoffel 記号である
例題 2.12.7 回転座標の Christoffel 記号は遠心力と Coriolis 力 ★★★
オリジナル慣性系の座標 (t,X,Y,z) から、z 軸のまわりに角速度 Ω で回る座標 (t,x,y,z) へ X=xcosΩt−ysinΩt、Y=xsinΩt+ycosΩt で移る。
- (1) 平坦な時空の ds2=c2dt2−dX2−dY2−dz2 を (x0=ct,x,y,z) で書き、計量の成分を求めよ。
- (2) 遅い粒子(v≪c)と Ωρ≪c(ρ2=x2+y2)の極限で、t を径数にした測地線方程式の x, y 成分を求め、遠心力と Coriolis 力が現れることを確かめよ。
解答
(1) dX=cosΩtdx−sinΩtdy−ΩYdt、dY=sinΩtdx+cosΩtdy+ΩXdt を2乗して足すと
dX2+dY2=dx2+dy2+Ω2(x2+y2)dt2+2Ω(xdy−ydx)dt.
よって
ds2=(1−c2Ω2ρ2)(dx0)2−c2Ω(xdy−ydx)dx0−dx2−dy2−dz2
で、g00=1−Ω2ρ2/c2、g0x=gx0=Ωy/c、g0y=gy0=−Ωx/c、gij=−δij である。この座標系では計量が t によらないが、x0 と空間の座標が混じった成分を持つ。
(2) Ωρ/c の1次までで gxx≈gyy≈−1 である。Γx00=21gxx(2∂0gx0−∂xg00)=−21⋅c22Ω2x=−c2Ω2x。Γx0y=21gxx(∂0gxy+∂ygx0−∂xg0y)=−21(cΩ+cΩ)=−cΩ。t を径数にした方程式の主要な項は x¨=−c2Γx00−2cΓx0yy˙ なので
x¨=Ω2x+2Ωy˙,y¨=Ω2y−2Ωx˙
となる(y 成分も同じ計算)。第1項が遠心力 mΩ2ρ、第2項が Coriolis 力 −2mΩ×v(Ω=Ωez で −2(Ω×v)x=2Ωy˙)を m で割ったものである。慣性系では直線を進む自由粒子が、回る座標で書くと曲がって見える(図 2.12.2)。g00 の −Ω2ρ2/c2 は遠心力のポテンシャル −21Ω2ρ2 を Φ とみなしたもの(g00=1+2Φ/c2)にあたる。

図 2.12.2 慣性系で直線 X=−1+t, Y=0.3 を進む自由粒子(点線)を、角速度 Ω=1 で回る座標で見た軌跡(0≤t≤2。例題 2.12.7)。実線は回転座標の運動方程式 x¨=Ω2x+2Ωy˙, y¨=Ω2y−2Ωx˙ を数値積分したもの、丸は慣性系の直線を座標変換した厳密な点で、両者は一致する