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当てる道具:Gauss 積分と平方完成

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第5部 第7章 経路積分から摂動展開と Feynman 則へ
目次
  1. 有限次元の Gauss 積分
  2. Wick の定理
  3. 場への持ち上げと
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第5部 第7章 §5.7.2 ★★★ ∫e−12xTAx+JTx∝e12JTA−1J\int\mathrm{e}^{-\frac12x^{\mathsf T}Ax+J^{\mathsf T}x}\propto\mathrm{e}^{\frac12J^{\mathsf T}A^{-1}J} を源で微分すると、Gauss 分布の多項式の平均は「2つずつ組にする組み方の和」になる(Wick の定理)

有限次元の Gauss 積分

nn 個の実数 x=(x1,…,xn)x=(x_1,\dots,x_n) と、正定値の実対称行列 AA を考える。源の項をつけた Gauss 積分は、平方完成で計算することができる。x=A−1J+yx=A^{-1}J+y とずらすと −12xTAx+JTx=−12yTAy+12JTA−1J-\frac12x^{\mathsf T}Ax+J^{\mathsf T}x=-\frac12y^{\mathsf T}Ay+\frac12J^{\mathsf T}A^{-1}J となり、yy の積分は JJ によらないので

∫dnx  e−12xTAx+JTx=(2π)n/2det⁡A  e12JTGJ,G=A−1(5.7.6)\int\mathrm{d}^nx\;\mathrm{e}^{-\frac12x^{\mathsf T}Ax+J^{\mathsf T}x}=\frac{(2\pi)^{n/2}}{\sqrt{\det A}}\;\mathrm{e}^{\frac12J^{\mathsf T}GJ},\qquad G=A^{-1}\tag{5.7.6}

を得る。ずらした先の点 xcl=GJx_{\mathrm{cl}}=GJ は、指数の肩 −12xTAx+JTx-\frac12x^{\mathsf T}Ax+J^{\mathsf T}x を停留させる点である。指数の肩は xx の2次式なので、停留点のまわりの展開は2次で終わり、第4部第7章(第4部第7章)の停留位相の評価がここでは近似でなく等号になる。指数に残った 12JTGJ\frac12J^{\mathsf T}GJ は、指数の肩の停留点での値そのものである。

規格化した平均 ⟨f⟩0=∫dnx e−12xTAxf(x)/∫dnx e−12xTAx\langle f \rangle _0=\int\mathrm{d}^nx\,\mathrm{e}^{-\frac12x^{\mathsf T}Ax}f(x)\big/\int\mathrm{d}^nx\,\mathrm{e}^{-\frac12x^{\mathsf T}Ax} で書くと⟨eJTx⟩0=e12JTGJ\langle \mathrm{e}^{J^{\mathsf T}x} \rangle _0=\mathrm{e}^{\frac12J^{\mathsf T}GJ} である。左辺を JiJ_i で微分して J=0J=0 とおくと xix_i の多項式の平均が出る。

Wick の定理

e12JTGJ\mathrm{e}^{\frac12J^{\mathsf T}GJ} を JiJ_i, JjJ_j で1回ずつ微分して J=0J=0 とおくと ⟨xixj⟩0=Gij\langle x_ix_j \rangle _0=G_{ij} である。GG は2点の相関で、これを伝播関数と呼ぶ。4回微分すると、12JTGJ\frac12J^{\mathsf T}GJ の2乗の項からだけ 00 でない寄与が出て

⟨xixjxkxl⟩0=GijGkl+GikGjl+GilGjk(5.7.7)\langle x_ix_jx_kx_l \rangle _0=G_{ij}G_{kl}+G_{ik}G_{jl}+G_{il}G_{jk}\tag{5.7.7}

になる。一般に次が成り立つ。

定理 5.7.1(Wick の定理 ★★★)

平均 00 の Gauss 分布で、2n2n 個の変数(重複してもよい)の積の平均は、それらを2つずつ組にする組み方すべてにわたる、組ごとの GG の積の和に等しい。組み方は (2n−1)!!=(2n−1)(2n−3)⋯3⋅1(2n-1)!!=(2n-1)(2n-3)\cdots3\cdot1 通りある。奇数個の積の平均は 00 である。

証明

e12JTGJ=∑m1m!(12∑a,bJaGabJb)m\mathrm{e}^{\frac12J^{\mathsf T}GJ}=\sum_{m}\frac{1}{m!}\bigl(\frac12\sum_{a,b}J_aG_{ab}J_b\bigr)^m を Ji1,…,Ji2nJ_{i_1},\dots,J_{i_{2n}} で微分して J=0J=0 とおくと、JJ の次数がちょうど 2n2n の項 m=nm=n だけが残る。(12∑JaGabJb)n(\frac12\sum J_aG_{ab}J_b)^n の中の 2n2n 個の JJ に、2n2n 個の微分を1つずつ割り当てる仕方は (2n)!(2n)! 通りあり、どの割り当ても「どの2つの添字が同じ GG に入るか」という組み方を1つ決める。1つの組み方を与える割り当ては、nn 個の GG の並べ替え(n!n! 通り)と、各 GG の中で2つの JJ を入れ替えること(2n2^n 通り)の分だけある。1n!⋅12n\frac{1}{n!}\cdot\frac{1}{2^n} がちょうどこの重複を打ち消すので、各組み方は係数 11 で1回ずつ現れる。組み方の数は、最初の変数の相手の選び方 2n−12n-1 通り、残りの最初の変数の相手 2n−32n-3 通り、と続けて (2n−1)!!(2n-1)!! である。

組み方の数 (2n−1)!!(2n-1)!! は、例題 5.7.1 の ⟨ϕ2n⟩0\langle \phi^{2n} \rangle _0 と同じ数である。1変数では G=1G=1 なので、組み方の数がそのまま平均になる。

場への持ち上げと iϵ\mathrm{i}\epsilon

場の場合は、添字 ii が時空の点 xx に、和が積分に替わる。自由な部分の作用を部分積分してS0[ϕ]=∫d4x 12ϕ (−∂2−m2)ϕS_0[\phi]=\int\mathrm{d}^4x\,\frac12\phi\,(-\partial^2-m^2)\phi と書くと、重みの肩は

iS0[ϕ]+i∫d4x Jϕ=−12∫d4x ϕ [i(∂2+m2−iϵ)]ϕ+∫d4x (iJ)ϕ\mathrm{i} S_0[\phi]+\mathrm{i}\int\mathrm{d}^4x\,J\phi=-\frac12\int\mathrm{d}^4x\,\phi\,\bigl[\mathrm{i}(\partial^2+m^2-\mathrm{i}\epsilon)\bigr]\phi+\int\mathrm{d}^4x\,(\mathrm{i} J)\phi

となる。−iϵ-\mathrm{i}\epsilon は5.7.1節で時間を T(1−iϵ)T(1-\mathrm{i}\epsilon) と傾けたことから出る項で、m2m^2 を m2−iϵm^2-\mathrm{i}\epsilon に置き換えることと同じである。この項によって肩に −ϵ2∫ϕ2-\frac{\epsilon}{2}\int\phi^2 という実部が加わり、振動するだけの積分が収束する Gauss 積分になる。式 (5.7.6) でA→i(∂2+m2−iϵ)A\to\mathrm{i}(\partial^2+m^2-\mathrm{i}\epsilon)、J→iJJ\to\mathrm{i} J と読み替えると、G=A−1G=A^{-1} は

(∂2+m2−iϵ) DF(x−y)=−i δ(4)(x−y)(5.7.8)(\partial^2+m^2-\mathrm{i}\epsilon)\,D_{\mathrm F}(x-y)=-\mathrm{i}\,\delta^{(4)}(x-y)\tag{5.7.8}

を満たす関数 DFD_{\mathrm F} になり、

Z0[J]=Z0[0]  exp⁡[−12∫d4x d4y  J(x) DF(x−y) J(y)](5.7.9)Z_0[J]=Z_0[0]\;\exp\Bigl[-\frac12\int\mathrm{d}^4x\,\mathrm{d}^4y\;J(x)\,D_{\mathrm F}(x-y)\,J(y)\Bigr]\tag{5.7.9}

を得る(12(iJ)DF(iJ)=−12JDFJ\frac12(\mathrm{i} J)D_{\mathrm F}(\mathrm{i} J)=-\frac12JD_{\mathrm F}J)。Z0Z_0 は λ=0\lambda=0 の生成汎関数である。行列式 det⁡A\det A にあたる因子は Z0[0]Z_0[0] に入り、nn 点関数 (5.7.4) ではZ[0]Z[0] で割るので消える。有限次元の場合と同じく、指数の肩は停留点 ϕcl\phi_{\mathrm{cl}}(自由な場の方程式 (∂2+m2)ϕcl=J(\partial^2+m^2)\phi_{\mathrm{cl}}=J の解)でのi(S0[ϕcl]+∫Jϕcl)\mathrm{i}(S_0[\phi_{\mathrm{cl}}]+\int J\phi_{\mathrm{cl}}) に等しい。

例題 5.7.2 2変数の Gauss 分布で Wick の定理を確かめる ★★

オリジナルA=(2112)A=\begin{pmatrix}2&1\\1&2\end{pmatrix} とし、重み e−12xTAx\mathrm{e}^{-\frac12x^{\mathsf T}Ax} の下での平均を考える。

  1. (1) G=A−1G=A^{-1} を求めよ。
  2. (2) Wick の定理で ⟨x12x22⟩0\langle x_1^2x_2^2 \rangle _0、⟨x14⟩0\langle x_1^4 \rangle _0、⟨x13x2⟩0\langle x_1^3x_2 \rangle _0 を求めよ。
  3. (3) (2) の ⟨x12x22⟩0\langle x_1^2x_2^2 \rangle _0 で、3通りの組み方がそれぞれどの GG の積を与えるかを書き、G12<0G_{12}<0 の意味を述べよ。
解答

(1) det⁡A=3\det A=3 なので G=13(2−1−12)G=\frac13\begin{pmatrix}2&-1\\-1&2\end{pmatrix}、すなわち G11=G22=23G_{11}=G_{22}=\frac23、G12=−13G_{12}=-\frac13。

(2) x1x1x2x2x_1x_1x_2x_2 の組み方は (x1x1)(x2x2)(x_1x_1)(x_2x_2) が1通り、(x1x2)(x1x2)(x_1x_2)(x_1x_2) が2通り(1つ目の x1x_1 の相手をどちらの x2x_2 にするか)で、

⟨x12x22⟩0=G11G22+2G122=49+29=23.\langle x_1^2x_2^2 \rangle _0=G_{11}G_{22}+2G_{12}^2=\frac49+\frac29=\frac23.

同じく ⟨x14⟩0=3G112=43\langle x_1^4 \rangle _0=3G_{11}^2=\frac43、⟨x13x2⟩0=3G11G12=−23\langle x_1^3x_2 \rangle _0=3G_{11}G_{12}=-\frac23(x2x_2 の相手は3つの x1x_1 のどれでもよく、残り2つの x1x_1 が組になる)。3つとも2重積分を数値で計算した値と一致する(検算 scripts/verify_ch5-07.py)。

(3) 組み方は {(1,2),(3,4)}→G11G22\{(1,2),(3,4)\}\to G_{11}G_{22}、{(1,3),(2,4)}→G122\{(1,3),(2,4)\}\to G_{12}^2、{(1,4),(2,3)}→G122\{(1,4),(2,3)\}\to G_{12}^2(変数を x1x1x2x2x_1x_1x_2x_2 の順に1〜4と番号づけた)。AA の非対角成分 +1+1 は x1x2x_1x_2 が正のときに重みを下げるので、x1x_1 と x2x_2 は逆符号になりやすく、相関 G12=⟨x1x2⟩0G_{12}=\langle x_1x_2 \rangle _0 が負になる。場の言葉では、2次の作用の中の隣どうしの結合が伝播関数を決めることに当たる。

ほかの巻では

木下の勉強ステータス

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