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Ricci テンソルは体積の縮み方

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第14章 曲率と潮汐力
目次
  1. Ricci テンソル・スカラー曲率・Einstein テンソル
  2. 自由落下する雲の体積
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部 第14章 §2.14.4 ★★★ Riemann テンソルの縮約(Ricci テンソル)は、自由落下する粒子の雲の体積の2階微分を表す。物質の無い所では 0 になり、Einstein 方程式の左辺の材料になる

Ricci テンソル・スカラー曲率・Einstein テンソル

定義 2.14.6(Ricci テンソルとスカラー曲率)

Rμν=Rρμρν,R=gμνRμν,Gμν=Rμν−12gμνR.(2.14.19)R_{\mu\nu}=R^\rho{}_{\mu\rho\nu},\qquad R=g^{\mu\nu}R_{\mu\nu},\qquad G_{\mu\nu}=R_{\mu\nu}-\frac12g_{\mu\nu}R .\tag{2.14.19}

RμνR_{\mu\nu} を Ricci テンソル、RR をスカラー曲率、GμνG_{\mu\nu} を Einstein テンソルと呼ぶ。

式 (2.14.7) の組の入れ替えの対称性から、Rμν=RνμR_{\mu\nu}=R_{\nu\mu} である。1番目と3番目の添字の縮約は、正本の流儀で決めたもので、別の組を縮約すると符号が変わるか 00 になる(Rρρμν=0R^\rho{}_{\rho\mu\nu}=0)。

第2 Bianchi 恒等式 (2.14.12) を縮約する。ρ\rho と μ\mu を縮約し(∇g=0\nabla g=0 なので縮約と共変微分は入れ替えてよい)、さらに gσνg^{\sigma\nu} を掛けて縮約すると

∇λR−2∇μRμλ=0\nabla_\lambda R-2\nabla^\mu R_{\mu\lambda}=0

を得る(途中で gσνRασνλ=−Rαλg^{\sigma\nu}R_{\alpha\sigma\nu\lambda}=-R_{\alpha\lambda} を使う)。これを書き直したものが

∇μGμν=0(縮約した Bianchi 恒等式)(2.14.20)\nabla^\mu G_{\mu\nu}=0\qquad(\text{縮約した Bianchi 恒等式})\tag{2.14.20}

である。左辺は計量だけから作った量で、どんな計量でも恒等的に 00 になる。第2部第15章で、Einstein 方程式の左辺に GμνG_{\mu\nu} が選ばれる理由として使う。

自由落下する雲の体積

自由落下する観測者のまわりに、最初は静止して小さな雲をなす粒子を置く。局所慣性系で ξi\xi^i の3つの独立な向きの偏差を並べた行列を Ξ\Xi とすると、雲の体積は det⁡Ξ\det\Xi に比例する。式 (2.14.16) より Ξ¨=−E Ξ\ddot\Xi=-\mathcal E\,\Xi で、最初の瞬間に Ξ˙=0\dot\Xi=0 なら

V¨V=−Tr⁡E=−∑iEii(2.14.21)\frac{\ddot V}{V}=-\operatorname{Tr}\mathcal E=-\sum_i\mathcal E_{ii}\tag{2.14.21}

である(det⁡(1+ϵA)=1+ϵTr⁡A+O(ϵ2)\det(1+\epsilon A)=1+\epsilon\operatorname{Tr} A+\mathcal{O}(\epsilon^2) を使う)。E\mathcal E の対角和を Riemann テンソルで書くと、uμ=(c,0,0,0)u^\mu=(c,0,0,0) の局所慣性系で

∑iEii=c2∑iRi0i0=c2Rρ0ρ0=Rμνuμuν\sum_i\mathcal E_{ii}=c^2\sum_iR^i{}_{0i0}=c^2R^\rho{}_{0\rho0}=R_{\mu\nu}u^\mu u^\nu

となる(R0000=0R^0{}_{000}=0 なので ρ=0\rho=0 の項を足してよい)。よって

V¨V=−Rμνuμuν.(2.14.22)\frac{\ddot V}{V}=-R_{\mu\nu}u^\mu u^\nu .\tag{2.14.22}

雲の体積の縮み方は Ricci テンソルだけで決まる。E\mathcal E の対角和を除いた部分(形を変える部分)は Weyl テンソルの成分に当たり、体積を変えない。

弱い場では、式 (2.14.14) の対角和から R00=∇2Φ/c2R_{00}=\nabla^2\Phi/c^2 で、Poisson 方程式 ∇2Φ=4πGρ\nabla^2\Phi=4\pi G\rho を使うと

Rμνuμuν=c2R00=4πGρ,V¨V=−4πGρ(2.14.23)R_{\mu\nu}u^\mu u^\nu=c^2R_{00}=4\pi G\rho ,\qquad \frac{\ddot V}{V}=-4\pi G\rho\tag{2.14.23}

となる。物質(ρ>0\rho>0)がある所では雲は縮み、物質の無い所では ∇2Φ=0\nabla^2\Phi=0 で体積は変わらず、形だけが変わる。図 2.14.2 の点質量の外では、引き伸ばし +2+2 と押し縮め −1-1、−1-1 の和が 00 になる。Schwarzschild 計量で Rμν=0R_{\mu\nu}=0 を sympy で確かめることもできる(scripts/verify_ch2-14.py)。式 (2.14.18) の対角和も 00 である。

「物質の無い所で Rμν=0R_{\mu\nu}=0」は Einstein 方程式の真空の場合で、Riemann テンソル全体は 00 にならないので潮汐力は残る。3次元では Riemann テンソルが Ricci テンソルで決まる(式 (2.14.11))ので、もし時空が3次元なら、物質の無い所には潮汐力が無く、離れた物体に重力を伝えることもできない。4次元では Weyl テンソルの 10 成分が残るので、真空を伝わる重力(潮汐力や第2部第18章の重力波)が存在しうる。

例題 2.14.4 一様な星の内部の自由落下 ★★

オリジナル地球を質量密度が一様な半径 R⊕=6.371×106 mR_\oplus=6.371\times10^6\,\mathrm m の球とし、GM⊕=3.986004×1014 m3 s−2GM_\oplus=3.986004\times10^{14}\,\mathrm{m^3\,s^{-2}} とする。

  1. (1) 内部の Newton のポテンシャルは Φ=2πGρ3r2+定数\Phi=\frac{2\pi G\rho}{3}r^2+\text{定数} である。内部の潮汐テンソル Eij\mathcal E_{ij} を求め、内部の自由落下する雲が形を保ったまま縮むことを示せ。
  2. (2) 平均密度 ρ\rho と 4πGρ4\pi G\rho の値、V¨/V\ddot V/V が変わる時間の尺度 1/4πGρ1/\sqrt{4\pi G\rho} を求めよ。
  3. (3) 地球の中心を貫くまっすぐなトンネルを掘り、中心から ξ\xi の所で物体を放す。中心で自由落下する観測者から見た物体の運動を偏差の式で求め、往復の周期を求めよ。地表すれすれの円軌道の周期と比べよ。
解答

(1) ∂i∂j(2πGρ3∑kxk2)=4πGρ3δij\partial_i\partial_j\bigl(\frac{2\pi G\rho}{3}\sum_kx_k^2\bigr)=\frac{4\pi G\rho}{3}\delta_{ij} なので Eij=4πGρ3δij\mathcal E_{ij}=\frac{4\pi G\rho}{3}\delta_{ij} で、どの向きの偏差も同じ率 ξ¨=−4πGρ3ξ\ddot\xi=-\frac{4\pi G\rho}{3}\xi で縮む。形は変わらない。対角和は 4πGρ4\pi G\rho で、式 (2.14.23) と一致する。

(2) ρ=3GM⊕/(4πGR⊕3)=5.51×103 kg m−3\rho=3GM_\oplus/(4\pi GR_\oplus^3)=5.51\times10^3\,\mathrm{kg\,m^{-3}} で、4πGρ=3GM⊕/R⊕3=4.62×10−6 s−24\pi G\rho=3GM_\oplus/R_\oplus^3=4.62\times10^{-6}\,\mathrm s^{-2}、1/4πGρ=465 s1/\sqrt{4\pi G\rho}=465\,\mathrm s である。

(3) 中心で静止したまま自由落下する観測者(地球の中心そのもの)から見て、物体は ξ¨=−4πGρ3ξ\ddot\xi=-\frac{4\pi G\rho}{3}\xi に従う単振動をする。内部の潮汐テンソルは位置によらないので、この式は ξ\xi が小さくなくても成り立つ。角振動数は ω=4πGρ/3=GM⊕/R⊕3\omega=\sqrt{4\pi G\rho/3}=\sqrt{GM_\oplus/R_\oplus^3} で、周期は

T=2πR⊕3GM⊕=5.06×103 s=84.3 分.T=2\pi\sqrt{\frac{R_\oplus^3}{GM_\oplus}}=5.06\times10^3\,\mathrm s=84.3\,\text{分}.

地表すれすれの円軌道の周期も 2πR⊕3/GM⊕2\pi\sqrt{R_\oplus^3/GM_\oplus} で、同じ値になる。トンネルの中の往復運動は、円軌道の運動をトンネルの向きに射影したものになっている。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの ∣Φ∣/c2→0\lvert \Phi\rvert /c^2\to0, v/c→0v/c\to0(重力が弱く、速さが光速に比べて小さい) | 証明 証明済み(決まった計量の Riemann テンソルの成分を Φ/c2\Phi/c^2 で展開したもの。Φ\Phi が3回連続微分可能なら、落とした項は ΓΓ∼(∇Φ)2/c4\Gamma\Gamma\sim(\nabla\Phi)^2/c^4 と Φ ∂∂Φ/c4\Phi\,\partial\partial\Phi/c^4 の大きさ。計量そのものを Einstein 方程式から近似で出す部分は第2部第15章) | 行き先 近似の数理 第2章

木下の勉強ステータス

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