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出てくるもの (1):群速度・有効質量・正孔

2026年10月15日7分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第4部 第10章 バンドの中の電子の半古典運動
目次
  1. 有効質量
  2. 満ちたバンドは電流を運ばない
  3. 正孔
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第4部 第10章 §4.10.3 ★★★ 有効質量は H=ε(k)H=\varepsilon (\bm{k}) の2階微分。満ちたバンドは電流を運ばず、1つ空いたバンドは正の電荷と正の質量を持つ正孔として動く

有効質量

速度 (4.10.5) を時間で微分し、式 (4.10.6) を使うと

v˙i=1ℏ∑j∂2ε∂ki∂kjk˙j=∑j1ℏ2∂2ε∂ki∂kjFj,F=−e(E+v×B)\dot v_i=\frac1\hbar\sum_j\frac{\partial^2\varepsilon }{\partial k_i\partial k_j}\dot k_j=\sum_j\frac{1}{\hbar^2}\frac{\partial^2\varepsilon }{\partial k_i\partial k_j}F_j,\qquad \bm{F}=-e(\bm{E}+\bm{v}\times\bm{B})

となる。力と加速度を結ぶ係数を

(m∗−1)ij=1ℏ2∂2ε∂ki∂kj(4.10.11)(m^{*-1})_{ij}=\frac1{\hbar^2}\frac{\partial^2\varepsilon }{\partial k_i\partial k_j}\tag{4.10.11}

と書き、有効質量テンソルの逆数と呼ぶ。Newton の運動方程式 v˙=F/m\dot{\bm{v}}=\bm{F}/m の 1/m1/m が、Hamiltonian ε(k)\varepsilon (\bm{k}) の2階微分の行列に置き換わった。自由な粒子 H=∣p∣2/(2m)H=\lvert \bm{p}\rvert ^2/(2m) でも、1/m1/m は HH の p\bm{p} についての2階微分である。その意味で、有効質量は「質量とは何か」を Hamiltonian の言葉で定義し直したものになっている。

1次元の tight-binding (4.10.4) では

1m∗(k)=2tha2ℏ2cos⁡ka,m∗(0)=ℏ22tha2(4.10.12)\frac1{m^*(k)}=\frac{2t_{\mathrm h}a^2}{\hbar^2}\cos ka,\qquad m^*(0)=\frac{\hbar^2}{2t_{\mathrm h}a^2}\tag{4.10.12}

である。底の近くでは正の一定の質量 m∗(0)m^*(0) を持つ自由な粒子のようにふるまう。ka=±π/2ka=\pm\pi/2 では 1/m∗=01/m^*=0 で、力を加えても速度が変わらない。BZ の端の近く k=π/a−δk=\pi/a-\delta では 1/m∗<01/m^*<0 で、力の向きと逆に加速される。ε\varepsilon が上に有界だから、エネルギーを上げ続けることができず、上の端の近くでは速度を下げる向きにしか進むことができない。負の質量は、この有界性の言い換えである。

満ちたバンドは電流を運ばない

体積 VsV_{\mathrm s} の結晶で、BZ の中の k\bm{k} は体積 (2π)3/Vs(2\pi)^3/V_{\mathrm s} ごとに1つずつ並ぶ。スピン1つのバンドの全部の状態を電子が占めるとき、電流密度は

j=−eVs∑k∈BZv(k)=−e∫BZd3k(2π)3 1ℏ∇kε(k)\bm{j}=\frac{-e}{V_{\mathrm s}}\sum_{\bm{k}\in\mathrm{BZ}}\bm{v}(\bm{k})=-e\int_{\mathrm{BZ}}\frac{\mathrm{d}^3k}{(2\pi)^3}\,\frac1\hbar\nabla_{\bm{k}}\varepsilon (\bm{k})

である。ε\varepsilon は周期関数 (4.10.1) なので、1周期の範囲で微分を積分すると 00 になる(1次元なら ∫−π/aπ/adεdkdk=ε(π/a)−ε(−π/a)=0\int_{-\pi/a}^{\pi/a}\frac{\mathrm{d} \varepsilon }{\mathrm{d} k}\mathrm{d} k=\varepsilon (\pi/a)-\varepsilon (-\pi/a)=0)。したがって満ちたバンドは電流を運ばない。電場をかけても、式 (4.10.10) で全部の電子の k\bm{k} が同じだけずれるだけで、周期性から占有の様子は BZ 全体として変わらない。これが、バンドが全部満ちた結晶(絶縁体)が電気を流さない理由である。

正孔

バンドのうち、k0\bm{k}_0 の1つだけが空いているとする。電流は満ちたバンドの電流 00 から、k0\bm{k}_0 の電子の寄与を引いたもので

j=0−−eVsv(k0)=+eVsv(k0)(4.10.13)\bm{j}=0-\frac{-e}{V_{\mathrm s}}\bm{v}(\bm{k}_0)=\frac{+e}{V_{\mathrm s}}\bm{v}(\bm{k}_0)\tag{4.10.13}

である。空いた状態は、速度 v(k0)\bm{v}(\bm{k}_0) で動く電荷 +e+e の粒子と同じ電流を運ぶ。空いた状態の k0\bm{k}_0 は、そこにいるはずの電子と同じ式 (4.10.6) で動く(ほかの全部の電子が同じ式で動き、空いた所はその流れに乗って移るから)。

空いた状態がバンドの上の端の近くにあるとき、そこでは m∗<0m^*<0 である。速度の時間変化は

v˙(k0)=1m∗(−e(E+v×B))=1∣m∗∣(+e(E+v×B))\dot{\bm{v}}(\bm{k}_0)=\frac{1}{m^*}\bigl(-e(\bm{E}+\bm{v}\times\bm{B})\bigr)=\frac{1}{\lvert m^*\rvert }\bigl(+e(\bm{E}+\bm{v}\times\bm{B})\bigr)

で、正の電荷 +e+e と正の質量 ∣m∗∣\lvert m^*\rvert を持つ粒子の運動方程式と同じになる。これを正孔と呼ぶ。正孔は、ほとんど満ちたバンドを「空いた所の運動」として書き直したもので、新しい粒子を仮定したわけではない。上の端の負の質量と、電子の負の電荷の2つの負号が打ち消し合っている。

例題 4.10.3 有効質量の大きさと、上の端での加速の向き ★★

オリジナルth=1.0 eVt_{\mathrm h}=1.0\,\mathrm{eV}、a=0.30 nma=0.30\,\mathrm{nm} の1次元の tight-binding のバンドを考える。

  1. (1) バンドの底と上の端の有効質量を、電子の質量 mem_{\mathrm e} を単位にして求めよ。
  2. (2) 上の端の近く k=π/a−δk=\pi/a-\delta(0<δa≪10<\delta a\ll1)にいる電子に +x+x 向きの電場 EE をかける。δ\delta と速度 vv はどちら向きに変わるか。
解答

(1) 式 (4.10.12) から

m∗(0)=ℏ22tha2=(1.0546×10−34)22×1.602×10−19×(0.30×10−9)2=3.86×10−31 kg=0.423 me.m^*(0)=\frac{\hbar^2}{2t_{\mathrm h}a^2}=\frac{(1.0546\times10^{-34})^2}{2\times1.602\times10^{-19}\times(0.30\times10^{-9})^2}=3.86\times10^{-31}\,\mathrm{kg}=0.423\,m_{\mathrm e}.

上の端では cos⁡(π)=−1\cos(\pi)=-1 なので m∗(π/a)=−0.423 mem^*(\pi/a)=-0.423\,m_{\mathrm e} である。

(2) 力は F=−eE<0F=-eE<0 なので、式 (4.10.10) から k˙=−eE/ℏ<0\dot k=-eE/\hbar<0 で、k=π/a−δk=\pi/a-\delta の δ\delta は増える。速度は v=2thaℏsin⁡(π−δa)≈2tha2ℏδ>0v=\frac{2t_{\mathrm h}a}{\hbar}\sin\bigl(\pi-\delta a\bigr)\approx\frac{2t_{\mathrm h}a^2}{\hbar}\delta>0 で、δ\delta が増えると +x+x 向きに速くなる。電子は力(−x-x 向き)と逆の +x+x 向きに加速される。これは質量が負であることそのもので、正孔の言葉では「電荷 +e+e の正孔が電場の向きに加速される」と言い直すことができる。

ほかの巻では

  • 近似の数理 第12章:有効質量近似を Bloch 波の均質化として導き、誤差の大きさを述べる

木下の勉強ステータス

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