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出てくるもの(2):中心力の縮退と水素原子の隠れた対称性

2026年10月15日14分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第4部 第5章 角運動量と Noether(回転対称性)
目次
  1. 重の縮退
  2. 水素原子の 重の縮退
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第4部 第5章 §4.5.4 ★★★ 回転対称な H^\hat H のエネルギー準位は 2l+12l+1 重に縮退する。水素原子では Runge–Lenz ベクトルが加わって対称性が大きくなり、縮退が n2n^2 重になって準位の式まで代数で決まる

2l+12l+1 重の縮退

中心力の H^\hat H(式 (4.5.6))は L^x,L^y,L^z\hat L_x,\hat L_y,\hat L_z のすべてと可換なので、L^±\hat L_\pm とも L^ 2\hat{\bm{L}}^{\,2} とも可換である。H^\hat H, L^ 2\hat{\bm{L}}^{\,2}, L^z\hat L_z の同時固有状態 ∣E,l,m⟩| E,l,m \rangle をとると、H^L^±∣E,l,m⟩=L^±H^∣E,l,m⟩=E L^±∣E,l,m⟩\hat H\hat L_\pm| E,l,m \rangle =\hat L_\pm\hat H| E,l,m \rangle =E\,\hat L_\pm| E,l,m \rangle で、L^±\hat L_\pm はエネルギーを変えずに mm だけを上下する。したがってエネルギー EE の固有空間は、m=−l,…,lm=-l,\dots,l の 2l+12l+1 個の状態をまとめて含む。これが中心力の準位が 2l+12l+1 重に縮退する理由で、ポテンシャル V(r)V(r) の形によらない。古典力学で言えば、軌道を回転させた軌道は同じエネルギーを持つ、ということに当たる。

縮退が分かれば、残る問題は動径方向だけになる。直交座標で直接計算すると、恒等式

L^ 2=r^ 2p^ 2−(r^⋅p^)2+iℏ r^⋅p^(4.5.12)\hat{\bm{L}}^{\,2}=\hat{\bm{r}}^{\,2}\hat{\bm{p}}^{\,2}-(\hat{\bm{r}}\cdot\hat{\bm{p}})^2+\mathrm{i}\hbar\,\hat{\bm{r}}\cdot\hat{\bm{p}}\tag{4.5.12}

が成り立つ(古典の ∣r×p∣2=r2p2−(r⋅p)2\lvert \bm{r}\times\bm{p}\rvert ^2=r^2p^2-(\bm{r}\cdot\bm{p})^2 に、順序を入れ替えた分の iℏ r^⋅p^\mathrm{i}\hbar\,\hat{\bm{r}}\cdot\hat{\bm{p}} が付いた形)。位置表示で r^⋅p^=−iℏ r∂r\hat{\bm{r}}\cdot\hat{\bm{p}}=-\mathrm{i}\hbar\,r\partial_r なので、−(r^⋅p^)2+iℏ r^⋅p^=ℏ2(r2∂r2+2r∂r)-(\hat{\bm{r}}\cdot\hat{\bm{p}})^2+\mathrm{i}\hbar\,\hat{\bm{r}}\cdot\hat{\bm{p}}=\hbar^2(r^2\partial_r^2+2r\partial_r) となり、

p^ 2=−ℏ2r2∂∂r(r2∂∂r)+L^ 2r2(4.5.13)\hat{\bm{p}}^{\,2}=-\frac{\hbar^2}{r^2}\frac{\partial }{\partial r}\Bigl(r^2\frac{\partial }{\partial r}\Bigr)+\frac{\hat{\bm{L}}^{\,2}}{r^2}\tag{4.5.13}

を得る。ψ=R(r) Y(θ,φ)\psi=R(r)\,Y(\theta,\varphi) で L^ 2Y=l(l+1)ℏ2Y\hat{\bm{L}}^{\,2}Y=l(l+1)\hbar^2Y とすると、Schrödinger 方程式は動径の方程式

[−ℏ22Mr2ddr(r2ddr)+l(l+1)ℏ22Mr2+V(r)]R(r)=E R(r)(4.5.14)\Bigl[-\frac{\hbar^2}{2Mr^2}\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} r}\Bigl(r^2\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} r}\Bigr)+\frac{l(l+1)\hbar^2}{2Mr^2}+V(r)\Bigr]R(r)=E\,R(r)\tag{4.5.14}

になる。第2項は第2部第1章の有効ポテンシャル L2/(2Mr2)+V(r)L^2/(2Mr^2)+V(r) の遠心力の項で、保存する L2L^2 を固有値 l(l+1)ℏ2l(l+1)\hbar^2 に置き換えた形である。古典で「保存量を HH の中で固定すると1自由度に落ちる」と言った操作が、量子では「保存量の固有値で状態を分けると動径の方程式に落ちる」になっている。

水素原子の n2n^2 重の縮退

Coulomb ポテンシャル V(r)=−κ/rV(r)=-\kappa/r(水素原子では κ=e2/(4πε0)\kappa=e^2/(4\pi\varepsilon_0))では、準位は主量子数 nn だけで決まり、l=0,1,…,n−1l=0,1,\dots,n-1 の準位がすべて同じエネルギーを持つ。縮退の数は ∑l=0n−1(2l+1)=n2\sum_{l=0}^{n-1}(2l+1)=n^2 で、回転対称性から説明できる 2l+12l+1 より大きい。回転対称性より大きい対称性があることになる。

古典の Kepler 問題では、角運動量とエネルギーのほかに Runge–Lenz ベクトルが保存した(第2部第1章。そこでは ARL=p×L−Mκ r/r\bm{A}_{\mathrm{RL}}=\bm{p}\times\bm{L}-M\kappa\,\bm{r}/r)。これは運動量について2次の式で、点変換では見えない対称性の生成子である。量子力学では、p^×L^\hat{\bm{p}}\times\hat{\bm{L}} がエルミートでない(p^\hat{\bm{p}} と L^\hat{\bm{L}} が可換でない)ので、エルミートになるように対称化して

A^RL=12(p^×L^−L^×p^)−Mκr^r(4.5.15)\hat{\bm{A}}_{\mathrm{RL}}=\frac12\bigl(\hat{\bm{p}}\times\hat{\bm{L}}-\hat{\bm{L}}\times\hat{\bm{p}}\bigr)-M\kappa\frac{\hat{\bm{r}}}{r}\tag{4.5.15}

と定める。この演算子について次の関係が成り立つ(Pauli が1926年に水素原子の準位を出すのに使った1W. Pauli (1926), Zeitschrift für Physik 36, 336. 行列力学で、Schrödinger 方程式を解かずに水素原子の準位を出した。下の脚注へ)。

命題 4.5.5(量子の Runge–Lenz ベクトル ★★★)

H^=p^ 2/(2M)−κ/r\hat H=\hat{\bm{p}}^{\,2}/(2M)-\kappa/r に対して

[A^RL, H^]=0,L^⋅A^RL=A^RL⋅L^=0,[A^i, A^j]=−2iℏMH^∑kϵijkL^k,A^RL 2=2MH^(L^ 2+ℏ2)+M2κ2(4.5.16)\begin{gathered} \left[\hat{\bm{A}}_{\mathrm{RL}},\,\hat H\right]=0,\qquad \hat{\bm{L}}\cdot\hat{\bm{A}}_{\mathrm{RL}}=\hat{\bm{A}}_{\mathrm{RL}}\cdot\hat{\bm{L}}=0,\\ \left[\hat A_i,\,\hat A_j\right]=-2\mathrm{i}\hbar M\hat H\sum_k\epsilon_{ijk}\hat L_k,\qquad \hat{\bm{A}}_{\mathrm{RL}}^{\,2}=2M\hat H\bigl(\hat{\bm{L}}^{\,2}+\hbar^2\bigr)+M^2\kappa^2 \end{gathered}\tag{4.5.16}

が成り立つ。ここで A^i\hat A_i は A^RL\hat{\bm{A}}_{\mathrm{RL}} の成分である。また A^RL\hat{\bm{A}}_{\mathrm{RL}} はベクトル演算子で、[L^i, A^j]=iℏ∑kϵijkA^k\left[\hat L_i,\,\hat A_j\right]=\mathrm{i}\hbar\sum_k\epsilon_{ijk}\hat A_k。

最後の主張は、式 (4.5.15) が r^\hat{\bm{r}}, p^\hat{\bm{p}}, L^\hat{\bm{L}} のベクトル積と、スカラー 1/r1/r を掛けたベクトルでできていることから従う。残りの4つは、交換関係 [x^i, p^j]=iℏδij\left[\hat x_i,\,\hat p_j\right]=\mathrm{i}\hbar\delta_{ij} だけを使う長いが機械的な計算で出る。この本では計算を書き下す代わりに、scripts/verify_ch4-05.py で微分演算子として試験関数に当て、どれも成り立つことを確かめた。古典の極限ではA^RL 2\hat{\bm{A}}_{\mathrm{RL}}^{\,2} の式の ℏ2\hbar^2 が消え、第2部第1章の ∣ARL∣2=M2κ2+2ME∣L∣2\lvert \bm{A}_{\mathrm{RL}}\rvert ^2=M^2\kappa^2+2ME\lvert \bm{L}\rvert ^2 に戻る。

関係 (4.5.16) から準位を出す。エネルギー E<0E<0 の固有空間に話を限ると、そこで H^\hat H は数 EE に置き換えられるので、

K^≔A^RL−2ME(4.5.17)\hat{\bm{K}}\coloneqq\frac{\hat{\bm{A}}_{\mathrm{RL}}}{\sqrt{-2ME}}\tag{4.5.17}

と規格化すると、[K^i, K^j]=iℏ∑kϵijkL^k\left[\hat K_i,\,\hat K_j\right]=\mathrm{i}\hbar\sum_k\epsilon_{ijk}\hat L_k となる。さらに

J^(1)≔12(L^+K^),J^(2)≔12(L^−K^)(4.5.18)\hat{\bm{J}}^{(1)}\coloneqq\frac12\bigl(\hat{\bm{L}}+\hat{\bm{K}}\bigr),\qquad \hat{\bm{J}}^{(2)}\coloneqq\frac12\bigl(\hat{\bm{L}}-\hat{\bm{K}}\bigr)\tag{4.5.18}

と組み替えると、[J^i(1), J^j(1)]=iℏ∑kϵijkJ^k(1)\left[\hat J^{(1)}_i,\,\hat J^{(1)}_j\right]=\mathrm{i}\hbar\sum_k\epsilon_{ijk}\hat J^{(1)}_k、J^(2)\hat{\bm{J}}^{(2)} についても同じ式、そして [J^i(1), J^j(2)]=0\left[\hat J^{(1)}_i,\,\hat J^{(2)}_j\right]=0 が成り立つ。たとえば [J^i(1), J^j(2)]=14([L^i, L^j]−[L^i, K^j]+[K^i, L^j]−[K^i, K^j])\left[\hat J^{(1)}_i,\,\hat J^{(2)}_j\right]=\frac14\bigl(\left[\hat L_i,\,\hat L_j\right]-\left[\hat L_i,\,\hat K_j\right]+\left[\hat K_i,\,\hat L_j\right]-\left[\hat K_i,\,\hat K_j\right]\bigr) の4項は、どれも iℏ∑kϵijk\mathrm{i}\hbar\sum_k\epsilon_{ijk} に L^k\hat L_k, −K^k-\hat K_k, +K^k+\hat K_k, −L^k-\hat L_k を掛けたもので、和が 00 になる。6つの生成子 L^\hat{\bm{L}}, K^\hat{\bm{K}} は、互いに可換な2組の角運動量に分かれたことになる。これは4次元の回転の生成子の組で、Kepler 問題の束縛状態が4次元の回転対称性を持つことの量子版である。

2組は定理 4.5.4 の条件を満たすので、(J^(1))2=j1(j1+1)ℏ2(\hat{\bm{J}}^{(1)})^2=j_1(j_1+1)\hbar^2, (J^(2))2=j2(j2+1)ℏ2(\hat{\bm{J}}^{(2)})^2=j_2(j_2+1)\hbar^2 と書くことができる。L^⋅K^=K^⋅L^=0\hat{\bm{L}}\cdot\hat{\bm{K}}=\hat{\bm{K}}\cdot\hat{\bm{L}}=0 から (J^(1))2−(J^(2))2=12(L^⋅K^+K^⋅L^)=0(\hat{\bm{J}}^{(1)})^2-(\hat{\bm{J}}^{(2)})^2=\frac12(\hat{\bm{L}}\cdot\hat{\bm{K}}+\hat{\bm{K}}\cdot\hat{\bm{L}})=0 なので j1=j2≕jj_1=j_2\eqqcolon j。和は (J^(1))2+(J^(2))2=12(L^ 2+K^ 2)(\hat{\bm{J}}^{(1)})^2+(\hat{\bm{J}}^{(2)})^2=\frac12(\hat{\bm{L}}^{\,2}+\hat{\bm{K}}^{\,2}) で、式 (4.5.16) の最後の関係を −2ME-2ME で割るとK^ 2=−L^ 2−ℏ2−Mκ2/(2E)\hat{\bm{K}}^{\,2}=-\hat{\bm{L}}^{\,2}-\hbar^2-M\kappa^2/(2E) なので

2j(j+1)ℏ2=12(−ℏ2−Mκ22E)⟹(2j+1)2ℏ2=−Mκ22E.2j(j+1)\hbar^2=\frac12\Bigl(-\hbar^2-\frac{M\kappa^2}{2E}\Bigr) \quad\Longrightarrow\quad (2j+1)^2\hbar^2=-\frac{M\kappa^2}{2E}.

n≔2j+1n\coloneqq2j+1 とおくと n=1,2,3,…n=1,2,3,\dots で

En=−Mκ22ℏ2n2(4.5.19)E_n=-\frac{M\kappa^2}{2\hbar^2n^2}\tag{4.5.19}

を得る。Schrödinger 方程式を一度も解かずに、交換関係だけから水素原子の準位が出た。

縮退の数は、J^(1)\hat{\bm{J}}^{(1)} と J^(2)\hat{\bm{J}}^{(2)} がそれぞれ 2j+12j+1 個の状態を持ち互いに独立なので、(2j+1)2=n2(2j+1)^2=n^2 である。どの ll が含まれるかは、L^z=J^z(1)+J^z(2)\hat L_z=\hat J^{(1)}_z+\hat J^{(2)}_z の固有値の数え上げで分かる。m1,m2∈{−j,…,j}m_1,m_2\in\{-j,\dots,j\} で m1+m2=mm_1+m_2=m となる組は 2j+1−∣m∣2j+1-\lvert m\rvert 個あり、1つの ll は ∣m∣≤l\lvert m\rvert \le l の各 mm に1個ずつ状態を持つので、mm と m+1m+1 の個数の差 11 が「ちょうど l=ml=m の組が1つある」ことを示す。したがって l=0,1,…,2j=n−1l=0,1,\dots,2j=n-1 が1回ずつ現れ、∑l=0n−1(2l+1)=n2\sum_{l=0}^{n-1}(2l+1)=n^2 と合う(図 4.5.2)。

図

図 4.5.2 水素原子の準位(式 (4.5.19)、M=meM=m_{\mathrm e})。横に並んだ l=0,…,n−1l=0,\dots,n-1 の準位が同じ高さにあり、1本の準位は 2l+12l+1 個の状態を持つ。nn ごとの状態の数は 1,4,9,161,4,9,16。n=3,4n=3,4 の間隔は図の中では詰まって見える

例題 4.5.4 水素原子の n=3n=3 の準位と、アルカリ原子で縮退が解ける理由 ★★

オリジナル

  1. (1) 水素原子の n=3n=3 の準位に含まれる (l,m)(l,m) の組をすべて挙げ、個数が n2n^2 になることを確かめよ。jj と ll の関係も述べよ。
  2. (2) M=meM=m_{\mathrm e}, κ=e2/(4πε0)\kappa=e^2/(4\pi\varepsilon_0) として E1,E2,E3E_1,E_2,E_3 を eV で求め、n=3n=3 から n=2n=2 へ移るときに出る光の波長を求めよ。陽子の質量を有限にして MM を換算質量に替えると、波長はいくら変わるか。
  3. (3) ナトリウム原子の最も外側の電子は、内側の電子に遮蔽された原子核の電荷を感じる。原子核の近くでは −11κ/r-11\kappa/r、遠くでは −κ/r-\kappa/r に近いポテンシャルである。このとき 3s3s と 3p3p の準位はなぜ分かれるか。この章の言葉で説明せよ。
解答

(1) j=(n−1)/2=1j=(n-1)/2=1 で、l=0,1,2l=0,1,2。l=0l=0 は m=0m=0 の1個、l=1l=1 は m=−1,0,1m=-1,0,1 の3個、l=2l=2 は m=−2,…,2m=-2,\dots,2 の5個で、合計 9=329=3^2 個である。2組の j=1j=1 の角運動量(それぞれ3状態)の組み合わせ 3×33\times3 が、l=0,1,2l=0,1,2 に分かれている。

(2) Mκ2/(2ℏ2)M\kappa^2/(2\hbar^2) に数値を入れると 13.61 eV13.61\,\mathrm{eV} で、E1=−13.61 eVE_1=-13.61\,\mathrm{eV}, E2=−3.40 eVE_2=-3.40\,\mathrm{eV}, E3=−1.51 eVE_3=-1.51\,\mathrm{eV}。n=3→2n=3\to2 で出る光のエネルギーは 13.61×(14−19)=1.890 eV13.61\times(\tfrac14-\tfrac19)=1.890\,\mathrm{eV} で、波長は hc/(1.890 eV)=656.1 nmhc/(1.890\,\mathrm{eV})=656.1\,\mathrm{nm}(赤い Balmer 線)。換算質量 memp/(me+mp)m_{\mathrm e}m_{\mathrm p}/(m_{\mathrm e}+m_{\mathrm p}) は mem_{\mathrm e} より 1/18371/1837 ほど小さいので、エネルギーが同じ割合で下がり、波長は 656.5 nm656.5\,\mathrm{nm} に伸びる(真空中の値)。

(3) ポテンシャルは rr だけの関数なので回転対称性は残り、各準位の 2l+12l+1 重の縮退は残る。しかし 1/r1/r の形でなくなるので、命題 4.5.5 の [A^RL, H^]=0\left[\hat{\bm{A}}_{\mathrm{RL}},\,\hat H\right]=0 が成り立たない(この交換子が 00 になる計算は、VV が 1/r1/r に比例することを使う)。Runge–Lenz ベクトルが保存しなくなると、異なる ll の準位を結ぶ生成子が無くなり、ll の違う準位を同じエネルギーに保つ理由がなくなる。ss 電子(l=0l=0)は遠心力の壁がなく原子核の近くまで入り込み、遮蔽の弱い強い引力を感じるので、3s3s が 3p3p より低くなる。古典力学で言えば、1/r1/r からずれたポテンシャルでは楕円軌道の近点が1周ごとに回って軌道が閉じなくなる(第2部第1章)ことに当たる。

ほかの巻では

  • 近似の数理 第10章:水素の厳密な準位から出発して、ヘリウムと多電子原子の近似(摂動・変分・Hartree–Fock)を比べる

1 W. Pauli (1926), Zeitschrift für Physik 36, 336. 行列力学で、Schrödinger 方程式を解かずに水素原子の準位を出した。

木下の勉強ステータス

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